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2022年05月30日

2021年式ノート・オーラ ミニ感想文

2021年式ノート・オーラ ミニ感想文
レビュー情報
メーカー/モデル名 日産 / オーラ e-POWER G レザーエディション(1.2) (2021年)
乗車人数 2人
使用目的 その他
乗車形式 試乗
総合評価
おすすめ度
3
満足している点 1.内外装全体のセンスの良い高級感
2.Bセグとして優れた静粛性
3.3気筒を感じさせないエンジン振動
4.瞬時に反応するアクセルレスポンス
5.敢えて舗装悪路を走りたくなる乗り心地
不満な点 1.肝心なところがしょぼい内装
2.標準装備されないプロパイロット
3.誰でも気づくレベルのE/G起動時こもり音
4.操縦性はおっとりタイプで少し物足りない
5.起動時のECOモード固定
6.(カタログから一切技術情報が省かれている)
総評 ●アリア・スピリット(日産ブレイド)
すでにノートeパワーには試乗済の為、基本的にはオーラとして変わった部分を中心に触れるが、一部重複する。

現行型ノートに試乗した際、価格を考えると中途半端な仕様、どこかやりきっていない生煮え感を感じていたが、2020年当時から既に上級版たるオーラの存在が仄めかされており、2021年にようやくオーラが発売された。実質的にはノート派生車オーラなのだが、日産のカタログやWEBサイトでは「日産オーラ」として別モデル扱いされている。

オーラは基本的にノートに高級感を付与した存在だ。専用のFrマスクや光る面積が増やされたRrコンビランプ、専用17インチホイールに留まらず、車幅を小型車枠を超えた1735mmとし、Rrクオーター部は豊かな張り出しを見せて力強くなった。外装はノートのフェイスリフトという感じだが、差別化はかなり効果的で少なくともFrから見る限りノートとは別物に見える。一方Rrはノートとイメージは変わらないがカラードバンパーとRrコンビランプの違いはノートオーナーならすぐ気づくだろう。ノートは純EVアリアのイメージを拝借しているがオーラではFrマスクに代表されるイメージがアリアに一層近づいた。

内装はノートと基本的な意匠を共有しながら加飾によって差別化を図っている。具体的にはトリムにファブリックを巻いてオーナメントに木目調フィルムを貼付けている。素材としては必ずしも高級なわけでは無い(特にフィルムは近くで見ると画像の解像度が低く印刷の粒度が粗い)が、パッと見た感じの高級感はC32ローレル(畏れ多い)や初代ティアナ、ティーダに共通するセンスを感じる。ヘリンボーン柄のシートクロスに組み合わせた茶色の合皮や白い革シートと組み合わされる明るい木目調パネルの色調などデザインで頑張っている。

ただ、スタート価格261万円というBセグとしては高価なハッチバック車としてはドアトリムやインパネの硬質樹脂が剥き出しだったり、Rr空調吹出し口が無いのはちょっと物足りない。せめて思い切ってソフトパッドにするとか見える部分だけ別意匠にしてノートとは違う見せ方にする工夫があれば良かった。内外装は「Bセグ実用車にお化粧をしただけの車」という足元の弱さが垣間見える。

メカニズムはノートと基本構成を共にしつつもモーター出力をアップ(85kW/280Nm→100kW/300Nm)している。発電用E/Gのスペックは共通なのでモーターの味付け違いに過ぎないのだが、試乗するとこの差が小さくなかった。例えばガソリン車でこの違いを出そうとしたら一般的には排気量アップが必要で相場的に2~30万円高くなるし、同一排気量でやるならE/G本体をいじらないと性能差が出ないが、モーターならプログラムの書き換えで済むところが電動車のメリットだ。

