jin@hkdさん に情報をいただいた、トヨタディーラーの合同イベントに出掛けてみました。
先にお断りしておきますが、私はアンチトヨタな感じです。
トヨタ車に乗っておられる「人」に対してどうのこうのは無いのですが、「トヨタ車」に対する私見の中で、トヨタ党の方がご気分を害される表現がありましたら申し訳ありません。
「人」に対する誹謗中傷にならないよう気をつけますが、クルマ好き嫌いの話題はある程度正直に想いを書いたほうが面白いですよね。
そのことを先に書いておきます。ご容赦を。
トヨタ車、決して食わず嫌いではなく、ビッツ/ヤリスから、代々のカローラ、現行プリウス、コロナ、直6時代のマークⅡやクラウンなど、いろんなトヨタの乗用車に乗ってきました。
職場の車だったり借り物だったりで、ほぼ自分専用10万キロぐらい乗ったものもあります。
実際に何台ものトヨタ車に乗ったなかで、クラスに関係なく共通する(自分基準での)難点が2~3あって、これまで自分の財布でトヨタ車を購入しようと思ったことがありません。
TNGAの最新プリウスやカローラは、ボディや脚が劇的に良くなり本気度が感じられて魅力的になりましたが、リズム感やメリハリが無いパワートレーン(THSⅡ)ではエンジンの音はただの雑音となり、退屈さ味気なさ眠たさは相変わらずな印象。私としては乗っていて面白さが感じられないのです(「FUN TO DRIVE」をスローガンとしていた昭和60年ぐらいまでのトヨタ車は、確かにFUN TO DRIVEなイメージあったのですけどね。AE86とかセリカXXとか、初代MR2とか)。
風に弱い(ふらつき、ワイパーが浮く)とか、シートが合わない(柔すぎてケツが痛くなる)のもこれまで乗ったトヨタ車全般あるあるで、敬遠している理由。
プロダクトに気に入らないところがあるだけで、トヨタ自体が嫌いなわけではないので、その辺が改善されれば候補になり得ますが、今のところは純トヨタ車で欲しいと思っているクルマはありません。
OEMでは86やSUPRAがちょっと興味ありますが、トヨタ車じゃないですよね、これらは。
ちなみに採算性の話は別にしても、こうしたスポーツカーは、内規(工員の体への負担軽減など)が障害になってトヨタの工場では組み立てできなかったりする(シートが設置できない)らしいです。自社社員にやらせられないことを他社に任せ、そのクルマを自社で売るのか・・・(あるカーメーカーで働いていた人の動画で聞きかじった話で、真偽の程はわかりませんが)。
※すみません、本当に個人的な好き嫌いの話でした。
と、ここまでさんざんトヨタ車が嫌いだと言っておきながら、なぜ「トヨタクルマルシェ2022」に足を運んだのか。
それは、クラウンクロスオーバーがとっても気になるからです。
成功者になれたとしても、自分がクラウンに乗ることはまずないだろう、と思っています。でも気になる存在。
それは、びっくりするぐらいの変わりようだからで、好奇心というか怖いもん見たさ、なんだと思います。
そのうち、冷やかしでディーラーに実車を見に行こうと思っていましたが、気兼ねなく試乗ができるイベントはありがたい。
試乗まで30分ぐらい待ちのようなので、まず申し込んでから展示車を眺めます。
さっそく、気になっていたクラウンクロスオーバー
見慣れない存在感、堂々とした感じは伝わってきます。
ホイールは21インチ。タイヤ代が高そう。
このネジアタマの感じ、レクサス同様に、もしかしてホイールはボルト留めになったのでしょうかね?
