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白イカ太郎のブログ一覧

2026年10月30日 イイね!

風を踏み、ダートを刻む。ジムニーノマドで巡る秋色の記憶

かつてタイヤを転がした記憶をたどるように、再びあの広大な果てなき路へとフェリーで渡った。

今回の相棒はジムニーノマド。昨年S660で駆け抜けた景色を、今度は同じ軽量なオフローダーの視点でなぞり直す旅だ。車窓の高さが変われば、見慣れたはずの路の表情も、風の匂いすらも全く異なるものに映る。取りこぼしてきた景色や、心に残り続けていた「あの未舗装路達」をひとつずつ手繰り寄せるように、旅が始まった。

第一日:令和8年9月18日(金)出航、スリリングな旅立ち
連休前夜の賑わいとどこかソワソワした熱気が包む港。シルバーウィーク前日という、最も混み合う時系列に合わせて仙台港へと向かう。乗船待機列に加わった相棒は、今回の旅を共にするジムニーノマドだ。

折悪しく日本列島には台風が接近していた。本日の航行は問題ないものの、明日以降は遅延や欠航の可能性があるというアナウンスが船内に流れる。少しばかりスリリングな波乱の予感を胸に秘めつつ、船は静かに苫小牧を目指して太平洋の闇へと押し出されていった(笑)。

第二日:令和8年9月19日(土)白樺並木の奥へ、そして小雨の煙る道東へ
午前11時、苫小牧港へと無事着岸。まずは、免許を返納されたみん友さんの元へご挨拶へと向かった。近況を報告し合い、久しぶりの再会に思い出話の花が咲く。気がつけばあっという間に1時間が過ぎていた。温かい温もりに背中を押され、本格的なドライブへと走り出す。

追分ICから道東自動車道へ乗り、音更ICで一度降りて十勝牧場を目指す。この20年ほどは入口付近の未舗装路で白樺並木と愛車の写真を撮って引き返すのがお決まりのルーティンだった。しかし、今の相棒はジムニーだ。迷わずその奥へと続くダートへと踏み込んでいく。砂利を踏みしめる頼もしい感触を愉しみながら奥の展望台まで到達。大雪山系の山は霧の向こうか確認できなかったが、高過ぎないゆえの素朴な眺めもまた、この地らしくて悪くない(笑)。

《十勝牧場展望台》
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《十勝牧場ダート》
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その後は「柳月」に立ち寄り、自宅と職場へお土産の手配を完了。冷たいソフトクリームを頬張ってから再び道東道へと復帰した。

降りしきる小雨をワイパーが頻繁に払っていく。旅立ちの前に丹念に施工したガラス撥水剤は、早くも風前の灯火状態だ。シルバーウィーク初日ということもあり、東へと伸びる車列はどこまでも続いていた。

釧路市内に到着してチェックインを済ませ、夜の街へ繰り出したものの、名物はどこも長蛇の列。あきらめてすぐに入れそうな店で遅めの夕食をとる。明日以降の道東の天気は微妙な予報。いっそ稚内へ先に向かう北上ルートにしておけば快晴を追いかけられたかもしれないが……まあ、それも旅の味。後の祭りというヤツだ(笑)。

第三日:令和8年9月20日(日)霧の尻羽岬と、足の震える鉄骨のトラウマ
ホテルの朝食を軽めに済ませたあと、吸い寄せられるように和商市場へ。朝食の「はしご」として買い物を愉しむ。

《二回目の朝食w》
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小雨がそぼ降る中、北太平洋シーサイドラインを北上。今回の回収ポイントの一つである尻羽岬へのダート路へと舵を切る。片道4〜5kmほどの凹凸が少ないフラットダートは、2WDでも十分に快走できる心地よい道だ。

《尻羽岬へのダート》
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突き当りの駐車場に車を止め、そこから先は歩いて遊歩道を進む。晴れていれば息をのむ絶景が広がっているはずだが、あたりは深い霧。一面の白い世界で何も見えない……。しかも最近、この遊歩道に熊が出没したという情報を耳にしていたため、入念に「熊スプレー」と「ホイッスル」を携帯して挑む。

《新しい警告・・・》
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静寂の中、30秒おきにホイッスルを鳴らしながら歩く。……が、持参したのは何を隠そうサンバ用のホイッスル。誰もいないのをいいことに、調子に乗ってノリノリでメロディを刻んでしまう。途中で「あ、熊スプレーの安全装置外し忘れてた!」と焦って解除。(熊は私が安全装置を外すまで待ってはくれないだろうから……笑)。

《遊歩道》
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なんとか先端付近まで到達し、安堵しながら駐車場へと引き返した。「行った」という達成感と、「熊に遭遇しなかった」という安堵感、そして「思い描いた風景が見られなかった」という不完全燃焼感。複雑な感情を抱えつつ、今度は青空の日に来ようと心に誓う。

《たぶん先端付近》
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《本来のイメージ画》AIによるイラスト
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《今は無きハイドラ画像》
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厚岸で昼食を済ませた後は、恒例ルーティンである茶内のAcoopへ。数分の列に並び、名物の濃厚なソフトクリームを味わう。

《ソフ活1》
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続いて向かったのは、昨年暴風警報発令中に登楼を断念した例の「鉄骨展望台」。トラウマを克服すべく向かったものの、雨に濡れた床面を目にした瞬間、フラッシュバックを起こしたように足がすくみ、膝に力が入らなくなってしまった。無念……だが明日の天気は今日より回復する見込みだ。明日、再びトラウマ克服に挑むことにして、JA道東あさひ直営店での「ソフ活」を経て、本日の宿がある弟子屈町へと向かった。

《ソフ活2》
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第四日:令和8年9月21日(月・祝)廃線跡の哀愁と、鉄骨展望台のリベンジ
弟子屈町の宿を出発し、まずは別海町にある旧標津線・西春別駅跡の鉄道記念公園へ寄り道。

《別海町旧標津線の西春別駅跡、今はバスターミナル》
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こうした廃線跡や記念館的なスポットにはどうしても目がない。思えばかつてこの地に幾重にも張り巡らされていた「標津線」「天北線」「羽幌線」、そして「青函連絡船」……。学生時代やさらには小中学生の頃に今ほどの行動力があれば、無理にでも乗りに出ていたのにと、少しだけノスタルジックな感傷に浸ってしまう。

資料館に長居すると時間がいくらあっても足りないのでほどほどで切り上げ、まずは「別海の名もなき展望台」へ。通算4回目の訪問となるここは、何の問題もなくスイスイと頂上へ。

