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2023年03月19日

2022年式ボルボXC40 Plus Pro B3感想文

2022年式ボルボXC40 Plus Pro B3感想文
レビュー情報
メーカー/モデル名 ボルボ / XC40 プラス プロ B3_RHD(DCT_2.0) (2022年)
乗車人数 1人
使用目的 その他
乗車形式 レンタカー
総合評価
おすすめ度
3
満足している点 1.とにかく乗り心地が良い
2.VOLVOらしさ満開のエクステリアデザイン
3.前席のゆとり
不満な点 1.加減速時のレスポンスの悪さ
2.ストレスフルなCTR液晶パネル
3.1000rpm+αのこもり音
総評 ●都市型を名乗るのに絶妙なサイズ感
ボルボXC40はコンパクトシティSUVとして2017年に発表され、日本では2018年から発売された。欧州カーオブザイヤーや日本カーオブザイヤーに選ばれるなど世界的に評価されているモデルである。

現在のボルボのSUVラインナップは3列大型のXC90と2列中型のXC60の下に位置するエントリーモデルだ。世界的にSUVが持てはやされる中、環境が厳しいスウェーデンに本社を構えるボルボはこのブームには乗りやすい立場だった。伝統的なセダンとステーションワゴン以外のハッチバック(V40)やパーソナルコンパクト(C30)に見切りをつけて一気にSUVシフトを推進した。

XC40は安全装備はXC60に遜色ないレベルを維持しながらボルボらしいデザイン性と扱いやすいボディサイズを持っている。全長は4.4mクラスなので国産車だとCX-30やZR-Vに近いCセグメントだ。家族4人でも困らないが、シングルやカップルではゆとりのあるサイズと言える。すなわちパーソナルカーからファミリーカーまでをカバー出来る美味しいサイズ感だ。



短時間ながらXC40で高速道路以外の多くの道路を走らせた。下位グレードながら国産同クラスのSUVとは異なるセンスと肩の力が抜けたエンジニアリングが心地よい。大昔から価格帯が近い上級車の低グレードと下級車の最上級グレードで比較するなら前者が良いという説があった。それは、上級車はアクセサリーよりも自動車としての基本的な部分(ボディシェルの骨格系など)にコストが掛かっており、人を運ぶ道具としての本質は上級車の方が素性が良いという理屈であった。今ではP/F戦略とか一括企画とかグレードマネージメントとかそんな言葉が現われてきて先に述べた関係が逆転している例もあるらしい。(アクセサリー以外の見えないところも下級グレードは簡素化してしまう)

XC40に試乗してみると、ムードのある上級グレードでなくても道具としての良さを感じさせる高級感をちゃんと持っていた。

試乗した車両本体価格が509万円だが、パールホワイト(+13万円)、シートヒーターなどが追加されるクライメートPKG(8万円)、ダークティンテッドガラス(+5.1万円)が追加されているので総額535.1万円である。

E/Gパフォーマンスを考えると2.5L級の実力を持っているから、相場的なスタート価格は275万円+30万円(SUVプレミアム)=305万円程度だ。XC40のスタート価格は469万円だから164万円も高い。その分はボルボが提供するプレミアム性の対価だと考えたい。

サイズや価格帯から3008やミニクロスオーバー、など競合関係にあるモデルは多い。XC40は比較的落ち着いているがチープさはないのはセンスがなせる業であり、個性的な造形でドヤるよりも、センスの良さでさりげなく高級というこっそり贅沢が出来る一台だった。予算とメインカーが別にあるならBEVを選ぶのも悪くないが今回試乗したマイルドハイブリッドの肩の力の抜け具合が意外に良かった。安いグレードだが、敢えて選んでます感」さえ感じられた。

絶対的な価格は国産モデルと比べると明らかに高額なのも事実だ。10年ほど前にデビューしたV40の戦略的な価格設定からすればお買い得感がないというか、明らかに高い。この様な価格で販売できる辺りがSUVの持つ魔力のように思うが、私のような貧乏人は煩悩が止まらないので「せっかく500万円超えるクルマ買うんだからもっと派手でエモーショナルな・・・」なんて感じてしまいがちなのが私の感覚というか情けないところである。はははは。

