ホンダクイントインテグラは1985年にデビュー。クイントにインテグラのサブネームをつけてリトラクタブルヘッドライトと強烈なウエッジシェイプ、そして全車DOHCというスポーティなキャラクターで完全に先代クイントの劣勢を跳ね返した。山下達郎の歌うCMソングも有名だが、私個人の思い出なら青いトミカを持っておりよくコレで遊んだ。
試乗車は1987年式の4ドアセダンVXで行きつけのお店の店主の車だ。
某ハチマル誌にも掲載された個体だが、アルバイト時代の友人タケヲ君が乗っているVXのドッペルゲンガーだ。ちょっと違うのはシフトレバーの形状でタケヲ君の愛機がATであるのに対し、店主のそれはMTなのである。
2015年の7月にクイントインテグラVXのATとMTを乗り比べた人って相当ラッキーだと言えるだろう。これは個人的に誇りに思う。
プレスリリースを調べたが、インテグラセダンは1986年10月24日デビューで価格(大阪)はMT128.1万円でATは+7.5万円。車重がMTが910kgでATは20kg重くなる。
簡単に試乗させてもらった。乗り込んでE/Gをかけるまではタケヲ号と一緒だ。クラッチを切り1速に入れる。静々とATのVXは走り始める。古くは世界で初めてマスキー法をクリアしたという革命的なCVCCエンジンの最後の世代であるEW型1.5L SOHC12バルブエンジンが積まれている。スペックも大人しく最高出力76ps/6000rpm、最大トルク11.8kg/3500rpmという当時としても無難なユニットがセダンのみに選択されている。
マイルドな動力性能はエンジンが同じなので絶対的な速さは無いが、使用している回転域はMTの方が高くなりがちだった。意外と低速型の実用エンジンだからこそATでもマッチングは良いなぁと思った次第だが、絶対的な速さ自体はMTの方が優れていた。
シフトタイミングを自分の意思で変えられる利点を駆使すればまずまずの動力性能を持っているが、今回の市場に限った感想ならインテグラ=全車DOHCの高性能車、のイメージよりもスタイリッシュな実用車、のイメージが勝る。
・・・というよりも私の人生のクイントインテグラの経験値がこの二台しか無いため、実はDOHCエンジン搭載の経験が無いのだった(笑)。
思い起こせば、自身が運転したことのある本格的なホンダのスポーツエンジン車ってバイト先の先輩のスポーツシビックのSiR、高専同級生が乗っていたS2000、
そしてぽみゅさんのアスコットだけなのだ。
実家のステップワゴンは2000ccDOHCのi-VTECだがごくごくマイルド。数少ないホンダのNAスポーツエンジンは怖いくらいに速かった。(遠い目)
(2021年追記)
クイントインテグラVXは刺激という面では他のグレードに一歩も二歩も譲ることは事実だが、それでも低めのヒップポイントで80年代のホンダらしい地を這うようなフィーリングとリトラクタブルヘッドライトの特別感は十分に私に当時の空気感を取り戻させてくれる。幼稚園児だった当時、親が運転する車の後席で立て膝を着いて後ろを見ていて、リトラクタブルヘッドライトの車が走っていたら、「ヘッドライトをあげてくれ」というジェスチャーをするとパカパカヘッドライトを上げ下げしてくれるお兄さんが結構な確率で存在した。(大抵、デート中のカップルなんだけど)私はそれを見て大喜びで彼らに手を振ったが、親からやめなさいと叱られたものだ。
アルバイト先で一緒だったタケヲ君は親御さんが乗られていたインテグラVXでハチマルミーティング(エコパ時代)に一緒に出かけたことがある。帰りはお互いにカローラとインテグラで交換して高速道路を走らせた。トンネルに入って前を走るタンクローリーに映り込んだインテグラのヘッドライトがせり出してくる瞬間は我ながら釘付けになったものだ。
日曜日の渋滞路では隣の車線のミニバンに乗る子供たちにヘッドライトを上げ下げしてみたらとても喜ばれたので何だか当時のお兄さんになったような気分だったのを思い出した。DOHCが無くたってクイントインテグラは、やはり楽しい車だったのである。
これも店主のお気に入りの一台。
ジウジアーロデザインとの噂だが、言われて見れば確かにショーカーとの関連性も垣間見られる。この3世代目のコルサは初代からの独創的な縦置き二階建てFFからコンベンショナルな横置きFFに変身を遂げ、一足速く登場したスターレットと共通のP/Fとなり、スターレットのちょっと上級を謳った。
