• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

ノイマイヤーのブログ一覧

2018年03月01日 イイね!

アイドリングストップ装置は本当に節約になるか?

アイドリングストップ装置は本当に節約になるか?妻のミラココアを運転していて
ふとエコアイドル(ダイハツのアイドルストップ機能名)の
累計時間が表示された。

トップ写真の通り妻のミラココアは「76時間18分31秒」
ものアイドリングによる燃料消費を削減したらしい。
分かり易く換算すると3日と4時間18分31秒、
秒数にすると274711 秒
随分とアイドリングしていることになる。

似たようなネタを過去にも取り上げたが、
上記の数字から下記のようなことを考えた。

一方ミラココアは2012年9月24日登録なので、
3月1日現在で1984日経過している。

また走行距離は3月1日現在3万8410kmなので
年間走行距離は7084km


一日あたり約19.4km走行し、
その一日の中で138.7秒間アイドリングストップしたらしい。
(7.15秒/kmアイドリングストップしている)

レギュラーガソリン実売価格をe燃費から引用すると、

2013/9 153.1円/L
2014/9 158.7円/L
2015/9 125.4円/L
2016/9 114.0円/L
2017/9 122.9円/L

上記より過去5年間の平均134.82円/Lであった。

ミラココアのアイドリング燃料消費量は分からないが、
同じ軽自動車であるスズキエブリィのデータが
こちらにあった。
貴重なデータを引用させていただくと433cc/時間ということが判明。
7.22cc/分→0.12cc/秒と換算できる。

274711秒×0.12cc/秒=33041.63cc=33.04Lものガソリンを節約した計算になる。

上記ガソリン単価を掛けてみると
節約できた金額は
134.82円/L×33.04L=4454.5円
という結果だった。

意外と大したことない、
というかアイドルストップによる
節約効果を過度に期待してしまっていたのかも。

加えて、我が家のココアの指定のバッテリーは
アイドリングストップ対応型で
割高な補機バッテリーが指定されている。

我が家は4年目に交換したが、
一例としてイエローハットでは
M42というバッテリーが
16,178円(税込)
アイドリングストップ未対応なら、
一般的な40B19サイズが適用となり
7,538円(税込)で済む。

バッテリが4年間で交換時期を迎えるとすると、
差額8640円/4年=約2160円/年が高機能バッテリーの使用料金だ。

アイドルストップによる燃料費節約分は
138.7秒/日×365日=50626秒×0.12cc/秒=6075cc=6.075L
6.075L×134.82円/L=約819円/年となった。

毎年1340円ずつ赤字が出る計算だ。

それでは我が家は現状のアイドルストップ率のままで
年間何キロ以上使用すれば
損益分岐点を越えるのかを試算すると、
我が家の実測値に基づく節約量6.075Lに対して
16Lの節約効果が出なければアイドリングストップ対応
バッテリの価格差をペイできない。


つまり、
16000cc÷0.12cc/秒=133334秒
のアイドルストップが必要。

1kmあたり7.15秒の割合でアイドリングストップするので
133334秒/7.15秒/km=18648km/年

我が家では年間走行距離18648kmという乗り方でなければ
アイドリングストップで元を取る事は不可能と判明した。

結果的に通常の格安補機バッテリーとの価格差で
燃料費節約効果は吹き飛んでおり
石油資源の節約という効能はまだしも
燃料費節約による経済性は無い事が分かった。

もう少し市街地走行が多いなどアイドルストップが頻繁に
作動するシチュエーションの仕様状況なら
もう少し違った結果になる事は想像し易い。
1kmあたりのアイドリングストップ時間が倍になるだけで
年間走行距離9324kmで損益分岐点を迎える。
交通環境の厳しいところでこそ本技術の効果が出るだろう。

かつてのミラe:sとアルトエコの燃費戦争において
減速時7km/hからエンジンを止めるか、9km/hで止めるだのと言った
細かい競争は如何にアイドルストップを長く実施するかを
競った結果であり、上記の計算には効いて来ると考えられる。
しかし、上記動作はカックンブレーキとなりがちで
ペダルワークによる繊細な停止操作は出来なくなりがちで、
まさに燃費/経済性の為に
ドライバビリティを犠牲にした結果
だといえるだろう。

いまや当たり前の装備とも言える
アイドリングストップ装置は
カタログ値の燃費の見栄えが良くなるが、
コストオブオーナーシップ
(購入価格だけではなく所有する全期間を通じたコスト)
の観点では経済的な面でユーザーの負担は大きくなりがちだ。

他にも過度にインチアップされた扁平タイヤの
交換費用でも似たような話があり、
至るところでユーザーの維持コストは高くなっている。
車両価格も高くなりつつある中で維持コストも上がっていくと、
一層自動車が我々庶民から遠ざかっていく寂しさがある。

この手の経済性の試算をする際、
年間1万kmなど仮想的な条件を用いることが多い。
私も月1000km走ると仮定して・・・・などと
見積もってしまいがちだが、
妻が実際に7年間意識せずに使用した結果は
我が家にとってはそれなりに有用なデータとなった。

更に、新車購入時のアイドリングストップの価格差以上に
バッテリーの交換費用にも着目すると
我が家の使用条件ではアイドルストップ付を
買わないほうがかえって経済的
なのであった。

上記計算例はあくまでも我が家での結果なので、
アイドリングストップ機能付の車を愛用中の皆様も
一度シビアに電卓を叩いてみると、色々と面白い結果が出ると思いますので
よろしければ試してみて下さいましたら幸いです。
Posted at 2018/03/01 23:52:27 | コメント(6) | トラックバック(0) | 調べてみた | 日記
2018年01月28日 イイね!

トヨタバッテリークランプ重点観察 改訂版2

*本稿は18年2月にネタを追加しました。

昨年、RAV4のバッテリーを交換しました。
交換前にフードを開けてエンジンルームを覗いていたら、
RAV4はバッテリーがカウル際まで寄せられておりました。

バッテリーは数キロある重量物なので
本来は車両の重心に寄せたいと誰もが考えるでしょう。
車種によってはラゲッジルームに配置したり、
助手席下に配置する車種もあるくらいなのです。

さて、そういえば他の車・他の時代の車は
どうなのかなと思い、新舞子に来ていた方のバッテリーを
観察させていただいてきました。(一部ネット画像を借用)

●1970年代前半:コロナ・マークII



部品構成:クランプ本体+L字ホルダ×2
取付構造:ラジサポボルト留め+Jボルト
表面処理:黄色クロメートメッキ処理(新車時は塩ビ皮膜との指摘を頂きました)

構成は現代の一般的な仕様に準じていますが、
スポット溶接ではなくプロジェクション溶接を
用いているのかナゲット径が小さく、2箇所あります。
自動溶接機用の基準穴が無く、
手で冶具にセットしていたんでしょうか。