《別海の鉄骨展望台》
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《展望台の風景》
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そして次はいよいよ、トラウマの「茶内PA内の展望台」だ。やはり中段あたりで一瞬足が重くなったが、ここは気合で一歩を踏み出し、見事頂上へ到達!見事小さなトラウマを克服した気分だ(笑)。

《今年は頂上からw》
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しかし、尻羽岬方面の空模様は相変わらず優れない様子。今回は潔く諦め、3本目となる根室の鉄骨展望台へと向かう。

根室方面の厚床周辺は、いつ通っても速度取締りが厳しいポイントだ。ナビに初田牛経由の迂回路を入力したはずが、なぜか途中で国道へと案内され、スピード測定のステージへ突入!50km制限の区間を慎重に62kmで通過(当然何事もなく通過だがヒヤヒヤする)。根室方面はその先でも張り込みをしていることが多いので、精神衛生上あまり近寄りたくない場所でもある(笑)

《根室の鉄骨展望台》
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《頂上から厚床方面を望む》
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《今は日本最東端の駅となった根室駅》
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昼食に狙っていた店は大行列だったためスルー。そのまま日本最東端の「納沙布岬」まで到達するも、特に食指が動くものがなく、結局何も食べずに別海まで引き返すこととなった。

《納沙布岬》
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空腹のまま辿り着いた別海で、昨日も寄ったJA道東あさひ直営店の「白玉付きソフトクリーム」にありつきソフ活兼昼食。これでようやく一心地ついた。

《ソフ活》※この旅2回目
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本日の宿も弟子屈町のため、そのまま川湯温泉へ。強酸性の名湯にじっくりと身を沈め、旅の疲労を丸ごと消毒してもらうかのように身体を癒やした。

第五日:令和8年9月22日(火・祝)硫黄漂う峠越えと、オホーツクの夕暮れ
本日も弟子屈町から爽やかにスタート。宿から数キロの場所にある「池の湯林道」へ朝一番でアタックを試みる。

《池の湯林道入口》
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最初と最後はゆるやかな直線路の坂道が続くが、すぐ脇には活火山である硫黄山が構えているため、車内まで硫黄の匂いが立ち込めてくる。地図上では途中に沼などの景勝地があるはずだが、無風と深い霧が立ち込める状態。二酸化炭素や硫化水素ガスが滞留している危険性がある窪地へ入っていく勇気は流石にない(笑)。
それを勇気とは言わないけどね、

《池の湯林道途中》※ガレ場は写真無し
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峠部分にかかると勾配が一気に急になり、岩がゴロゴロと転がる悪路となったため、トランスファーを「4H」に入れて力強く走破。紅葉の季節に来ればさぞかし美しいだろうと思わせる見事な林道だった。途中で鹿には遭遇したが、幸い熊の姿はなかった。

屈斜路湖畔の池の湯と砂湯の中間付近へと抜け、さらに北上。清水町を経由し、根北峠の手前にある越川温泉へ10数年ぶりにお邪魔した。……が、湯船の底に水草が静かに生い茂っており、ぬるぬる(湯ではなく浴槽が……)としていて、少々ビミョーな湯あみとなってしまった(笑)。

標津町で昼食をと目論んだものの火曜日は定休日が多く、尾岱沼の道の駅へ南下。メニューの中からスープカレーを選んで腹ごしらえをする。

尾岱沼のみん友さん宅を訪ねてご挨拶をし、今週末の夕食やオフ会の約束を交わした。標津町内で給油を済ませ、いざ知床峠へ。

《昨年も訪れた根室標津駅跡》
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知床峠の登り口までは天気が回復していたものの、峠頂上付近は完全な雲の中。
《濃霧の知床峠》
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濃霧で視界が奪われたため、点灯できる灯火類をすべて全開にして慎重に峠を下った。昨年熊と遭遇した知床五湖方面はスルーし、「天に続く道」の展望台へと向かう。

本日の宿は網走湖畔温泉。ちょうど太陽が沈む方角だ。この直線道路は春分・秋分の日に路の真っ真ん中に夕陽が落ちることで知られている。日が完全に暮れてからの移動は疲れるため、記念写真を素早く撮影してすぐ移動!

《天に続く道》
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……したものの、結局斜里町内で日没を迎えてしまった(笑)。
網走まではほぼ真っ直ぐな一本道。右側の暗闇の中に広がるオホーツク海の波音だけを耳に傾けながら走り抜け、今夜の宿に無事到着した。

第六日:令和8年9月23日(水・祝)快晴の能取岬と、「冠水道道」のダート
本日は夜まで快晴の予報!ただし夜半過ぎからはまとまった雨になるらしいので、早め早めの行動を心がける。

まず向かったのは能取岬。昨年も素晴らしいピーカン(晴天)だったが、今年も見事な青空が出迎えてくれた。岬へと続く一本道も、果てしない海を見下ろす景色も実に素晴らしい。のんびり佇みたいところだが、雨が降り出す前に「本日のメインイベント」を遂行せねばならず、先を急ぐ。

《能取岬への道》
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サロマ湖を抜け、紋別市の手前にあるコムケ湖へ。ここは昔、コムケ湖とオホーツク海の間を一直線に走れる最高のサンドダートが存在していた。淡い期待を抱いて向かったものの、あえなく途中で通行止め。あの砂煙を上げて走った爽快な道が好きだっただけに、走れないのは実に寂しい。

《コムケ湖のダート》
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不完全燃焼のまま車を走らせ、紋別名物「カニの爪」オブジェの前で記念撮影をしてさらに北上。
《紋別港にて》
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興部の街に入る頃には12時を過ぎていたため、昼食は豪快に「ホタテ丼」をチョイス。これで1,300円とはあまりにリーズナブルだ。

《興部のガストにてw》alt

浜頓別に入り、今回の旅の大きな目的を果たすべくガソリンを給油して内陸部へと入っていく。

本日の最終目的地、それは北海道道732号上猿払浅茅野線――通称「冠水道道」の走破だ。
起点の道道84号交点から終点の国道238号交点まで、全長の大部分(16km以上)が未舗装の砂利道(ダート)。猿払川沿いの湿地帯と原生林を貫くように走っており、増水時には道路全体が水没して通行止めになる極めてワイルドな道だ。路肩の随所には水深を測る「水深標」や「冠水注意」の警告看板が立ち並び、酷道・ダート愛好家にはたまらない地となっている。

国道を折れ、30kmほど内陸を走り入口を発見。

《冠水道道入口》
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ダートへ踏み込む。途中目に入った水深標には「140cm」の文字……いやいや、この水深になったら絶対進入不可でしょう(笑)。

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《浸水深1.4mなんて絶対新修できないだろ》パトランプ付
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すれ違った対向車は軽トラや乗用車が4台ほど。狭い場所もあるが待避所が多く、ジムニーにとっては極めて快適な快走ダートだった。