現代人の目から見ると、似て非なる車種を持つ無駄を感じそうだが当時はこういったきめ細かい商品戦略を簡単にやってのけた。外装は薄い灯火類がスターレットとは違う大人びた雰囲気を持っている。差別化は徹底しており、スターレットには無い1500ガソリンのラインナップ、ディーゼルもターボ化され、スターレットには無い6ライト構成(5ドアのみ)、インパネもカローラクラスのデザインが与えられて差別化は徹底していた。特に目玉になったのはリトラクタブルヘッドライトを持った「リトラ」系列だ。当時は未来的で本当にかっこよく映った。
本来、ノーズを低くする為のリトラなのだが、EL3#のフード高さは標準モデルと変わらない。Frバンパーを分厚く作ることでリトラのデザインを自然に見せている。この辺りはうまく作り分けしているなぁと感心してしまった。フードを開けると、ラジエーターサポートはばっちりリトラに合わせて設計されていた。
このEL3#系だが、私の親戚がKE70カローラGLに代わりモデル末期に大幅値引きでカローラII Windyに乗っており、子供のころは良く乗せてもらった。4速MTでステアリングは革のハンドルカバーが付けられていた。確か1995年くらいまでは乗っていたように思う。
もう時効だが、利根川河川敷の誰もいない原っぱでこの車を動かしていいと親戚から言われた事があった。
*S学生時代の私は喜び勇んで運転席に座り、シートベルトを締めてエンジンをかけた。クラッチを踏んでギアを入れるところまでは出来たのだが、半クラッチと言う繊細な操作を把握していなかった私は、ついぞこの車を動かすことは出来なかった。(その後、親戚の次の愛車であるハイラックスSSRで雪辱を果たすこととなった。脳震盪を起こしそうになったが)
2000年代初頭、従姉がEL5#のスーパーWindyに乗っていた。女性なのに珍しく4MT車を選んだので良く乗せてもらったものだが、その時は、ものすごくぼんやりした乗り味だった事を覚えている。
乗り心地も柔らかいようでドシンと衝撃が来る、加速は良いんだけど、後が続かない。ステアリングインフォメーションが希薄・・・・などなど。
そのときの経験からか、タコIIと言う車種は何となくぼんやりした中庸な車、という印象を持っていた。特に5#系で余りにも積極的な原価改善活動を行った。結果的に安さ以外の魅力が分かりにくい車になってしまい、上記のような認識に繋がっていた。
2015年7月、私は生まれて初めてEL30を運転する機会に恵まれた。コルサ ソフィアという1300の上位グレードでエンジンは2E。かつて実家で保有していたスターレットと同じだ。エンジンをかけると、調子よく一発始動。脳内BGMは原田さん。(車種違うし全然ノーマルルーフだけど)
懐かしい塩ビのシフトノブを1速に入れそっと発進。コルサはスッと発進した。歩道を越えて本線合流したが、驚いた。ものすごく加速が良い。73ps、12kgmなどという控えめなスペックをあざ笑うかのごとく加速。2速にシフトアップしてホイールスピン(路面はウェット)。私は850kgという車重を見落としていたようだ。
感心してしまうほど加速が良く伸びる。4速に入ると、比較的低回転を維持したままトルクフルな走りを見せてくれる。高速道路をハイスピードで走らせるシーンでは回転数が上がりそうだが、市街地を元気に走らせるには十分な駆動力が出ている。
交差点を元気に曲がっても、145タイヤのグリップ力では少し心許無い印象もあるが、楽しさと言う意味では申し分なし。乗り心地は特筆すべき点は無いが、シンプルな車が楽しい、という原理原則を今なお私たちに教えてくれる楽しい車だった。
ところでEL5#系のもっさり感はなんだったのかと言う話になる。モデルチェンジを繰り返す中で、角を丸く、柔らかく、という方向に振り過ぎてしまったのかもしれないな、と想像。(新車を並べて乗ってみないと答えはでないが)
トヨタの傾向としてネガをつぶす代わりに魅力を均してしまうフルモデルチェンジの悪癖がなせる業だったのかも。或いは私がEL5#に乗ったのは若かりし頃で、今運転するとまた違った感想になるのかもしれない。スタイリッシュなのはEL3#の方だと思うが。
現代のベーシックカーとコルサが最も異なるのは軽との差別化がきちんと出来ている点だ。走りが良いし、内装も良い。(デザインも質感も上)個人的にこれからの登録車が軽との競合を考える上でアピールすべきは安心感と走りの質の良さであると考えており、コルサの時代はアピールが自然に出来ていたと感じる。
貴重な体験をさせていただいて感謝。
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