取り付け構造はラジサポ締めとJボルトという
作業性に優れた構造でしした。

このクロメート処理は自己修復性をもった皮膜が得られて
繰り返しメンテナンスをするバッテリクランプの
表面処理としては最適だったのでしょう。

ボディ色や黒色でまとめてしまうところをメッキ色に
するのは、シリンダブロックやヘッドカバー、
エアクリをカラフルに塗ってしまう時代の空気なのでしょう。
エンジンルームの見栄えが商品価値に繋がっていたんですね。


●1980年代前半:クラウン



部品構成:クランプ本体+L字ホルダ×2
取付構造:ラジサポボルト留め+Jボルト
表面処理:塩ビ皮膜

1970年代前半から較べると、
クランプとホルダを取り付ける工法が
スポット溶接1点に変わりました。
このせいだとは断定できませんが、
ホルダの幅方向の長さが短縮されています。
短いと、バッテリ位置を規制する上では
不利ですが製造上、回転方向のズレが大きくなっても
組みつけに影響を及ぼしにくくなります。
更に、表面処理が塩ビ皮膜になっています。
かつてはプレス成型品を塩ビ皮膜で覆う製品は
数多く有りました。
触感がよく、エッジを隠すので交換作業時に
手を怪我させてしまうリスク低減に効果的です。

この車種ではA/Cのドライヤと隙関係を確保する為に
一部形状を細くしています。
一般面にビードが入れてあるのは
剛性確保の為かと思われます。
この部分が弱いとバッテリを車両下方向に
押さえる力が不足します。

●1980年代前半:カリーナ



部品構成:クランプ本体+L字ホルダ×2
取付構造:ラジサポボルト留め+Jボルト
表面処理:塩ビ皮膜

クラウンと類似しています。
ホルダには基準孔が空いており、
クランプ本体の孔と合わせて
溶接の基準に使っているのではないかと思います。
クランプの端末(ねじが止まっている)に注目。
コの字フランジが終わっていますが、
少しでも駄肉をカットして軽量化しようという
意志を感じますね。
(これ以降のクランプの締結部は
 余程の理由が無い限り駄肉カットされています)

●1980年代前半:カローラレビン



部品構成:クランプ本体+L字ホルダ×2
取付構造:ラジサポボルト留め+Jボルト
表面処理:塩ビ皮膜

有名なハチロクのバッテリークランプです。
流れで見ていくと、塩ビ皮膜でラジサポ留めで
当時のトヨタとしてコンベンショナルな構造なのでしょう。

特殊なのはホルダーの形状。
単純曲げでL字にするのではなく、
少し複雑な形状になっています。
これ位の形状なら一回で作れると思いますが、
わざわざこのような形状にした理由は何だったのでしょうか?
メリットがあるとすればスポット溶接する際の事前
精度調整はやりやすかったかもしれません。
(スポット打点面だけで精度チューニング可能)

●1980年代後半:セリカ



部品構成:クランプ本体+L字ホルダ×2
取付構造:ラジサポボルト留め+Jボルト
表面処理:黒色電着塗装

18年2月に新舞子で撮影させていただいたセリカGT-FOURです。
塩ビ皮膜ではなく黒色の電着塗装です。
メリットデメリットは下記マークIIの欄を参照頂くとして、
リレーボックスを留めるブラケットが溶接されています。

セリカの場合リトラクタブルヘッドライトのユニットが来る為に、
クランプを気持ちよく配置できず、大きく幅方向にオフセットさせています。
L時クランプの溶接位置を工夫してあり、浮き上がりを防ぐ配慮があるようです。

●1980年代後半:カローラ



部品構成:クランプ本体+L字ホルダ×2
取付構造:ラジサポボルト留め+Jボルト
表面処理:塩ビ皮膜

私の車です。
エンジンによってバッテリの種類が異なりますが、
4A-GEの場合、エアクリや
リザタンの隙間にバッテリを配置しています。
心情的に真直ぐ置きたいのですが、
Z軸周りに少し回して工夫して置いています。
クランプ自体はクラウンとよく似ていますが、
両前方に基準穴と思われる角孔が開いています。
クランプに対して特定の角度で溶接しなければ
ならないのでセット基準があるのかもしれません。
穴が空いた場所はどうしても弱くなるので
座面を設定して局所的な弱点にしない配慮が伺えます。

塩ビ皮膜は新車の時は良いのですが、
モデルライフを通じて脱着を繰り返すと
パリパリと剥がれてしまい、
露出した鉄は無塗装ゆえに一気に錆びる為、
自動車用としては不向きな表面処理だと感じます。

●1980年代後半:マークII



部品構成:クランプ本体+L字ホルダ×2
取付構造:ラジサポボルト留め+Jボルト
表面処理:黒色電着塗装

年式が近いためカローラとよく似た構成です。
ところが、表面処理が一歩進化して黒色電着塗装となりました。
バッテリ交換は車両のライフの中で繰り返し作業するので、
塩ビ皮膜では経年後の破れに繋がりますし
柔らかいものをねじで締めるので
いくらワッシャがあり、クランプ自体を撓ませて
反力を出していても、緩む恐れもあったかもしれません。
その部分の信頼性は上がったと感じます。

●1990年代前半:エスティマ



部品構成:クランプ本体+L字ホルダ×2
取付構造:Jボルト×2
表面処理:黒色電着塗装

トヨタの天才タマゴはバッテリがFrフード内にあります。
ラジサポに留まれなかったようで、
Jボルト2本使いという手段に出てきました。
クランプ本体のJボルトがねじれるようなトリッキーな
バッテリクランプは特殊な方だと思います。
クランプ端やホルダの片側が延長されて
リレー?取り付けブラケットをスポット溶接で取り付けています。
きっとこうするしかなかったのでしょうね。

●1990年代前半:セルシオ



部品構成:クランプ本体+絞り形状L字ホルダ×2
取付構造:ラジサポボルト留め+Jボルト
表面処理:黒色電着塗装

進化より深化を目指した2代目セルシオ。

一般的なバッテリーキャリアのコの字型断面を
反転させて手で触った時にエッジが無く滑らか。
思わず素手で触りたくなります。
一般的なクランプのフランジ端は電着塗装が着いても
ちょっとザラザラしてて手を切りそうになります。

私たちが見慣れたものの表裏をひっくり返したような
バッテリークランプですが、
L字ホルダーとクランプを溶接する為には、
上記のハチロクタイプのホルダを更に深く絞らなければなりません。

形状が複雑になりプレス工程の数が増える(型が増える)こと、
ラジサポに留まる為には、ラジサポから半島形の出っ張りを
着けてあげないといけない
(ブランクと製品の比である歩留まりが悪化)等、
見た目の為に随分とお金をかけています。