《冠水道道出口》
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無事に走り抜け、日没前に本日の宿泊地へ到着。素晴らしいダート体験に胸を躍らせた一日となった。

第七日:令和8年9月24日(木)最北の嵐と「白い道」を駆け抜ける
夜半過ぎから早朝にかけて、激しい雨音と雷鳴が響き渡っていた。
昨日のうちにあの「冠水道道」を走り切っておいてよかったと胸をなでおろす。温泉に浸かりながら雨脚が弱まるのを待ち、小雨になったタイミングで宿を出発した。

当初はスーパー林道美深歌登線を経由して函岳を目指すルートも検討していた。しかし昨夜からの大雨の影響を考慮し、入口の「風烈布林道」の接続部で潔く撤退を決定。スーパー林道越えは、オフロードバイクで蜂に首を刺されながら越えて以来、実に27年ぶりだったのだが……まあ、また来る理由ができたと思えばいい(笑)。

国道をひたすら走るのも退屈なので、「エサヌカ線」の看板を見つけて吸い込まれるように進路を変更。シビックタイプR(FL5)で訪れて以来、2年半ぶりの訪問だ。

《エサヌカ線》稚内方面は晴れのようだ
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《エサヌカ線》
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相変わらず、地平線まで何もない。だが、その「何もない」ことこそが至高なのだ。
(作業現場に出入りするダンプが「わ」ナンバーのレンタカーを煽っていなければもっと最高だったのだが……笑)。

エサヌカ線を抜ける頃には13時を回っていたため、猿払村の道の駅でランチにしようと駐車場へ滑り込む。猿払といえばホタテの本場。連日となるが「ホタテ丼」一択で食堂へ向かうと、店内には誰もお客がいない。嫌な予感がして声をかけると、「お米が切れてしまい、今炊いている最中で14時半頃になります」とのこと。

急ぐ旅でもなし、猿払牛乳を飲みながらまったりと45分ほど待つ時間もまた味わい深い。

《猿払の道の駅にて》待ち時間
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《猿払道の駅のホタテ定食》
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炊きたてのご飯で味わう至高のホタテ丼を堪能した後は、ついに日本最北端・宗谷岬へ到達!
一回の旅で最東端の納沙布岬と最北端の宗谷岬を両方巡ったのは、長いドライブ歴でも初めてのことかもしれない。今回の旅で覚える心地よい疲労感の正体はこれだったか、と一人納得(笑)。
《宗谷岬駐車場》
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宗谷岬からは「白い道」を経由して稚内市内へと向かう。

《白い道》中間地点
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かつてS660やタイプR、911といったロー&スポーツな愛車たちで下擦りを気にしながら超慎重に走ってきた貝殻の道。今回は本格オフローダーだ。今までで最も心軽やかに、楽しく「白い道」のドライブを満喫することができた。

《白い道》最後の方※中央に見えるのが利尻山
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日没まではノシャップ岬で、黄昏時の海をのんびりと眺める。

《ノシャップ岬》灯台付近にて
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《ノシャップ岬》
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ここまでは完璧だったのだが……連休明けの平日ということもあり、稚内市内の飲食店や居酒屋は軒並み休業。昨年の中標津のようにホテルの隣にセイコーマート(ホットシェフ)があるわけでもなく、今夜は寂しく普通のコンビニメニューで夕食を済ませた(トホホ)。深夜1時過ぎに入った露天風呂は、身が引き締まるほど激寒。流石は最北の地だ!

第八日:令和8年9月25日(金)氷点下の朝、氷砕船「しらせ」との遭遇
今朝のニュースで、「本日午前1時過ぎ、稚内市内で今季初の氷点下を記録」と報じていた。
「あのアホみたいに寒かった露天風呂はそういうことか!」と膝を打つ。懲りずに今朝も朝風呂の露天に浸かって身体を温めた。昨夜のコンビニメニューを取り戻すべく朝食バイキングで豪勢にいこうと意気込んだものの、胃袋が追いつかず撃沈(笑)。

チェックアウト後、稚内公園へ登る。高台にある公園には樺太のモニュメントやキャンプ場が広がる。20年以上前、記念塔の脇を抜ける荒れたダートの終点から眺めた利尻島の絶景が忘れられず向かってみたが、入口付近の雑草すら刈られていない状況を見て立ち入りを断念。

代わりに百年記念塔へ登り、快晴の稚内市街を一望した。

《稚内公園記念塔から》稚内市内を望む
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港を見下ろしていると、見覚えのある鮮やかなオレンジ色の船がゆっくりと入港してくるのが見えた。南極観測船「しらせ」だ。砕氷機能を持つ巨大な船と最北の港町。なんとも絵になる組み合わせに一人で深く頷いていた。タワー内にはかつての樺太や日本統治時代の貴重な資料が展示されており、歴史のロマンに浸っていたらあっという間に昼過ぎになってしまった。

道道106号を南下し、豊富温泉へ。石油採掘時に噴出したという唯一無二の名湯だ。今回は今まで入っていた一般浴槽ではなく「治療者用内風呂」へと入浴してみた。湯上がりの肌からは強烈な石油の匂い……。なんと旅が終わった一月後も気管支に石油の匂いが残り、絶賛咳き込み中である(参ったネ……)。

本日の宿がある初山別村を目指し、のんびり南下。こういう時に限って空はどこまでも青く澄み渡っている。天塩町の「UNOカフェ」に立ち寄りソフ活。ここのソフトクリームは、個人的に北海道でもトップクラスの旨さだと思う。国道から少し外れるため辿り着くのが大変だが、寄る価値は十分にある。

《UNOカフェ》
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《遠別町郊外》
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《遠別郊外》※後ろに利尻山
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《初山別のキャンプ場脇》
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日没前、無事に宿へ到着。隣接するキャンプ場では、大勢の人々が海に沈む見事な夕日を静かに眺めていた。

第九日:令和8年9月26日(土)
霧立峠を越えて、蕎麦と煙と富良野の夜
本日は富良野までのドライブ。羽幌で給油を済ませ、深遠な「霧立峠」へと挑む。
この峠は幾度もピークがやってくるような感覚があり、「越えたかな?」思わせてはまた登りが現れ、なかなか人里へ下りさせてくれない。

峠を抜けた先は、日本有数の蕎麦の里・幌加内町。
昼食は当然蕎麦と決め、11時には目的の店へ到着した。しかし目当ての店は無情にも臨時休業……。気を取り直し、以前から目をつけていた別の蕎麦屋へ向かう。

