自動運転にハイブリッド、オーディオだ、LEDだ、インチアップだという
昨今の所謂車好きの皆さんの関心事からかけ離れており、
誰も読んでいないかもしれないが、
タイミングベルトの調整について考察を続ける。
2年前、走行5万キロ時に中古車屋でベルト交換された状態で
先月納車された我が家の206SW。納車時の走行距離は7万km。
納車時のタイミングベルトのテンションが強すぎて、
それによりアイドラプーリのベアリングが潰れてしまったのではないか
ということを述べた。
「では、整備解説書通りの張力にしてみたら如何だろうか?」と考え、
今朝調整してみた。
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プジョー謹製の整備解説書では、「エンジンが冷えているときに」
テンショナの指示針が、切り欠きのところに来るべし!と、明記されている。
実際そのとおりにしてみた。
また、エンジンが暖まると、ブロックやヘッドが熱膨張するので、
自ずとベルト張力も高まり、調整前の冷間時のときのような
ベルトテンションとなることがわかった。
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ちなみに、フィアットやアルファだと、ベルト張力に関して
具体的な指示は何もなく、常識的にと考えて、
冷間時に針が真ん中あたりを指すように
セッティングすると、エンジン始動直後から
ベアリングの異音が発生。
実際には、かなり緩めにセッティングして、
エンジンが完全に温まっても、指示針が中央を超えない
(出来れば下から1/3くらいに留める)程度に調整
しなければならず、熟練を要する。
これと比較すると、プジョーのほうが誰にでもわかりやすい
具体的な指示があり、親切であるように感じる。
さて、整備解説書通りにセッティングし直したタイミングベルトで
エンジンを始動してみよう。
整備解説書通りの調整すると、
冷間時の異音は解消。
しかし、暖機運転後はベルトのテンションが
納車時の状態に近くなり、
異音が発生する。
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元の状態だと、エンジンが暖まったときは、
オレンジのあたりを指していたのではないか?
テンショナ台座の長四角の穴は張力調整代の最大値で
其処にほど近い!!!
ベルトの取り回しを鑑みると、時計回りのクランクシャフトプーリ
の一つ手前が、アイドラプーリである。
また、バルブスプリングを押し下げる力によりカムシャフトプーリには
ベルトの進行方向と逆方向の力が断続的に発生し、これによる影響を
最も受けるのも、同プーリである。
ちなみに、プジョーRFNエンジンでは、
給排気カムスプロケットとクランクプーリの3箇所に位置決めの穴があり、
そこに棒を差し込むことで、簡単にベルト交換ができるようになっている。
この方式では、ベルトテンショナの張り/緩め具合によって、若干の
バルブタイミングの狂いが生じる。(実用上問題ない)
プジョーは歴史的に旧植民地の発展途上国等に多数デリバリー
されており、容易に整備できるよう考えられているのかもしれない。
(国産車によくある「合いマーク」によるバルタイ調整と同様)
こんな感じで、屋外で気楽にタイベル交換。
整備環境がよくないところでも、らくらく整備!
タフなクルマである。
いっぽう、フィアット・アルファ系では、
レージングエンジン並にバルブタイミングが狂わないことに拘っており、
タペットカバーを開いたうえで、カムシャフト本体を精密な
治具で固定し、カムシャフトとカムスプロケットを固定しているボルトを
少し緩めた状態でテンションを調整することで、テンションの掛け具合による
テンショナプーリの位置の違いやベルトの伸び等の影響を皆無にするように工夫されている。(*)
イタリア車の超絶気持ちいい、繊細でダイナミックなエンジンの吹け上がりは、
この辺が影響しているのだろう。しかもきちんと運転すれば、非常に低燃費。
(*)カムシャフトとカムスプロケットを固定しているボルトを緩めると、スプロケットが前後5°くらい回転できる「遊び」が設けられている。テンショナを調整すると、スプロケットが僅かに回転するが、カムシャフトは一切動かない。そこまでこだわるのがイタリア車。
(追記1) 2020年10月10日 プジョーの整備解説書Haynesを読み込んでいたら、上記固定方法だと、バルブタイミングの狂いが生じる場合も承知しており、その場合は、吸気カムのスプロケットを治具で固定した状態で、クランクシャフトスプロケット固定ネジを緩めて、スプロケットのみをずらして調整するようになっている。調整箇所が1箇所で済むのは合理的だ。もっとも、プジョーの場合、3箇所の固定用治具の精度がテキトーで結構グラグラ。そもそもアバウトな作りなので、神経質になったところで仕方ないというのが実情だ。走った感じだと、プジョーのエンジンもなかなか味わいのある回り方をするし、運転していて楽しいエンジンだ。
(追記2) プジョーのRFNエンジンのタイベル交換では、フィアット・アルファ系と比較して・・・
1,ダイレクトイグニッションコイルの取り外しが必要ない
2,TDCを求める必要がない (スパークプラグすら外さなくてよい)
3,タペットカバーを開けなくて良い
4,スプロケットの調整箇所は1箇所(上手く行けば、やらなくても良い)
単にベルトを掛けかえるだけ?