セルシオだから許されるというのがあるのかもしれません。

バッテリー本体にもプロテクタが設定されて、クランプホルダとの位置関係も
シビアになっていますから、L字ホルダに溶接冶具用の丸穴が開けられています。

●1990年代前半:RAV4 L



部品構成:クランプ本体+L字ホルダ×2
取付構造:Jボルト×2
表面処理:黒色電着塗装

私の車です。
バッテリが随分とカウル寄りに取り付いてますが、
今時こんな場所にバッテリを置けるのは高級車くらいです。
運動性能としては好ましいですが、
交換作業性としては地面から随分と高いところに
車両横からアクセスしないといけないので、
ここに挙げた他車と比べると楽では無いかなと、
実感として思います。

特にJボルト2本使い方式は、一点がラジサポに
締めに行く方式よりも作業に時間がかかります。
また、狙いの場所が分かりにくく
誤って間違った孔に
Jボルトを引っ掛けてしまいそうになります。
(この写真、実は誤った場所にJボルトが刺さってます)
間違えた孔や出っ張りに引っ掛けると、
何かを挟み込んでしまったり、正しい保持力が出せずに
不具合の原因になるかもしれません。

クランプとホルダの溶接の基準孔が設けられています。
ホルダの幅方向の長さが長いため、精度出しの工夫でしょう。

●1990年代後半:カリーナ



部品構成:クランプ本体+L字ホルダ×2
取付構造:Jボルト×2
表面処理:黒色電着塗装

こちらもJボルト2本使いタイプです。
エアクリ前にバッテリを置いても、
どうしてもラジサポに留まれなかったのでしょう。
どちらもJボルトということで誤組付けを防ぐ為に
矢印のテーキンが打刻されています。

●1990年代後半:イプサム



部品構成:クランプ本体+L字ホルダ×2
取付構造:ラジサポボルト留め+Jボルト
表面処理:黒色電着塗装

セダンベースで、ワンモーションフォルム的な
意匠の為にラジサポが低いのでしょう。
車両奥のJボルトの締結付近が
ぐにゃっと曲がっていますが、
バッテリの液栓を避けていると考えられます。
クランプとバッテリ本体が真直ぐについていて
中央を通るならこんなに捻る必要はありませんが、
3次元空間のパズルのような配置関係では
こうならざるを得ないという事なのでしょう。
特にラジサポに着目るとヘッドライトの取り付けとの
椅子取り合戦に敗北したのかもしれません。

●1990年代後半:カローラ



部品構成:クランプ本体+絞り形状L字ホルダ×2
取付構造:ラジサポボルト留め+Jボルト
表面処理:黒色電着塗装

コストダウン全開と言われていた8代目カローラですが、
このバッテリークランプを見て驚きました。
セルシオ式の反転コの字断面が下方展開されているのです。

8代目カローラは実質的に7代目カローラの多くの部品を
共用化したモデルのため、エンジンルームの配置も
先代を踏襲していますから7代目カローラの部品なのでしょう。

半島形状のラジサポもセルシオ譲りです。
バブルカローラといわれた7代目カローラの本気を垣間見ました。

●1990年代後半:マークII



部品構成:クランプ本体+絞り形状L字ホルダ×2
取付構造:ラジサポボルト留め+Jボルト
表面処理:黒色電着塗装

コチラもバブル期の残り香を漂わせる逸品。
ラジサポ取り付け面のフランジが回り込んでいて、
凹ませたラジサポと面一に近くなるようになっています。
ラジサポからお迎え形状をつけなくても、
ラジサポ取り付けられるのは工夫を感じますが、
この構造はクランプとしては歩留まりやプレス工程数を
考えた時に経済的とは言えなくなっています。
美しいのですが合理的では無いですね。

エンジンルーム内の見栄えを向上させることが
商品性向上に繋がった時代、
特にバッテリーは交換頻度の高いパーツゆえに、
目に触れる機会も多かったことでしょう。

●2000年代前半:アリオン



部品構成:クランプ本体+L字ホルダ×2
取付構造:ラジサポボルト留め+Jボルト
表面処理:黒色電着塗装

2000年代のアリオンはバブルの遺産を完全に振り切って
素朴な構成となりました。
プラットフォームが集約されていく中で
アリオンもカローラやウィッシュと共通のP/Fを持つに至り、
エンジンコンパートメント内の配置も統合されていきました。

バッテリクランプは下向きのコの字断面を持ち、
片方をラジサポアッパーサイドにボルト締結、
他方をJボルトでバッテリキャリアに引っ掛ける方式を採っています。
極めて一般的で常識的な構成となりました。
断面を有効活用するために丸ビードが入れて有ります。
バッテリ前側のホルダとラジサポの部分に生じる反力で
バッテリを下に押さえつけているのでペニャペニャでは困る、
という思想なのでしょうか?
(素人なので詳しくは分かりませんが))

●2010年代前半:ハリアー



部品構成:クランプ本体+L字ホルダ×2
取付構造:ラジサポボルト留め+Jボルト
表面処理:黒色電着塗装

写真はネットから。
ハリアーガソリン車のバッテリーキャリアもトヨタとしては一般的なタイプです。
見栄えはラジサポカバーが担うという考え方なのかも。
90年代後半でこの構成・表面処理が定着してからは
20年近く進化が無いような印象ですね。

●2010年代後半:C-HR



部品構成:バッテリクランプのみ
取付構造:バッテリキャリアにボルト締め
表面処理;黒色電着塗装

写真はネット検索して当方で加工。
見ていただくと分かるとおり
上から被せるクランプが無くなりました。

バッテリ型式を調べるとDINバッテリの様です。
トヨタのTNGAは世界を広くベンチマークし、
最も競争力のある部品を採用するのだから
JISにこだわる必要は無かったのでしょう。

DINバッテリは底部に張り出しが有り、
そこを保持する小さな金具で取り付けられるため
省スペースで部品点数も少なく経済的です。
従来のバッテリのように溶接も不要となり、
バッテリクランプとしては合理的に感じます。

一方で我々が古くから慣れ親しんできたJISバッテリと異なり
DINバッテリは高価なため、
交換時の部品代の負担増を覚悟しなければなりません。
その意味で、トヨタは大きく舵を切ったなと感じます。
ただ、トヨタがDINバッテリを採用すれば、
カー用品店などの品揃えは確実に変化するとは思いますが。

私たち旧型車を愛するものは段々とJISバッテリの入手が難しくなる
悲しいシナリオが目に浮かんで来ますが、
その頃はDIN●●はJISの○○と互換性有り、
のような情報が仲間たちからもたらされるのかもしれませんね。

●まとめ
1970年代から2010年代にかけてトヨタ車の
バッテリーキャリアの変遷を追いかけてみました。
表面処理や部品構成が変化しつつも、
時代に合わせて技術的な進化やクオリティへの追求、
一転、徹底した合理化からバッテリ取付け構造の変化など
地味な部品ながら変化があります。

トヨタ以外のメーカーになると丸棒を折り曲げて作った
クランプもあり各社が各社の考え方で最適解を模索しています。
(今回は取材した車の都合でトヨタに絞りました)

車の走りには何にも影響しない部品ですが
交換作業を機に注目してみると個人的に楽しめました。
以上、バッテリーキャリアだけをねっとりと追いかけました。
Posted at 2018/01/29 00:01:32 | コメント(1) | トラックバック(0) | 調べてみた | クルマ
2017年03月01日 イイね!