項目別評価
デザイン
☆☆☆☆☆ 4
●外装



最近のボルボらしい主張のあるエクステリアデザインはトールハンマータイプと呼ばれるヘッドライトやクラムシェル型のエンジンフード、水平基調ながらRrドアで切れ上がるクオータ、そしてカリブ亡き後にボルボのアイデンティティーにもなった縦型Rrコンビランプなどボルボらしさ全開の見た目は初めてボルボを選ぶターゲットや既存のダウンサイザーにも十分満足感を与えるだろう。



ボルボが長年培ってきたタフさをベースに過装飾にならない良い塩梅でまとめられている。

●内装

インテリアも「センスに優れたデザイン」というイメージを損なわないスタイリッシュさだ。



ナビ画面も映し出せる全面液晶メーターや8.7インチ縦型ディスプレイを中心に縦型デザインの空調吹出し口など外観よりもちょっとアクが強めだがボルボ独自のガラス製ギアセレクター(最上級グレード専用装備)が印象を引き締めている。必ず触るものに特徴を与えるのは自動車のような製品には重要なことである。

実はボルボのガラスセレクターは全てコスタという街で手作り(金型は存在する)で生産されると言う。設備都合もあり日産50個ペースでしか生産できないというが、、そのうち検査を合格するのは7割ほど。不良率3割の製品は通常のマスプロダクションでは考えられないから、スカンジナビアン・プレミアムを象徴する部品と言えるだろう。

試乗車はPlus Pro B3という下から2番目のグレードなのでさぞかし不良率の小さそうな樹脂成形品が着く。



それでも横から見ると真ん中が抜けたシースルーデザインを採用しており、安くてもオッと思わせるものを持っている。

テスラがやっているから世界中の自動車メーカーが追従する縦型ディスプレイは、コストのかかる物理スイッチを飛躍的に削減するアイテムだ。インフォテイメントシステムとしてユーザーが望む方向性との一致するのでディスプレイの大型化はこれからも止まらないだろう。



他車もXC40もそうだが画面は大きいが日中にディスプレイは光が反射して見にくいし、走行中に正確にタッチパネルを触ることは非常に困難である。目線が前方から切れてしまうことは現実問題として多くなりそうで、「先進安全装備があるからええやろ?」とは思えない。

テスラの場合、新興勢力らしい型破りのプロダクトによる強烈な個性で許容されてたが、だからといって全ての自動車メーカーがこれに倣って物理スイッチをやめて不便な大型ディスプレイに傾倒するのはむしろ害悪である。

運転席は流石のたっぷり感でボルボへの期待を裏切らない。非電動ながら長身者向けの座面延長機構も備わり「これこれ!」と声が出そうになった。



形鋼ヒンジを贅沢に使った剛性感のあるドアを閉めドラポジを確認した。新世代P/F CMFの成果なのかドラポジは標準的でペダルレイアウトも改善されてかつて試乗したことのあるXC70の様な事も無い。最近採用例が増えてきた疑似3スポークステアリング(実質は2スポーク)のオフセット量も気になるレベルではない。

シートベルトのラップアウタ(腰ベルト外側の支点)は一般的なピラー付けでは無くシート付けを採用。小柄なドライバーにもベルト取り出しが容易で安全の入り口としての正しい着座とシートベルトの着用が優れている。この辺りはボルボの安全性に対する真摯さが垣間見える。

ドアトリムやインパネにはアルミオーナメントが貼られているが触ると本物の手触りが楽しめる。
よくある水圧転写フィルムの画質の悪さにガッカリしている私は好感を持っている。



シート生地はファブリックで決して高そうな素材ではないがまたドアトリムやセンターコンソールの縦壁部にフロアカーペットと同素材の硬質フェルトが大胆に採用されて、内装色がブラックだったとしても単調に終わらせない点が面白い。そこに荷物を置くと硬質フェルトが削れてケバケバになってしまいそうなので耐久性よりも意匠性を重視したのだろう。その分XC40でしか得られないデザインがあるわけだ。

