
知人の遊び車「アクティストリート」をレンタルしました。
あ、申し遅れましたが再びレンタカー企画です。
今回はスギレンではなくノグレンでした。
このタイプのアクティは昔は嫌というほど見かけたものです。
ビードが入った外板パネルは今見ると、機能をデザインで表現したものだと
理解できるのですが、当時は洗濯板みたいなデザインが好きではありませんでした。
そんなアクティに長時間乗れるチャンスが与えられたのです。
今回借りた車はアクティストリートLという昭和61年のクルマです。
基本設計は新規格になった昭和52年にデビューしたクルマです。
ストリートは乗用車的な使い方ができるクルマで
内装も当時の乗用車にありがちなマルーンの内装。
乗用車ムード満点です。
借りる際に、注意点としてボデーの腐りが激しいので注意されたし、
との忠告がありました。確認するとストラットの根元が怪しい!
もし、ストラットが抜けたら股間にストラットが
直撃するという何とも痛々しい事故にいたる恐れがあります。
・・・男としてそんな痛々しすぎる死に方はできません。
そんなわけで慎重に走って来ました。(はしるんかい!)
アクティで土岐のアウトレットに服を買いに行く事にしました。
人生二回目のホンダマチック車なのですが、
トゥディの時とは違ってローギアードな設定なので
☆レンジではすぐに吹け切ってしまいます。
平坦路では40km/h程度でODレンジに入れてやるのが良さそうです。
市街地走行はそこそこ普通に走ります。近所のお買い物程度ならこれでOK。
乗り心地もソフトで角のある突き上げはありません。
ドラポジもアップライトでフットレストも無いのですが、
そもそもくるぶしの角度が良くてそんなもん必要なし。
ステアリングの角度もノンパワステのキャブオーバーなので
力が入れやすくて問題ありません。
動力性能は市街地では充分です。
現代の交通の流れに乗ることは充分できます。
ただ、アクセルは全開でホンダマチックのLレンジを駆使してやっとこさです。
そんな感じだったのですが、恐る恐る伊勢湾岸道へ。
ETCを華麗に通過し、加速車線へ。
全開加速で80km/hまで持って行きました。
当時の軽自動車の法定速度で走る分にはいたって普通です。
一番左をトコトコ走る感じです。
クーラーがついていないのですが、
ヘッドライト裏のベンチレーターから心地よい風が入ってきます。
その後、豊田JCTで左車線が渋滞し始めたので車が居ないことを確認して
追い越し車線に躍り出てみました。
速度警告ブザーが鳴る中で100km/hの世界へ。
アクセルを全開にして走ってアクティの最高速度が
120km/h行くか行かないか程度である事が分かりました。
28psらしいので当たり前というか、そんなに出るんですね。
似たような重量とパワーの昔のパブリカとかこんな感じだったんでしょうかね。
コンスタントに100km/h出すことはできず、平坦路なら出るという感じです。
このとき、スピードが乗っていたのですがふいに横風に煽られました。
臨死体験でした。
現代の高速道路の流れには正直ついていく事はできない性能です。
昔の人はこのようなクルマで高速道路を走っていたんだと気付かされます。
高速道路では空気圧を高めに、ステアリング操作は握りこぶし一つ分、
ブレーキはやさしく早めに・・・という昔のカーライフに本に書いてあった記述をホントに
実施しないとそれはもう命取りなのです。
現代の車なら動的性能がグッと上がっていますのでそこそこ乱暴な運転も受け入れてくれますが、
アクティは即死に繋がるのではないかと感じられます。
なにしろ鉄板一枚で外界と仕切られているだけなのです。
そこにはサイドメンバーもバルクもリンフォースもないのです。あるのは薄皮だけ。
しかしながら、80km/h程度ならこの10インチのタイヤでも充分です。
そーっと運転してやれば危険な挙動など見せる事はありません(無茶したらダメですが)
走行車線を95km/hで走る大型トラックの後ろについてアクセル全開で頑張るのがアクティの正しい走り方ですね。
高速道路を降りました。
一般道を走り信号待ちで停車すると腕がラクになったことが分かります。
さっきまで高速道路でガチガチに固まっていたんですね。
そんなこんなで目的地に到着。
二時間ほどで買い物を済ませました。