タイヤサイズと車幅について考えた

最近はニューモデルが出るたび、
3ナンバーである事に驚かなくなりました。



例えばマツダ・カペラ(GD系)が1987年にデビューした際、
全幅1690mmで5ナンバー枠に入るものでした。



1991年、カペラ後継として国際サイズのクロノスを
デビューさせた際、全幅が1770mmとなり、
3ナンバー枠になりました。
これが市場で大きな拒否反応がありました。
「でかくなってしまい、運転しにくい」
「立派になりすぎてしまった」
と、かつての小さくも上質なミドルセダンの支持者達から
歓迎されなかったという歴史があります。
似たような話は、アコードでもギャランでもありました。

例に挙げたカペラの場合、クロノスの不振を受けて
全幅1695mmのCG系カペラをデビューさせました。


その後最終型のGF系カペラに至るまでカペラは5ナンバー枠を堅持しました。



2002年のアテンザに世代交代すると、グローバル化対応の為
全幅1780mmとなり、再び3ナンバー化され、
これ以降はアテンザは3ナンバーとなり現代に至ります。

このような例は他にもあり、グローバル化を考えると
大柄な車体が求められ、日本市場独特の
5ナンバー枠のミドルセダンは絶滅危惧種となりました。

コンパクトカーとかスモールSUVと名乗る車たちが、
いとも簡単に全幅1700mmを超える例が多くなるにつれて
私たちの感覚は麻痺し、全長が短ければコンパクト、
車幅はまぁしょうがない、という風に何となく受け入れ始めています。

さて、私はシトロエンDS3という車に乗っていました。
これもセグメントとしてはマーチやフィット、
ヴィッツのクラスなのですが、車幅は1720mmでした。

あらゆるモデルが車幅を拡大する傾向が続きながらも、
日本市場ではクラウンが
「タワーパーキングを考えると全幅1800mm以下でなければ」
と全幅1800mm以下を堅持していましたが、
これも時間の問題でタワーパーキング側が
対応してしまうのではないでしょうか。

ここに日本の道路の幅を調べた結果があります。

一般国道 5% 平均幅員7.8m
都道府県道 11% 平均幅員6.0m
市町村道 84% 平均幅員3.7m
資料:平成18年4月1日現在、「道路統計調査」国土交通省
※幅員は車道部のみ

ここでは8割の道路が幅員3.7m、すれ違う為には、
対向車が1850mm以下で無ければならないですし、
カーブを曲がる際もセンターラインをはみ出さないように
注意して運転する必要があります。
私の経験でも道路の車線幅が決まっているので、
車幅が狭い車の方がライントレースしやすく運転も容易だと感じます。
私の個人的な技量の問題もあると思いますが、
全幅1800mmクラスの車を運転する際は運転のしにくさを感じます。

この原因は、日々厳しくなる衝突安全性能と居住性の確保、
ワイドトレッドによる操縦安定性の確保なども理由もあり、
一つだけではないことは事実です、
特に歩行者保護等によって分厚くなりがちなサイドビューを
引き締める為に安易にタイヤサイズを大きくしてしまう、
という要因について考えました。

例えば初代カローラで12インチホイールだったものが、
FF化された1983年モデルで全車13インチ化。
現行型では16インチにまで大径化されています。




サイドビューの写真からタイヤと
ホイールアーチ~フード上面の厚さを
比率でまとめたものが下記です。
(素人の測定なので誤差あり)
数値が大さくなるほど、
タイヤに対してフロント部分の厚みが薄くなります。

1966年2.0 1974年2.2
1983年2.1 1991年2.5
2000年1.8 2013年1.6


1991年までのモデルではホイールが
12インチから14インチまで変化しつつ、
フード部分は相対的に薄くなりました。
ところが、以降のモデルでは
ホイールが14インチから16インチに変化しながらも、
フード部分が高くなり、分厚くなっています。
これはパッケージングが居住性重視の方向に進み、
キャビンフォワード化が進むと共に全高が引き上げられた上に、
歩行者保護性能を確保する為に、
カウルとフードが持ち上げられた結果、
ずんぐりむっくりとしたシルエットになったことが影響します。
ポップアップフードやフードエアバッグという手段もありますが、
コストに縛られた小型車では物理的な寸法で対応しなければならず、
伸びやかなプロポーションを得にくくなりました。

少しでも格好良く見せるために、
ホイールサイズを拡大しているのでは無いかと考えられます。

情緒的な理由だけでタイヤサイズが決められているのでしょうか。
こんどは逆に性能的な側面から考えてみたいと思います。

「古きをたずねて新しきを知る」の精神で
戦後の代表的乗用車を見てみましょう。
一例として1949年式
トョペットSD型小型乗用車の諸元表を確認しました。


タイヤサイズは5.00-16。旧表示のため、
現在流の表記では127/92-16という事になります。
タイヤ外形 233.68+406.4=φ640mmです。



続いて1955年式トョペットRS型クラウンは
6.40-15で外径はφ680mmです。

この時代は舗装率が低い為、道路の凹凸が多く、
最低地上高を確保し、走破性を確保する為に
タイヤ外径はそれなりのサイズが必要でした。
クラウンの場合、200mmが確保されており
現代のクロスオーバーSUVを超える数値を持っていました。



1962年式のRS40系クラウンでは、
道路網の発達に伴いタイヤが小径化されました。
7.00-13(φ657mm)、最低地上高は185mmです。
タイヤ外形を小さくするメリットは、同じ車幅なら
タイヤ切れ角を大きくでき、最小回転半径が小さくなります。
また、室内へのタイヤの張り出しが押さえられ、
フラットな室内空間を確保できます。
極端な例かも知れませんが、スバル360でも
わざわざ10インチタイヤを開発してまで小径化しています。



1967年式のMS50系クラウンではホイールは14インチになりました。
6.95-14、現代流に書けば
177/82-14(φ646mm)と若干外径が小さくなりました。
(注.1965年以降扁平率が92から82になりました)



この後、1979年式のMS100系クラウンでは
上級グレード向けにラジアルタイヤ185R14(φ659mm)が登場し、
幅広で外径が上がり始めました。
1987年デビューのGS130系クラウンでは、
ついにスタンダード以外のタイヤはラジアル化され、
最上級仕様の場合、205/65R15(φ648mm)が採用されています。
最低地上高は150mmとなりました。

