出来るまで
何度も飛ぼうとした
翼を失くしてないか?
やりたいことが
分かっているのに
旅を諦めてないか?
輪極道 Zeitgeit
「ガチで焦ったわ〜」
ライターをカチカチ鳴らし
煙草に火を付ける豚子
「いや〜焦りました」
「よう、耐えたやん」
豚子が笑いながら言う
「もしもの為に エンジンガードつけた方が いいですかね?」
銭形が 豊子に 助言を求めると
「いや、あったら逆に諦めて 倒してましたね」
「なるほど、そーいうもんですか」
「ちっこいスライダーは?」
豚子も 付けたそうに質問
「あれね〜滑るから 公道だと 反対車線まで ブッ飛ぶわよ」
「そうなん!」
「逆に危ないですね」
銭形も考えてたのか、妙に焦る
「立ちゴケ用につけても、大型だと、フレームが押されて 立ちゴケただけなのに完全なる事故車に」
「じぇじぇじぇ!」
「不釣り合いな 大型の一般ライダーに エンジンスライダー薦める店は要注意よ」
「マジかや〜」
「売る為とはいえ 酷いな」
「やっぱり最強は、SSBよ!」
豊子は 自分のジスペケに付いてる
ジムカーナ専用バンパーを指していう
「でも、うちらのバイクにはな〜」
「ジムカーナと 間違えられるのも 恥ずかしいです」
二人とも全否定
「まっ、付けない方が、さっきの銭形さんみたいに 意地でも耐えるからイイのよ!」
「火事場のクソ力やね」
「倒れまいと 必死で耐えました」
銭形はお茶を飲みながら
安堵モード
「さて、先ずは銭形さんの原因究明から」
「なんだったんでしょうか?」
豊子が改まって言うと
銭形は不安そうに聞き返した
「銭形さんは、乗車姿勢が抜群にいい」
「えっ」「なんなん?」
全否定されると 覚悟いていた
銭形は 戸惑う
「僅かでも、前ブレーキを使って感じたことは?」
「体重移動してから リリースすると セルフステアで カクン ♪ とインに切れ込みます」
「そうなんよ! メッチャおもろいねん」
豚子も相槌をうつ
「そこが、分かったなら 合格100点 です」
「そうなんっ!」
「では、なんで倒れそうになったんでしょうか?」
豚子は喜ぶが、銭形は半信半疑
「リリース直後のセルステアに任せ過ぎで、車体を倒さずに回ろうとしたのと、アクセル全閉だから トラクションが惰性のみだったんです」
「どうすれば良いのでしょうか?」
「ジムカーナの練習ではないので、もっとバンクさせて大きく曲がってください、イメージ的にパイロンではなく 自分のすきな峠のコーナで良きです」
「はい!」
銭形さんに限らず
多くの人が勘違いしてますが
「傾ける、ではなく 曲げる」
です
「はい、肝に命じときます」
銭形は 背筋を伸ばし
敬礼で答える
「ウチは、かめええ~叫んどったで~」
アンタは倒し過ぎなのよっ!」
豚子が得意気にいうと
豊子は唸り飛ばした
二人に一番共通しているのは、
前ブレーキを使い出してから
左肩は パイロンに向けようとしてるけど
左肘が つっかえ棒に戻っている時がある
たまに、オーバーランするのは
その、伸びきった左肘のせい
今の速度だから、二人とも戻し
なんとか回ってるけど
普通に公道でやったら
事故ッテますから
「がびーん」「そうやったんや」
心理的に 前ブレーキを使い出すと
どうしても 体が緊張するのね
私も、レイトな鬼っつ込みの時はなるし
「豊丸子さんでも?」
「どないしとんの?」
減速まえの
体重移動の時点で
左肘を伸ばさないように
曲げとく
体重移動+左肘ね
「SSなバイクや、セパハンにして、サーキットや首都高レベルのハードブレーキングだと 腕の力が必要になるけど、二人はアップハンだし、それをやるには次期早々」
「しゅっ、首都高って・・・」
「今時、そんな アホ おらんやろ~」
銭形と豚子は 呆れるが
先日、服部にアルピナに遭遇したら
「全開で追え!」
と、極秘に命じられ
つい、首都高と
二人の前で口走ってしまった
「 AMA の写真を思い出してみて」
「分かった!クーリーやね」
「そう!大正解」
豚子は ドヤ顔で銭形をみる
「なんだ、不細工な顔で」
「なんやと~!」
「おい、二人とも、真面目にきけよ」
「はははい」
「さーせん」
クーリーや ローソン
最近の Moto GP ライダーは
肩でロックするから
脇を開け 肘を横に曲げるけど
「レバーの位置は、指先~手の甲~肘までを水平にというでしょう」
豊子は Z65 で実演してみせる
左肘を 伸ばさないように
するにはこれが一番いい
「なるほど」
「謎が解けてくねんな」
この位置から脇を広げてもいいし
この角度のまま、でも良き
脇をあまり広げずに 肘を曲げる
代表的なライダーはスペンサーね
あとは、レイニーやシュワンツ
「おおおお」
「川崎時代の レイニーもええね!」
「右手のブレーキに集中するあまり、左肘は本能的に緊張で突っ張ってしまうんやね」
「そう、だから 体重移動と一緒に 左肘も曲げておくと」
「かめえええ!」
「つっこんでも、右手ブレーキで 曲がれる 自信が 湧いてくる」
豚子をスルーして
豊丸子が結論
「右手ブレーキで 曲がれない原因は 左肘だったんですね」
「はい、大正解です」
「よし、練習再開や!」
豚子が立ち上がると
「リアから 減速するのを 忘れたらダメよっ!」
豊子が 二人に念を押す
「はい!」「オッケー!」
「体重移動 十 左肘もよおお~」
つい、先程まで
泣き顔でスマイル
だった二人は
勢いよく バイクに飛び乗った
ブォン!ブォン!
ブオォー ♪ ブオォー ♪
ブン!ブオォー♪
「かめえええ!」
「ぶたあああ!」
続きま~す
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輪極堂 | 日記
Posted at
2025/02/27 18:41:27