広い道路でグッとアクセルを踏んでみたが、加速感が気持ちよく伸びるのは100%モーター駆動ならではだ。発電用E/Gは回っているがE/Gノイズは気にならない。駆動用バッテリーが小さいので頻繁にE/Gが掛かるが、そのタイミングは良く吟味されている。走っている限りE/Gが掛かって嫌な思いをする可能性は低いだろう。すぐにE/Gが掛かると言うよりずっと掛かっていた初期のe-POWERのがっかり感が、相当解消されているのは素直に凄い。更に3気筒E/Gなのにブルブルした振動を一切感じさせないし耳につく音もない。E/Gを使いながら見かけのEV感を出す為にE/G音を目立たなくする、他のロードノイズや風切り音も遮音吸音するという考えは正しい。すごいのはこのクラスでドアガラスを遮音膜付きの合わせガラス(アコースティックガラス)を採用するなどコストをしっかりかけている。ドライバビリティも良い。モーター走行のメリットとしてレスポンスの良さがあるが、オーラも微小なアクセル操作に対してもレスポンスが良く走りやすい。

また荒れたアスファルト路面を通過したときのロードノイズが小さく、乗り心地もまろやかだ。Bセグは路面の凹凸や段差ではドシンと来がちだが、オーラは巧みにいなしている。205/50R17というという大径タイヤを履いている割にタイヤがドタバタしないので舗装の悪いでこぼこ道を見てもうんざりしないで済む。

走らせた印象は確かにノート以上に良いし周囲のライバルと十分に棲み分けが出来ている。オーラが採用するe-POWER(シリーズ式ハイブリッド)はE/Gの動力で発電し、その電気をバッテリーに貯めて、バッテリーからモーターに供給して駆動するので変換ロスや非効率領域を許容するメカニズムだ。それでもオーラの走りは確かにプレミアム感が感じられる領域にあると感じられた。

ただ、どうしても苦言を呈したくなるのは停止中のE/G起動音が強烈なこもり音であることだ。こもり音は低い周波数の音だが、走行時はロードノイズでごまかせる。一方で停止中は誰でも気づくレベルのこもり音が極めて残念だ。コストは掛かるがU13ブルで採用したアクティブノイズコントロールの出番なのでは無いか?

総合的にはオーラの内外装や走りの質感は概ね好感を持った。ショールームで眺めて・一般道を試乗してみて良いなと思える部分を持っている。オーラはE/Gの存在を消してレスポンスの良さを活かしたEV風の乗り味とデザインエッセンスでアリアを投影している。まるで日産版ブレイドのような車だと思った。ブレイドもオーリスをベースに大排気量エンジンを積み、内外装を専用デザインとしているだけでなく、フロントマスクはうっすらとクラウンを匂わせていた。誰でも分かる走りの違いを持ちながら、ベース車と共通金型を流用する制約上、どこか単なる高加飾版という範疇から出られなかった部分もオーラとよく似ている。

ノートに対して差別化した部分は基本的にうまくいっている。しかし「別車種です」とか「真の上質」とか言われてしまうと少し反発心を持ってしまう。ちょっと大げさにアピールし過ぎなのだ。先代にあったノート・メダリストの新型として見れば納得感がある。その意味でノート+40万円以上という高い値付けは割高だし、相変わらずプロパイロットが40万円のセットオプションも問題ありだ。プロパイロットが無くてもレーダークルコンを別OPT設定するなど、柔軟性のある仕様設定にすべきでは無いか。せめてBOSEはセットOPTから省いても良いのでは?(それだけで10万円は安く出来る)

それでも本革ステアリングやスマートキー、LEDヘッドライトは標準装備されているので(セットオプション地獄の)ノートよりはマシだ。ついでに仕様に関して言えば他車が採用を推進している1500Wインバータの設定がない点は勿体ない。BEVでV2Hなんて言ってるよりe-POWERでそれをやる方が余程有意義な装備だと思うのだが。

