
最近話題になってるマツダのスカイアクティブ・ディーゼルエンジン。
少し前にCX-5を運転する機会があったのですが、高速巡航はひたすら楽で、加速が必要なときは即座にぐわっとトルクが溢れ、高速道路の合流でいじわるしてきた「リアリジットサスの自称高級車」を加速で簡単にちぎる鬼トルク。
正直、「これはいい」と思いました。
車自体も、ステアリングごしの路面の感覚や、腰から足の動きがはっきり伝わってくるとか、運転好きのツボを突くつ仕上がりに、正直心惹かれました。
SUVというジャンルの車は、「なーんちゃってオフ車」とか「でかいだけで鈍重」「見栄え優先」という先入観があって、あんまり好きな類の車ではなかったのですが、CX-5は例外的に楽しめました。
この時以来、一度マツダのディーゼルをじっくりと運転する機会があれば・・・と思い、レンタカーなどで乗れないか・・・などと色々調べてみたのですが、マツダ車のレンタカーを多く備えているタイムズレンタカー(旧マツダレンタカー)では、関東近辺でレンタルできるアクセラ・アテンザはすべてガソリン。
レンタカーはなかなか見つからず、どうしたものかと思っていたら、一部のマツダディーラーでこういう企画をやっておりました。
http://www.kanto-mazda.com/event/
千葉県内ではやっておりませんでしたが、一時期住んだことのある埼玉近辺で乗れるとのことだったので、先日行ってまいりました。
そんなわけで、川越市内の某所でアテンザ・ワゴンを受け取り、秩父方面へ向けて出発。
R299をひたすら秩父方面へ向けて走りましたが、山間部を抜ける道で、左右にうねってアップダウンも激しい299の道を、快適に走れました。
エンジンの回転数は、2000回転も回らない程度ですが、その領域でも図太いトルクのおかげで、上り坂は苦にならず、登り始めてからもちょいとアクセル踏みたすだけで、ぐいぐい登っていきます。
登りながら、右に左に曲がっていく個所もあちこちにありますが、コーナリングも思い通り。
巡航になれば、エンジン回転数が低めになることもありますが、それ抜きに考えても、車内にはディーゼルエンジンのノイズはほぼ入らず、何も知らない人が乗れば、ディーゼルであることはわからないでしょう。
前が開けたところで、アクセルを多めに踏み込んで試してみましたが、凄まじい加速。
この時ばかりは、ディーゼルっぽいノイズが多めに出ますが、それでも「思ったほどうるさくない」レベル。
むしろ、同級他車をしのぐ鋭い加速に驚かされることになると思います。
しばらく299を走ったのち、もう少しタイトな峠道を走ってみよう・・・と、正丸峠に踏み入れてみました。
当時は雨で路面がぬれていて、それに加えて台風の痕で、木の枝や落ち葉などが路面に散らばり、足場がかなり悪い状態なので、慎重に進む。
もう少しコンディションよければ、ガンガン行きたいところでしたが、路面も悪いし、何より借り物。
それでも時々、登り坂のコーナーからの出口で、アクセル多めに踏んでみたりもしましたが、ステアリングを多めに切りこんでも、路面の感覚が途切れることもなし。
むしろ、VSCやトラクションコントロールの類が作動している感触があったので、そういうののお世話にならない程度に、車が暴れる手前で「寸止め」的に操作することを心がけましたが、「これ以上やばい」という感覚もつかみやすかったように思います。
以前、NBロードスターを峠で運転する機会があったのですが、同様に「これ以上踏んだらケツが出る」という感覚が実にわかりやすく、マツダって例外なくそういう傾向あるように思います。
正丸峠を走り抜け、そこから再び299へ戻り、秩父市内から140号線で浦山ダムへ。
そこから今度は秩父鉄道沿いに三峰口まで行き、両神~小鹿野と抜けて、小鹿野町内で食事。
