オーナーは幼稚園からの同級生のお父さん。このご家庭ではクラウンを代々乗り継いでおり、前の所有者はゼロクラウンの2.5Lアスリートで18万km走破。私が物心ついていた頃は120に乗っていた記憶がある。アスリートにしたのは息子である友人のリクエストなのだとか。(自分も乗るからロイヤルは嫌だったとのこと)今回は2.5Lハイブリッド車を購入されたそうだ。息子情報いわく、「燃費が良くて気に入っている」とのこと。
同級生は私がマニアであることを理解してくれているので「乗ってみなよ」とキーを預けてくれた。同級生4人で温泉とラーメン屋へ向かった。発進させてすぐにわかるのは「ほんとに電気で発進できること」。車重が1.6tもあるセダンだが、発進は基本的にモーターで行うが同時期のプリウスと同じように40km/h前後でエンジンも動き出す。
振動に関しては意地悪な見方をしない限り分からないレベルだが、エンジン音の音質はやはりL4のそれだ。どうせ聞こえるにしても、もう少し良い音にできないものか。クラウンという高級ブランドだからこそ、配慮が欲しい。
市街地を普通に走っている間は電気で発進して、エンジンは上り坂などで始動する。下り坂では回生しながら下るためバッテリー残量が増えてゆく。充電状況が良く平坦な路面を走っているときは、70km/h程でも短時間のEV走行が可能となる。このときの静粛性は申し分ない。タイヤのパターンノイズも聞こえず、高級車に求められる走りを提供していると言えよう。
年末は飲食店が軒並み閉店してしまうため、ラーメンを食べるために自動車専用道路を走らせた。合流路で深くアクセルを踏み込むとパワーメーターは一気に
跳ね上がり、クラウンらしい(?)豪快な加速を見せてくれる。普段は大人しく乗っていて時々下品な加速をする程度の使い方なら、エンジンが2.5Lにダウンサイジングされていても十分だと感じた。大人4人が乗った状況で高速走行や上り坂を試したが力不足を感じるシーンは皆無だった。ちなみに、ほとんどECOモードで使用していたが、非力感はほとんど感じなかった。これから普段使いはずっとECOでも問題がなさそうだ。
しばらく運転していると、バッテリーがずいぶんと溜まってきた。バッテリーが十分にあると、EV走行を積極的に行うため燃費が良い。その後、バッテリー残量が不足してくると、エンジンが始動されて燃費が悪い状況が続き、バッテリー残量が増えるとEV走行を、という繰り返しで走るため、平均燃費をグラフにすると、上がったり下がったりののこぎり型の波形になる。
燃費は私が普通に乗って17km/L前後。同級生のお父さんは毎日高速通勤をしているそうで、履歴を確認すると平均18km/L程度の燃費が出ていてクラスを考えると燃費はずいぶんと良い。ちなみにカタログ値は23.2km/L、e燃費投稿値だと14.86km/Lであった。
このクラスは私自身の引き出しが少ないため、スカイラインやフーガくらいにしか乗ったことが無いが、クラウンに求められる動力性能を確保しつつ、思いっきり燃費に振った作戦はまずまず成功なのではないかと思う。
L4エンジンの音質には不満が残るが、ちゃんとV6も残されているのでそちらを選べば、今後絶滅するかもしれないマルチシリンダーエンジンの滑らかな回転と音を堪能できる。あまり限界域を試すことはできなかったのだが、今の日本の高級車の実力を学ぶ良い機会だった。
(2021年注)
このときの試乗は独身の30歳の同級生4人が地元で2013年の大晦日を楽しんでいた。ラーメン屋にいった後は地元の温泉へ。温泉は他のお客さんが誰も居ない貸し切り状態。みんな長風呂が好きで人生について語り合った。2人はお付き合いしている人が居て「自分の親に紹介する、実は新年彼女が奈良に来るんだ」「プロポーズする事に決めた」という報告をそれぞれ受けた。いい人が居ない二人は「えっ!」と驚きつつ、最大限に祝福。その中の一人は密かに気になっている人が居たが、動き出せずにいた。先行する2名から「行け、行くしか無い」との熱い後押しがあった。結局その人が動き出したのは3月の事ですが、あの温泉での長風呂は長い人生で大事な時間だったなと今になっても昨日のことのように思い出されますし、今でもたまにそのことを話題にするのです。ってクラウンの話じゃ無くて済みません、でもこの時まさかクラウンがSUVになるとかFFになるとかそんな報道を目にする時代が来るなんて想いもしませんでした。
新年早々、竜王の地で開催されたシャレードオフ。そこに来場されていたシティに試乗させてもらった。(あまりにも涎を垂らして見ていたのがバレてしまった模様)
