
空冷911の張り出したリアフェンダーをして「デカ尻女」とは良く言ったものだと思います。
でもね…
それは目の錯覚に過ぎないのであって、実際にはそんなにデカ尻ではないのですよね。
930ターボだって、そんなでもないし、964までのカレラに至っては、5ナンバーサイズですからね。
尻がデカいと言ったって、せいぜいフィットやノートやアクア程度であって、大抵の現行車よりお尻は小さいのよね。
こうやって少し上から見ると分かるのですが、大抵のクルマはセダンでもハッチバックでも、リアの腰から上は絞り込まれていても、腰から下は絞り込まれていません。
それは何故かって、そりゃ荷室があるからですよ。
セダンは後ろは完全な荷室だし、ハッチバックだって荷室の上に屋根が被っているけです。
スポーティーなハッチバックだと、後席のヘッドスペースがタイトになりますが、それはルーフ、つまり腰上を絞り込んでいるのであって、やっぱり荷物スペースを絞るわけにはいかないのですね。
ハッチバックの実用性がスポイルされちゃいますから。
まあ、最近はシューティングブレークなんて上手い言い方ができて、後部スペースを犠牲にしても文句を言われなくなったようですが、やっぱり日本のクルマではセダンでもハッチバックでも荷室が全く実用にならないのは、ちとマズイのであって…
その点911だと、普通のクルマのトランクスペースにはエンジンがあるだけですから、エンジンさえ収まるだけの広さがあれば足りるわけです。
その上、911のフラットシックスは平べったい形で、中央部にクーリングファンや補器類があったとしても、高さはかなり低く抑えることが可能です。
このため、911はルーフからのラインだけでなく、サイドの垂直に立っているラインも、リアシートの後ろは垂直にする、つまりスペースを稼ぐ必要はなくなるので、どんどん横に寝かせながら絞り込んでしまっても全く問題はないわけです。
このため、後部のボディラインは、全てが後方に向かって低くなり、左右が絞り込まれるようになるから、リアフェンダーの張り出しが強調されて、あたかもデカ尻であるかのように見えるわけです。
実際に尻がデカいからそう見えるのではなくて、その前後がキュッと絞られているから、そんなに張り出していなくても出ているところが出ているように見えるわけですね。
こんなデザインができたのも、エンジンをリアに配置してトランクスペースをフロントに持ってきたから…
エンジンのスペースは、本当にタイト…
ターボの大型のインタークーラーを載せたらフードを閉められなくなっちゃったので、仕方なくフードに四角く穴を開けて、はみ出したインタークーラーの上にリアウイングを被せたと。
実際にはウイングの根元の部分をボックス状に分厚く立ち上げて、その中にインタークーラーが収まるように、本当に上手く処理してありますね。
天井に巨大なウイングが乗っかっているものだから、ぱっと見ではインタークーラーがフードを突き破っているとは気が付かない…
あ、初期のターボ、本物の930ターボはインタークーラーがないからリアウイングの根元は分厚くなっていないのでしたね(笑)
まあ、とにかく、空冷911のお尻はそんなにデカくないのよと。
Posted at 2020/12/01 22:27:50 | |
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