エンジン横置き化の恩恵なのか、後席足元は充分な広さがありますね。
内外装ともオレンジと濃色のツートン、従来のクラウンの色使いじゃないですね。
大柄なシートはさすが高級車。
インストゥルメントパネルはシンプルな印象。
黒ケツ自体とその縁取りの形状が気持ち悪いなぁ・・・
似た系統の色ですが、ちょっとアイアンっぽいカラーもあるんですね。
嫁ハンは写真を見て「アイアンマン」と言っていました。
白モノトーンだとキワモノ感はだいぶん薄まる印象。
リヤも黒じゃないんですね。ずいぶんとコンサバに見えてきます。
王冠マークのデザインは、伝統よりも革新のイメージ。
それにしてもトヨタ/LEXUSのパールホワイト、きれいな色ですよね。
パールホワイトのカムリやNX、RXを見かけると、輝き方が美しくて目で追ってしまいます。クルマ自体には興味ゼロですが・・・
クラウン以外も少し見てみます。
コンセプトカーでも持ってきて飾ってるのかと思ったら、すでに販売されているBEVとのこと。知りませんでした。
ノア
指を口に入れて横に引っ張ってる歯を剥き出しにしているイメージ。
クルマを顔では選ばない私ですが、これは購入を諦める顔面です(気に入って乗ってる方、ごめんなさい)。
中身はかなり良いクルマらしいですが。
ヴォクシー
こっちは更にナシです(気に入って乗ってる方、ごめんなさい)。
我が家のデリカとも何となく共通性のある面構えではありますが。
アルファードのサイズならまだしも、ノアヴォクのサイズにこのようなワイドグリルでは側面との繋がりにムリがありますね。顔だけデカくてバランス悪く感じます。
威圧的で品のない「どうだ!」的なギラ顔も今や軽自動車にまで浸透。
もはや世の中でカッコよく見られていないんじゃないかと。ブームもそろそろ末期なんじゃないでしょうかね。好きずきですけど。
顔といえば
クラウンクロスオーバーのヘッドライトは三菱ギャランを思い出します。
大きなロアグリルに見える黒い部分、大面積が穴あいてないダミー
こういう機能が伴わないデコレーションも苦手ですね~。
こっちは
さらに苦手です(気に入って乗ってる方、ごめんなさい)。
どっちもメッキじゃなくてまだ黒だからいいけど。
ミドルサイズのミニバンのデザインに関して。
現行車の中では私の場合はステップワゴンのフォルムが秀逸だと思います(あくまで見た目の話)。
(自分のデリカも含めて)ミニバンのギラ顔がちょっと恥ずかしくなってきたこの頃、ステップワゴンの顔はスマートで、全体のフォルム、箱の精悍さも◎。きっと「そろそろギラ顔卒業しませんか?」というホンダの提案だと思います。
輸入車まで視野を広げれば
フォルクスワーゲンID.BUZZ がいちばん好みのフォルム。
7人乗りロングの日本導入が決まったという
シトロエン ベルランゴ も魅力的です。
ノアヴォクよりひと回り小さいコンパクトミニバンのシエンタ
MAX4名乗車までなら、このサイズでもよいのかなぁ。
こちらのフロントマスクは子犬をモチーフとした愛らしさ。
でも、シトロエン、カングー、パンダを足して3で割ったような印象がつきまとい、オリジナリティがあるようには感じられません。
ノアヴォクで目いっぱい威圧感を表現したかと思えば、ひとつ下のシエンタでは一転して可愛らしく・・・
ブランドとしての一貫性、ポリシーは無いのか?
マツダは、自身が作りたいデザインテーマをひとつ定めてそれを世に問うているように見えますが、トヨタはマーケティングで顧客が欲しがるもの、売れるものをリサーチし、車種ごとにそれに合わせたデザインしているように見えます。
良くいえば押し付けがましくない、悪くいえばポリシーがない(のがポリシー)、それがトヨタなんでしょうね。
20年ほど前、ホンダが初代ストリームで開拓した全長4.5m、全幅1.695m、高さ1.55m(だったかな?)の5ナンバー低全高ミニバン。
オデッセイVSイプサム&ガイアで負け続けていたホンダに対して危機感を抱いていたトヨタは、ストリームと3サイズが全く同寸法、フォルムや縦型ヘッドランプまで似せたウイッシュを後出しして、宇多田ヒカルのCollorsをBGMに流れ星が横切るCMを打ってファミリーの心を掴み、強力な販売力でストリームを駆逐してしまいました。
VIDEO
販売台数が激減したマイナーチェンジ後のストリームのCM、まさに「ポリシーはあるか?」と、ホンダはあからさまにトヨタに毒づきます。
VIDEO
その後も、HV車の低価格化を切り開いたインサイトに対抗してプリウスをバーゲン価格にして市場から追い出すなど、ホンダに対するトヨタの対抗策は徹底していて、大人が本気になって子供をいじめているように映り、えげつない。
私はホンダを応援したい気持ちです。
さて、クラウンクロスオーバーの試乗の時間になりました。
レザーシートの仕様。
これまで自分のクラウン経験は、初めて3ナンバー規格を前提に開発された、丸みを帯びて失敗作といわれるバブル期に登場したクラウンロイヤルサルーン。
就職したての職場で上層部が乗るために導入されていたクルマですが、たまに運転する機会がありました。
試乗車の運転席に座ると、クロスオーバーらしく、アイポイントは高め。
とはいえ、それは昔に乗ったクラウンとも同じ印象。
Dレンジに入れて走り出します。
歩道の縁石を超えて公道に出るまでの10mの第一印象は、ふわんふわん・ぶるぶる。
走り出しても昔のクラウンを思い出す乗り味であり、自分がクラウンに抱いているイメージの範囲内です。
"ぶるぶる"はかなり特徴的というか、クラウン以外ではなかなか感じることのない揺れです。
まさか、はるか昔のフレーム構造時代のクラウンの乗り味を敢えて演出してるんでしょうかね?
