私は30歳頃から出張が非常に多くなった。というよりも基本的に出張先が仕事場になった。
いろいろな土地を訪れるたびに、その街の雰囲気を楽しむために無駄に歩き回ったりしたものだ。たいてい宿泊地への到着が夜遅いこともあり、それは早朝が多かった。
そんな出張中心の生活が20年近く続いて新鮮な気持ちが失われたのか、いつの間にか朝もギリギリまで寝ているようになっている。
珍しく明るくなる前に自然と目が覚めたので早朝散歩に出かけた。久しぶりだからか、早朝だからか、ちょっと奇妙な体験をした。そんなひと月近く前のことを思い出してみよう。
この日は東京に出張、しかも銀座で仕事。
東京を特別に思ったり、わざわざ「銀座」だと強調するあたりに私の田舎者っぽさが表れているなぁ。そんな自分が恥ずかしい反面、可愛いと思ったりする。
地方在住者にとって「東京」といえば「東京タワー」
今考えると、先端が見えないのは単に霧が濃いのではなく、何か特別な世界の空気が漂っていたからなのかも・・・。
なにやら気持ち良さそうな乗り物に乗った集団に遭遇しました。
普段はそんなことはしないのだが、私は吸い寄せられるように近づいていた。
乗り物が気持ち良さそうだったからか?
それとも、この人達があまりに楽しそうにしていたからか?
その気持ち良さそうな乗り物に乗せてもらえることに。
その「気持ち良さそうな乗り物」は、実際にとても「気持ちよい乗り物」でした。
運転している人の表情も幸せそう。
どれも同じで色違いだと思っていたら、いくつかの異なる形をしているらしい。私にはタイヤが二つでヘルメットを被っているのは形が違うと分かるけれど・・・。
列になって進むのも、ビルや並木の枝葉が左右と頭上を流れていくのも気持ち良い。さらに角をすぅっと曲がるときには言葉に表せない恍惚とした気持ちになる。
おしゃれな都会の街によく似合う。と言うよりも、街をより素敵な空間にしている気がする。
乗り物が素敵だからか?
乗っている人達が素敵だからか?
私の記憶がおぼろげなのは、ひと月近く過ぎたから?
それとも霧に誘われた不思議な別世界の体験だから?
どうやってこの素敵な場所から立ち去ったのか覚えていない。
「場所から立ち去った」のではなく「現実世界に戻ってきたのか?」
覚えているのは、見上げると「霧が晴れていた」ということだけ。
いまでも時々「またあっちの世界に行きたい」と考える。
次に行ったら、もう帰って来れないのかも。
この日の仕事はいつもよりも気持ち良く、はかどった気がする。
あぁ、「銀座で仕事」だなんて見栄を張りましたが、
実際は戸越銀座でした。
このお話は、お遊び50% 妄想30% 事実10%です。
あれ? 計算合わない!
Posted at 2016/10/21 21:39:25 | |
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