1991年のJZS140系以降、徐々にタイヤサイズが低扁平化します。
(データ中にマジェスタを含む)

1991年(UZS141)215/65R15 φ661mm
1995年(UZS151)215/60R16 φ664mm
1999年(UZS171)215/60R16 φ664mm
2004年(UZS186)215/55R17 φ668mm
2009年(URS206)235/50R17 φ692mm
2012年(GRS214)225/45R18 φ660mm




現行型では相当な低扁平タイヤを履いていますが、
タイヤのバネ性を利用できない分、
乗り心地へと操縦性、デザインの両立が難しいことでしょう。
ついに最低地上高は法規ギリギリの135mmとなりました。

ボディサイズに余裕がある高級車のクラウンは
道路状況が良くなり、シャシー性能が高められるにつれて
大径ホイールを履きこなすようになったようです。

こと外径に関して言えば、1991年以降は
φ660mm近傍で落ち着いています。

次に乗用車系SUVとしてRAV4とRX(一部ハリアー含む)を見てみましょう。

1994年(SXA10)215/70R16 φ707mm
2000年(ACA21)235/60R16 φ688mm
2005年(ACA31)235/55R18 φ716mm

1997年(SXU10)215/70R16 φ707mm
2003年(ACU20)235/55R18 φ716mm
2009年(GGL10)235/55R19 φ741mm
2015年(AGL20)235/55R20 φ767mm



SUVということもあり大径のタイヤを履いています。
面白いのは車格が違う初代RAV4と
ハリアーの初代ではタイヤサイズが同一なのです。
ただ、そこからは大きく分かれていきます。
SUVの力強さとセダンのエレガントさを大径ホイールに求めたRXは
現行モデルでは20インチという領域に達しました。



次に近年流行している現代のスペシャルティ、
スモールSUVについて考えていきます。
このクラスでは車両寸法4.2m近傍と短い為に
実はRX以上に大径タイヤを選びがちです。

トップグレード用のホイールで
外径が大きい順に並べると


ジープ・レネゲード 215/60R17 φ690mm
トヨタ・C-HR    225/50R18 φ682
ホンダ・ヴェゼル  225/50R18 φ682mm
マツダ・CX-3    215/50R18 φ672mm
日産・ジューク   215/55R17 φ668mm
スズキ・エスクード 215/55R17 φ668mm
ルノー・キャプチャ 205/55R17 φ657mm


ということになり、どれもがクラウン級の
大きなタイヤを履いているという結果になりました。
上で意匠的バランスを取るために大径タイヤになった
と書いた全長4.4mm級のカローラさえも、
185/55R16(φ610mm)なのですから、
スモールSUVは相当大きいホイールを履いていることが分かります。
SUVゆえに大径ホイールを履いても違和感が無く、
車体の分厚さを緩和する方策として大径ホイールを
履く
ことが求められていると言えましょう。



ところで上に挙げた代表的なスモールSUVは
スモールと連呼しながら、全て日本での3ナンバー枠に
該当することに違和感を感じませんか?
全幅が1765mm(CX-3)~1805mm(レネゲード)のレンジに位置します。
スモールを名乗るならせめて1700mmを切って欲しい、
と感じる方は少なくないと思います。

この理由をスモールSUVに必要な性能から考えました。
スモールSUVを購入する層は従来のスペシャルティカーを購入する層、
ヤングファミリー層、アクティブシニア層など意外と多岐に渡ります。
スモールを名乗る上では、相応の取り回し性が要求され、
最小回転半径を確保する必要が出てきます。

ここでアッカーマンの式と言うものが登場します。

(引用はじまり)
アッカーマン理論曲線
車が旋回するときの操舵輪(通常は前輪)の切れ角を、
外側車輪より内側車輪で大きくすることにより、
前後の4車輪の回転中心が同一点となるようにした方式を、
考案者(英国)の名を取って
アッカーマンステアリング(Ackerman steering)と呼んでいます。
これによりタイヤの横滑りがないスムースな旋回が可能になります。
この方式における内側前輪の切れ角(α)と
外側前輪の切れ角(β)の関係を表すものがアッカーマン理論曲線です。
車のホイールベース:W と トレッド:T が決まれば、
アッカーマン理論曲線は下記のように表されます。

1/tanβ - 1/tanα = T/W

(引用終わり)


これはあくまでも低速走行の場合の話であり、
高速走行では内外輪が平行に切れる方が良いとも言われておりますが、
今回の考察に役立つ為、上記式を利用します。

最小回転半径は下記の式で求められます。

(引用はじまり)
最小回転半径:Rminは前輪の車軸中心から
後輪の車軸中心までの距離(ホイールベース):Wと、
外側前輪の最大切れ角:βmaxから以下のように計算できます。

Rmin = W/sin(βmax)

(引用終わり)

例えば、全長4275mm全幅1765mmのスモールSUVがあります。
仮にトレッドT:1525mm ホイールベースW:2570mmとします。
タイヤは215/50R18(φ672mm)最小回転半径は5.3m



ここから逆算すると、

α:39.57° β:29.01°です。

仮に左へのステアリング操作によって
キングピン軸周りにタイヤが操舵される時、
最も車体に接近するのは、Frホイールハウスのサイドメンバーです。



これはエンジンの両側で衝突エネルギーを吸収するボディ部材です。
特に左前輪の車軸後方が最も狭くなります。
それでも干渉しないようにFrサイドメンバーは避けねばなりませんから、
自ずとFrサイドメンバーとタイヤは間隔を開けるのですが、
円の中心からx軸に対し、角度θの直線が円周と交わる点の座標(x, y)は、
(rcosθ, rsinθ)と求められます。



タイヤ半径rは336mm、θはここではα≒40°ですので、

336×Sin40°=215mmと求まりました。
実際はキングピン軸で転舵したり、
タイヤ幅を考えねばなりませんが、ここでは無視します。
つまり、トレッド寸法が引かれるタイヤ幅中心~サイドメンバー間は
215mm必要になるのです。

しかし、
日本で「スモール」SUVを名乗るのならば5ナンバーであるべし!
という強い意志を持って今の1765mmの全幅を1700mmまで狭めたとします。

そうなると、トレッドが1525mm-65mm=1460mmになります。
プラットフォームは決まっているのでFrサイドメンバーは変わりません。
なので、先ほど215mmあったタイヤ~Frサイドメンバー間のクリアランスは
215-65/2=182.5mmとなります。

ステアリングを一杯にきった時の内輪側の切れ角が影響を受けます。
三角関数からα:40°→33°に減少します。
更に逆算すると最小回転半径は6.0mになりました。

3ナンバーだけど、最小回転半径5.3mになるか、
最小回転半径6.0mだけど、5ナンバーかを選べと聞かれると、
もし私が企画担当者なら前者を選ぶと思います。

或いは、5ナンバーかつ最小回転半径5.3mを死守しようとすると、
155/80R13、175/65R14、185/55R15あたりを選ばねばなりません。
スモールSUVとしては「どうかな・・・」というタイヤサイズです。