もし敢えての"ぶるぶる"だとすれば、乗り心地は演出してでも伝統を受け継ごうとしているのでしょうか?
見た目やメカニズムに関しては潔く伝統を捨て去ったにもかかわらず。
動力性能に関して、出足は予想以上に力強く、モーターで走っているうちは6気筒時代のような滑らかさを感じます。
アクセルを深めに踏み込むとエンジンがかかりタービンの過給音も聞こえますが、音量はごく小さめに抑えられており、そこもさすがクラウン。
ただその音色は4気筒であることを隠せません。
短い街区1周コース、交差点を4回左折しただけなので、ハンドリングはぜんぜんわかりませんでした。
静かで乗り心地が良いので、わかりやすい高級車感はあります。
4気筒でも構わない、音色や滑らかさの僅かな違いは気にしない、乗り心地柔らかで静かなら善し、といった価値観でクルマを選ばれる方には満足できる仕上がりと思います。
私には全く刺さらないですが。
ちなみに、まったくクルマに興味が無い中3の息子が試乗時に後席に乗りました。
社長気分を味わってしまった息子は、高級車然とした静かで優しい乗り心地がたいそう気に入ったようです。
人生後半に自分が成功したと思えたら自分のカネで買え!と突き放しておきました。
6気筒縦置きFRの伝統を頑なに守り、超保守的なイメージこそが個性であった(と自分が思っている)クラウン。
昭和の時代に「いつかはクラウン」というキャッチコピーを刷り込まれながら代々のクラウンを見てきた世代には、「これが新しいクラウンです」と言われても理解不能です。
いまは令和。価値観の変化についていけていないということなんでしょうね。
でも、でもですね、4気筒と6気筒、滑らかさや音色を比べれば、誰だって6のほうが高級感を感じるはず。そういう良し悪しはもはやクルマの価値に関係ないんでしょうか。
このクルマがクラウンじゃなくて、まったく新しい車種ならすんなり理解できるのですが。
もともとはトヨタ・日産の高級車の伝統となっていた直列6気筒縦置きFRのレイアウト。
衝突安全性能を理由とするメルセデスのV6化に追従して、両社とも直6をあっさり捨て去ってから約20年。
そんな伝統のレイアウトを久々に復活させたのは、トヨタでも日産でもなく、もともとそれを持っていなかったマツダ。
世界的にダウンサイジングだ!、EVだ!、と叫ばれるこのご時世に、多気筒大排気量化という逆張りはすごい。
現代に求められる環境性能や安全性を身に付けながら、見事に伝統の高級車レイアウトを再現してみせた心意気は素晴らしい。
では、6気筒縦置きFRの伝統を守ってきた代表車種ともいえるクラウンはどうなんだ?
マツダとは対照的に伝統をスッパリ捨て去って横置きFFベースへ移行。しかもSUVテイストを纏ってガラッと宗旨替え。
「時代に合わせて(流されて?)変身しました」と言わんばかり。やっぱりポリシーが・・・
昭和価値観の私は、直列6気筒縦置きFRのレイアウトの復活、本当はトヨタがクラウンでやるべきだったのでは? と思ってしまいます。
看板車種であり伝統を守る超保守的なのがクラウン。せめてクラウンぐらいはポリシーを貫けばいいのに。
でも、ニーズに合わせて、時代に合わせて・・・というのが(カーメーカーというより)企業として生き抜いていくためのトヨタのポリシーなんでしょうね。
今回の試乗で後席に座り「乗り心地が気に入った」と宣う、令和を生きていく息子は「いつかはクラウン(クロスオーバー)」を胸に秘めて頑張って働いていくのでしょうか。
それにしても、まったく買う気も想い入れも無いクルマに、なんでこんなに長文ブログ書けるんでしょうね・・・
昔のことも回想しながら、何日もかけて長々と書いてるうちに、トヨタ車じゃなくてトヨタが嫌いになってきてしまいました。トヨタクルマルシェに行ったのに
完全に個人的な好き嫌いの話でした。
どうせ買
わ えないのにあれこれ・・・
ご勘弁を。