もっと細部に気を配るとちょっとしたウェザーストリップの端末の見え方がスッキリ綺麗だったり、ドアフレーム部の黒樹脂のカバーが設けられて内装の統一感を出していたりチープな車が蔑ろにしているような細部も配慮がある。



後席は脚が前席シート下にスッと入る点やシートバックのサイズ感などは流石である。ヘッドクリアランスもこぶし2個分で膝前もこぶし4個分とスペース的にも広い。しかし、着座すると常に視界に入るディビジョンバー(三角窓と昇降窓の仕切り)がうっとうしい点や、尻と脚の段差が小さく手放しで賞賛は出来ない。

大人の長時間乗車には適さないが、CRSを積むとかカップル主体の条件なら許容されるだろう。

昨今の新型車に触れ、電動化推進の影響でSUVと言えどもRr席のフロアが高くなり始めたのでは無いかと懸念している。こうなるとパッケージ的優等生というSUVの良さが大きく損なわれる。将来的には腰高なのにぺたんと脚を投げ出すフルフレーム四駆のような乗車感に戻ってしまうのではないか。

ツルンとしたバックドアを開けるにはナンバープレートの上にあるスイッチを操作するが、汚れやすい場所なのでラゲージはキック式PBDで操作したい。



ラゲージスペースは奥行きがあり、デッキサイドもカーペット敷きで荷物を積みやすい。スクエアな外観がボルボに期待される確かな実用性を確保している。ボディサイズが同等の国産SUVよりも100mm程度は奥行きがあり国産で言えばCX-5に迫るラゲージ容量460Lを誇る。



ラゲージのような数値に表れない面も収納に対する拘りがある。センターコンソールには蓋付きのゴミ箱やデッキボードを持ち上げるとレジ袋を引っかける爪が飛び出すちょっとしたギミックが日本ブランドのように細やかである。

デザインは私の好みもあって外装4.5、内装は3.5(大型ディスプレイが悪目立ち)
走行性能
☆☆☆☆☆ 3
実際に試乗したのはPlus Pro B3である。水冷直列4気筒2Lターボ(163ps)に7速DCTを採用しているが、2025年までに半数をBEVに、2030年までにBEV専業メーカーになると宣言しているボルボにとって最後のエンジンの一つだろう。



バルブタイミングの工夫によって圧縮比≠膨張比となるミラーサイクルを採用するなど一定の改良を加えて48Vマイルドハイブリッドと組み合わせる。

このマイルドハイブリッドは、申し訳程度の減税用ハイブリッドと言った方が適切なレベルで実質アイドルストップ付きと考えて良い。減速時に回生して加速時にE/Gの補助を行う程度でモーターアシストが感じられるほどの感触がない。マイナーチェンジ前まではプラグインハイブリッドが存在したが、純BEVと交代してXC40に唯一残された内燃機関となっている。

その内燃機関と組み合わせる変速機は2軸ロボタイズトMT、すなわちDCTだ。MTベースでツインクラッチを備えてレスポンス良く変速をするDCTも世の中に広まって20年近くが経とうとしている。
1970年代にポルシェがレースマシン用に開発していたが2003年にVWがDSGとして普及させた。ダウンサイジングターボとDCTはセットで欧州らしさを感じさせるアイテムとして持てはやされた。

その意味で2022年式XC40のユニットとしてはもはやオールドファッションであるが、その分美点もある。発進して2000rpm近傍でスパスパと小気味よく変速するが、E/Gのノイズは目立たずに他の騒音に紛れるレベルである。



全開加速させればそれなりに活発だが、エモーショナルか?と問われると比較的ドライというか事務的な感触である。

気になったのはアクセル操作時に明確に感じる応答遅れである。とにかく操作に対して遅れるが、
積雪路や凍結路で穏やかに走るためのセッティングというレベルでもなく、過去に運転したボルボとは異なる違和感となった。



ギア比固定のマニュアルモードも存在するが横にシフトする感覚に合わず、あまりマニュアルモードは使いたいと思わなかった。DCTの7速は現代の目では少ないと言われそうだが個人的には十分以上だ。