食事の後、合角ダム~下久保ダムと、ダムをめぐる。
過去にこの周辺をうろついていた頃は、カーナビの類を持っていなくて、改めてナビの地図見ると、未踏の場所や道が結構あったことに気が付き、そういう未踏エリアを塗りつぶすつもりで走る。
車もあまり走っておらず、それでいて山間部なので走る楽しみも味わえて、ツアラーとしては極めて優秀なアテンザの素質もあって、ほぼ一日走りっぱなしでしたが、ほとんど疲れはなく、まだまだ走りたりなく思えるほど。
下久保ダムから鬼石へ抜けて、児玉へ。
そこから今度は間瀬峠・・・と懲りずにまた峠w
山道に進んで飛び込んでいきたくなるくらい、アテンザは運転の楽しい車だとご理解ください。
長瀞から横瀬へ抜けていき、再び299へ戻って、行きに通った道をそのまま辿って川越へ戻る。
車両を返却する前に、ガソリンスタンドで軽油を入れるが、226kmを走って、入れた軽油は18リッター。
燃費は、メーターにでも出ている通り、12㎞ちょっとというくらい。
山道をさんざん走り回って、アクセルもガンガン踏んでこの燃費なら文句もないし、そもそも軽油だから、ガソリンと比べてリッターあたり20円以上も安い。
同じ距離を、仮にリッター20㎞走る車で走破した場合、ガソリンがリッター155円と仮定して、226km÷20リットルで、入れるガソリンは約11リットルとして、155円×11リットルで、1705円。
軽油だと132円くらいだったと記憶してますが、132円×18リットルで、2340円。
ただ、今回見たく上り下りに曲がりあり・・・という地形だと、カタログでリッター30km以上出る!とうたっている車でも、はたして燃費がどれだけ落ち込むか。
逆に、上り下りが今回ほど多くないルートを選んで走った場合、ディーゼルはどこまで燃費伸びるかは気になります。
ここまでべた褒めのアテンザ・ディーゼルですが、欠点がないわけではありません。
まず気になったのは、左方向への視界の狭さ。
デザイン優先のせいか窓が小さく、しかし見切りは悪くはないけど、窓の下側から車体下面への面積が大きいので、左側面下部分の死角も大きく、左折するたびに死角に異物がないかどうかで冷や冷やしていたのは事実。
走っているうちは大柄なボディは気にならなかったけど、うっかり道を間違えて住宅街へ飛び込んでしまった時など、日本の道路事情を考慮されているとは言い難い巨大な車体と、死角の大きい左側面に、切り返しや曲がりの度に神経を使うことになると思います。
そして、燃費やトルクの太さでべた褒めしたディーゼルエンジンですが、こちらも欠点がないわけでもありません。
特に気になったのは、アクセル入れてから実際にトルクが発生するまでに、わずかにズレを感じた点。
街乗りレベルではそれほど気にならないけど、コーナーの多い峠の登りなどでは、ブレーキからのシフトダウンで準備を整えて、いざ立ち上がりでアクセルを踏み込み・・・という場面で、トルクの発生がかすかにずれるのと、いざ出たら出たで、トルクの出方が急激過ぎて、デリケートにトルクを立ち上げていきたいという場面では少々苦しくも感じます。
普段乗っているのが、ガソリンNAエンジンなので、余計にそういう点が気になったのかもしれません。
タイトコーナーの立ち上がりなんかで、ディーゼルのぶっといトルクを生かしきれれば、ジムカーナなんかで強力な武器になりそう・・・と思ったのですが、こういった点をデミオ・ディーゼルはどのようにしつけてあるのかが気になります。
個人的には楽しめましたけど、高回転型のNAエンジンになれてる人には、真逆の性格のディーゼルエンジンは、少なからず違和感があるかもしれません。
けど、普段の生活の足や、長距離移動のツアラーとしての使い方なら、文句なしに楽しめると思います。