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2010年04月29日

産湯の記憶

産湯の記憶
「このお湯は熱いのでやめてくれたまえ」

生後まもなくの私は、両親や祖父母に対して、そのように訴えた。
しかし、彼らは、私が泣きじゃくって、この子はお湯が熱いんだなと、非常に優しい愛らしいまなざしでもって、私を見つめるだけで、私の言葉はついぞ届かなかった。私自身、言葉を発しても、泣き声という形でしか彼らに伝わらないということを了解した。

産湯での経験で、私は今でも非常によく覚えている。
私はその時に、別の世界に来たんだなあと思ったことを今でもかなり明瞭に思い起こすことができる。
三島由紀夫みたいなエピソードだが、私には産後の産湯の記憶が非常に明瞭に残っていて、今に至るまでその記憶は非常にしっかりしている。
私が発した言葉が伝わらなかった瞬間に、私はそういうものなのだなという感想を得たことをよく覚えている。

これが真実であろうと幻想であろうとどっちでも良いのだが、私は以後、ごくごく普通に幼年時代を過ごし、思春期を過ごし、今に至っている。
ただ、産湯の記憶だけが濃厚に残っているだけに過ぎない。その他、幼少期の記憶のいくつかは明瞭に覚えているのだが、ここでは紙幅の都合もあり記さない。

私は別に三島のような神童だったわけでもなく、ごくごく平凡に両親に愛されて成長してきたと思う。学業は優秀なほうで、運動も得意だったが、それは神童という領域といえるほどではないように思える。
こうした記憶を秘めながらも、私はどんどん成長していった。

高校時代から徐々に異性にもてはじめ、私の青春時代は順風であった。
私は特段にこの世界の根源だとか小難しいことは普段は考えずに、悠々自適の青春を過ごしていた。ただ、産湯の記憶の件を含め、ごくごく小さな頃の記憶が私に濃厚に残されているため、この世の中の仕組みというか、自分という存在はなんだろうという悩みにも同時に忙殺されていたことは事実である。
ただ、それらの悩みは学校生活での日常に差し障りがあるわけでもなく、私は一方で青春時代特有の異性への深い関心を有しつつ、時折、自分自身の存在について思いはせることが大だった。だから、私にはかなり明瞭な二面性があったと思う。

私は大卒だが、もともと大学空間に行く気などなかった。ただ、働いているうちに、大学という空間で様々な人々と出会い、自分なりに成長できるのではないかという予感があったため、大学受験をすることに決めた。その中には、大学に行けば、異性との出会いがもっと増えるんじゃないかなという下世話な期待もあった。
結局、私は受験する大学を絞って(受験料が高かったから)、幸いにも合格した。
そこで、勉学の面でも人間関係の面でも異性との付き合いの面においても、実に素晴らしい経験をすることができた。その頃は産湯の記憶について改めて思い馳せるということは少なくなっていた。「今が楽しければいいじゃない」と私は割り切っていたのだ。
私は学業の成績も幸いなことによく、大学院もパスできたが、結局のところ働くことにした。何がやりたいというわけでもなく、大学を卒業してから、することはとりあえず就職かなという意識だけで、私は社会人となった。
初めて入社した会社では海外研修があり、私はそこで大いに自分を評価していただいた。それはすごくありがたかったのだけれど、私には何か欠けているという意識がぬぐえなかった。
以後、いろいろな職種を転々とするようになったのだが、このように転々とする自分は何なんだろうと思い始めたときに、産湯のときの記憶が蘇ってきた。

私は生まれる前から何らかの意図を持って、この物質世界でワルめーらという人間として生まれたのだろうと推測した。そして、この物質世界で生きる意味はなんだかわからないけれども、ひとまず自分自身ができることを精一杯やるのが一番ではないかなと思うようになった。根拠はないのだけれど、私はそうすることがもっとも自分にとって良いだろうと推測するようになったわけだ。
ただ、時にはこの生存の意味がわからず、私は死という場面を強く意識するようになったこともある。しかし、結局のところ肉体的な滅亡が永遠の存在の抹消にはならないと確信していたから、私は意味づけはともかく、とりあえず生きようと考えた。

近頃になって、私は素直に、生きることは素晴らしいことであって、死というものは原理的に存在しないという確信を抱くようになった。つまり、肉体としての終焉があったとしても、存在としてのワルめーらは永遠に生きつづけるのだろうという確信が強まったのだ。そして、その確信を深めたのは、生後まもなくの産湯のときの記憶ではないだろうかと思う。あの時、私は確かに自分自身で明瞭な思想を持っていたし、それを言語化することもできた。

てなことを書いてみたけれど、実際はどうであれ、私は今現在を楽しく生きようと思っている。焼酎もボトルを開けるほど飲んだけれども(三日に一度くらいはそうしているのだ)、私の信頼する知人の見解によれば、私は酔うと客観的に自分の立場を持っていく素質を持っているらしいから、だったら、飲んだ時に思ったことを書き連ねるのも一興かなと考えた次第。
というか自分はつくづく酒が強いんだなと改めて感じている今日この頃。
遺伝ではないと思うんだよな。祖父母はほとんど飲めないし。









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Posted at 2010/04/29 00:09:31

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