
Fセグメントのフラッグシップ・・・
ジャガーXJに4気筒2000ccエンジン搭載。
吉と出るか凶と出るか?
WEBや雑誌でのインプレッションが出回り始めていますが、年末年始を挟む時期でディーラーには試乗車が届いてなく、一般ユーザーには「走り」を確かめようもない状態。
ここは一つ、調査を前倒しして、イヴォークを試乗してみました。
今回、XJに搭載される2000㏄エンジンは、イヴォークと同じ型式なのです。
XJ≒イヴォークなのは、以前から分かっていたことですが、まさかエンジンまで同じものを積むとは思っていませんでした。
走りのフィーリングを確かめるという意味では、XJ=1780㎏(2000cc搭載車)、イヴォーク4ドア=1760㎏ですから、パワー/ウェイト・レシオはほぼ同じ。乗ってみる価値ありと思いました。
XJは図体のデカサの割にはアルミボディで軽いのです。
まずは、イヴォーク。ホントにグッドルッキングですね。
3月に注文を受けた車がこの年末に一斉に納車になったと担当の方がおっしゃっていました。
日本への割り当てが当初は650台だったのが、途中1500台に増加されたとも。
年明けから、街中でイヴォークを見かける機会が多くなりそうです。
都会、郊外、オフロード、いずれの景色にも映えるクルマだと思います。
さて、乗ってみた感触は、
<早さ・力強さ>
いつものペースの走り出しのためには、ちょっとアクセル開度を上げないといけないかな、というところからスタート。
走り出してしまえば、結構力強く、私の感覚では5000ccとの違いを表現できないほど。一般道走行なら遜色なしと見ました。それ以上は「試乗」の限界で分かりません。
<音・振動>
これは、エンジンマウント、遮音に関するコストのかけ方と考え方に違いがあるでしょうが、やはり、エンジン自体の振動を少し感じます。これは、ディーラーの方も言っていました。「4発ですから」と。特に、Dレンジに入れてブレーキを踏んだ状態の振動は体感としてハッキリ差があります。これだとXJの車格には似合わない。XJでは前述に関する手立てを万全にして、相当レベルに抑えているはずですが。音も「ボー」という低音がタイヤノイズとミックスされて入ってきます。周波数が同じなのかな。まあ、うるさいというほどではありません。一方、ソソるサウンドでもありません。
<総合>
一番の懸念は「遅いんじゃないの?」というものだったのですが、それは何とかセーフと思いました。音や振動は、実車に乗らないと分からないし。ちなみにイヴォークは6AT、2013モデルのXJは8ATなので、また、違った感じになると思います。
イヴォークはロールが少なく、ハンドルの切れ角も含め、素直なクルマだと思いました。オフロード性能は確かめようもありませんが、基本はしっかりしているのでしょう。また、外見だけでなく内装もオフロードカーらしからぬ(?)スッキリ感があって好印象でした。
タイトルの話、
結局何だよ、という声が聞こえてきそうですが。
技術的には「問題や遜色がある」というレベルのものを出すはずがありません。
その点では、私のようなシロート目には分からない。
私が気になるのはコンセプトやイメージ。技術的価値ではなく感性的価値です。
伝統のあるメーカーのフラッグシップであるXJ、Fセグメントの一翼を担うXJに4気筒2000ccを載せるというには、ハイブリッドやディーゼルを載せる以上にインパクトがあります。燃費が何パーセント向上したというより、気筒数50%カット、排気量60%カットのほうが、ある意味分かりやすいと思います。機能性発泡酒のように。
XJの2013年モデルを整理すると以下の通りになります。
私の愛車Portfolioに積まれていた5000㏄V8 NAエンジンはドロップとなりました。
XJに最も似合うエンジンだと思っています。
個人的には、一抹の寂しさと、大切に乗ろうという愛着とが交錯しています。
客観的には、エコ流行りの時代に、その手の先進技術を持たないジャガーが考え出した一手と捉えれば、「なかなかやるじゃん」と褒めたくもなります。
プレミアム+エコの新しい概念を打ち出す意図もあるのかもしれません。
でも、誰が買うのかな?
XJに4気筒・・・
このご時世、「クールでかっこいい」という意見もあります。
確かに、異なる概念を融合させた先に新たな概念が見えるということもあるでしょう。
だけど、
自分は古いのかなぁ。なんか釈然としないのです。
マネジメントの大家、ドラッカーの言葉の一つに「利益とは目的ではなく条件」というのがあります。
利益が重要でないということではない。利益は企業や事業の目的ではなく条件である。利益は、事業における意思決定の理由や原因や根拠ではなく、妥当性の尺度である。「現代の経営(上)」
ドラッカーの日本語訳で有名な上田惇生氏によれば、
「利益を目的とすることの誤りを説く、企業社会における諸悪はそこから生まれることが多い」となります。
「利益」を「エコ」に、「企業や事業」を「クルマ作り」に置き替えて読んでみてください。
利益:エコという条件に照準を当てて仕事をするとツマラナイもの、カスタマー不在のものになるのではと考えます。
目的に照準を当ててほしい。誰が買うのかと? 何のためにクルマを買うのかと。
条件は、社会が求める普遍的なもの。共生していくうえで大切なものです。
だから、条件はクリアすべきハードルではありますが、目的とは異なります。
カスタマーの目的はさまざま。だからこそ、メーカー側も単に条件をクリアすることに奔走したり、同じ目的を追ったりしないでほしい。
それが、ジャガーでさえ、条件に照準を当て、他社と同様の目的として捉えているのではと思うと不安です。(たとえば私はジャガーに気高さを求めています。自分に無いのでw)
「12気筒で思いっきりジェントル、でも、気筒停止とかなんやかやの技術で燃費にも気を遣っているよ」くらいのエンジン載せてほしいな~
条件をクリアしつつ目的(想い)を叶える・・・その難題を解消するのが人類の英知でしょう。
などど、想いを馳せているとお腹が空きます。
試乗後、恒例(?)の腹ごしらえ。
埼玉の上尾にある中華料理店「
チャイナ」・・・思いっきりベタな名前。
地元の酒蔵とコラボです。上尾にちなんで「揚げ」も入っています・・・これもベタです。
帰り際にたまたま見つけたのですが、酒粕の風味が食欲をソソります。味もグッドです。
近くの方にはお奨めです。
気高さを求めている自分はどこに・・・