
少し前の話になるのですが、昨年末の「スカイフォール」の公開で気分アゲアゲだった私は、すっかり007モードになり、過去作も一挙に視聴。そんな中、ふとした疑問が・・・
シリーズ5作目「007は二度死ぬ」。本作は、1960年代・高度成長期の日本を舞台にしており、007ファンならずとも、昭和ノスタルジーをちょっと違った目線で楽しめる作品です。ご覧になられていない方は、ぜひ一度。
ボンドを助手席に乗せて、ボンドガール(若林映子)が運転するトヨタ2000GTと、悪役一味が運転するトヨペット・クラウンのカーチェイス・シーンを見ていたときのこと。
ボンドガールが、日本の諜報機関のボス(丹波哲郎)に連絡し、ヘリコプターで悪役一味のクルマを大型マグネットで釣り上げ、、、
東京湾まで運んで、、、
マグネットのスイッチを切って・・・海上に落とす。
???
ここで、疑問が。
アルミボディのXJだったら、マグネットはくっつかないはず。
スカイフォールでは、ボンドがXJを運転したくらいだから、悪役が運転することはないだろうけど、逆に敵の罠にかかるというリスクはあるわけで、早速実験。
まずは、マグネットを用意。
チンクのボディだと、しっかりとくっつく。チンクはスチールボディ(*^_^*)
XJだと、くっつかない(+o+) 手で押さえる必要あり。
ドア・サッシュも同様。
アルミホイールは当然のごとく、、、
ボディの内側も・・・くっつかない・・・
これはどうかな、ということでドア・キャッチャーにくっつけてみると、手を離しても大丈夫。
スチールだ!
他にないかな。
ドアハンドル。僅かながら鉄分が入っているみたいで、何とかくっついている。
リアのジャガー・エンブレム。これも鉄分あり。
フロントのメッキパーツ。くっつく。
室内に移って、ドア・オープナー。
ジャガーのNewアイコン、ドライブ・セレクター。
こんなところにも鉄分が。ワイパースイッチ。
もう一丁、エアコン吹き出し口のメッキパーツ。
以上、細かなパーツには鉄分が含まれているようですが、ボディ全体としてはアルミニウムであることは間違いない(^.^)
ここで、アルミボディのメリットを確認してみると、
(CarView 2010.05.04 試乗記事より抜粋)
アルミ最大のメリットは軽いことであるが、どのくらい軽いのだろうか。アルミは鉄と比べると約1/3の比重(単位体積当りの重量)であるが、鉄と同じ重量にするとなんと鉄の3倍の強度となる。ジャガー創世時代は多くのスポーツカーはアルミで作られていたのだが、その手法はアルミパネルというもので、衝突安全性などは考慮されていなかった。そこで安全性や加工技術の問題で戦後の自動車の素材はアルミから鉄に変わり、工法もモノコックボディが主流となった。近年ではホンダの「NSX」や「インサイト(初代)」もアルミボディを持っていたが、2000年代に入ってアルミボディは姿を消した。

ホンダの次にアルミボディの量産化に成功したのはアウディだ。最新のA8は第六世代というからアウディはアルミボディのエキスパートだ。しかしジャガーも先代XJから始めたアルミボディは「XK」にも受け継がれ、いまではジャガーの重要なコア技術となっている。
ジャガーのアルミボディはアウディとは異なるモノコックボディだ。多くの鉄製ボディで世界中の自動車が作られているのと同じ手法。モノコックの特徴は量産に適しているが、少量生産には相応しくない。アウディのアルミボディはスペースフレーム構造と呼ばれるもので、少量生産に適している。アウディは1993年に「A8」から始めたが、その後ベースモデルの「A2」もフルアルミで作った。A2は姿を消したが、その後はR8というスポーツカーをアルミボディで開発した。

モノコックとスペースフレームという工法の違いがあるが、アルミは加工しやすくて、いまでは幅広い成形法が利用されている。例えば新型ジャガーXJのアルミボディは、5%の「押し出し材」、6%の「ダイキャスト(鋳造)」、88%の「パネル材」でできている。それぞれの成形の違いは適材適所で使われているのだ。

ところで一般的にアルミはどうやって作られるのだろうか。アルミは天然資源であるボーキサイトから電気を使ってアルミ地金が作られているので、「電気の缶詰」と揶揄されている。沢山の電気を使って作られるので、安価な電気エネルギーがアルミ生産には不可欠であるが、最近は再生可能なエネルギーで電気を作れば、環境に優しい素材であると考えられるようになった。しかもリサイクルしやすいので、何度かアルミを再利用する前提で考えるとCO2は低減できる。
クルマの一生を考えて評価する手法を「LCA(ライフサイクルアセスメント)」と呼んでいる。クルマの環境負荷は走行時のテールパイプから排出されるCO2だけではなく、燃料の総合効率(WELL TO WHEEL)とクルマ本体の製造と廃棄までを考慮したLCAで考えるべきなのだ。
その意味では燃費性能だけではくアルミボディを持つ新型ジャガーXJのLCAを正しく評価する必要があるだろう。すでに二世代目となったジャガーはアルミを一次資源のアルミと廃棄物、あるいは古くなったXJの回収によって新しいXJを作りだす。このようにリサイクルするとアルミボディは環境にも優しいといえる。

アルミボディのもうひとつのメリットは、耐久性が高いこと。つまりアルミボディは錆びないので長く使える。アルミボディの「NSX」は20年経ってもボディはへたっていない。アルミは腐食しないというメリットは、長く乗るユーザーには大変にありがたい。
というようなメリットの他に、
私の実験で「マグネット釣り上げ作戦が通用しない」というメリットがあることがわかりました。実際には、ダブルサンルーフで全面ガラスに近いので尚更ムリだと思います。・・・
見てるか、ブロフェルド(笑)
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Jaguar | クルマ
Posted at
2013/08/11 16:32:53