2004年式パッソ感想文

2021年9月
「初代パッソの1000ccはすごかった」から改題

初代パッソ。

トヨタ最小プチトヨタを名乗るパッソは2004年にデビュー。

当時。祖母と従兄弟がそろってパッソを新車で買うという事態に直面し、
私自身もずいぶんとパッソに乗ったものだ。

そのときの感想は「30分で運転をやめたくなる」であった。
ダルなハンドリング、限界の低いタイヤが主な原因である。

ただ、今回の感想文の主役は1000ccの最廉価グレード。

会社の後輩が通勤に使用しているパッソだ。
この車で300kmほど運転する機会があった。

1300より1000の方がお勧めだと言う理由が分かった
当時の「ざ総括」を見るとダイハツ製の4気筒1300ccエンジンより、
1000ccの3気筒、1KR-FEの方が優れていると書かれていた。

親戚が購入したパッソはどちらも1300ccであり、
まぁ出足はそこそこ、という印象を持っていた。
（パッソの不満点はシャシーであったのでエンジンはこれで十分だと思っていた）

その後、ヴィッツやiQに試乗して1KR-FEを試したところ、
バイブレーションの塊で、ぜんぜん走らない。
率直に「これの一体どこがいいのだ！」と憤慨していた。

先日、初代パッソの1000ccに試乗したときにはそれまでの印象が綺麗に塗り替えられた。
「軽とは違う」と明確に感じられるほどスターティングトルクが厚いのだ。
アクセルを少し開けたときのトルク感が過剰ではなく、力強い。

ロックアップ無しで市街地走行に主眼を置いた4ATを持ち、
大人二名乗車の発進は周囲の普通車に全く引けをとらない。
1300ccも性能的にはこれを上回るものの、出だしのトルク感が秀でていて、
必要ないじゃないかと思えるほどだった。

元々小さなボディサイズなので市街地、特に狭い路地は本当に気持ちよい。
例えば国道一号線のような幹線道路でも右走行車線を爆走しない限りは
力不足を感じるシーンはない。

それではパッソで困るシーンはと言うと、
ずばり急な上り坂である。
エアコンを使用して登坂させると、2速では登れないシーンが多々あり
排気量の絶対的な不足を感じさせる。（1速では登れるがビジーシフトに陥る）

逆に高速道路ではある程度回転数が上がっているため、トルクが出ているのと
ロックアップ無しのATのため、トルコンがショックを吸収して
思いのほかスムースに走ってくれていた。

やはりシャシー性能が低く、ちょっとしたワインディングや高速のランプウェイの
コーナリングしながらの段差乗り越えはショックがキャビン内に
そのまま飛び込んでくるような場面が散見された。

この部分はパッソのキャラクターとして完全に切り捨てられたなのでこれ以上言及しないが、

最新のCVTを採用して燃費最優先のために
ドラビリを切り捨てた1KR-FE搭載車よりも
素直なワイヤー引きスロットル＋4ATの初代パッソの方が
軽自動車との差をしっかり見せ付ける完成度を誇っていたところが面白い。

現行のパッソやヴィッツの場合、ハイギア側で振動を出しながら巡航させる
CVTのフィーリングの悪さゆえに1KR-FEの実力に気づかなかった。

近年、軽自動車の商品性がグッと上がってパッソクラスのコンパクトカーの販売が脅かされている。
税制上の面で維持費がグッと安くなることに対して対抗することは不可能。
だからと言って原価がそんなに変わらないので
アクセサリーの充実度や内外装で差をつけることも難しい。
こうなれば、走り出した瞬間に力強い走りで
軽との違いを見せ付ける方向のパッソのあり方は正しかったと思う。


持ち主は特にパッソの力強さに気づいていなかったが、
軽から乗り換えれば、市街地走行での力強さは歴然としており、
さすが軽を知るダイハツが世に送り出したコンパクトカーであると思った。

その反面、ドラビリを切り捨てた数字だけの燃費競争のために、
1KR-FEが失ってしまったものを考えると残念に思う。

メーカーは常に改良したとしか言わないが、
大切なものを失った「改良」と言うものもあると思う。
あまり懐古趣味は好きではないが、燃費のためなら
走らなくて良いというのは本末転倒である。

初代パッソのパワートレーンの出来栄えが良かったので日記にした。