名前を書いて待機。待ち時間は約1時間とのことなので車内で待つことにしたが、屋外待合スペースに喫煙所が設置されており、常に煙が漂ってくる厳しい環境。気管支を痛めている身にはかなり応えた。
肝心の蕎麦は、素朴でどこか懐かしい味わいのツユが良く絡む、なかなか美味い一杯だった。

《幌加内蕎麦》
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賑やかな旭川市街を抜け、美瑛の丘へ。愛車ジムニーを並べて記念撮影を行う。

《十勝岳》
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春に訪れた時よりも十勝岳の水蒸気(噴煙)が凄まじい勢いで上がっており、噴火警戒レベル3というのも頷ける。これからの雪の季節に向け、融雪型火山泥流などの被害が出ないことを祈るばかりだ。※最近下がったようだ。

《いつもの道で》
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「美瑛選果」でお土産を調達し、富良野市内へ。今夜はアットホームな民宿に泊まる。連日続いていた高額な宿泊費を抑えるため、北海道最後の夜はリーズナブルに攻める計画だ。

17時半からは駅前へ繰り出し飲み会。今回の旅で海鮮ばかり食べていたので、肉に飢えていた胃袋に焼肉とビールを放り込む。まだ20時と時間が早かったため、宿への帰り道に名店「唯我独尊」へ吸い込まれ、〆に濃厚なソーセージオムカレーを「飲んで(笑)」今夜の宴を締めくくった。

《名物だけど久々のカレー》
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第十日:令和8年9月27日(日)〜28日(月)
雨の洗車とS660総会、そして北海道をあとに
朝5:30に起床。まずは街はずれの洗車場へ向かう。
連日のダート走行で愛車にこびりついた泥埃や虫たちを、感謝を込めて徹底的に高圧洗浄で洗い流す。……しかし、拭き上げが90%ほど終わったところで無情にも雨が降り出した(泣)。コンビニで朝食を買い込み、諦めて宿へ戻る。

10時から開催されるS660の総会に参加するため出発。
給油後に昨夜の民宿でなぜかいただいた「ワイン交換券」を手に富良野ワイン工場へ寄り道し、ワインを1本GET。……ということは、昨夜の宿代は実質約4,000円だった計算になる(笑)。

会場にはS660が26台ほど集結!しかしクラブ創設時からの初期メンバーは数えるほどに減ってしまった。愛車の維持管理やサビ対策といった話題で熱く盛り上がれるのは、やはり古参メンバーならではの愉しみだ。

《S660北海道オーナーズクラブにて》
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正午を過ぎたところで解散となり、一人「富野製麺所」へ向かって1年ぶりのラーメンを味わう。

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最後に感謝祭を開催中だった富良野チーズ工房に立ち寄り、評判通りの濃厚なソフトクリームで旅の「〆ソフ活」を完了。苫小牧フェリー埠頭(西港)へとジムニーを走らせた。

道中のセイコーマートで今夜の夕食と明日の朝食を購入し、フェリーの中層階へと案内される。
かつてS660などの低車高車で申請していた頃は地上階(すぐ出られる場所)へ誘導されていたが、今回は背の高いジムニー。下船時は地上階の車がすべてハケてからスロープが下りるため、下船後の「スタートダッシュ」が決められないモヤモヤ感を抱えつつ乗船した(笑)。

翌28日(月)、起床後に船内のお風呂に入り、昨夜買っておいたホットシェフの「おかかベーコンおにぎり」を頬張る。シンプルながらこの旅で何度もリピートした隠れた逸品だ。

予想通り船からの下船には少し時間がかかったが、無事に仙台港へ着岸。そのまま自宅経由で職場へ直行し、出社時間ギリギリで日常へと復帰した。

車を変え、視点を変えて巡った再訪の旅。取りこぼした風景を回収するはずが、走れば走るほど新たな道と出会い、また次の旅への宿題が増えてしまう――それこそが、この果てしない大地が持つ底知れぬ魅力なのだろう。
Posted at 2026/10/31 01:34:41 | コメント(1) | トラックバック(0) | 旅行等 | 日記
2026年10月17日 イイね!

S660と往く、2025年・初秋の北海道遠征記 ── 嵐を越え、日常の向こう側へ

先日、2026年のシルバーウィークを彩った北海道遠征。今回の原点は、遡ること1年前の秋にありました。
あの時の反省と経験があったからこそ、今年の旅へと繋がっている──。1年の時を経て、ここに2025年・初秋の11日間の遠征記を紐解くことにしたい。

【プロローグ】1年越しの記憶
日常の喧騒をバックミラーの彼方に置き去りにして、ただ愛車と一対一で対峙する時間。
2025年、初秋。私は相棒である「ホンダ S660」とともに、北海道を目指した。それは荒天の洗礼を受け、時に自然の猛威に震えながらも、かけがえのない記憶を刻んだ11日間の軌跡です。

あの旅の扉を、もう一度開けてみよう。

初日:令和7年9月19日(金) ── 境界線を越える夜

金曜の夕刻。街が週末の華やいだ空気に包まれ始める頃、私はあらかじめ荷物を滑り込ませておいたS660のタイトなコックピットへと身を沈めた。
静かにイグニッションを回す。低く心地よい排気音が鼓膜を揺さぶり、日常を振り切る準備が整う。助手席に鎮座するバックパックは、これから「日常から非日常への境界線」を越えるのだという静かな目印のようだった。

〈仙台港の低車高乗り場にて〉
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週末の熱気が残る市街地をすり抜け、滑り込むようにたどり着いた仙台港。フェリーのタラップをゆっくりと這い上がるとき、私の胸の奥でもまた、旅という名のエンジンが静かに始動していた。

二日目:令和7年9月20日(土) ── 激しき雨音、小さなシェルター

苫小牧港に接岸し、船のハッチが開くと、北海道特有のひんやりと凛とした空気が肌を刺す。追分ICから道東自動車道へと進路を取った。

旅のささやかな儀式として帯広で一度高速を降り、お気に入りの「柳月」で土産を手配。そして「インデアン」の濃厚なカレーで腹を満たす。ここまではしっとりとした小雨に過ぎなかったが、再び道東道へ戻り本別を越えたあたりから、北の空はその表情を一変させた。

フロントガラスの撥水コーティングが雨粒を勢いよく弾き飛ばすため視界は保たれていたが、頭上わずか数センチメートルに位置する布製のロールトップを、まるでドラムのように叩きつける猛烈な雨音が車内に響き渡る。