ですから作り手はいっその事、
1.7mを超える車幅を奢って幅広大径タイヤを履かせ、
最小回転半径を5.5m~5.2m程度にしておけば
「大きく見えますが最小回転半径は小型車並み」
「3ナンバーサイズですから堂々としていますし、
 大径ホイールはカッコいいですよね」
というセールストークに繋げるわけです。

P/Fは5ナンバー仕様ながら、諸事情で車幅1.7mを超えた車が
最小回転半径を稼いで取り回しの良さをアピールする例は
私が知る限り90年代からありました。(例えばルネッサとか)

上記の試算ではタイヤ外径を考えましたが、
外径だけではなく、幅も大きく影響します。
例えばプリウスPHVでも発生しています。
15インチの標準仕様は5.1mですが、
17インチを履くグレードは5.4mと大回りになっています。
こちらは外径は変わりませんがタイヤ幅拡大の影響で
トレッドが狭くなっているのが主要因です。

車幅の小さい車ではそれが顕著で
ヴィッツの場合も165/70R14なら4.5m、
オプションで195/50R16を選択すると5.6mに悪化します。
どちらもタイヤ外形は同等のため、
タイヤ幅が最小回転半径に影響しています。

本来はもっと細かい計算をしなければならないのですが、
私の能力のキャパの問題で、随分簡略化して考えました。

5ナンバーサイズのモデルではタイヤ幅やホイールサイズが
控えめの車が多いと思います。
それは前述のサイドメンバーとのクリアランスを守るためには
自ずと寸法が決まってしまう苦しさがあります。

それならサイドメンバーの幅方向の位置を
内側に寄せればいいじゃん、
と言いたくなりますが搭載エンジンが
4気筒だったりすると、苦しいですね。



その意味ではレスシリンダー化が進展して
2気筒や3気筒が普通になれば、
タイヤ切れ角が大きくなって
最小回転半径は小さくなる可能性はあります。
既に縦置きエンジンのクラウンのような車の
最小回転半径が小さいのは
サイドメンバーの配置に自由度があるからです。

それでも、本来は真直ぐ通したいサイドメンバーを
わざとホイールが近いところは断面を細くしたり、
涙ぐましい努力をしている例も散見されます。
断面が細くなった部分は元々エンジンが
ある為つぶれ難いと割り切っているのか、
内部にパッチを入れて断面を補っているのでしょう。

かつてはタイヤ外形が小さくなった方が
客室内を広く取れて、低くスマートに出来た時代がありました。
いつしか自動車を取り巻く環境が変わり、
変えられない部分、変えざるを得ない部分が混ざり合い
タイヤサイズは再び拡大傾向にあります。

ところが、自動車が高度に情報化して
自動運転端末化するような時代の日本では、
ホイールは小径化するのではないでしょうか。
それは居住性を小回り性能を考えると過度に大径化する必要がなく、
路面状況も改善されている為、乗り心地と
高速道路で120km/h出せるだけのタイヤサイズで事足りるからです。
個人所有する時代でもないのでスタイリッシュである必要もありません。
町の景観を邪魔しないデザインであればよいのです。
積雪地域だけはロードクリアランスから大径タイヤが残るでしょう。

私のような人間からすればゾッとするような世界です。
しかし、その様なシナリオを辿る可能性も無きにしも非ず・・・。
そう考えると、現代のデザインの為の大径化はある意味で贅沢な事だと
後世の輸送機器研究家から指摘されるようになる日が来るのかもしれません。

もちろん、タイヤサイズが大きくなる理由、
車幅が広くなる理由はこれだけでは無いでしょう。

しかし、もし技術革新があり、Frサイドメンバー間隔を狭く、
フードをもっと低く出来るなら、ピラーを強く出来るなら、
使い勝手や居住性を守りつつ車幅はもっと狭く出来るでしょう。

過度な幅広大径タイヤを選ぶ必要も無くなり、
再びスマートな小型車に再会できるかもしれません。
自動運転化、端末化に至る前段階として、
自らの手で楽しく運転できる自動車が
再び、無理のないスタイルをまとう日が来れば、胸が熱くなることでしょう。

以上、3ナンバーサイズの車を無理やり5ナンバーサイズに
狭めたらどうなるんだろう、という興味から発展して考えてみました。
Posted at 2017/03/01 23:27:07 | コメント(5) | トラックバック(0) | 調べてみた | 日記
2015年06月23日 イイね!

燃費性能差が顧客に与えうる経済的損失の試算

たまたまディーラーの営業マンと
お話しているときに燃費の話になった。

「最近のお客様は燃費に厳しいです」
「燃費の優劣が価格交渉の材料になってしまうこともあるんです」
「燃費で負けてるんだから値引きしてくれ!と交渉されて
困ってしまいますね。」


とのこと。
確かに営業マンの気苦労はとても多いことだろう。

私自身、自分の車以外ならかなり値段交渉をやってきた。
でも、燃費が悪い分を値引きのネタにしたことが無く、
何だか新鮮に感じた。

少しでも安く買いたいお客さんの気持ちは分かるが、
逆に、自動車を作る人、売る人の目線で
「自社製品の燃費性能がライバルに劣る事で
顧客が被る被害額
」を求めてみたい。

まず、
自社製品(劣)の燃費性能:χ[km/L]
ライバル(優)の燃費性能:y[km/L]

とおくと、

性能差:z[km/L]
y-χ=z[km/L]である。

次に、
顧客の月あたりの走行距離:A[km]
顧客が車を買い換えるまでの月数:B[ヶ月]
ある時点の燃料単価:C[円/L]

とおくと、

顧客が自社製品を購入した際に支払う燃料代Dは、

D[円]=A×B×C÷χ
で求められる。

一方、顧客がライバルを購入した場合の燃料代Eも同様に
E[円]=A×B×C÷y
で求められる。

燃料代の差額F[円]D-Eで求められる。

F=D-E=A×B×C×(1/χ-1/y)

y=χ+zであるので


F=D-E=A×B×C×{1/χ-1/(χ+z)}
と書いても同じ意味になる。

この式ではディーゼルとガソリンの様に燃料単価が異なると
使えないので、結局は車種毎に燃料代を計算しないといけなくて
あまり実用的とは言えない式になってしまった。

CをC1、C2に分解して

F=D-E=A×B{(C1-C2)×(1/χ-1/y)}
のようにした方が良いのかもしれない。

どんな風な計算で出来るんだろうという純粋な思い付きだったが、
高専時代の数学の試験では普通に九九を間違えて30点台をマークし、
大学では線形代数のおかげで皆よりも長く大学に通うことになった
私にはコレが限界。
頭がオーバーヒートして明日会社休むかも。

