DS3を入庫させました。
営業氏は私の車を一目見て
「これは思っていたよりもひどい」とのコメント。
「こいつは普通ならフェンダー交換レベル。
ノイマイヤーさんなら
それがどういう修理をするかお分かりだと思います。
「絶対にそれだけは避けたいので時間をください。」
とのことでした。
私自身、本当は元に戻して欲しいくらいですが
自然の法則に逆らうようなことはないのでせめて
きちんと直していただくように祈ることしか出来ません。
そんなわけで代車生活がスタートしました。
本来はC3が代車でくるはずだったのですが、
間に合わずに二日間だけGOLF VI のコンフォートライン。
2009年式の初期モノですが、ゴルフなどという「上がりの車」に
30歳にして乗ってしまうとは・・・・。
二日間かけていろんなところを走って来ました。
以下、短めの感想文。
「2013年現在、まだイケる」
●まだ世界的ベンチマーク
まず、この車が2008年にデビューしたことが信じられない。
スタイリングも元々過度に流行を追っていないから、逆に旧くならない。
顔つきと太いQTRピラーがゴルフらしさを演出。
●市街地走行
ボディサイズも横幅が欧州車の常でバカみたいに広い。
1790mmというのはクラウン並みの幅広さである。
ところが意外とこの車は扱いやすい。
件のでかいQTRピラーは死角を増やしているものの、
狭い道のすれ違いなどは普段乗っているDS3よりも幅寄せしやすい。
これはベルトランが低いことが関係ありそうだ。
近年の乗用車は歩行者保護性能を重視した結果、
カウル(ワイパー付け根位置)やフードがかつてのモデルよりも高くなり、
スタイリングのつじつまを合わせるためにベルトラインを上げて
大径ホイールを組み合わせるのが常識となっている。
ゴルフVIもその傾向はあれど、症状は軽いため非常に運転しやすい。
実際に入れない場所はあると思われるが、
私が愛知県内を走らせた中では不満はない。
(最近は駐車場も幅広車に対応してきている)
1.4のシングルチャージャーTSIは
2000ccエンジンの置き換えとしてラインナップされている。
意地悪な乗り方をしない限りはターボを使って豊かなトルクで
がっちりしたボデーを引っ張ってくれて、
およそストレスというものから切り離される。
市街地の信号ダッシュも苦にならない。
むしろMT車の方がもたつく程だと思う。
乗り心地もDS3と比べるとかなりやわらかい。
●高速走行
高速道路はゴルフがまさに得意とするステージ。
速度無制限のアウトバーンで鍛えられた走り、、、と
使い古されたフレーズが脳内をよぎる。
もう、そう表現するしかないのだ。
走行車線でも7速DSGはごくごく低回転でゆるゆると走ることが出来、
ひとたび鞭を入れてやれば5速にシフトダウンして俊敏に加速する。
基本的には高いギアでトルクを出して加速するが、変速の早いDSGは
それほどストレスを感じさせずに加速体制に入れる。
122psというカタログスペックからは想像も付かないほどパワフルで
例えばMBのAクラスの1.6リッターターボと比べると
ゴルフの方がパワフルに感じさせる。
ただ、依然乗ったゴルフVのGTIの様な暴力的な加速は無く、
いわゆる一般的なドライバーなら十分ご納得いただけるレベル。
ホントの高速域の走りは市街地同様にリラックスできる。
一般人が使わないような領域の速度でもその印象は変わらない。
横風や道路のうねり、端の継ぎ目などをきれいにいなして、
矢のように一直線に走り抜けることが出来る。
速いのに速さを感じさせず、安心感だけがある乗り味は
長距離を帰省するようなドライバーには最適だと思う。
あまりにも素直な高性能さに「出来杉くん」を思い出した。
●山道走行
信号の少ないオレンジの中央線の山道を走らせた。
こういう場面ではDSGといえどもは若干のもたつきを感じることがある。
そこでSレンジに入れてやると、引張り気味のシフトスケジュールとなり、
パワフルかつ、エンブレがよく利く安全な走行が可能となる。
この車の曲がりはかなり安定感がある。
高速道路で直進性が高くなるということは
山道ではダルになっても仕方がないはずだが、
かなり気持ちよく山道を走り回ってくれる。
上り坂はちょっとアクセルを踏み足すだけでトルクが立ち上がり、
CVT車の様にエンジン回転だけが上がって騒々しい思いをすることも無い。
ただ、ちょっと気をつけたいのが下り坂でのシフトダウン操作だ。
マニュアルモードではドライバーの任意のギアに変速できるが、
例えば下り坂で3→2に変速したとすると、一瞬空走感がある。
一般的なATのマニュアルモードだとガツンとショックが来る代わりに
減速感がしっかりあるものだが、ゴルフのDSGは車側がアクセルを吹かして
回転合わせを行い、ショックレスのシフト段を演じてくれる。
このとき、スロットルオフが緩慢すぎて下り坂で加速したかのような
不安感を覚えることがある。
もちろん慣れれば早めににシフトダウンするようになるし、
フットブレーキを併用すればそのような心配は無いが、
スロットルオフで手動シフトダウンでエンジンブレーキをかけて
山道を下りたい私のようなものには少し違和感が残る。
●山道走行2
かなり追い込んだ走りも試みた。
下りだったが、これでもかとタイトなコーナリングを試みても
本当にオンザレールの走り。
(なにかを)全開で走り、コーナー手前で減速。
パーシャルでコーナー中腹を抜けたら(なにかを)全開、という
乗り方をしても、まるでスキーの大回転のように
切れ味良くコーナーをクリアできる。
DSGはSレンジで走っていたが、このようなシチュエーションでは
さすがにシフトアップとダウンを予測しづらいようでもたつく場面が生じてくる。
こういうときはマニュアルモードが有効だ。
この車には本当に必要なものが付いていて無駄なものは付いていないのだなと感じる。
ゴルフの中でも中級グレードであるコンフォートラインは
本来こういう乗り方をする車ではないが、
そういう乗り方にも自然に対処できてしまう部分に恐ろしさを感じた。
最終型にはパドルシフトが着いたので、そいつを選べば
ますますスポーティな乗り方が出来るだろう。
●まとめ
ディーラーで5分乗っただけでは本当に分からない部分まで試すことが出来た。
こうして付き合ってみると、VWの強い完ぺき主義を感じることが出来た。
確かに色気は無いが、私がイメージするドイツという国が持つ
質実剛健さというものをこの車は全身から感じさせてくれる。
「ゴルフは上がりの車」だと常々私は口にしている。
あんな車買っちゃったら他の車には乗れなくなるから、乗らない!
と言って回っている。
そんなわけでゴルフより洗練されていないものの、
心地よい毒気のあるシトロエンDS3という車に乗っているわけだが
時々ゴルフの素晴らしさを再確認しておくことも必要だろう。
ゴルフをレンタカー屋に返して、今日からは現行型C3との生活が始まる。
まだ2km位しか乗っていないが、またしばらく付き合ってみたいと思う。
そしてDS3がきちんと修理されて帰ってくることを切に願う。