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ワルめーら@Terryのブログ一覧

2011年08月30日 イイね!

会津人の心意気

会津人の心意気昨年の二月に雪の会津若松に行ったときに、まずびっくりしたのがトップ画像にある看板の内容。
こうした風儀が看板とはいえ残されている地域というのは、とんと聞いた試しがなく非常に驚いたことを覚えている。まるで武家社会の倫理観そのものではないか。

この街は白虎隊の頃からあまり変化していないのではないかとすら思った。
かほどに芯のある言葉を箇条書きにし、大いに推奨するなど私は夢でも見ているのかもしれないとすら思った。

周知の通り、幕末期に賊軍とされた会津藩は人民すべてが一丸となって、官軍の猛攻に対して抵抗した。とうの幕府はとっくに瓦解していたのにも関わらず。
もの凄い執念である。
もとより、会津藩は徳川家への忠誠を重んじる風があったのだが、それにしても21世紀の今になっても、こうした標語が並べられ、堂々と看板になっていることに驚かされたものだ。

降りしきる雪の中、難儀しながらも山へ登り、歴代松平家(会津藩主)の墓に詣でたのは会津若松を出立する日だった。
因みに、会津藩主の墓は一般的な仏式の墓ではなく、神道式の墓(という言い方も妙だが)で、一般的な墓石よりも大きくよほど風雪に強いのではないかと思われた。
雪が膝の辺りまで入り、えらく下山に時間がかかったが、私はこうした涼やかな気風を持っている地域に来訪できたことを今でも喜ばしく思っている。






Posted at 2011/08/30 00:58:30 | コメント(5) | トラックバック(0) | 思い出 | 旅行/地域
2011年08月30日 イイね!

『それから』を読んで 勤労のエートス(倫理)ってなんだろう?

『それから』を読んで 勤労のエートス(倫理)ってなんだろう?文豪夏目漱石の『それから』という作品をお読みになったことがありますか。
私は作品に言及する評論などでなんとなく筋は掴めていたものの、読破したのは初めてです。

主人公は実家が事業に成功していているため、経済的に不自由のない生活を送る代助という人物。不自由がないために、労働もしていない。
ただし、世間の定石というものをあまり好まぬ性質らしく、父親から勧められる縁談を、のらりくらりとうまくかわしていつも断っている。もっとも、彼の頭は非常に明晰で彼なりの結婚をしない論理的な理由はある。それは作中を参照していただきたい。
物語は友人の平岡やその妻(平岡と代助との共通の友人の妹である。友人は既に亡くなっている)との関わりと、既述したとおり、代助が縁談を断ることを主軸にして進む。
物語の終盤で(私には展開が唐突に思えたが)代助は彼が愛していた女性と暮らす道を選ぶ。
つまり、父からの縁談を断ることで経済的な自由を手放すことを強く決意したのだ。また、その道を選ぶことにより、既存の人間関係も崩壊する必然にあるのだが、代助は物語前半ののらりくらりぶりとは裏腹に強い決意を以て、愛する女性と暮らそうとする(この辺りの心境の変遷が唐突なのだが、「私小説」と思えば違和感はない)。

筋書きはざっとこのようなもの。
漱石の作品に登場する主人公はいわゆる一般大衆の視点とはやや様相を異にする。インテリ層が主人公である場合がほとんどである。おそらくそれは漱石の分身のようなものだと思う。なぜなら、彼こそは当代きってのインテリだったからだ。

『それから』の代助のような経済的富者についても、父や兄とは異なり、思索を通じて物事を理解しようとする点が多く、この点で代助をインテリと呼んでもよいだろう。
もっとも彼は労働をしないのだから、経済的富者は扶助によって成立している。
当時の言葉に即して「高等遊民」と呼んでよかろう。
因みに、代助の友人の平岡も思想的には代助の父や兄に近い。つまり、「パンのために働く」という思想が原理となっている。

私は物語後半の特に愛する女性のために経済的な安定を捨て去り、職業に就くことを決意する件などを読むと大げさなと思わざるを得ないが、それもまた明治末期の時代性であろう。
それとは別に、代助の父や兄、平岡が奉じるないしはやむを得ず受け入れている勤労というものの価値普遍性が跋扈している中での代助の違和感はなんとなく理解できる。

かつて、イエスは「人はパンのみに生きるにあらず」と述べた。
私も同感である。「パン」は必要だろう。しかし、「パン」だけが人生ではない。
少なくともパンを求めることが目的となる人生が存在するとすれば、それはよくよく考えてみたら随分と本末転倒ではないか。
生活のために働く。このこと自体はいい。
しかし、それが昂じると働くこと自体が目的化するような気がする。
それで、生活が向上するのであれば良いだろうが、どうもずっと勤労を目的化したままで、生活というものの内実(家族で楽しく暮らすとか)を検討しないままに、人生を過ごしてしまう人々もたくさんいるのではないだろうか。

勤労が楽しいのであればよい。しかし、いやいや勤労をして生活も汲々とするような状態であれば、それは一体誰のためのなんのための人生だろうかと思う。
少なくとも、近代市民社会以後においては、個々人は個々人の幸福を追求するのが普通だろうと私は考えている。因みに、私は主義やイデオロギーに関心はないが、まあ、近代市民社会を肯定している人間である。
さて、幸福の種類はそれこそ山ほどあるはずだ。幸福には選択の自由が担保されているからだ。よって、パンのために働くことが幸福だという考え方もあっていい
だが、それは少なくとも幸福だと思えてこそ許容される論理に過ぎないと思う。

代助の生き様は「パン」のために勤労する必要のない世界があることを示した。
だが、その代助にしても縁談の勧めなどのしがらみがあるわけで、自由とは思えない。宙ぶらりんとした存在のようにしか見えない。
だから、後半部で代助が愛するもののために、今の豊かな生活を放擲しようと決意したことはなまじ否定されるべきではないだろう。代助なりの解決策であったといえなくもない。

本当の幸福や喜びとは何か。自由とは何か。
どんどん追求してみたいが、私は自分の選択によってそれらは決定づけられるものだと考えている。だから、作中のなかでは代助に対する親近が比較的強い。
彼は彼なりに考え抜いて選択をしたわけだから。彼の行動自体に対する是非というよりも、彼の主体的な選択を私は評価したい。

夏目漱石の作品は現代の人が読んでも非常に読みやすく、お勧めです。
偉大なる国民作家と称される所以でありましょう。







Posted at 2011/08/30 00:21:06 | コメント(2) | トラックバック(0) | 書評 | 趣味

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「ハンセン病資料館に行ってきた。そのあとは清瀬と所沢の境にある図書館喫茶で雑談。ハンセン病は日本の暗部の一つなので来訪したいと常々思っていたのだが、それが実現した。知人二人と見学。
いま、板橋で休憩中。」
何シテル?   06/29 22:15
帝都東京の地を根城とし、四方八方と旅する行動力の塊がワタクシ、ワルめーらでございます。 東京から大阪くらいまで(往復で1000キロ程度)なら日帰りで行き帰りす...

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