突如、スマートフォンからけたたましく鳴り響く気象警報のアラーム。雨音と警戒音の重奏に、カーステレオの音楽は跡形もなく掻き消された。

軽量かつミッドシップのS660にとって、濡れた路面の深い「轍(わだち)」は油断のならない相手だ。左右どちらかのタイヤが深く水を含んだ轍を捉えるたび、ステアリングを握る両手に自ずと力がこもる。足元を掬われそうになりながらも懸命に前へ進む相棒を支え、なんとか釧路市内の宿へと滑り込んだ。

一息つき、楽しみにしていた地元の居酒屋へ向かおうとロビーを出た瞬間だった。猛烈な突風が吹き荒れ、下ろしたての傘の骨が無惨にも折れ曲がる。

骨の折れた傘を抱え、撥水効果の切れたウィンドブレーカーを濡らしながら辿り着いた目当ての店には、無情にも「本日、荒天のため休業いたします」の貼り紙。肩を落としながらホテル近くの馴染みの居酒屋へ逃げ込み、新鮮な魚介と温かいラーメンで心と体をほぐして帰路についた。

テレビの画面には、北海道で初となる「線状降水帯警報」発生の文字が躍る。よりによって、このタイミングで・・・夜半、枕元で不規則に鳴り響く緊急アラームを聴きながら、明日のルートに思いを巡らせていた。

三日目:令和7年9月21日(日) ── 暴風に抗う、鉄塔と出会い

朝を迎えると、猛威を振るった線状降水帯は過ぎ去っていた。しかし、路面はあちこちで冠水し、洪水警報は発令されたまま。

ホテルの朝食をキャンセルし、海風が香る「浜の焼き処」へ。香ばしく焼き上がった魚を味わいながらスマホの地図を広げる。ふとホテルの案内板で見かけた釧路市美術館?の「安彦良和イラスト展」に惹かれ、午前中はその熱い世界観に浸ることにした。幼少期にテレビにかじりついて観ていた記憶が蘇り、充実した時間調整となった。

〈入り口のなつかしき置物〉
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昼前、いよいよリスタート。倒木や風雨に引きちぎられた枝葉が散乱する北太平洋シーサイドラインを慎重に走らせる。

〈お気に入りの場所と構図で〉
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尻羽岬へのダート路は今回も断念。来年はジムニーノマドが増車予定なので、悪路へのリベンジは次回の楽しみにとっておこう。

〈霧多布付近にて〉
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厚岸の寿司屋で海の恵みを軽くつまみ、霧多布を経由して幻想的な景観をかすめ、茶内駅前A-coop の濃厚なソフトクリームで一息つく。

〈A-coopでのソフ活〉
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そして、本日の密かなミッションである「道東の鉄塔登り」へ。茶内の国道沿いにある公園の鉄塔へ向かうも、今度は暴風警報の発令中。階段を上る途中で身体が吹き飛ばされそうになり、最上階は断念せざるを得なかった。中段で踏みとどまり、強風に煽られて落ちそうになるスマートフォンを必死に支えながら、その荒々しい景色をレンズに収める。

〈ブレブレの画像しかないので降りてからの写真で〉
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続く別海の名もなき展望台(このエリアには根室を含め3本の鉄骨展望台が存在する)へも向かったが、さらに激しさを増す暴風に白旗を上げた。しかし、これほどの暴風下でも、地を這うように車高の低いS660は、幌をバタつかせながらも何食わぬ顔で走り抜けてくれる。実に頼もしい相棒だ。

〈二回目のソフ活(別海にて)〉
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別海で再びソフトクリームを味わった後、今夜の宿がある中標津へ。道中のセイコーマートの駐車場で、偶然トナラーとなった地元のS660オーナーさんと出会う。「先日、鹿と衝突して中破してしまって……」という北海道ならではのリアルでスリリングな車談義。こうした思いがけない一期一会もまた、旅の妙味と言える。

〈偶然突然のS660オフ〉
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四日目:令和7年9月22日(月) ── 邂逅、そして知床の守り神

目覚めると、昨日の狂風が嘘のように静まり返っていた。鉄塔リベンジは次の機会にお預けとし、まずは中標津の象徴「開陽台」へ。

〈開陽台前の直線路にて〉
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学生時代、バイクのシートに跨がって初めてこの丘に立った時は、「ついにここまで来た」という震えるほどの達成感があった。しかし今、何度もここを訪れるようになり、ここは「これまでの自身の軌跡を確認する」ような、静かで温かい場所へと姿を変えつつある。

〈開陽台駐車場〉
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続いて訪れたのは、何度もすぐ傍を通り過ぎていた場所──旧国鉄標津線「根室標津駅」の跡地である。

〈根室標津駅跡地にて〉
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駅舎はすでに失われ、そこにあるのは手動の転車台とわずかなレール、そしてコンプレッサーの力で静かに息づくSL「C11」。モノクロ写真に残る昭和の駅舎風景は、訪れたことがないにもかかわらず胸の奥を締め付ける。動く姿を動画で見て以来気になっていたC11だが、この歴史遺産を守り続ける有志の方々の愛情と敬意が、鉄とオイルの匂いとともに静かに伝わってきた。

今宵の宿は清里町。あえて知床峠を経由する大回りルートを選び、右手に根室海峡のきらめきを眺めながら北上する。標津で給油を済ませ、羅臼の道の駅で海鮮風ラーメンの昼食。メニュー写真と少し具材が異なっていたのはご愛嬌だが、素朴な味わいが心に沁みる。

霧のベールに包まれた知床峠を快調に登っていくと、前方にかなりスローペースな先導車が現れた。観光地のワインディングではよくある光景だ。濃霧の時は先行車のテールランプがありがたい道標になるが、晴れ間が見えると少しもどかしい。

峠の頂上駐車場でひと休み。ウトロ側は晴れ渡っており、「オープンにしようか」と迷っていたところ、先ほどのペースカーが再び動き出すのが見えた。「後追いは避けよう」と、慌てて幌を半開状態まで閉め直し、ダウンヒルをスタートさせた。

知床公園線のワインディングを快調に進んでいると、前方のブラインドコーナーでハザードも焚かずに停車しているレンタカーのレヴォーグを発見する。「邪魔だな」とステアリングを切りかけた、その瞬間だった。

対向車線の奥から、大きな黒い影がこちらに向かって歩いてくるのが見えた。

── 熊だ。しかも、親子の。

〈熊の親子、この距離だと小さく見えた・・・〉
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前方のレヴォーグは撮影に夢中で道を塞いだまま。バックミラーに映る後続のバイクは悲鳴を上げてUターンしていく。だが、熊との距離は目と鼻の先。S660の最小回転半径をもってしても、この状況でのクイックなUターンは不可能に近い。まさに「詰んだ」状態だった。