非常にシンプルに感じる。
(追記3)プジョーのRFNエンジンは、中低速トルク重視のなんの変哲もない2litre
DOHC16Vエンジンだ。可変吸気管や可変バルブタイミング機構もなく、シンプルそのもの。ハイオクガソリンでレッドゾーン6500rpm、最高出力138psという、カタログスペックオタクなら小馬鹿にするような低出力エンジンだ。
「可変なんちゃら」といった余計なギミックが付いていないので、過渡領域での吹け上がりが実に自然で扱いやすく、気持ち良いエンジンだ。しかもトルクは20kg-m近く出ており、日常生活の中で、「高回転・高出力の同一排気量」のクルマよりずっと速く走れる。これは、車体が小さくて軽いことに依るところもあるが、クルマはトルクで走るということがよく分かる。
*リンク先は「からけん」さんの記事です。
ということで、純正値でテンションかけても、暖まったら異音が発生。
アイドラプーリのベアリングが壊滅的状態であることが分かった。
タイミングベルト一式は全交換はすでに決定しているのだが、
自らが納得したうえで次へ進めたいものだ。
その後は、フロントサスのサビのひどい部分を塗装。
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ある程度錆落とししたら、おなじみのサビキラー。
ファクトリーお猿の車両は、サスペンションのボルトナットは
カバー付きが標準。
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これで、雪国を走り回る車両でも、固着を免れられる。
次ココを弄るのは必ず自分。
少しずつ自分仕様に♪
あわせてムルティプラの冬タイヤ交換。
ガレージにプジョーが入庫しているので、
屋外作業だ。
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(C)factoryosaru
札幌の原風景。
いたって普通、よくある景色。
タイヤ交換、早すぎないか?
実は、ムルティプラのリアサスが大変なことに・・・
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(C)factoryosaru
サブフレーム(メンバー)が腐って、
バンプラバーが落っこちている。
現在まだ大丈夫そうだが、コイルスプリングや、
ショックアブソーバの受け部分が腐食すると非常に
危険なので、メンバーごと交換をすることに。
ただ、目下タイベル関連の部品入庫待ちで
もう少し時間が掛かりそうなプジョーがリフトアップ中であること、
また、ベルトを外した状態により、更に作業時間を要することになる可能性も鑑みると、
ムルティプラは秘密基地に預けてプロに作業してもらうことにした。
サブフレームを外した状態で下回りのペイントも依頼できるし・・・
リアサスのサブフレームに取り付けていた亜鉛プレートの撤去
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(C)factoryosaru
後塗りのアンダーコートは、容易に剥がれる。
メーカー製の塗装の下にサビが広がる。
酷い、酷すぎる・・・
ホイールハウス内のボディパネル断端の
塗装が浮き、サビが発生している。
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(C)factoryosaru
このような場所は、サビキラー+塗装を
行っても、塗料の乗りがわるくすぐサビが再発する。
最近はNoxudolのあわせ技を採用。
剥がれかけた塗装とサビたパネルの間に750を含浸させ水分を置換する。
その上から永遠に固まらず、柔らかい状態が持続するワックス系の防錆塗装剤300の塗膜を
乗せる。
300は塗装のチッピングが無いのが特徴で、多少塗膜に傷が付いても、周囲から塗膜が伸びて
治癒するらしい。従来型の厚塗りアンダコートでは、早晩割れ目が
発生し、そこからミルフィーユ状のサビが塗膜の下で広がるのを
しばしば目にしている。その可能性が低くなるようだ。
同社の推奨する中古車のサビ進行抑制プロトコルで、
サビを落としきれない構造物、パネルの合わせ目等に
有効とされているが、効果はいかに・・・