・・・でも思いつきで式が完成したので早速
燃費競争において死闘を繰り広げる池田χ車(35.2km/L)
浜松y車(37.0km/L)とでその差額を見積もってみたい。

χ:35.2km/L y=37.0km/L


このまま見積もっても問題ないが、
カタログ燃費が良い車というのは実測値との乖離が大きいので
e燃費で実燃費を調べ、7掛けで補正した。
以後、2車の燃費として以下値を採用する。

χ:24.9km/L y=25.9km/L


更に各パラメータを決めていく。

顧客の月あたりの走行距離は
比較的車をよく使う人を想定して
A:1000km/月

一般的な乗用車の平均車齢は8.4年なので概ね101ヶ月
B:101ヶ月

全国 ガソリン(レギュラー) 価格一覧より、
C:144.5円/L


電卓を叩いて計算した結果20171円
総走行距離10万1000km走破したのに差額が思ったよりも少ない。
毎月200円の差額だ。

ある日、池田ディーラーにお客さんがやってきて
「χが欲しいけど、yの方が燃費がよい。それでもχを購入するので、
燃料費の差額を値引き増額と言うことで誠意を見せて欲しい」

交渉された場合、池田ディーラーの営業マンは涼しい顔で顧客の
保有者の使用年数と総走行距離から電卓を叩き、

「・・・・そうですね、
それでは2万171円値引きさせていただきます!
これでハンコ捺していただけますか?」

と計算式を見せながら契約を迫ることが・・・・・・たぶんムリ

逆を言えば、カタログ値で1.8km/L、予想実燃費で1km/L差で
2万433円程度経費に差が出るのなら、お金をかけて1km/L分の
燃費向上アイテムを積んだ方が利得は大きいかもしれない、なんて計算もある。

燃費競争が激しい車と言えばファミリーカーの
本丸であるキャブワゴンカテゴリーも激しい燃費戦が続いている。

先ほどの式を用いて三河α車青山β車厚木γ車を比較する。
条件は上の例と合わせる。(育ち盛りの子供を育てる
このカテゴリーの車両は走行距離も多めであると推測され、
1000km/月のレートはそれなりに正しい。)

カタログ値を調べると、
α:16.0km/L
β:17km/L
γ:13.8km/L

α(HV):23.8km/L
γ(HV):16km/L

実測は7掛け程度として、
α:11.2km/L
β:11.9km/L
γ:9.66km/L

α(HV):16.6km/L
γ(HV):11.2km/L

と設定した。

こうして見ると、デビューから年月がたった厚木γが不利な状態となる。

ガソリン車とHV車を分けて比較したい。

直噴1500ccターボのβと
NA2000ccエンジンで戦うγの差額は

28万4389円!
(一月あたり2816円)

リッター1kmあたり12万6959円という価値を生むのだ。

数字遊びの試算とは言え、カタログ値で2.24km/L違うだけでも、
車重が重くて基本的な燃費が悪くなるこのクラスになると差額は大きい。
先ほどの第三のエコカーχとyの対決の6倍もの価値がある。
これは言うまでも無く式の分母に入る数字が小さい(=燃費が悪い)方が、
燃費の差にシビアにきいて効いてくる。

そうなると、HV同士の比較(5.4km/L差)が気になるので試算した。
燃費が良くなり、分母の数字は大きいが、今度は燃費差が大きくなり

42万3894円!!


机上計算とは言え、平均車齢を通じて42万円もの大金を
余分に払っている
のかと思うと驚いてしまう。
(一月あたりなら4197円)

このように考えると、各メーカーの燃費性能担当者は
随分と重量な役割を担わされている事が分かる。

燃費の為の軽量化、燃費の為の空気抵抗削減、
燃費の為のエンジン制御、燃費の為の変速プログラム、
燃費の為のカースタイリング、燃費の為のドラビリ悪化、
燃費の為の居住性悪化・・・・・

自社製品の燃費が悪い事で顧客に迷惑をかけている、
と自らを卑下していびつな低燃費車を開発してしまう
理由の一部分は今回の試算を通じて私にも理解できた。

冒頭で出てきた営業マン氏が出会ったお客さんの
「燃費で負けてる分値引きしてくれ!」の言い分を正とすると、
5ナンバーサイズのキャブワゴンでは
月刊自家用車レベルの値引き額になってしまう。

上記の試算は燃費の差から生じる燃料代だけに絞った試算結果であり、
車の価値とはあくまでも
装備品や燃費以外の性能を全て掛け合わせた総合的な性格を有するから、
この試算だけでお買い得度を測るのはナンセンスであることは強調したい。
価値換算が難しい美しさ、質感、乗り味の良さなどが複雑に絡み合っている。

時代が進んできて馬力や燃費のように
数値的な分かりやすさだけを追い求めない層は
今後増えてくるのではないかと個人的には思う。
燃費燃費と過度に大騒ぎすると、数字に踊らされて
結局は大切なファクターを見落とすことも有り得るのではないか。

過去にエコカーで価格差の元を取る為には何年かかるか?
という試算
を行ったことがあるが、燃料価格(一定であることはまず無い)
や走行距離で結果の振幅は大きい。
あくまでも、個人的興味による電卓遊びなので真に受けたりしないで頂ければ幸い。
Posted at 2015/06/23 23:28:51 | コメント(6) | トラックバック(0) | 調べてみた | 日記
2013年10月03日 イイね!

ステーションワゴンな話題

ステーションワゴンについて振り返ってみました。
文献や個人研究の結果、
自分の生きていない時代の記述もあります。
色々間違いがあるかもしれませんがあしからず。


●ワゴンブーム到来以前
モータリゼーションが加速した1960年代以前、
街角で見かける車といえばタクシーやハイヤー、
社用車やライトバン、トラックだった。



写真のように、乗用車=格調高いセダン=個人所有は憧れ

当時の日本人は乗用車に憧れを抱きながらも、
仕事に使うためにコロナラインの様なライトバンを買い求め、
平日はビジネスに、休日はレジャーに使用していたらしい。


この写真は当時のカローラバンのカタログだが、
バンとセダンで装備品の違いはほとんど無く、ワゴン感覚。

セダンベースのライトバンはベース車と
装備品はほとんど変わらず、高級感があったし、
荷室のユーティリティを遊びに使えることを精一杯アピールしていた。
とはいえ、我々の祖先はセダン(乗用登録)こそがステータス、
憧れの象徴であり、生活臭のするライトバンを敬遠する心理状態が
大多数を占めていたようである。

当時の自動車のお手本であった米国では既にステーションワゴンは
人気のボディタイプとなっていたことを反映して
国産メーカーもライトバンを豪華に仕立てた
ワゴンボディを設定したが、あくまでも人々の憧れはセダンであった。

