
それでは,
富士モータースポーツミュージアムへ行って「THE GOLDEN AGE OF RALLY IN JAPAN」を見学したお話.
まず「GOLDEN AGE」とはそのまんま「黄金世代」という意味で,特定の分野で最も栄えた時期や時代を指す言葉です.フットボール(サッカー)の世界では良く聞く言葉なので欧州文化に根づく言葉なんですかね?
元々は2022~23年にイタリアのトリノ自動車博物館で「THE GOLDEN AGE OF RALLY」として行われた企画展だったそうで,2024年のラリージャパン開催に合わせて,企画元のマルカーゾ財団の協力を得て実現したものだそうです(なので,後ろに「IN JAPAN」が付く).イタリアの財団なのでイタリア車ばっかりなのかなー?と思いましたが,同財団は「ラリーの歴史を伝えるクルマを収集している」そうで,イタリア車以外も展示されています.
なお,今回日本に持ち込まれたのは,以下の6台ですが,
・1966年 MBC Mini Cooper S
・1974年 Fiat X1/9 Abarth prototype
・1976年 Lancia Stratos
・1978年 Fiat Abarth GR.4
・1981年 Audi quattro
・1981年 Renault R5 Turbo
本国で展示された際は,更に以下の13台を加えたものだったようです.
・1966年 Ford Cortina Lotus
・1969年 Ford Escort RS Miki
・1970年 Porsche 911 st
・1970年 Lancia Fulvia Coupe HF 1.6
・1971年 Fiat 124 Spider
・1973年 Alpine Renault A110
・1984年 Lancia rally 037
・1986年 Lancia Delta S4
・1986年 Peugeot 205 Turbo 16
・1990年 Lancia Delta HF Integrale 16v
・1990年 Toyota Celica GT-4 ST165
・1992年 lancia Delta HF Evoluzione Safari
・2001年 Fiat Punto S1600
私はそんなにラリー車は詳しくないですが,雑誌やゲームで見たクルマばかりで,さぞ壮観だったのでしょうね.
さて,蘊蓄はこれくらいにして本題の展示.年代順に最初は「ミニ・クーパーS」から.
お馴染みのクラシック・ミニなので,やっぱり小っちぇ! こちらの展示車両は1966年のモンテカルロ・ラリーに,BMCワークスチームから出場した車両なのだそうです.
早速下を覗くと(笑),稼働車両なので万が一のオイル漏れを想定して下にトレイが置かれていますが,そんな事よりオイルクーラー(?)がかなり突き出てる! これでぶつけないのかなぁ~?と心配になる低さでした.
ヘッドライトの固定が革ベルト! 時代を感じますねぇ.
サイドミラーも取り外されている! さすがの時代ですね.
そして一番の驚きはシートベルトがない! そうだった,1960年代ってそういう時代でしたね.
お次は,「フィアットX1/9アバルト・プロトティーポ」.
個人的にこういったカクカクとしたデザインは好きなので,カッコイイですねぇ.「X1/9」は,フィアットのX1計画の9番目の車両という意味だそうで,この前には「X1/1(フィアット・128)」「X1/2(アウトビアンキ・A112)」「X1/3(フィアット・130)」「X1/4(フィアット・127)」があるそうです(X1/5~7は不明,X1/8はX1/20として再計画されたとの事).
市販車のヘッドライトはポップアップ式ですが,ラリー仕様にする際に固定式に変更されたそうです.市販車より低い位置にある事もあってか,カッコイイですね! また,この時代の定番なのかバンパーを廃してあるそうです.
ミラーの位置が低っく! これで見えるのかな?
こちらは後付け感がありますが,シートベルトはありました.
ミッドシップなので,何かしらの取入れ口(ラジエターかな?)がボディ側面にあります.FF車(128)のパワートレインを流用して作り上げたMR車なのだそうです.
エンジンへの吸気は恐らくこの長く伸びているシュノーケルによるものと思われ,その後方にはこの時代らしいダックテールが確認出来ます.なお,こちらは見忘れたのですが,このクルマの特筆すべきはそのサスペンションなのだそうで,「これしき(200PS)のパワーのクルマに,なぜこのような素晴らしい足が必要なのか?と疑いたくなる」と言われるくらい強靭なアームだったそうです(ちなみに前後共にストラット式).
先述のシュノーケルを正面から見るとこんな感じ.後ろから見ると突き出た感が凄いですが,前から見るとそれほどでもない.それだけボディ後端が低いという事なのでしょうね(キャビン部分が切り立っているとも言えますが).
なお,このプロトティーポは,後に出てくる「131(230PS)」よりも加速性能が優れているくらい優秀なクルマだったそうですが,オイルショックによる資金難とフィアットの販売政策の変更(特殊なX1/9よりオーソドックスな131の方が台数が出る)により,たった2年でプロジェクトは終了したそうです.ただ,このX1/9で得られたノウハウは次のストラトスへと引き継がれたとの事.
・・・という事で,お次はストラトス!と行きたいところなのですが,長くなりそうなので今回はここまで(
次回へ続く).
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Posted at
2025/04/08 02:21:17