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ワルめーら@Terryのブログ一覧

2012年02月27日 イイね!

春をたしかに感じた西伊豆プチドライブ

春をたしかに感じた西伊豆プチドライブ
「しずおか」という土地を擬人化するならば、私と静岡とは凡そ昵懇の仲といってもよい程である。以下、その含意するところを説明しようと思う。
まずは静岡の気候特性を雪と絡めて述べてみたい。

雨どころか雪の予報すら出ていた土曜日であったが、元来静岡という土地は温暖な土地で、山沿いの土地や御殿場など富士山の風をもろに受ける地域を除けば、雪が津々と降ることなどまずない。それどころか、ちらつく程度の雪というのも私は見たことがない。
ただし、富士東麓にある御殿場一帯は別で、彼の地は西の関ヶ原同様に雪に縁があり、時にどかっと雪が降り積もる。とはいえ、常時雪にまみれているという訳でもなく、ゆえに当地にある広大なアウトレットは首都圏からの客で殷賑を極めている。元来が雪国ではないのである。

もう十年くらい前のことであろうか。
製紙で有名な富士市のタクシードライバーと会話をしたことがある。
「市街地に限れば、雪がちらついている様子すら、ここ五年は見ていませんね」
このドライバー氏の発言により、「静岡=温暖」という私の図式はますます脳裏に強く残り、現に睦月や如月などに静岡までドライブすると時に日射しが目映いほどに強く、春めいた陽気を窺わせることが多かった。

此度は金曜の夜に出立し、土曜日にかの地を満喫するというドライブであった。土曜日に雨や雪が降るという予報が出ていた。
ところが、御殿場近くに泊し、いよいよ自動車に乗ろうかという頃合になってから、雨は止み、曇天のなかに時折陽光が差し込むような天候となった。この点、私は非常に恵まれているし、静岡との昵懇性の強さがまたもや強化された瞬間だなと思った。無論、傘など必要が無かった。
天気予報の精度は承知しているが、静岡に関する限り、私は雨の予報を三回ほど覆したことがある。その代わりに陽光を存分に浴びたという記憶がある。今回もそのジンクスの恩恵に預かったという訳である。

行く当てはなかったけれども、伊豆半島の最西北の地に行こうと思った。
記憶が確かであれば、一度通過したことはあるが、最西北たる大瀬の地に立ち寄ったことはない。
加えて、伊豆半島でも西伊豆方面は隘路が多く、路面状態も決して良好とは言えない。言うなれば日本海側の道路の光景に似ている。
海にすぐ面していたと思えば、遙か眼下に海を見下ろしたりするような場所まで登坂していたりして、実にせわしない。地元の人もこの西北の地を来訪する際は海際を走らずに内陸の山岳部を伝って走るという。
しかし、私にとっては少々の隘路で起伏に富んでいる道路を走行するのが快感だったりするので、構わずに海沿いを走った。海上に浮かぶように雲海が立ちこめた風景が実に美しく、富士の裾野がその足下を僅かに露呈させていた姿は非常に幽玄的であった。
そんなわけで、今ではダイビングスポットともなっている大瀬崎までクルマを走らせた。



大瀬という土地は遙かな奈良の時代(白鳳年間)の大地震によって出来た土地だそうで、その地形は天橋立にも似ている。狭隘な半島は左右に大海原に囲まれているという実感がするし、実際にその左右幅は最小で百メートルほどだそうである。
また、神池と言われる淡水の池が半島内にあり、塩っ辛い海に囲まれた狭隘の地に淡水の池があるということ自体が非常に興味深く、この点でも天橋立に似ている(天橋立にも井戸があり、水はむろん淡水である)。なお、精密な学術調査は完全には進んでおらず、名称の通りに未だ神がかった神秘性を帯びているというのが事実のようである。
どうも学術的調査をしようとしても、関係者が不慮の事共で不幸を得るということが多いらしい。それはともあれ。




既述したとおり、神の池の周囲は大海原(駿河湾)である。
その海原の風致を動画に収めたので公開しようと思う。







昨年、3月11日に未曾有の大地震が我が列島を震撼させた。
私自身、東北地方に知人や親族がいて、ひとごとでは無かったものの、しかしながら大地震は時に大瀬の地のような風致に富んだ土地を自然はもたらしてくれる場合もある。広い視点から見れば、地震もまた広大な自然のダイナミズムの一つに過ぎないとすら言えるのかもしれない。
ゆえに、長期的に見れば、自然はそれ自体に躍動しており、そして人間の鑑賞にたえるくらいに美しい造形を次々に創り出していくのだなというのが、大瀬の土地を訪問したときに改めて感じたことである。
短期的に見れば悲劇としか思えない出来事でも、自然の悠久な法則性から鑑みれば、それは人間が悲劇という認知を強めただけと言う表現も可能かもしれない。
歳月が過ぎゆくと共に、また新たな自然の胎動が励気する。その繰り返しが自然の自然たる所以なのだろうという感慨を得た。
私は自然の躍動性を基底とする永遠性や無限性を信じる者であるが、こうした私の考えには東洋人ならではの、風致認識が挿入されているようにも思える。
機会があればいずれ論じたい。