経験上、3速ATより4速ATの方が良いなと思うことはあっても5速ATより6速ATの方が良いなと思えるシーンがあまり無かったので私は6速あれば十分だ。

前述のマイルドハイブリッドは一般走行時は減速時回生とアイドリングストップ程度しか見せ場が無いのだが、全車速追従クルーズコントロール使用時のみアクセルオフでE/Gを切ってコースティングする機能がある。例えば前方の信号が赤で先行車がゆっくり減速するようなシーンでは一定の車間距離を保ってE/Gを早めに切るのでガソリンの節約に寄与する。一般のアイドルストップの場合、いつどれくらいの強度で再加速されるか分からないので簡単にE/Gを切ることは出来ないが全車追従状態ならいち早く再始動できるし、そのラグは余り問題視されない。かつてミライースとアルトエコの熾烈なエコエコ戦争では時速5km/hでE/Gを切るか7km/hで切るかという争いが繰り広げられてきたが、確かにこれは実効性が高い。再始動もCX-60の様にブルンと分かり易くないのでプレミアムブランドでも許せる範囲だ。

ただ、先進安全装備という面では私が活用した範囲内ではレーンキーピングエイドの制御が甘くて誤検知し、路肩を外れそうになったのでもう少し洗練を望みたい。



市街地走行で気になるのは1100rpm付近で加減速時に必ず低周波のこもり音が目立つシーンがある。この点だけは少しに気になるが一瞬なのでギリギリ許せる範囲だった。

市街地からワインディング、田舎道まで走らせてみたがXC40で最も素晴らしい特徴は乗り心地が良いと言うことだ。E/Gも変速機も特筆すべき美点のないあっさりした(それはそれで貴重な存在だが)性格を持つし、その操縦性もやり過ぎることのない範囲で正確性も高い。



感心したのは舗装の荒れた路面やキャッツアイ、ポットホールや橋の継ぎ目などを乗り越えても、キャビンにビリビリした振動や角のあるショックを伝えることがほとんど無いほど乗り心地に優れていた点である。最近乗ったあらゆるクルマよりも優れた乗り心地性能を持っていた。XC40における各メディアの試乗記では乗り心地の悪さを指摘する記事もあったが19インチモデルであり、今回試乗した18インチ仕様だとタイヤが分厚い分有利に働いているのかも知れないが、この快適さは敢えて18インチを選ぶ意味があるレベルだと感じた。



XC40を運転した感想としては直列4気筒の2Lターボ、7速DCTなんていうメカニズムは下手すると10年前のテクノロジーである。20インチや21インチのプレミアムカーが出現している世の中でちょっと時代遅れ感があったのも事実だ。

もちろんXC40の上級仕様に目を向けると前期型は直列3気筒の1.5Lターボに7速DCTとモーター駆動を組み合わせたプラグインハイブリッドや完全BEVのリチャージは19インチ、20インチホイールを採用して現代の潮流も逃していないが、主張しすぎないパワーユニットや穴ぼこを敢えて狙いたくなるような乗り心地はまさに自動車工学の残り福を楽しむ事が出来た。

ユニットの印象は悪くないがドライバビリティの悪さは気になる。操縦性や乗り心地素晴らしいが総評としては3である。
乗り心地
☆☆☆☆☆ 5
コメントは走行性能に記載
積載性
☆☆☆☆☆ 4
コメントはデザインに記載
燃費
☆☆☆☆☆ 3
燃費は13km/L程度を行ったり来たりだった。WLTCモードで14.8km/Lなのでカタログ値との乖離は少ない。2Lターボなので踏めば燃費はかなり悪化するが、過去に試乗したNX200tと比べれば燃費が良い。マイルドハイブリッドの恩恵が少しは出ているのかも知れない。(確かにNX200tよりは大人しい特性であるが)

このクラスでも燃費が良いモデルは他にいくらでもあるが、敢えてクラシックなシステムを採用しているXC40としてはリーズナブルな範囲にある。
価格
☆☆☆☆☆ 3
コメントは総評に記載
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Posted at 2023/03/19 00:55:31

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