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2010年05月07日

浅間山鬼押出しの逞しさ

浅間山鬼押出しの逞しさ
浅間山は2568メートルの峰を抱く高峰で、さすがに山容の多くの部分を白いものが覆っている。
もっとも浅間山は今に至るまで活発な火山活動を繰り広げているため、この雪が被せられたなだらかで穏やかな稜線を描く浅間山はとたんに煙に覆われ、その様相を一変させる。
三年くらいまえのことだっただろうか。妻の実家から浅間山の頂辺りに妙な雲があって(ところが妙なことに、その妙な雲の形を覚えていない)、おかしいなと思っていたら、その後、頂きから噴煙が現れ、火山活動が活発化されたということがあった。

ここでしばし歴史の話題にもっていこうと思う。
江戸時代に天明という元号が用いられた時代があった。
天明という言葉の響きにはどこかしら人間が何かを渇望しているような、そんなイメージがする。衆生の力ではなく、天を頼ってただひたすらに光明を求めようではないかという願望が秘められている気もする。
その天明の時代を西暦に換算すると1781年から1788年に該当する。
ところで、天明の時代が終わる翌89年は世界史的に非常に重要な年である。
フランスの庶民がパリのバスチーユ監獄を襲う事件が起きた。いわゆるフランス革命が勃発した年なのである。
ということは天明年間のフランスでは、フランス僧侶(第一身分)・貴族層(第二身分)と第三身分(市民層)との対立が活発化した時代であり、それは火山のように徐々に革命へのエネルギーを鬱積させていた時代ともいえるだろう。
ベルサイユの宮殿では美しいマリー=アントワネット王妃が華やかな衣装に身を包んで舞踊に興じていたことだろう。
煌びやかなベルサイユの賑わいは、やがて革命の血に置き換えられることになる。
一方、天明8年までわが国では老中田沼意次が江戸幕府の実権を握った時代に該当する。賄賂政治で有名で評判は芳しくないが、これはどうであろう。
田沼は、蝦夷地(北海道)開発や、印旛沼・手賀沼の開拓事業を行うなど、鎖国下にあって非常に活発な動きが展開した。
また、田沼は商業の重要性をよく理解し、米経済から商業資本主義経済への移行を果たそうと試みたとされている。貨幣というものの価値重要性や普遍性をよく知っていたのだ。
評価のわかれる人物であるけれども、経済感覚が非常に鋭かったことはたしかではないかと思われる。

さて、大衆の願望がこもったような天明の時代には、未曾有の大飢饉が東北地方を中心に勃発した。これを天明の大飢饉という。そして、そのさなかに浅間の山はとてつもない大噴火を起こした。
大きな火山エネルギーは一気に噴火という形で発散し、火山灰は上空を追い、日照はいよいよさえぎられた。
ここで、ウィキペデァの天明の大飢饉の項目から面白い一文を抜粋しよう。うまい具合にいい一文を発見した。

1783年、浅間山に先立ちアイスランドのラキ火山(Lakagígar)が噴火(ラカギガル割れ目噴火)、同じくアイスランドのグリームスヴォトン(Grímsvötn)火山もまた1783年から1785年にかけて噴火した。これらの噴火は1回の噴出量が桁違いに大きく、おびただしい量の有毒な火山ガスが放出された。成層圏まで上昇した塵は地球の北半分を覆い、地上に達する日射量を減少させ、北半球に低温化・冷害を生起しフランス革命の遠因となったといわれている。影響は日本にも及び、浅間山の噴火とともに東北地方で天明の大飢饉の原因となった可能性がある。

天明の初期の時代は世界的に火山活動が活発な時代だったことがわかる。あらゆる現象が繋がっていることを改めて実感させてくれる事柄である。風が吹けば桶屋が儲かるというのも決して的外れとはいえまい。

今現在の浅間山付近の話に移ろう。
浅間山の嬬恋村方面の裾野に鬼押出しと呼ばれる地帯がある。
裾野一体は大小さまざまな黒灰色の岩が積み重なったり、地面に転がったりしている。天明の浅間山の大噴火の際に飛び出た溶岩で、平成22年の現在に至るまで、しっかりと残されている。
私個人としては火山活動そのものにはあまり興味がないのだが、この岩石が連ねる様はやはり異様であり、これら岩石群を作り上げた噴火活動というもののエネルギーの強烈さを思わずにはいられない。
岩石群からはところどころ松の木が生えている。松というのは海岸沿いの防風林になるくらいで、非常に逞しく力強い木だといわれているが、岩を突き破りながらでも生き抜いてみせようという強烈な志のようなものから松の樹林から感じることができた。本当に逞しく力強い木であることに私はいたく感心した。
たしかに、天明の浅間山大噴火により、造形は溶岩で覆われた不毛の地となった。しかし、二百年以上の歳月を経たいま、岩石群の一部には高山植物が咲き乱れ、ヒカリゴケが棲息し、松の木が盛んに偉容を誇っている。自然とはかくもたくましい。

話ついでにもう一つ。
遥かローマ帝国の時代に大噴火(西暦79年)により、街そのものが消え去ったという例がある。イタリア半島ナポリ近くにあったというポンペイという街がそれで、発掘作業により、現在では当時の街並みの様子がある程度復元されているようだ。
灰燼にまみれた街は一挙に廃墟と化すほかとなかったが、それにしても発掘により、往時の様子が今に至るまである程度は残されているのだから、人間というものは松以上に力強い存在なのではないかなと思う。紀元後すぐの都市の跡が灰燼を振り払えば、再び姿を現すのだ。すごいことではないか。

私は人間存在の無限の可能性を強く信じているので、その傍証としてポンペイの例を挙げた。浅間山の天明大噴火でも多数の犠牲者が出たという。けれども、それでも人間はいまなお浅間山近くに住んでいるし、観光にも行く。まことに逞しいとしか言いようがあるまい。

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Posted at 2010/05/07 14:36:34

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