
先日の広島に続き、今日は長崎で平和祈念式典がおこなわれました。あれから73回目の夏だそうです。「だそうです」と書くと他人事のようですが、残念ながら私はリアルタイムでは知るはずもなく、当然教科書でしか知りません。当時のことを語れる人は時代とともにどんどんいなくなってしまいますが、今後も式典などを通して語り継がなければいけないことですね。
今日はそれにあわせて、
ウルトラシリーズの中でもタブーとされてきたウルトラセブンの第12話「遊星より愛をこめて」を紹介します。1967年12月17日に放送されたこの12話ですが、当時は特に問題視されることもなく放送されました。しかし放送から3年後、小学館の雑誌に付いていたカードに「ひばくせい人」と記載されたことがきっかけで大問題となってしまいます。その後円谷プロが対応するより先に朝日新聞が「被爆者を怪獣扱い」と報道し、全国規模で抗議行動が殺到、それを受けこの回は永久欠番となってしまいました。私の個人的な感想としては、ストーリーの内容には「被爆者を怪獣扱い」している点は全く描かれておらず、現在別名として公式につけられている「吸血宇宙人」を用いれば全く問題ないものと思います。むしろこれを単純に「被爆者を怪獣扱い」と書き立てる方が余程差別に値すると思います。また、広島平和記念資料館の元館長にもビデオを見てもらった上で、アンヌ隊員役を演じたひし美ゆり子は「31年前に見ても差別だとは感じなかったはずで平和を願う気持ちが伝わる」と述べています。実際ストーリーは自分たちがおこなった実験によって被ばくしてしまったスペル星人が人間の血を求め、人間の血を奪うという内容で、自業自得のことであり、そのような実験をしたがために自分たちを害する結果になてしまったというものです。これを見て「被爆者=怪獣」と思うよりも、核実験などは良いことではないと捉える方が普通ではないでしょうか。小学館のカードの記載には確かに誤解を招く表現があり軽率な点はありますが、朝日新聞の記事の書き方は如何なものかと思います。そして今の時代だからこそ、正しい解釈を載せた上で、この第12話を解禁する時なのではないかと思います。もちろん人によって賛否両論はあるものではありますが、今日はタブーに切り込み第12話をここで紹介します。
宇宙で謎の爆発が発生したことを受け、アマギ隊員とソガ隊員はウルトラホーク2号で宇宙パトロールをしていた。その際、宇宙で通常より若干多めの放射能を検出していた。一方地球では若い女性が謎の貧血で倒れるという事件が頻発していた。
ウルトラ警備隊は倒れた女性に共通点を探すと、みな同じ型の腕時計をしていることが判明、それを調査したところ、地球には存在しないスペリウムという物質でできていることが発覚した。その時アンヌ隊員が休暇で訪れていた友人早苗の家から作戦室へ帰ってきた。隊員たちがちょうど腕時計の話しをしていたところに戻ったアンヌ隊員は、その腕時計を見て早苗も同じものを身につけていたことに気付く。それを隊員たちに話すと、ダンは早苗が腕時計をどこで手に入れたか知っているかとアンヌ隊員に尋ねる。するとアンヌ隊員は早苗の恋人の佐竹からもらったものだと答えた。
その後、アンヌ隊員は時計を調査するため、早苗と恋人の佐竹を喫茶店に呼び、話しをしていた。
そして早苗が席を外したタイミングで、佐竹に腕時計の購入場所を尋ねた。すると佐竹はヨーロッパとだけ答えた。アンヌ隊員がヨーロッパのどこかと再度聞くと佐竹は言葉を濁した。
そして佐竹は早苗が腕時計をしていないことに気付くが、その時早苗の弟伸一が学校で倒れたと知らせが入る。3人が病院へ駆けつけると、伸一は既に元気になっていて、医師から軽い脳貧血だと説明を受けた。早苗はその時伸一が自分の腕時計をしていることに気付き、勝手に持ち出したことを注意し、腕時計を返すよう話すが、伸一はそれを拒否、友達と病室から出て行ってしまった。佐竹は早苗に伸一から腕時計と取り戻すよう告げ、一緒に伸一を追いかける。
腕時計をしていた伸一が貧血で倒れたことが多発していた女性の貧血事件と重なり怪しんだアンヌ隊員はそのことをキリヤマ隊長に報告する。キリヤマ隊長は腕時計の購入場所をはっきりと言えない佐竹の言動もおかしいと考え、アンヌ隊員に佐竹をマークするよう指示、そしてダンを応援に向かわせた。その後アンヌ隊員はダンと合流、陰から佐竹と早苗の様子を偵察していた。
すると伸一から取り戻した腕時計をしていた早苗は、それを佐竹に手渡した。すると佐竹は早苗に気付かれないよう、同じ型の別の腕時計とすり替え、それを早苗の腕に巻くと、佐竹は早苗と別れどこかへ去って行った。
ダンとアンヌ隊員は急いで佐竹の後を追った。すると佐竹は奇妙な建物の中へと入っていった。
