
ライカはポルシェに似ている…
今まで何度となく書いてきました。
カメラは移ろいゆく光をフイルム面に化学的に固定する装置であるのに対して、クルマは燃料に固定されたエネルギーを化学的に動力として取り出す装置…
原理は全く違うのですが、今でもついつい比べてしまうんですよね。
カメラにとってレンズは、クルマのエンジンのようなもの…
レンズの口径によってレンズが一度に受け容れられる光の量、エンジンで言えば排気量すなわち最大出力が決まってくると…
レンズの口径が大きいと言うことは、一度により多くの光を受け容れられると言うことであり、「明るいレンズ」と言うことになる…
その中で、絞りとシャッタースピードを変化させることで、フイルム面に当たる光の量、すなわち露出を調整し、適正化させると…
クルマならトランスミッションのようなものですね。
クルマは、路面の勾配や速度によっていくつかのギアポジションが存在するのに対して、カメラの場合は適正な露出はピンポイント…
でも、同じ露出を得るにも、絞り値とシャッタースピードの組み合わせは色々あるから、せいぜい前進6速・後退1速程度しかないクルマのミッションより複雑…
そして、M型ライカのトランスミッションなのですが…
初代のM3からM2を経てM4、M4-2、M4-Pまでは完全マニュアル。
カメラのボディに電池は入っておらず、露出は全て自分でセットしないといけません。
クルマで言えば、最適なギアポジションを選んでくれるAEはおろか、そもそも露出計すら内蔵されていないようなもの…
そんな中で、我々の強い見方が外付けの露出計、「ライカメーター」です。
カメラのアクセサリーシューに装着すると、シャッターダイヤルと連動して指針が動き、適正露出が得られる絞り値を指し示してくれるので、あとはレンズの絞り値を指針のとおりにセットすると、スタンバイOKと。
シャッターダイヤルを動かすと、連動して絞り値も変化して、シャッタースピードを速くすればより明るい絞り値を、遅くすればより小さい絞り値を指し示してくれます。
冒頭の画像はM3にライカメーターを取り付けた状態。
M型ライカのスマートなフォルムは少しスポイルされますが、脳内露出計が備わっていない我々シロートにとっては有り難いことこの上なし。
まあ、同時代の普通のカメラであれば、露出計がカメラに内蔵されているのは当たり前、絞り値に応じて自動的に適正なシャッタースピードを選んでくれる、あるいは絞り値とシャッタースピード両方をお任せで合わせてくれる自動露出、すなわたAEが当たり前。
クルマで言えばAT、オートマチックトランスミッションですね。
ライカはライカメーターを装着しても適正な絞り値を教えてくれるだけで、絞り値は手で変速させないといけない…
ははは、スポルトマチックみたいなものですね(笑)
その後、M5になってM型ライカには露出計が内蔵されましたが、オートにはなりませんでした。
デジタル化されたM8には、絞り値をセットすれば適正なシャッタースピードを選んでくれる「絞り優先AE」が導入されています。
でも、今や普通のカメラは露出が自動化されているのは当たり前であって、露出どころかピント合わせまで自動化(オートフォーカスね)されていますよ。
んでも、最新鋭の現行機M10だって、相変わらずピント合わせは自分でやらないといけないのです。
M型ライカの構造から言って、オートフォーカスのM型ライカはちょっと無理でしょう。
こんな七面倒臭いM型ライカを使う人の気が知れないと言いたくもなりますが、MTのポルシェに乗りたい人がいるのと同様に、ライカで自らピントを合わせて撮りたいと考える人がいるのは非常に嬉しいことですね。
Posted at 2020/11/13 23:56:01 | |
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