鼓動が跳ね上がるのを感じながら、半開だったロールトップをきっちりと閉め、窓を全閉にし、カーステレオをオフにする。静寂に包まれたコックピットで、震える手でスマートフォンを構え、息をひそめてシャッターを切った。

〈またブレブレの写真だけど仕方ないよね♪〉
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以前、小熊に遭遇した際はポルシェ911のバブリング音やS660のブローオフバルブ音で驚いて逃げていったが、今回の相手は格が違った。威風堂々たる大人の親熊。あの巨大な爪でS660の華奢なルーフにのしかかられたらひとたまりもない。座高が低く、熊を「見上げる」アングルになるS660からの視界は、恐怖そのもの。

そこへ知床財団のパトロールトラックが駆けつけ、拡声器で前のレヴォーグへ強烈な警告を与える。ようやく車は動き出したが、後で確認すると海外からの観光客だったようだ。これまで本州で2回、北海道で2回熊に出出会ってきたが、今回の個体は間違いなく人生最大の大きさだった。

それにしても、知床五湖の駐車場スタッフに「すぐそこに大きな熊がいました」と報告しても、「ああ、そうですか」と淡々と返されたのには、現地の方々のタフな「日常」を感じずにはいられなかった。

すっかりスリルでお腹いっぱいになり、そのまま下山して清里町へ。宿のチェックインまで時間があったため山の中の「宇宙展望台」へ寄り道し、昨日暴風に阻まれた鉄塔の景色を埋めるように、夕暮れに赤く染まりゆく斜里岳を静かに眺めた。

〈天空に続く道〉
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〈宇宙展望台〉
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〈展望台からの斜里岳〉
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〈日が暮れたので速攻で宿に入った〉
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五日目:令和7年9月23日(火・祝) ── オホーツクブルーの誘惑と緊張感

今日はオホーツク海に沿って興部までひたすら北上するシーサイドドライブ。

途中、網走にて「旧国鉄の廃線跡を利用し、私有地に個人で手作りの鉄道を走らせている」という男のロマンを体現したようなスポットへ。あいにく管理人の方はご不在だったが、大切に手入れされた車両を静かに見学させていただいた。

続いて向かったのは大好きな「能取岬」。

どこまでも続く澄み切った青い空と海、凛と佇む白い灯台、そして足元に広がる緑の草原。そのまま新車のCMに使えそうなほど完璧な美しさがそこにあった。何があるわけでもない場所だが、その静寂を求めて今や多くの外国人観光客もこの地に惹き寄せられている。

〈能取岬にて〉
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常呂町で小ぶりながら旨味が凝縮されたホタテフライ定食に舌鼓を打ち、さらに北を目指す。

〈ホタテフライ定食、オホーツク側はホタテだ〉
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〈紋別のカニのオブジェ前にて〉
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紋別のバイパスを気持ちよくクルージングしていると、レーダー探知機がにわかに警戒音を鳴らし始めた。アップダウンの続く国道の先、取締機の三脚が視界に入る。制限速度50km/hのところをメーター読み60km/h以下で静かに通過しようとした瞬間、パイプ椅子に座っていた警察官達が一斉に「スッ」と立ち上がった。

あの瞬間は、昨日の熊との遭遇以上に心臓が止まるかと思った。

何事もなかったかのように警官の方々はすぐに椅子に座り直されたが、ほんの僅かな速度域でもピリッとした緊張感が走るものだ。

興部の「富田牧場」で濃厚なソフトクリームを堪能。明日はガソリンスタンドのない無人地帯を長く走る予定があるため、西興部で早めに給油を済ませ、静かな宿へとチェックインした。

〈上記でのソフ活〉※自分の中のソフトクリームランク上位に入る。
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六日目:令和7年9月24日(水) ── 歴史の影、そして旅の折り返し

西興部の静かな朝。宿の窓から、すぐ目の前で警察が取り締まりを行っている風景を眺めながら味わう朝食。これほど贅沢で、ちょっぴりスリリングなスパイスもない。

午前中は車影の全く見当たらない無人地帯の道道を繋いで走る。目指すは、かつて鉄道の難所であり、過酷な人柱の歴史を伝える「常紋トンネル」のある常紋峠だ。過酷を極めたタコ部屋労働の歴史に、静かに黙祷を捧げた。

昼は上川町へ美味しいラーメンを求めて車を走らせたが、折しもシルバーウィーク明けの平日。お目当ての2軒ともが「本日休業」の看板を掲げていた。肩を落としつつ、国道沿いの古き良きドライブインで定食をいただく。素朴で温かい味わいが身に沁みた。

〈上川町から大雪を望む〉
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〈この時期だけ解放されるチョボチナイロード〉
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上川や東川で美味しい地酒を買いたい衝動に駆られたが、今回の旅は一味違う。この後、S660を一度新千歳空港の駐車場へ長期駐車して一時帰宅する予定なのだ。「重い荷物は飛行機に持ち込めない」。ぐっと我慢して、いつものお気に入りのロケーションで愛車の記念撮影を済ませ、上富良野町の定宿へと滑り込んだ。


七日目:令和7年9月25日(木) ── 聖地を巡る「朝練」、そして空路仙台へ

上富良野の定宿に泊まった朝、決まって行うルーティンがある。まだ誰もいない静寂の美瑛・富良野を走る「朝練」だ。

目的地は、SNSなどには決して載せない「内緒の場所」。かつてあるガイドブックがその美しさを紹介した際、観光客のマナー違反に怒った地元の農家さんと編集者の間でトラブルがあったと聞く。私自身、本当に美しい風景を理解してくれる友人しか案内したことはない。「自身の足で探し回ってみてください」としか言えない場所だ。

畑への立ち入りが御法度なのは当然だが、時折三脚を立てて畑の境界線を越えて撮影する不届き者も見かける。その結果、景観の象徴であった「あの木」が農家さんの手で切り倒されてしまった哀しい例を、私は幾つも知っている。美しい景色は、地元の方々の生活の場であることを決して忘れてはならない。

〈お気に入りのロケーションにて〉
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〈空港前にみん友さんと蕎麦の昼食〉
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朝食後、十勝岳の山懐にいだかれた「吹上温泉白銀荘」へ。冷えた身体を名湯でじっくりと温める。鵡川でおいしい蕎麦をみん友さんと手繰り、新千歳空港近くの民間駐車場へ向かった。

ここに、私の小さな相棒を10日ほど預ける。「しばしのお別れ。またよろしくね」と、S660のボンネットを優しく叩いた。

空港でお土産を買い込み、今回は飛行機にて一路、仙台空港へ。いつものJRに揺られ、我が家へと戻る。旅の「第一章」の幕引きである。

八日目:10月3日(金) ── 再び、北の大地の玄関口へ

東京・五反田での仕事を終えた金曜日の夕刻。スーツケースを引きずり京浜急行に乗り込む。羽田空港へ向かう車内はインバウンドの旅行客で満員状態だ。夜間飛行の翼に身を委ね、食事をとるのも忘れて再び新千歳へと飛び立った。

