
青い目をしたアメリカ生まれのお人形…
これがセルロイド製だったと…
な~んて今どきの誰が知っていると言うのか(笑)
それはともかく、セルロイドはニトロセルロースと樟脳を合成することで作られた世界最初の人工プラスチック素材なのだそうで、その歴史は1856年(江戸時代!)にまで遡ると言いますから驚きですよ。
名前だけ聞けば馴染みのある素材のように見えますが、製作に職人の手技と数カ月の時間を要し、現在はもっと生産性が高くて機能性も付与されたその他のプラスチック素材にとって変わられているため、現代の工業製品でセルロイドが使用される場面はほとんどないのだそうで。
眼鏡のフレームで飴色のマーブル模様のものがセルロイドなのかもしれませんが、あれはあくまでセルロイド「調」なのかもしれません。
ちなみに画像のペンの軸はセルロイド製なのですが、今や本物のセルロイド製のペン軸はほとんどなくて、レジンなど他の樹脂から作られたものが大半を占めていますね。
と言うことで、本物のセルロイドが使われる余地は、今や筆記具やメガネなどごく限られたものになっているようです。
作成に手間と費用がかかり、鼈甲のような何とも言えない風合いを持つセルロイドですから、それなら高級なクルマのインテリアに使用すれば高級感も増して良いのではないかと思うのですが…
優れた風合いの一方で、セルロイドは極めて燃えやすく、170℃以上に達すると自然発火し、摩擦などでも簡単に発火してしまうのだそうで。
加えて耐候性が低く、光でも劣化し、耐久性も低いと…
20世紀初頭から1950年代にかけて多くの工業製品に使用されたセルロイドですがが、この可燃性の高さから火災事故の主要原因ともなり、姿を消すこととなったのだと。
我が国においてもセルロイドは消防法で第5類危険物として規制対象物に指定されていて、製造や貯蔵、取り扱い方法については一定の基準を満たす必要があり、例えば100㎏以上を保管する場合は危険物倉庫への貯蔵が義務付けられたり、20㎏以上の保有から消防署への届出を行わなければならないのだと。
ははは、こんなに危険で耐久性に乏しいのでは、どんなに高級感があってもクルマに使われることは絶対にないですね(笑)
ダッシュパネルに貼られたセルロイドが車内の高温が元で自然発火してクルマが全焼したのでは困りますから。
まあ、その点、眼鏡のフレームや筆記具であれば、使われる量は少量で肌身離さず身に付けるものだし、そんな過酷な環境に置かれることもないのでセルロイドが生き残れる余地もあると。
まあ、こう暑くてクルマにもおちおち乗っていられないような時は、こう言う掌に乗る宇宙を楽しむのもまたイイものです。
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モノ語り | クルマ
Posted at
2023/08/05 20:16:49