2008年03月25日
初心者にMT車の運転を教える その5
この記事、4年ほど前に書いたけど、いまだに読まれている。(2012年8月)
というわけで、初心者にMTの運転を教える話の5回目です。
前提として、一人でオートマ車の運転はできるようになっているところから話は始まります。道路で車の運転ができるようになるのには、AT車のほうが明らかに手っ取り早いんで、その辺の話は第3話あたりに書きました。
さて、MTといえば半クラですが、半クラ自体はそれほど難しいことではありません。教習所でみっちりやっています。
問題は、適切な回転数でクラッチを繋いでいくということです。教習所の車は、クラッチを消耗品として扱っているらしく、3000回転までぶん回して繋ぐことでエンストを回避し、低速では常に半クラ状態に保つことでエンストを防止しています。これは路上教習でも同じみたいです。
そこで、まず、1速アイドリングでの発進の練習を行います。車は4気筒660ccターボのコペンなので、低速トルクは相当低めです。でもできます。事前に私は2速アイドリングでの発進を試みましたが、何の問題も無くできました。ローなら余裕でしょう。
この練習では、アクセルを全く踏み込まずに発進して、クラッチを完全に繋いでもエンストしないということを理解させます。したがって、速度はローのアイドリング速度なので、早足で歩くくらいです。
このときに、クラッチがつながって車が動き出そうとする瞬間の感覚が理解できるまで練習します。練習ですから、たくさんエンストすると思いますが、めげずに繋ぎ感と滑らせ感を知るようにしてください。
それができたら、セカンド発進の練習をします。セカンドでアクセルを踏まずに発進して、クラッチを完全に繋ぎます。そのときの速度が、ローからセカンドにシフトアップできる最低速度であり、またローにシフトダウンしないとエンストしてしまう限界の速度になるので、この速度を意識にとどめるようにします。セカンド発進は、ローのときよりも長くクラッチを滑らせないとできません。どれくらい滑らせれば完全に繋げるのか、いろいろ経験してください。これは難しいですよ。
これができたら、加速の練習が必要になります。実は、ここが難しいのです。
教習所では、3000回転から繋いでいくので、ローで発進してクラッチを全部繋いだらそのままセカンドにシフトアップしてもエンストしませんし、クラッチを繋ぐ=加速という感覚が身についています。
しかし、空ぶかしをせずにクラッチを繋いでも、出る速度は歩くくらいなので、適切なタイミングでアクセルで加速しないといけません。
また、ATで加速をする練習を行ったおかげで、公道での発進加速の程度は身についていますから、MTでもそういう加速をしようとしてしまいます。
この、クラッチを繋ぐと加速する感覚と、公道での発進加速感が合わさると、車が動く前にクラッチを繋ぐという行動とATでの発進加速時のラフなアクセルワークが重なってひどいことになります。
AT車は発進時や加速時にどんなに急にアクセルを踏み込んでも、トルコンの働きすなわちスリップによって無駄なエンジン出力が逃がされるので、エンジンに負担をかけることなくスムーズな加速ができます。
MTは、このトルコンスリップが無いので、アクセルワークに直結した加速が得られますが、逆に車の加速にあわせたアクセルワークが必要になります。
MTでの発進加速は、通常の運転では走り始めの初期の加速はATよりも緩やかになります。具体的にはギアがローにある間の加速は、ギア比が低すぎるのでよっぽどすばやくシフトアップするか、よっぽど高回転まで回さない限りATに負けます。
初心者は、ATでの発進のようにアクセルを踏み込んで、ATのように加速することを期待しますが、実際には思ったように加速しないのでクラッチを急に繋いでエンストしたりします。
発進時には、最初はゆっくり、すぐにセカンド、即座にクラッチを繋いで、そこから加速という流れを身につける必要があります。このときには、時速30km/hにはなりますので、それなりに練習しやすい場所を見つける必要があります。
初心者は、ハンドルは両手で持つと刷り込まれているので、セカンドになるまではシフトレバーから手を離さなことにもなれないといけません。
また、ローでの加速が十分でないときにセカンドにシフトアップすると、そのときにアクセルを戻してクラッチを切っている時間が長いと、速度が落ちすぎてエンストします。そのためにも、加速を怖がらないようにあらかじめなっておかいといけません。
こうやって、MTの加速感覚、つまり立ち上がりが遅くて後で盛り上がる感じを身につけることで、ローでアクセルを踏みすぎることなく、普通に加速する運転ができるようになりました。
しかし、これではまだ普通に運転することはできません。
シフトダウンを身につける必要があります。
追記です。アイドリングでの発進は、クラッチミートの感覚を養うためです。3000回転でクラッチを繋いでいると、ラフなクラッチ操作でも車は動いてしまいますから練習になりません。実用的には、回転数上げすぎの発進は楽なのですがうるさいしクラッチは減るしガソリンも無駄なので、運転する人の能力に応じて若干エンジンを回し気味にして、運転手は楽をしてよいと思います。慣れると、クラッチを繋ぐ前の空ぶかし時間が減って、繋ぐ一瞬前だけちょっとだけ回転を上げてクラッチも楽という運転ができるようになると思います。
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初心者にMTの運転を教える | 日記
Posted at
2008/03/25 22:58:54
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