その後、クルマを南に進めて遙か眼下に井田という集落を眺めていたのだが、どうしても井田という集落を間近に見たくなり、崖道を下りに下ってみた。
中途、古墳跡が険しい崖の中腹に数十個残されており、伊豆地方の大規模な勢力がこの地に盤踞していたことを窺わせてくれた。
集落の規模自体は極めて小さいが、いにしえの井田の地ではまとまりをもった社会共同体があり、統率も取れていたはずである。平野部の乏しい伊豆半島にあって古墳跡が数十箇所も比定されるということは、よほどの大勢力が彼の地に盤踞していたものと推察される。
しかしながら、当時の面影は僅かに古墳に見られるだけに過ぎない実に長閑な集落である。妙味があっていいではないか。





明神池という観光地化もされていない浄水用の池が気になった。湖水の色はエメラルドにたっぷり塩をかけて混ぜ合わせたというような色で、要は淡い緑色である。
神池同様に波の音が聞こえるほどに海に近いものの、こちらも淡水の池である。
明神池を取り囲むようにして、春の訪れを感じさせてくれる無数の山桜や梅が咲いていて、伊豆ならではの南国風情を堪能させてくれた。



また彼の地では菜の花畑一面に黄色い春めいた色の花々が一斉に開花しており、いよいよ春だなという感を強くしてくれた。
というよりも、別の国に来たような感慨すら得た。
都内では梅の花も十分に開花していない案配であるのに、この鮮やかな花の折々はどうであろう。





駿河湾というのは存外に水深の深い湾らしく、井田の南にある戸田(戸田村はつい最近、町村合併によりその名を消した)では深海魚の漁撈で著名だそうである。
目に留まった料理屋に入ったときにそれを知った。
深海魚の天ぷらを食したのだが、本当に柔らかな食感で値段も手頃であった。
戸田に赴く御仁は是非とも、戸田の深海魚を食して欲しい。

ところで、私の幼時の記憶では、戸田というと波も立たない穏やかな海水浴場があるところというイメージしかなかった。
戸田の地理的造形は不思議なもので、これまた実に小さな半島がぐるりと穏やかな湾を形成している。集落はこの湾沿いに密集している。
私はこの湾を以て戸田という集落をイメージしていた。しかし、少し高い土地から眺望すると、湾の穏やかさというのが実に絶妙な均衡によって成立しているのだなということがよくわかる。
先に述べた小さな半島というものが無ければ(半島内には小さな神社があり、あとは松や水仙で覆われている)戸田の穏やかな風致は形成されなかったのであり、その点で私はより自然に対して畏敬の念を抱きたくなるのだ。







伊豆半島の内陸部に向かうことにした。
中途、富士山と駿河湾を眺めるにはおそらく第一等の場所である西伊豆スカイラインの達磨山に立ち寄った。晴天というには程遠かったものの、かすかに富士山の裾の部分が見えた。その陰影は非常に薄く神秘的であった。
また駿河湾の海上には相変わらず巨大な雲海が盤踞していて、その景色はやはり日常を逸脱しているような美しさを感じさせてくれた。

内陸部の中心といえば修善寺の街だろう。
蕎麦屋が軒を連ねる修善寺の街も通ったのだが、どうせならば賑わいのない修善寺の田舎集落としての光景も見てみたいと思い、道幅の狭い県道を伝い、山田に覆われた隘路を進んでみた。次第に左右は針葉樹林に覆われ、舗装も覚束なくなってきた。やがてかなり大きめの石が路上で目立つようになったので引き返してきた。

修善寺からさらに東に進み、冷川から伊豆スカイラインを利用した。
濃霧でお馴染みの当地ではあるが、この日はやんごとないほどの深い濃霧であった。濃霧での運転には慣れているのだが。
フロントライトの光が乱反射してしまい(無論、ハイビーム状態にしていたわけではない。また、光軸の問題ではない)、前方視界も定かならぬ状況であったために、慎重に慎重に運転をした。時にハザードをたいて停車したりした。
霧が晴れたのは箱根新道の須雲川を過ぎた辺りであり、本当に稀れ見る濃霧であった。
やや疲労を感じていたので、箱根天山の個室部屋にて食事を摂り、その後に湯に浸かり、都内に戻ったという案配であった。生気が蘇った思いがした。

実に充実した旅程であった。
充実感は都内に戻ってからも満腔に身体内にひしめいていた。
道中で縁のあった風物・人々・現象すべてに感謝したい。そして愛車プリメーラにも強く感謝したいと思う。
Posted at 2012/02/27 21:59:50 | コメント(2) | トラックバック(0) | ドライブ | クルマ

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