〈羽田空港にて〉
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今回は、前回の旅で熊に遭遇した教訓もあり、夜間の長距離ドライブを避けることにしていた。預けている駐車場の営業時間もすでに過ぎている。今夜は無理をせず、新千歳空港のターミナルホテルにチェックインした。

遅い時間だったため空港内のレストランはほぼクローズしていたが、喫茶コーナーで冷たいビールと軽食をつまみ、空港温泉の露天風呂へ。夜空へ向かってゴォォと音を立てて力強く離陸していく貨物機のライトを湯船から見上げる、至福の時間。

〈誰もいなくなった千歳空港内〉
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静寂に包まれた深夜の空港内を通り抜け、滑走路の誘導灯が美しくまたたく窓の外を眺めながら、泥のように深い眠りについた。

九日目:10月4日(土) ── 友との再会、暖簾の奥の温もり

ホテルの朝バイキングでしっかりとエネルギーをチャージ。まだ観光客が少ない時間帯の空港で、普段は大行列ができる有名なお土産屋さんを悠々と巡る。

〈夜明けの千歳空港〉
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送迎バスに乗り込み、9日ぶりに愛車S660と再会。エンジンは何事もなかったかのように一発で始動し、愛おしいアイドリング音が響き渡る。

鵡川を経由し、再び上富良野の「白銀荘」へ。冷えた身体を温泉でリセットし、富良野駅前のホテルへチェックイン。夜は富良野の路地裏にある馴染みの「炉端焼き」へ向かう。旧知の友人が笑顔で待っていてくれた。

〈再びのお気に入りのロケーションにて〉
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例年であれば楽しくて飲みすぎてしまう夜だが、今年は大人しくジェントルな足取りで夜風を感じながらホテルへと歩いて帰った。

十日目:10月5日(日) ── 絆を語る、富良野オフ会

爽やかな秋晴れ。本日は富良野市内でのS660オーナーズオフ会だ。

早朝、近くの洗車場で愛車を軽く洗ってあげる。9日間も野外駐車場に置かれていたにもかかわらず驚くほど汚れていなかったのは、不在の間に北海道を襲った豪雨が天然のシャワーとなって埃を洗い流してくれたからかもしれない。

会場にズラリと並ぶ、色とりどりのS660。以前は「パーツが」「馬力が」といったモディファイの話に夢中になったものだが、今の会話の中心はもっぱら「どうやって維持するか」「どこを修理したか」という愛車と長く付き合うためのライフプラン。そんな等身大なやりとりが心地よい。

〈S660北海道オーナーズクラブオフ会〉
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お昼は昨日に引き続きお気に入りの「富野製麺所」で一杯のラーメンを味わう。「また元気で会いましょう」と仲間たちに手を振り、S660を苫小牧のフェリー埠頭へと走らせた。

埠頭の公園脇にあるセイコーマートで船中での食料と最後のお土産を買い込み、再びフェリーの人となった。

〈苫小牧港のフェリー前で待機〉
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十一日目:10月6日(月) ── 旅の終わり、そして日常の始まり

翌朝9時過ぎ、フェリーはゆっくりと仙台港に接岸した。

見慣れた港の風景。自宅へ急ぎ、ガレージにS660を滑り込ませる。旅の余韻に浸る間もなくパリッとしたスーツに着替え、出張書類を鞄に詰め込んでJRの駅へと急いだ。

【エピローグ】ガレージに眠る記憶
今にして思えば、この2025年の北海道遠征が私にとって最後の「ロングツーリング」となった。

その秋以降、飛行機や新幹線で遠出することはあっても、S660やモリゾウ、タイプRのキーを握って何日も泊まりがけで遠くへ出かけることはしなくなった。

それはきっと、あの秋の北海道で心ゆくまで走り、美しい景色と出会い、嵐や障害を乗り越えたあの11日間の旅で、私の「旅への渇き」が完全に満たされたからに違いない。疲れ果てたとか金を使い過ぎたともいう(笑)。

愛車と紡いだ物語は、こうして静かに私の大切な記憶のガレージに格納された。 またいつか、あの地平線の先へ。小さな相棒との旅路は、姿を変えながらこれからも続いていく。特に来年はジムニーノマドが納車予定なので、よりオフロード色の強い旅になるはずだ。

……そういえば、この旅の少し後、私は熊本の会議室で「くまモン」に遭遇した。知床のあの巨大な漆黒の影に比べれば、なんと愛らしく、平和な熊だったことだろうか。

(完)

先日、ジムニーで同様のコースを旅した記録は現在作成中です。
Posted at 2026/10/17 15:23:47 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2026年10月02日 イイね!

【ハイドラ13年2ヶ月の想い出】

【ハイドラ13年2ヶ月の想い出】<ハイタッチ!drive利用履歴>
 累計走行回数:5,253回
 累計走行距離:264,614.92km
 累計走行時間:12,065時間43分
 累計ハイタッチ数:10,432回/4,342人
 累計獲得コレクション数:998個
 累計獲得バッジ数:167個/263個
 累計訪問チェックポイント数:3,848個/18,267個
 累計テリトリー数:8箇所
 オーナーになっている上位のテリトリー
  ・西塩釜
  ・下馬
  ・小鶴新田
 最長ドライブの距離:1,035.06km
  ドライブした日:2014/07/01
  ドライブした車種:BMW 3シリーズ セダン
 ハイタッチの多かったドライブ:773回
  ドライブした日:2017/01/14
  ドライブした車種:ホンダ S660
 ハイタッチ回数が多かったユーザー:
  ・510@sendai さん 152回
  ・我侭オヤジ さん 132回
  ・かおるん☆ さん 114回
 もっとも多くドライブした愛車:196,477.30km
  ドライブした車種:ホンダ S660
 もっとも多くハイタッチした愛車:7,943回
  ドライブした車種:ホンダ S660

<ハイタッチ!drive初走行の想い出>
 初めてドライブした日:2013/08/17
 初めてドライブした愛車:ドゥカティ ハイパーモタード
 初めてハイタッチ!した車種:日産 シルビア
 初めてハイタッチ!したユーザー:宮篠 さん

<想い出を振り返ってみましょう>




大変お世話になったツールでした。
ありがとうございました。
今後の復活を期待したいです。



Posted at 2026/10/02 05:55:57 | コメント(0) | トラックバック(0) | タイアップ企画用
2026年09月03日 イイね!

