さてさてジャガーXEに続いてこのセグメントを面白くしている(とボクが思っている)クルマがコレ。
アルファロメオ・ジュリア
アルファロメオもジャガーに負けず劣らず歴史と伝統、そして輝かしいモータースポーツシーンでの成績を誇ったブランドですが、そのイメージも現在のラインナップもジャガーとは相当に異なります。当り前ですが(^^;)
ジュリアはまだ発表されただけで実車が市場に出ておらず、当然のことながらクルマの出来を評価する段階には無いのですが、先行して市場に出たジャガーXEと対比してみると意外や様々なアプローチに違いがあって面白い(^m^)。
アルファロメオに対するボクの個人的なイメージは、F1用に12気筒エンジンを供給していたエンジンサプライヤから自らチームで参戦した1980年前後の活動と、市販車ベースと言う点では155がBTCC、DTMでAWDを武器にドイツ勢を圧倒した辺りの記憶がベースとなります。他方で最新から過去10年くらいを遡った市販車のイメージは、過去のモータースポーツ戦歴の栄光を背景にファンにはとことん愛される、キラリと光る個性(特にエンジンの味)を持つものの、そのスタイリングは好き嫌いが別れるとか、どちらかというとマイナーな存在と認識しています。
現ラインナップはBセグメントのミト(Mito)とCセグメントのジュリエッタですが、2013年にスポーツカーの4Cを加えたことがトピック。その後フルラインナップ化を計画しているという話をメディアが報じたことがありますが、ジュリアは正にその計画に沿ってリリースされることになります。
今は無いDセグメントのクルマと言う点では全くの新規車種にはなるものの、「ジュリア」という車名は実は過去にラインナップされていたもののリバイバルで、Wikiなどで調べると実に輝かしい過去の栄光を紐解く事が出来ます。
つまりジャガーと比較すると、全く新しい「XE」という車名を与えたジャガーに対し、過去の栄光の車名を復活させたアルファロメオという対比ですね。
また、ジャガーがラインナップの中でもっとも下位のラインナップを拡充するのに対し、アルファロメオはもっとも上位ラインナップというのも対照的です。
更に、まだ発売前のジュリアですが、アルファロメオはトップグレードとなる「クアドリフォリオ」をイキナリ発表(2015/6/24)する一方で、いわゆる標準グレードがどのような展開になるのかは未だに闇の中です。このクアドリフォリオはその心臓にナント、フェラーリチューンのV6ターボを奢り510psを誇るという話で、云ってみれば御三家のBMW M3、メルセデスAMG、Audi RS4に対抗するグレードを先ず明らかにしたことになります。
対するジャガーは2L,4気筒から3L,V6までの標準グレードのみの展開で、まだこのプレミアムスポーツグレードは存在しません。XJ R、XF Rに搭載する5L,V8 550psがそもそもXEのボンネットに収まるのか否かは判りませんが、とにもかくにも"R"グレードは現時点ではお預けです。
なぜ新たにDセグメントに進出する両社のアプローチがこうも対照的なのか?という点に目を向けるとなかなか興味深いのですが、アルファロメオのアプローチは明らかに過去の栄光を最大限に活用して自社のブランドイメージを強く打ち出そうとしています。もともとエンジンに対する評価が高いところにフェラーリチューンのV6ターボを搭載し、510psを叩き出すという話ですからメルセデスのAMG C63 S(ハイチューン版)とイキナリ同等であり、クラストップに並ぶ高出力です。
恐らくファンであればもうフェラーリエンジンが載るという話だけで、既に500ps前後という途方もないレベルであることも踏まえて「どっちが上かなんてどーでも良い」と考えると思うのですが、当のアルファロメオとエンジンを供給するフェラーリはきっと"そうはいかない"と思っているんでしょうね(^^;)。
つまりアルファロメオは、御三家が居並ぶDセグメントに(再)進出するにあたり、自分たちがどう在るべきか?について、そう考えたという事でしょう。
自分たちがどう在るべき = ファンがアルファロメオに何を期待するか?
それが例えかつての栄光(失礼!)とはいえ、モータースポーツシーンで当然の如くドイツ勢を向こうに回して優勝を競い、勝利を重ねた歴史も伝統もあるブランドです。今はB、Cセグメントのみのラインナップでドイツ御三家と真っ向対決する立ち位置では無いものの、そこをいざDセグメントに進出ともなれば、先行するドイツブランドに対して後塵を拝することを良しとするか?ファンは元より、当のアルファロメオ自身もそれは望むところでは無いハズです。
出ていくからには、M3だろうがAMGだろうがやっつける!
そしてその気概こそが、多くのアルファロメオファンを納得させ、例え自らはクアドリフォリオに手が届かずとも、ジュリアを買う理由に繋がる、とそう考えているのではないかと思うのです(^.^)b。
結局、アルファロメオもジャガーも「自分たちは一体、何者か?」という点に極めて忠実に、ジュリアにせよXEにせよクルマ造りをしたようにボクには映りました。
勿論製品が市場に出れば絶対的、相対的な比較は当然のように行われるのでしょうが、各社の個々の製品の性能比較では無く、先ず自分と言うブランドが何者であるか?故にどんなクルマが求められるのか?つまり
アルファロメオ/ジャガー vs BMW/メルセデス/Audi
という構図が先ずあって、その先に
ジュリア/XE vs BMW 3/メルセデス C/Audi A4
こいう図式がある、という事ですね。
各車の性能の優劣は勿論、一定の意味を持つものですが、それ以前に
ブランド価値の勝負があるということですね。
Posted at 2015/08/28 00:03:51 | |
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