新型トライトンの出来は確かに良くて、トラック登録とは思えない乗り心地に絶滅したパジェロの復活を夢見る人も多いみたいですね。
私も2月に試乗してみて実感しました。このサスストローク感は、個人的にはR32スカイラインGTS-t TypeMの試乗車で感じて以来でした。でも、こちらは圧倒的に車体がデカいので、良いとこ国道しか絶対に試乗できません。
さて、現行トライトンベースでパジェロを作ったとして、元来のパジェロオーナーの方々は納得できるのでしょうか。もちろんニッサンかルノーが生産したOEMは論外だとして、物理的な4輪駆動システムが日本でのライバル車と共通なことをご存じなら複雑な心境になるだけではないでしょうか。
新型トライトンのカタログを見てて疑問に思ったのが、ローギアを持つ副変速機があるのにそのギア比が具体的に明記されていないことでした。
「主要諸元の中に副変速機のギア比が無いのですが?」と自動化されていない時間帯にメーカーのチャットで質問してみたら、「主要諸元はあくまでもメーカーが伝えたい主要な諸元ですから」ってな感じの禅問答みたいな回答をもらいました。カタログ改訂時には載せた方が良いですよと意見させていただきましたが、タイ版のカタログを見ても副変速機のギア比って項目が無かったので、こりゃ確信犯なんだなと思う次第です。
まぁ、10年くらい前のインターネットの記事で、タイで生産するモデルは変速機を外部から供給するってのは知っていましたから、つまりは新型も同様で副変速機のギア比を知りたければ日本でのライバル車のそれを確認すれば分かるというわけで。
ちなみに日本のトラック専業メーカーのタイ製ピックアップトラックにも同じ物が供給されているので、6速ATのギア比も副変速機のギア比も同一です。ただし、新型トライトンだけは最終減速比だけはライバル車の「4.100」に対して「4.090」と表記されていますから供給元が違う可能性もちょっとあるのかもしれません。
そんなわけでカタログの主要諸元にもメーカーの思惑というのが付いて回るのを実感したわけですが、自身で整備解説書を取り寄せるようなヘビーユーザーでもない限り教えなくても良い内容といえば、まーその通りなのでしょうね。
そういえば、愛車の4輪駆動システムの理解に努めてた頃、リアディファレンシャルギアがeKワゴンのAT車と5速MT・eKスポーツターボでギア比が違うってことに早い段階で気づいたのですが、その理由もカタログの主要諸元だけ眺めていたら絶対に理解できないものだったんです。
で、その4輪駆動システムを理解してしまうと、eKスポーツターボのビスカスカップリングユニットがeKシリーズの4輪駆動の中では一番仕事をしていないようだということが分かります。eKスポーツターボ4WDユーザーの皆さんは、前輪がスリップしてから後輪が駆動するまでどのくらい感じていらっしゃるのかお聞きしたいところです。
私自身は冬季に愛車で発進直後の意図的なスリップでもすぐに後輪が反応していることは分かっていたのですが、今回ビスカスカップリングユニットを挟んだ前後でのギア比を計算してみたら、その経験通りの結果を得ることが出来てスッキリしました。
興味深いのは、初めて4輪駆動システムを採用したH12Vミニカのパートタイム4WDも同様に計算してみたところ、直結状態にもかかわらず前後比が完全な「1」ではなく、僅かに後輪側が速く回ることを示す「0.985」という数値だということです。
尤もこれは、トランスファーのギア比がeKワゴンと同じだったらって仮定での話です。しかし、初代ミニカ4WD(パートタイム)って例えばP.C.D.がFFと非共用の114.3mmを採用したように、妙に頑丈さに拘っていたところがありますから、トランスファーもこのシステムが廃れた2013年まで基本的に共通だった可能性が高いと思っています。あ、表中の網掛け部分は推定値です。
実はeKシリーズでも同じ「0.985」なのがH82WーLKMEZ、Mグレードの3速ATなんです。ということは、この数値近辺がステアリング操作を含めて実際に走行する場合にはほぼ「1」になるということなのかもしれません。
件の4速ATターボは「0.909」で、さすがに8%も速く後輪が回っていたなら、実際に駆動力が伝わるタイミングがかなり遅そうな感じがしているというわけです。
愛車の具体的な4輪駆動システム解説は今後にするとして、カタログの主要諸元だけでは絶対に分からない事例を最近の経験をもとに挙げてみました。
Posted at 2024/04/29 14:00:47 | |
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