佐竹が部屋に戻ると、そこに3人の男がいた。そして佐竹は早苗から回収した腕時計を仲間に渡す。そして男らは腕時計を分解する。その腕時計の中には人間の血液が入っていた。佐竹はスペル星人で、宇宙でスペリウム爆弾の実験中、放射能で汚染されてしまった仲間の血液を人間の血液に入れ替えるべく、地球を訪れ腕時計を使い人間の血液を採取していたのだった。そして男らは早苗の腕時計から回収した血液を調べていると、それまで若い女性から回収していた血液よりも純度が高いことに気付く。それにより、男らは若い女性からターゲットを子どもへと変えた。
建物の外で偵察を続けていたダンとアンヌ隊員だったが、ダンはアンヌ隊員に基地に戻って報告するよう告げ、一人で見張りを続けることにした。アンヌ隊員からの報告を受けた隊員たちは男らのアジトに乗り込もうとするが、キリヤマ隊長は敵の尻尾を掴むまで待てと隊員たちを制した。するとその後男らが行動を開始した。男らは「ロケットを描いて宇宙時計をもらおう」という企画を新聞広告に載せてきた。
すると男らの狙い通り、それに子どもたちが殺到、男らのアジトの前にはたくさんの子どもたちの行列ができていた。そこにフルハシ隊員とダンが駆けつけ、建物の中に入ろうとする子どもを必死に押さえつけていた。すると計画を見破られた佐竹は巨大化、スペル星人の姿になる。ウルトラ警備隊はウルトラホーク1号で出動、スペル星人と交戦するが、ウルトラホーク1号はスペル星人が目から放った怪光線でやられ不時着することとなってしまう。
ウルトラ警備隊を撃退したスペル星人は一度撤退し、その後佐竹の姿に戻り早苗の家を訪れる。そして早苗の弟伸一を連れ奥多摩の氷川貯水池へと向かった。少し遅れてアンヌ隊員とソガ隊員が早苗の家に駆けつけるが、その時伸一は既に佐竹に連れ去られた後だった。アンヌ隊員とソガ隊員は早苗を連れてポインターで急いで佐竹の後を追う。その道中、早苗はアンヌ隊員から佐竹の正体を聞かされ、ソガ隊員から腕時計を捨てるよう言われるが、早苗は2人の言うことを信じようとしなかった。その頃不時着したウルトラホーク1号の修理を終えたキリヤマ隊長らは氷川貯水池へと急行する。一方アンヌ隊員とソガ隊員は早苗を連れ氷川貯水池の山林に入り、佐竹と伸一の後を追う。すると佐竹と伸一を発見したソガ隊員がエレクトロHガンで佐竹を撃とうとすると、早苗が止めに入るが、ソガ隊員は構わず佐竹に向けエレクトロHガンを発射する。
すると佐竹はスペル星人へと変貌、巨大化する。佐竹の正体を見てしまった早苗は呆然と立ちつくしていた。そこにキリヤマ隊長とフルハシ隊員の乗るウルトラホーク1号とダンの乗ったウルトラホーク3号が到着、2機がスペル星人を攻撃すると、スペル星人は宇宙船を出し、ウルトラホークを迎撃しようとする。そしてウルトラホーク1号は宇宙船を追い、ウルトラホーク3号はスペル星人に的を絞るが、スペル星人は空中戦を展開、目から怪光線を出しウルトラホーク3号を撃墜する。ダンは墜落間際にウルトラアイでウルトラセブンに変身、スペル星人に挑む。そしてすぐさまアイスラッガーを放つが、スペル星人に避けられてしまう。ウルトラセブンは宇宙船に妨害を受けながらもスペル星人を投げ飛ばす。
そして宇宙船にストップ光線を放ち、動きを封じると、その隙にウルトラホーク1号が宇宙船にミサイルを撃ち込み宇宙船は爆破された。それを見て劣勢に追い込まれたスペル星人は逃げようと飛び立つが、ウルトラセブンのアイスラッガーで両断され絶命した。
その後早苗は湖に腕時計を投げ捨てた。そして早苗は地球人も他の星の人も同じように信じ合える日が来ると信じているとアンヌ隊員に話した。それを横で聞いていたダンは心の中で「そんな日はもう遠くない、だってM78星雲の人間である僕がこうして君たちと一緒に戦っているじゃないか」とつぶやいた。
最後のダンのセリフ、実はこれは劇中でウルトラセブンがM78星雲から来たということを初めて明言した時でもありました。しかし永久欠番となってしまったため、あまり知られないエピソードにもなってしまいました。そして早苗を演じていたのは前作の初代ウルトラマンで科学特捜隊のフジ隊員を演じた桜井浩子で、新旧ヒロインが当時唯一共演した貴重な回でもありました。
ちなみにこの回も実相寺昭雄氏が監督を務めた作品で、カメラワークや、アンヌ隊員のニット姿、アイスラッガーが湖面を水切りのように弾みながらスペル星人に飛んでいく点など、随所に実相寺らしさが見受けられる作品となっています。
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Posted at
2018/08/09 19:33:00