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2010年09月06日 イイね!

翼を生やした存在  ~寺院にて~

翼を生やした存在  ~寺院にて~
今日は私が特に気に入っている道路を走ることができた。
どの辺りを走ったかというのは諸賢のご想像にお任せしよう。気分の問題として、ご紹介さしあげるというよりも、ここの道路は私自身の記憶の中に秘めておきたいという気持ちがある。
なお、既に箱根の山は降りきっている(前日に箱根を満喫してきた。前のブログ参照)。

低い山間の快走路をぐんぐんと走っていく。適度にワインディングが続く道路で風が心地よい。
時折、遥か眼下に街が眺望でき、いつのまにか随分と高いところまで上ってきたんだなということに気付く。
行政的なくくりでいえば、農道扱いの道路であるが、田畑があちらこちらにあるという感じでもなく、どちらかといえば、林道のような佇まいを見せている。
舗装状態は極めてよい。
クルマは一旦、集落に入り、そして再び登坂する。
空を鬱蒼とさせるくらいに多量で巨大な杉並木のなかを縫う。
やがて、道路は行き止まりになり、駐車場だけが用意されている。
つまり、ここから先は徒歩となる。

蝉の音と清流の音が山間にこだまする気分の良い寺の門構えが複数の建物に分かれて、いわば山寺を形成している。
宿坊もあるので、宿泊をすることも可能だ。
黒い作務衣を来た僧侶が往来する。

いくつかの堂の中に入ってみた。畳敷きで伽藍は荘厳そのもの。
やおら僧侶が私の眼前に腰を下ろし、太鼓をリズミカルに叩きながら「○○ソワカ。○○ソワカ」と涼やかな声を出す。やがて一気に座は静まる。
そしてまたしばらくすると僧侶は太鼓を叩き、涼やかな声を出す(お経ではないと思う)。蝋燭がともされた空間は伽藍部分のさらに奥にあり、なにやら鏡のようなものが見えるが、空間はいよいよ暗くなり、五感はもっぱら聴覚が研ぎ澄まされ、僧侶の営為により、いよいよ荘厳な感情が湧出してくる。

堂を出ても、太鼓を打ち鳴らす僧侶が専用の堂に立てこもり、やや遠くの清流沿いで別の僧侶が法螺貝のような音を醸し出す。それが杉を中心とした木々に覆われた山々に深く響き渡る。水の音はいよいよ心地よい旋律を奏で、桃色の花を咲かせたさるたった一本のさるすべりの木が寺院の景観を静かに彩る。

数百段もの急な石段を登ると奥の院がある。流れ落ちる汗の量が半端ではない。
ここに至るまでに天狗などの二対の石像が院を守護する。二箇所ある。
非常に不思議なのは、これらの石像に羽が生えていることである。
一点だけ、撮影した画像を掲載しよう。

『儒教・道教・仏教』(講談社メチエ)という非常に読みやすく面白い本があって、そのなかに「翼をなくした天女たち」という章立てがある。
タイトルの意味をごくごく概略的に述べる。
中央アジアやその後ギリシャ世界・キリスト教世界でも神々や天使は羽を持っている。これは人間の力を超越したものを備えているという証であるともいう。ところが、
東アジアの中国に行くと、天にましますような存在であっても翼などの「非人間的」な具象は有していないことが指摘され、その理由も本書に記されている(ヒントは儒教にあり)。
一方で、我が日本では、天の羽衣伝説のように、羽をある存在に備えるという文化は伝播しなかった。ところが羽衣という存在がなければ、天女は何もすることができない。
この点、詳述するのになお一層の紙数が必要だろうが、このことをどう解釈するか。

さて、よくよく考えてみれば、翼を付けた存在は日本においてもいるのであった。
ということを二対の石像を見て思ったわけであるが、中央アジア付近に盛んに見られるような翼を生やした存在を信じる文化が中国で濾過されずに、日本に渡来したのか。或いは日本独自の文化現象として、中央アジア地域とは関係なく、翼を供えた存在を存立しえたのか。非常に面白い考察ができそうである。

午後五時には堂の門は閉められる。
ただし、参詣人がまばらになるというだけで、昼夜問わず仏道に精進しているのだろう。
実は15年前に友人と深夜の寺の境内に入ったことがある。
複数の僧侶が夜間の参堂を歩き、経のようなものを唱えて行列しているのを見掛けた。私たちは、紫衣を付けた高位の僧と思われる人から、非常に香りの良い紫色の粉を頭上に降りかけてもらった。
この辺り、お伽めかしいが実話である。
行列は私たちから離れていき、夜の山々を僧侶達の経がこだましていた。
そのような経緯のあるお寺に行ってきたのだ。

なお、このお寺を参詣したときに撮影した写真がいくつかあるので、折を見て掲載したいと思う。






Posted at 2010/09/06 00:39:23 | コメント(1) | トラックバック(0) | エッセイ | 旅行/地域

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