子供の頃からシティは好きなクルマで、クリーンなデザインが魅力的。長く・低くを追求することだけが美しいと考えられていた時代にトールボーイコンセプトを引っさげたシティはジウジアーロのメガガンマを思い出させる高効率パッケージングを誇る。ざっくり言えばカローラスパシオとかキャパとかパイザーみたいなクルマを1978年に思いつくジウジアーロ氏は天才。そして1981年に商品化したホンダのスピード感もすごい。
それはさておきシティ。あの有名なCMは大きくなってから見ました。当時流行していたナントカMXというソフトでmp3を入手し、Honda CMソング集を作ってよく聞いたものです。カラオケでもマッドネスを探して「ホンダホンダホンダホンダ」と歌ったりすると周囲はドン引き。(聞いてる人はこの曲知らない)
シティのホットバージョンがターボエンジン搭載のターボII。インタークーラーが装着された事で最高出力が110psをマークするとのこと。当然ながら小さくて速い。しかもスポーツモデルとはいえ背が高いという当時の他の誰にも似ていない強烈な個性を持っている。
オーナー様のご好意に甘えさせていただく形で一周ほど運転させていただいた。
発進時のクラッチミートに失敗してエンスト(恥)角度が立ち気味のステアリングポストをぐるぐる回して念願の初代CITYを運転する。
各ピラーが細くて開放感が抜群にいい。当時は衝突安全でピラーを太くする必要性が無かったためだろうが、自分の車も含めてピラーが細い車に乗った後に現代の車に乗ると、その太さに驚いてしまう。ハイドロフォームのパイプ曲げ構造のピラーなど、車体骨格の進化が必要になると思われる。
アクセルを踏み込むと、バーグラフ式のブーストメーターのセグメントが上がっていく様子はハチマル世代の脳の中枢を刺激する。ホンダは当時、F1にターボエンジンで参戦していましたが、そのイメージを最大限に反映し、シティに投影していたホンダの企画力は凄い。
トヨタはハイブリッドの耐久マシンを作っているけれど、その辺のアピールは無いに等しいのが残念。AUDIもディーゼルで強いマシンを持っているのに日本では総スルーというのも寂しいものだ。
そんなこんなで健康的パッケージングと、トールボーイなのにパワフルなCITYターボIIに乗ることができて感激しました。本当に感謝。
イカさんの新しい旧車。
3代目シャレードのホットバージョン。
乗っていいですよ、というお言葉にまたしても甘えさせていただいた。
夕暮れ時にシャレードを見ると、低い車体が現代のハッチバックと比べて明らかに異様なたたずまいを見せる。更に、フェンダーまわりの造形は豊かで艶めかしい。緊張感がありながら、優雅なエロチックな良さがある。薄暗いから影が濃くなって、一層陰影が強調されるのだ。
以前、仕事でお世話になっていた40代の人と話した際、その人が始めて買った車が、これと同じ三代目シャレードだった。理由は「大好きだったフランス車っぽい雰囲気があったんだよね」とのこと。このエロさはそういうラテン系コンパクトと共通点があるらしい。確かに大阪は日本のラテンかも知れない。
乗り込んでエンジンをかけると勇ましいエンジン音。どうやら排気系に穴が開いている模様。カローラと比べると更にスポーティな音質だ。
ギアを入れて走らせる。1速で発進させたときに明らかな力強さを感じた。エンジンは3気筒1000ccDOHC12バルブターボ。ベースは従来からあるNAユニットなのだそうで、トヨタ式にヘッドを新設計して各部を適合させたのだろう。タコメーターを見ると、7000rpmまでは余裕で回るようだ。リッターカーとは思えない息の長い加速を見せる。
本来、排気系に穴が開いていればトルクは大幅に低下し、市街地では乗りにくくなるはずであるのに、シャレードGT-XXは全くモタつく気配が無い。これは、相当に下のトルクが強大であるためであろう。ベースエンジンも相当にトルクフルだった。エンジンはかなりバルブ挟み角が広く古典的設計だ。フォードが誇る最新のエコブーストのユニットと比較してみたい。
Fordのエコブーストエンジン
排気量:997cc ボア×ストローク:71.9×81.9
最高出力100ps/6000rpm 最大トルク17.3kgm/1400-4000rpm JC08モード燃費17.7km/L
ダイハツのCB-70型エンジン
排気量:993cc ボア×ストローク:76×73
最高出力105ps/6500rpm 最大トルク13.3kgm/3500rpm 10モード燃費16km/L
トルクではさすがに26年間の時の流れを十分に感じるが、スペック的には良く似ていて1000ccでありながら1500~1600ccクラスの実力を持っている。フォードはそのエンジンをダウンサイジングに使い、ダイハツは速さのために使った。
