
964のほとんどの個体はレザーシートになっていますが、これは当時標準だったわけではなくてオプションで、皆さん追加で費用を負担してレザーシートにしていたようです。
964のシートに使われている革は非常にしっかりしていて、30年近い歳月が経過してもボロボロになっていません。
日本の旧車に使われている革シートの多くが劣化しちゃっている中で、さすがはポルシェ、耐久性の高い上質な革を使っていたのだなぁと。
30年近く経過しているのに劣化はそれほどでもなく、嬉しい限りです。
んで、今までシートの素材のことで人に言えない疑問がありました。
ドイツ車のレザーシートで「パーシャルレザー」と言うのを見かけるけれど、あれって何?
最初は人工皮革のことかと思っていましたよ。
パーシャルレザーが標準なのに対して本革が高価なオプションなので…ね。
本革はレザーで、パーシャルレザーはレザーではないと思っていました。
そもそもパーシャルって何かと言うと…
部分とか一部の意味…
パーシャル冷凍やパーシャル解凍って、カチカチに凍らせるのではなく半分冷凍にすること、完全に解凍するのではなく半分解凍することですね。
だから、包丁でサクッと切れると。
と言うことで、パーシャルレザーシートと言うのは、部分的に本革が使われているシートのことで、座面と背面は本革でも、ヘッドレストやサイドサポートは合成皮革になっているシートのことのようです。
人工レザーの品質も格段に進歩しているので、直接お尻や背中が触れない部分は本革でなくても代用できるし、質感を損なうこともない…と言うことなんでしょうね。
964のシートを見ると、ご覧のとおり、座面や背面だけでなくサイドサポートやヘッドレストまで、全て本革になっています。
でも、一転してシートの背面に張られているのは、いかにもビニールレザーと言わんばかりのチープな素材です。
じゃあ、リアシートはどうなのかと言うと…
リアシートは、よく見れば座面もサイドサポートも同じビニールレザーで、本革なんてどこにもないばかりか、シートの背後のボードに貼られているのと同じ素材です。
930以降の空冷911のインテリアと言うと、本革で覆われた質実剛健でありながらゴージャスなイメージがありますが、実際に本革が使われているのはシートの座面と背面、あとはステアリングとシフトノブくらいのもので、本革なんてたいして使われていないことになります。
空冷911に乗り込むと感じる独特のポルシェ臭って、革の匂いだという説もあるのですが、そもそも革なんてちょっとしか使われていないのですね。
ただ、お金のある方であれば、964でもシートだけでなくダッシュパネルからドアの内張まで全て革で覆うこともできたようです。
ターボなど上級グレードでよく見られ、普通のカレラ2のティプトロニックの個体でもそういう仕様になっているものもありますが、初期投資にお金がかかっているわりには革が痛んでしまい、贅沢なオプションに見合った評価がなされていないようでもあります。
本革はビニールレザーよりも痛みやすいし汚れやすく、ビニールレザーのように洗剤を付けてゴシゴシと言うわけにもいきません。
黒ならまだしも、キャメルやアイボリーと言った淡いカラーともなれば、シートも含めて内装のコンディションを保つのは一苦労でしょうね。
黒のビニールレザー、大いに結構です(笑)
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ポルシェ | クルマ
Posted at
2020/11/07 15:23:29