●クルコン単独OPT設定など柔軟な仕様設定を望む
個人的には内装の好みでノーマルのGのFFを選ぶ。オーラの革シートはシート空調がないので夏場に蒸れるからだ。プロパイロットは年に数回以上高速道路の長距離ツーリングをするかどうかで判断すれば良い。仮に我が家のデミオ代替として考えるならプロパイロットは欲しい。ボディカラーはバーガンディーが良いかなと。これで車両本体価格301.1万円である。ここにベーシックパックプラス(マット・バイザー・トノカバー・ドラレコ・ナンバーフレーム・ナンバーロックボルト)が16万円。オンライン見積もりでは5月登録で328.4万円と出た。素のノートより一クラス上の価格帯になる。

ほぼ同条件のノートで290万以上支払うなら走りの向上分や内外装の向上分を見込んでオーラを選ぶのは悪くない。(逆にノートはオプションを割切らないと割高な車になってしまう)

蛇足だが、カタログにほとんど技術的な情報が書かれていないことに驚いた。カタログにはイメージカットとカラーバリエーションと諸元表や主要装備表のみ。まだコモディティ化していないはずの自動車のカタログがまるで化粧品のカタログのようにイメージだけを謳うとは。

エルメスさんが出てるオーラのCMは良いなと思ったが、薄っぺらいカタログはガッカリした。技術解説は興味を持ってもらえないのかもしれない。技術情報はネット記事と有料カタログ(全て本・新車情報誌)を買うしか無いのは残念。

●まとめ
冒頭にも書いたとおりノートの不完全な部分がオーラによって完成したという印象だ。ノートと共通化し、意匠差別化にお金を使い、動的性能もe-POWER特有のメリットを活かしてモーターのセッティングだけで性能アップを図り、乗ればすぐ分かる性能差を得た。ハイブリッドがエコの為の技術であるならばe-POWERに見るべきところは無い。しかし、e-POWERはEVライクな運転感覚を気軽に手に入れる為のハイブリッドなので運転したときの気持ちよさを重視している。私はこの方向性はアリだと思う。ただ、Bセグという割に価格は平気で300万円を超えてくる以上は、私が指摘した停車時こもり音や耐傷付き性の高いトリムなど採用して欲しい。

お薦め度は★3つ。ノート+1の理由は装備・仕様の充実と走りのレベルアップによって価格に対する説得力が上がったからだ。
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Posted at 2022/05/31 00:43:40

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この記事へのコメント

2022年5月31日 22:17
詳細なリポート、興味深く読みました。

個人的にこのクルマは「ノート・マキシマ」の名前にしてほしかったです。作っている側からは「もう昔には先祖返りせず、新しくしたい」と言われることでしょうけど…。

Bセグとは言うものの、クルマの体積&車重はU11~U12ブルーバードと大差なく、実質的に80年代のDセグだと思います(電池分を差し引いたとしても)。
不人気だったU11の中でも、豪華志向のマキシマは国内販売で健闘していて、あの立ち位置にオーラが近いように見えるのです。

オーラの現車を見て、内装が初代セフィーロのダンディインテリアみたいに感じました。「日産車に見える」ことはイイことですし、お客さんの選択肢が増えることで新車市場の活性化に繋がって、競合車にとっても良い波及効果が見込めると思います。
コメントへの返答
2022年6月1日 23:00
コメント有り難うございます。

確かにマキシマですね!本国?ではアルティマに改名してるしノートマキシマで良いのに(笑)

ノートに漂う物足りなさをカバー出来たからこそオーラは好評を博しているのだと思います。逆に言えばオーラを基準にノートは何かを間引かれているとも言えるのですが。

オーラは内装が良いですね。Bセグとしてトップクラスのセンスを感じます。マテリアルの選び方に過去の名車のセンスの良さを引き継いだ感があり、過去のセダンに乗られていた元オーナー達の心に引っかかる物があればいいのですが。

願わくば、このセンスが息づいた本当の新型セダンが一台でも出れば良いんですけどね。(せめてスカイライン…)

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