このエンジンで810kgの車体を引っ張るのだから、GT-XXは不当なほど速い。(ちなみにフィエスタは1160kgと現代のBセグの中では少し重い)しかも、ミラターボのような「死の香り」が相当に薄まっている部分が憎い。わざわざ高い税金を払って乗る価値があるだけの安定感と速さが同居したオトナ風なのだ。
私もせっかくの機会であるから、少し意地悪な乗り方をするのだが前輪が暴れだしたり、どこかへ飛んでいってしまいそうな挙動は全く見せない。アクセルを踏めば息の長い加速をし、コーナリングも鼻先が軽く、重量配分も良い。軽とは違い乗り味はあくまでも、しなやかさの中に速さが同居している。しかも、バランスシャフトが着いているので4気筒エンジンと比べてNV性能も同等以上レベルを確保できている。(ここが現代の3気筒と決定的に違う)エンジン振動に伴うステアリング振動も小さかった。
内装はヒップポイントが低いが、インパネも低いため閉塞感は無くスポーティ。現代のコンパクトカーとは違い、低めのドラポジでも十分受け入れられる市場だった。硬質樹脂のインパネの質感はそれほど高いわけではないが、軽との違いは広さで感じさせている。ステアリングは現代のスポーツモデルなら革巻きを奢るところをGT-XXはウレタン製としている。恐らく交換を前提としているのだろう。
持ち主の方のコメントによると、サーキットではふわわkmが狙える程速いのだという。乗って見て納得の出来栄え、と言うより1987年(当時はGTti名義)にこんな楽しい車が販売されていたことも驚きである。
そもそも月に100台も売れないようなグレードのために専用のスポーツエンジンを開発する事は現代では不可能に近い。現代の自動車メーカーは日本・北米・欧州・新興国と全く好みの異なる地域性に最適なエンジン(やクルマ)を開発し、その上で次世代エネルギーの研究も真剣に取り組んでいる。
26年前とは違う部分も理解しているつもりでいる。しかし、一度運転してしまうと2014年のダイハツの本気が見たい、という気持ちがもたげてくることは止むを得ないのだ。
ところで、1987年にデビューしたシャレードはGT-tiというグレードで、黒バンパー、鉄ちんホイールで本体価格137万円だったそうだ。モデル末期の1989年式のマーチスーパーターボは930ccで115.3万円、1988年式のカルタスGT-iは1300ccで133.4万円、モデルチェンジ直後の1989年式のスターレット1.3GTは1300ccで131.5万円であった。相場と比べると少々高かった。
そこでRrシートの独特な構造をファミリー向けモデルと共通化しながらも装備を充実させたGT-XXをマイナーチェンジで登場させ、117万円に改定した。グッとお買い得度が増したものの、カルタスやスターレットと比べるとまだまだ割高感は否めない。
競合車と比べるとグッとヨーロピアンなデザインや大人な走りは魅力的であったが、このエンジンは3代目シャレードのみのラインナップで幕を下ろした。
後々の世を生きる私にとってシャレードのドライビング体験は強烈で刺激的だった。現代の経営環境では産まれる可能性すらないダイハツらしい通好みのホットハッチを味わうことができた。
ここも詳しいのでG100系にピンと来た方はどうぞ。
(2021年注)
イカさんに尋ねたところ、このシャレードは現在は別のマニアの手に渡り動態保存されているそうだ。今でもシャレードGT-XXの強烈な走りを思い出す。1000ccとは思えない瞬発力と息の長い加速。完全なトヨタ傘下となった今、ダイハツは再び1000ccツインカムターボ(98ps/14.3kgm)を積んだトールとロッキーを擁している。スズキもスイフトやクロスビー1000ccツインカムターボ(99ps/15.3kgm)を積んでおり、当時は変則的なエンジンの扱いだったが、ホンダも類似するスペックのエンジンを開発中と言われており、ダウンサイジング時代の中心的な排気量になる日も近い。最もシャレードの場合そのステータスをすべて刺激的な速さに振り切ったあたりが当時らしい。思えばVWのTSIコンセプトに先駆けた日産マーチの(S/CとT/Cを組み合わせて全域で速い)スーパーターボも高効率ではなく速さのためのメカニズムだった。割高なため、売れなかったと言われていても現代のBセグホットハッチの高額さを考えると十分手が届く価格であり、ないものねだりなのは承知の上で、自動車と日本人の青春時代が羨ましく思う。
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