1960年代、欧州ではバックドアを持つハッチバックが発明され、
日本でもこの流れに沿ったモデルが登場したものの、
バックドアつき=ライトバン、と言われてしまい、ヒットすることはなかった。


1970年代に入る頃にはわが国のステーションワゴンは
徐々に日陰者扱いにされていき、ワクワクする新技術は
よりセダンやパーソナルカーとしての資質を磨いたクーペ、HTに投入され、
ワゴンはなんだかオジサン臭いバリエーションになっていった。

一方で破竹の勢いで伸びた輸出仕様ではステーションワゴンが求められることから、
バンベースで装備をかなり豪華にしたワゴンが設定されていた。



1970年代中期にはトヨタがカローラクーペを
ベースとしたリフトバックというバリエーションを追加した。

これは、クーペをベースにルーフを延長、リアデッキを拡大し、
大型のバックドアを取り付けたもので、スポーティなクーペを
ベースに若者向けのお洒落で遊べる車を目指して開発されたものである。

その低重心なスタイリングと包容力のあるユーティリティは
シューティングブレークの先駆けともいえるものだったが、
わが国ではまたしても「バンみたい」とそっぽを向かれてしまい、
海外では成功したものの、国内ではさっぱりという状況であった。

1980年代に差し掛かるごろになると、同じくクーペをベースとしながら、
Rrドアを追加し、流麗なバックドアをつけたサニーカリフォルニアがヒットしたりもした。






●ステーションワゴンブーム到来

1990年ごろまで、徐々にステーションワゴンは遊べる車として浸透しつつあり、
サニーカリフォルニアやスプリンターカリブの様にバンボディを持たない
ステーションワゴンと平行して従来どおりのライトバンを豪華にした
ステーションワゴンも販売されていた。



このステーションワゴンが一躍脚光を浴びたのは1989年のスバルレガシィが発端だった。
事実上の先代モデルであるレオーネと違い、乗用車ボディのみで商用車臭さがなく、
シンメトリーAWDと水平対抗4気筒ターボエンジンが持つ圧倒的な走りが
「普通の車」に飽き始めていたユーザーの心に響き大ヒット。

大メーカーが提案してきたヒエラルキーに従わないクラスレスな魅力が新しく、
カローラ→コロナ→マークII→クラウンという従来のヒエラルキーは
分かりやすい一方で、そこからはみ出したいと言う心境を人々に植え付ける事に成功した。

そんな中、ステーションワゴンのレガシィやクロスカントリーのパジェロと言った
名作が「レクレーショナル・ヴィークル=RV」としてブームになり、
ステーションワゴンは一気に市民権を得ることとなった。
もはやRVという言葉も残っていないが、
当時は「RVこそが新時代のファミリーカー」ともてはやされた。



面白いのはこのブームに乗って
従来同様のバンベースのステーションワゴンも一緒に売れたということだ。
1995年にフルモデルチェンジしたカローラは、バブル崩壊の反動で
商品性が下がり、セダンもクーペも売れ行きが思わしくない中で、
フルモデルチェンジされずに残置されたステーションワゴンが若者を中心に
大ヒットするといった現象もあった。

1990年代からのRVブームで乗用車の中心はセダン・ハードトップやクーペから
ユーティリティ重視のRV(ステーションワゴン、ミニバン、クロカン)に移ってゆく。

●現代のステーションワゴン
90年代、ステーションワゴンは今までのようなセダンの代わり型ではなく、
メインの車型のひとつとして数えられるようになった。

セダンに飽きた層、若者層を中心にワゴンは一世を風靡した。

私自身も、何回か友人が所有するステーションワゴンを借りて出かけたことがあるが、
ユーティリティの高さに惚れ惚れするようなシーンがあった。




週末にまとめ買い、DIY、週休5日制でレジャーの機会が拡大・・・・

我々のライフスタイルが変わってきたからこそ、
このような車が真価を発揮するようになってきたともいえる。

ところが90年代の終わり頃からは、
ユーティリティを求めるファミリー層はミニバンやミニミニバンに移り、
若者層はコンパクトハッチバックに徐々にスイッチすることとなった。

販売サイドも一年車検のライトバン代わりに
二年車検のステーションワゴンを売る動きが加速された。
結果として、何年もかかってライトバンイメージを払拭したにも関わらず、
ステーションワゴンは再びライトバンの代替物へと変貌してしまった。

2013年の現代となっては、例えばトヨタのラインナップでは
プロボックス/サクシード、カローラ・フィールダー、プリウスα、
アベンシス、マークXZioだけになってしまった。

ただ、どうやら欧州ではステーションワゴン流行の兆しがあるらしく、
オーリスやシビックにステーションワゴンが追加されるという。

●まとめ
かなり乱暴にステーションワゴンという車型を振り返った。
かつてのセダンのお供え物だった事と比べると、
現代はDセグ以下ではむしろセダンこそが
ステーションワゴンのお供え物のような状況になりつつあり、時代の移り変わりを感じる。

個人的にはこの流れは1990年ごろに潮目が変わったように思う。
あの時代こそが私があこがれた旧き良き時代との分水嶺だったのかもしれない。
(もちろん今の車も大好きだが)

わが国や欧米もセダンからステーションワゴン、そこからミニバンに発展したが、
ミニバンの腰高な走りや燃費の悪さから、再びステーションワゴンが
見直される動きも十分ありうると思う。

そこで次回、私は重要なターニングポイントとなった
1990年ごろのステーションワゴンに乗ってみたいと思う。
今回はそこまでの予習。
Posted at 2013/10/04 00:15:30 | コメント(4) | トラックバック(0) | 調べてみた | 日記

プロフィール

「@クロウスバンバン さん 私も最近、トヨタ プログレス用のパーツを買いました。」
何シテル?   08/02 17:10
ノイマイヤーと申します。 車に乗せると機嫌が良いと言われる赤ちゃんでした。 親と買い物に行く度にゲーセンでSEGAのアウトランをやらせろと駄々をこねる幼...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/8 >>

     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      

リンク・クリップ

グリル取付クリップ作成(再) 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2025/07/26 22:48:25
kotaro110さんのトヨタ クラウンステーションワゴン 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2025/07/26 19:12:20
2006年式三菱i(アイ)感想文 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2025/07/18 09:29:33

愛車一覧

トヨタ カローラ トヨタ カローラ
1989年式(マイナーチェンジ直前) カローラGT。 ヤフオクで発見し、 不人気車ゆえに ...
トヨタ RAV4 L トヨタ RAV4 L
1996年式 標準グレード。 私が小学生だった1994年、RAV4が颯爽と登場した。私 ...
トヨタ プログレ トヨタ プログレ
2000年式 NC250。 長年、趣味の先輩達と車談義を重ねる中で定期的に「プログレは ...
シトロエン DS3 シトロエン DS3
2011年式 スポーツシック・エディションノアールII。 ラテン系ホットハッチ(プレミア ...
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation