スバルのシンメトリカルAWDを味わえる最も手ごろな車、インプレッサに試乗。今度のインプレッサのセダンはG4(HBはスポーツ)というサブネームが着いたわけだが、Gは純正を示すGENUINEの頭文字なのだそうだ。なるほど、確かにDEXやトレジアは純正ではないわな。
G4に似たサイズの他銘柄はアクセラやギャラン・フォルティス、シビックがあり、海外なら現代エラントラやグローバルカローラあたりがライバルになろう。
この手のセダンは北米マーケットやロシアのような新興国で人気がある。これらライバルとG4は簡単に言えば「日本飛ばしの日本車」である。一昔前ならこの手の車は5ナンバーサイズのボデーを持ち、1500ccと2000ccのエンジンを積み、日本人が好みそうな大人しいデザインに木目の内装が組み合わされていた。今でもプレミオ・アリオンやブルーバードシルフィはそういった日本人の為のクルマ作りを行ってる。対して、G4に代表される日本飛ばしの日本車はもはや日本のマーケットを向いていない。
海外で喜ばれる様に企画され、その中の一部の仕様が日本仕様として国内投入されているのに過ぎないのだ。インプレッサも税制上不利な1600ccエンジンのラインナップがあり、ボデーも3ナンバー枠だ。
日本という市場はもはやこれ以上の発展性が無いと見られ、そんな狭い市場に多くの有力な自動車メーカーがひしめき合っている。スバルのような規模が小さいメーカーはもはや日本人の為のクルマ作りを続けられず、トヨタの傘下に入り、軽自動車の開発をやめてしまった。特に北米を意識したクルマ作りが続き、トライベッカB9という大きなかっこ悪いSUVを開発、スバルの象徴であるレガシィはボディを拡大して大柄な彼の地の人も乗り込めるビックキャビンを実現、都会派SUVフォレスターもグッと泥臭いデザインに書き直した。近年、日本向けに作られたと思えるクルマはエクシーガくらいのもの。(それでもスバルがこのクラスのミニバンを作ったのはエライ!)こうした動きは往年のスバルファンを怒り狂わせるには十分なものだった。
しかし、スバルがいつまでも国内市場の狭いパイしか狙わずにいて、ジリ貧の軽自動車に無駄な資金を投入しながら、日本でしか売れないような狭苦しいレガシィを作り続けていたらどうだろうか?SAABの様になってしまってもおかしくは無い。スバルは現状の北米作戦をうまく当ててなかなかの業績を上げている。
私個人の意見としては、大好きだった軽が無くなった事は痛いが、スバルという会社が存続してくれていてありがたく思う。この先も水平対抗エンジンを磨いて世界に対抗しうる自動車作りをして欲しいからだ。
話が横道にそれてしまったが、新型インプレッサはいま、とても大切なモデルになっているはずだ。海外でも売らないといけないし、国内では肥大化したレガシィの受け皿にもなる可能性がある。
G4はレガシィのデザインテイストを受け継ぎながら、なかなかカッコよくまとまっている。がっちりしたセダンらしいデザイン。競合車と比べるとかなり古典的なのだが、この手のデザインは自動車に対して旧来の価値観を求める仕向け地には好意的に受け入れられるだろうし、日本国内でも男性に受けそうだ。
オーバーハングが長いのはシンメトリカルAWDのレイアウトゆえ仕方ないため、あんまり現代の流行に乗らない方が良いのかもしれない。
乗り込んでみると、黒一色のこれまた男性的なインパネが目に入る。ソフトパッドやメッキ、塗装をうまく使って安っぽく見えない工夫がしてある。スピードメーターもVWや三菱譲りのマルチインフォメーションディスプレイつきのオーソドックスなタイプを採用しており、あまり奇をてらった様子が無いが、エクステリア同様「期待通りの安定感」が必要だと判断したのだろう。ちょっと面白いのはアイサイトや燃費、アイドルストップ時間を表示するなどの情報を表示するカラー液晶のディスプレイだ。どうも、これからはこの手のカラー液晶がトレンドになりそうな予感もするが、一等地に配置されて今までのスバルとはと違う印象を与える。
リアシートも座ってみたが、驚くべき事にこの手のセダンの割に後席に座っても頭がルーフヘッドライニングに接触しない。このようにデザインを重視したセダンであるにも関わらず、良好なヘッドクリアランスが確保されていて後席に人を乗せる人にもオススメできる。日本のセダンでもまったく後席のヘッドクリアランスが不足したクルマが散見される中、非常に好印象だった。
2.0i-S アイサイト という最上級グレードの試乗車を運転させてもらった。ドラポジをあわせて走り出してみたが、CVTがどうにもスカスカ感があって困った。アクセルを開けると回転がブワーっと上がってしまう。2000ccもあってトルクも十分あるはずなのにもう少しリニアな加速感を演出してくれてもいいんじゃないかと思った。(恐らく先にトルクの出る回転数にあげてそこからは燃費が良い回転数に合わせて変速しているのだろう)まぁ燃費燃費の大合唱の国内市場なのでさすがのスバル技術陣も意識してしまったのだろうか。
交差点で止まるとエンジンも止まった。新型インプレッサのCVT車にはアイドリングストップ装置が装備されているのだが、軽自動車における燃費戦争で停止に向かう減速時、時速7km/hや10km/hでエンジンを先に切ってしまう制御が活用されている。少しでもエンジンを切っている時間を長く取りたいがゆえの制御だが、これをやるとブレーキ踏力一定で減速していても、エンジンが切れた瞬間にGが強くなってカックンブレーキになってしまう。それに対してG4は完全停止後0.5秒後にエンジンを切るという全く逆の制御をしているが、フィーリングを大切にするスバルならではのアイドルストップだと思った。大変良い。
交差点を曲がる時に、G4のAピラーがものすごく細い事に気付いた。かなりすっきりしていて中身はどうなっているのか非常に気になるところだが、近年まれに見るすっきりしたAピラーなので是非注目して欲しい部分だ。
さて、高速道路への合流のためアクセルを全開で加速したが、高回転では太いサウンドがキャビンに入る。ああ、これがボクサーエンジンなんだーという素人くさい感想をいただきながら100km/hで走らせる。カタログには2.5Lクラスにも引けをとらない動力性能と謳っているが、正直それはすこし楽観的な表現に感じた。自分の知っている2.5Lはもう少し俊敏に加速するからだ。
それはさておき、以前から使ってみたかったアイサイトの全車速追従機能付きクルーズコントロールを試した。普段乗っているDS3もクルコンが装備されているのだが、アイサイトのクルコンは一度セットしてしまえばかなり安楽な運転操作を約束してくれる。前に割り込まれると減速、前の車が掃けると再加速。ただ、ちょっと気になるのは前の車がギクシャクした運転をしている場合、こっちまでそれに追従してしまう点だ、機能的には仕方ないのだが、自分が運転した時は前の車が何も無いところ(Nシステムをオービスと勘違い?)でブレーキをパカパカ踏むドライバーだったのでこっちも頻繁に自動でブレーキ操作されていた。一時的に車間を詰めてエンブレでやり過ごすなど柔軟な対応をしてくれるとありがたい。もっとも、前方で渋滞があり前車が停止した時に追従して停止したのには感動した。車線逸脱警報機能もあり、うっかりさんには必須のシステムといえそうだ。
その後、ワインディングも試してみたがさすがにスバル。限界が高くエンジンよりもシャシーが勝っている感覚。外国ブランドのクルマの様に剛性感のあるペダルタッチというわけでもないし、路面の荒れたタイトなコーナーを曲がるとステアリングにも振動がかなり伝わるが、まぁ常用域ではないので気にしなくても良いと思う。パドルシフトを駆使して走らせるとまぁまぁ速い。
結論として、G4はセダン好きな男性にオススメしたいクルマだ。オーソドックスなセダンスタイルでもオジさんくさくない、メカニズムも世界でも希少な水平対抗エンジン搭載で個性的。さらにAWDはかなり安定感があり欧州車的な乗り味であるのに、CVTとアイドルストップでエコエコ大好きな彼女or嫁さんも納得。
ただ、CVTのフィーリングがよろしくないのでそこは試乗して気に入ればの話。単に変速機だけの話ならマツダのアクセラに搭載されている6速ATがピカイチ。CVTよりこういうの開発した方がよかったのに・・・・。
個人的にオススメグレードはMT好きなら1.6i-LのAWD、MTにブラックレザーセレクション装着で決まり。今時、MT仕様で豪華装備が味わえるクルマは希少!是非!(216万円・・・ちと高い)
例のCVTが許せるなら2.0iのアイサイト(219万円)!スバルの魅力であるシンメトリカルAWDとアイサイトが味わえる最廉価の選択。ちなみにアイサイトなしのFFなら185万でプレミオよりもグッと安い!
(2021年注)
もう10年前の新車だが、SUV全盛の2021年のインプレッサはもはやXVのベース車という感じの扱いになりつつある。まじめな車づくりをするスバルというイメージも完成検査の不正でちょっと残念なイメージがついただけでなく、未だに独自開発のCVTにこだわり続けている点も試乗してみると残念に感じる部分だ。一方、MTラインナップも減少の一途でインプレッサのMTはこんかい取り上げたモデル限りで消滅。フォレスターのMTもレガシィそのものもなくなり若干スバルのブランドイメージがあいまいな気もする。この10年は北米の好調を背景に車づくりがアメリカナイズされながら日本では愛妻とのイメージで突っ走ってきた。車好きの琴線に触れるようなかつての作りこみは見られなくなってきた点に危機感を抱いている。結局このジャンルもマツダに持っていかれるとしたら残念で仕方ない。
実家からクルマで10分の場所にシトロエンディーラーがある。
たまたまC5の試乗車を発見してしまい、お願いして運転させてもらった。自分のDS3と一緒のエンジンなのに、こんなでっかいセダンも十分な動力性能。アイシン製6ATも変速が速くて素晴らしい。ハイドロは不整路で本領発揮。C5は硬めらしいが、それでも違いが分かる。それと同時に金属バネのDS3も結構乗り心地良いなぁと思った。シートが良いのかもしれない。(インプレッサ乗ってきた後だから余計にそう思う)
センターパッド固定のステアリングがものすごく個性的。ナビがビルトインされているのがなかなか羨ましい。なんでもわざわざフランスで日本のナビを突っ込んでくれてるらしい。ナビつきで399万円だからちょっと安くしてくれてるんだろうけど、これは一般人には理解できないだろうなぁ。でも日本製ATとドイツ製エンジンでハイドロが楽しめるなんてまたとないチャンスかも。
そういえば、DS3も40万円払えばダッシュボードにナビを入れてくれるらしい。完成品はなかなか綺麗だけど、40万も払う気はしないな・・・。
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