スライドドアに荷物を突っ込んだときに考えました。
このクルマのスライドドアは何故パネル中央にあるのか・・・・。
反対側に回ってみてわかりました。左右対称なのかと。
ドアというのはアウターパネルとインナーパネルをヘミングして作りますが
アウターは共通のようです。ハンドルだけ逆につければ型代が半額で済む訳ですね。
インナーは臓物があるので左右共通化はできません。納得の合理精神です。
ダイハツのネイキッドもドアアウターパネルは前後共通にしてあります。
これも型費が半額ですね!ドアフレームの形は違いますが、
ここは後でロウ付けしますので問題は無いわけです。
話がずれましたが、帰りも高速道路で帰ります。
今度はドSな心が作用したので中央道で帰る事にしました。
東海環状道から中央道への合流は下り坂なので勢いをつけて合流します。
土岐から小牧までの区間では長い上り坂が一箇所ありますが、
ここをどう走るのかは気になるところでした。
ODレンジで走っていましたが、上り坂で徐々に速度が低下していきました。
キックダウンなどは無いのでどんどん速度低下。
登坂車線に避難して60km/h程度で☆レンジに入れて再加速。
さすがに80km/hまであげる事ができました。
さすがに4人乗車などしてしまったらキツイだろうなぁと思わせる動力性能でした。
こういうクルマで長距離ドライブをしていた昔の人はエライ!
360cc時代の軽自動車になると、もっと過酷な状況だった事は想像に難くありません。
リミッターカットするだけで軽く100MPH超えちゃう現代の軽ターボとは制限速度の80km/hが
持つ意味が全然異なるわけですね。
市街地では一般車に伍して走ることができるアクティも高速道路ではゲスト扱いです。
今よりも普通車と軽自動車の住み分けがハッキリしていたとも言えるかも知れません。
東名高速に合流してからは走行車線がんばって流れについて走ります。
夕食は上郷SAの上郷定食。
これ好きなんですよ。美味しいので。
帰りはちょっと手に汗握りながら豊田JCTを四日市方面に走り高速を降りました。
そのままちょっと走れば自宅なのですが、ちょっと遠回りをして市街地走行をしてみました。
ストップアンドゴーに対して有利なホンダマチック。
Lで発進して☆レンジで走るもんだと理解していましたが、
シフトショックがなかなか激しいので☆レンジで発進して
40km/h程度でODに入れて走らせていました。
するとまた信号待ち・・・・。クラッチ操作が要らないとは言えども
シフトショックがすごいのでやっぱり煩わしく思いました。
フルオートマチックに切り替わるわけですね。
田舎道を制限速度程度で走らせます。
なるほど制限速度は理に適っていると思わせる速度でした。
それ以上出すと「速いな」と思うのです。
制限速度は当時の普通のクルマで走れば適度なのでしょうね。
「遅すぎる」と感じてしまう現代のクルマはそれだけ進化したという事なのですね。
普段は避けてしまうような狭い道にも果敢にチャレンジしてみましたが、
全幅が1400mm足らずのアクティは余裕綽々。旧規格の軽というのは本当に便利ですね。
現代の軽自動車は近所への買い物の足というにはあまりにも豪華な印象もあります。
ターボのおかげで高速もらくらく。CVTで回転数も低く抑えられる。
さらに電動スライドドアでフルオートエアコンでカーナビで・・・・。
もはやリッターカーと比べてちょっと幅が狭くてうるさいだけの存在になっています。
アクティで感じられた普通車と軽自動車のハッキリとした差がぼやけて見えています。
エコカー補助金で誤魔化されていましたが、ちょっと前まで「軽しか売れない」と言われておりました。
現代の様に高速も(アクティほど)怖い思いをせずに走れるのならば軽で十分という方が
たくさん現れたとしても全く不思議に思いません。
軽自動車はもっと磨きをかけて「ポスト普通車」化してくるでしょう。
普通車は一体どういう方向で立ち向かえば良いのでしょうね。
・・・ま、立ち向かうも何もトヨタも日産も軽自動車を
ラインナップに擁しているので立ち向かう気も無いのでしょうけれど。
結局190kmほど走行しましたが、燃費は15km/Lでした。充分です。
タンクが小さく、すぐに一杯になってしまいました。
最後になりましたが、ノグレンさん貸していただいてありがとうございました。