今後乗る車・バイクについてAIに相談してみた。

車はともかく、バイクをどうするか悩み深い今日この頃……。
思い切ってAIに「今の愛車をどうすべきか」「新しく買うならどの車種がいいか」をド直球で相談してみました!
そしたら、なかなか衝撃的な回答が……w

まず手持ちの整理として、
「ISバージョンF、GRカローラモリゾウED、ジムニーノマド、ドカティ ハイパーモタードは売却」え゛
との非情(?)な宣告。

一方で、
「S660は駐車場があるなら維持費も安いし、今後こんな車は二度と出ないから絶対継続所有!」
「モトコンポは昭和の名車で超プレミアム。絶対に売らずに動態保存を強く推奨!」
とのこと。モトコンポの扱いが殿堂入りすぎて笑うw

で、気になる購入推奨リストがこちら。

【車の1台目候補】
・レクサス IS500 か LC500 かRX
・クラウンクロスオーバー
・クラウンスポーツ

【車の2台目候補】
・ホンダ シビックタイプR(FL5)※既に所有済みで高値売却したけど・・・
・日産 フェアレディZ(RZ34)/ Z NISMO
・マツダ ロードスター※S660売却時の場合
・ポルシェ ボクスター※S660売却時の場合

……いやラインナップ豪華すぎん???w

そして問題のバイク!
ツーリングや快適性重視なら「スズキ GSX-8R」らしいんですが、一番のおすすめとして激推しされたのが「カワサキ ZX-4R」。
「唯一無二の4気筒高回転スポーツを楽しむべし!」とのこと。

自分としては、本来なら春先に発表されたホンダ CB1000GT が第一希望だったんですよね。でも当面は発売されそうにない状況だし、そうなると現実的には ZX-4R なのかなぁ……としみじみ。

しかーしだ。
AIは「モリゾウの売却益がカギ」とか言ってくるけど、正直とても買えそうにない気がするww

ただ、AIが言っていた
「S660の『軽ミッドシップオープン』という個性は他に代わりがない。維持費の安さを考えてもS660を残した3台体制が一番満足度高いカーライフになる!」
という分析だけはめちゃくちゃ同意。

さてさて、AI先生の提案通りに断捨離してドリームガレージを作るべきか……もうしばらく悩む日々が続きそうです!

皆さんも、これまでの愛車歴や普段の使い方をAIに打ち込んで聞いてみると、意外と面白い(そして物欲を刺激される)結果になるかもしれませんよw
Posted at 2026/09/03 17:18:10 | コメント(1) | トラックバック(0) | 車両入替等 | 日記
2026年08月23日 イイね!

思いがけず白い相棒と往く、風の回廊と信州の美酒。

現在は北海道をツーリング中で宿で暇だったので先月の旅ブログを作ってみました。
先日アップした記事『六文銭の系譜を訪ねて —— S660と往く、信州亀齢と風の回廊』。
あたたかいイイね!をいただき本当にありがとうございました。

……で、終わるはずだったのですが。

家族から「土日に休みがあるなら連れて行きなさい」とのリクエストが発動。急遽、再び信州方面を目指す再訪の旅が決まりました(笑)。

土日の激走を避けるため「木曜日あたりから前乗りできれば…」なんて淡い淡い期待を抱いていたものの、お互いスケジュールが噛み合わず。結局、金曜の夕方に滑り出す弾丸旅となりました。

8月21日(金)想定外の車種と、会津への夜間飛行(日暮れまでに着いたけど)
金曜の夕方、職場まで迎えに来てくれた愛車。
いつもの相棒(S660)でも、モリゾーでもノマドでもなく、そこに佇んでいたのは——白いレクサスISでした。

「……え、今日からこれで往くの?」

心の声が漏れつつも、せっかくの機会。たまにはラグジュアリーなセダンで往く長距離遠征も悪くないかもしれない。
そう思い直して乗り込みましたが、問題がひとつ(いや、ふたつ?)。
ナビのデータ更新は3年前で止まっており、レーダーやドラレコも故障でお休み中というなかなかスリリングな仕上がり。「まあ、なんとかなるか」と苦笑しながらアクセルを踏み込みます。

初日の夕刻に一気に白馬まで走る無理はせず、今夜は会津の奥座敷、東山温泉でひと息吐くことに。


3日間のコースを流しながら感じたのは、意外にもISのシートと腰の相性。ホールド感が普段と違うせいか、少しずつ腰に違和感が忍び寄ってきます。
そして何より、高速で前走車に追いつくと、偉そうな白のセダンだと「覆面パトカー」と勘違いされて急減速される場面が時々ある。パニックブレーキを踏まれると、こちらが一番パニックになります(笑)。
そんなちょっとしたハプニングを肴にしつつ、初日は約150kmを無事に走破しました。

8月22日(土)只見川の碧と、トンネルの狭間を抜けて
朝8時過ぎ、東山温泉を出発。
(実は急ぎで宿を探したため、芦ノ牧温泉と間違えて予約していたのはここだけの秘密です……笑)
会津坂下から国道に乗り、一路奥只見を目指します。
只見川と只見線の線路と幾度となく交差しながら、静かにたたずむ只見川に沿って深く山あいに分け入っていくこのルート。緑と水のコントラストが本当に美しく、走らせるたびに心が洗われるような大好きな道のひとつです。
途中の只見駅とインフォメーションセンターで小休止。



ショップで見つけたモンベル製の「只見線コラボTシャツ」の可愛さに惹かれ、思わず購入してしまいました。(街中で着る機会があるかは……暖かく見守ってください!)

只見湖を車窓に収めつつ、ISの車幅を感じさせる狭路へ。
道幅もさることながら、旧規格のポータルが残るトンネル群が実に狭い!汗ばみながらハンドルを握り対向車に気を遣いながら慎重にパスしていきます。
展望台にも立ち寄りましたが、すっかり夏草やススキが生い茂り湖面が見えず……。岩場に少しよじ登り、満々と水を湛えた湖面を眼下に収めることができました。(写真は無し)



新潟・魚沼市内に降りてからは、名物の「へぎ蕎麦」で腹ごしらえを
しつつ、今夜のお楽しみである地酒を調達。
関越道から北陸道へと継ぎ、能生ICで高速を降りました。

少しだけ日本海の風を感じながら流し、糸魚川の手前からショートカット。長いトンネルと洞門と覆道が延々と続く独特な国道へスイッチします。
途中の道の駅では、まだ売っていた・・・


この道の災害の歴史や波乱に満ちたエピソードをレクチャーしつつハンドルを握ってもらいw、夕刻には無事、白馬村へと辿り着きました。今回も北アルプスの雄姿は雲の向こう側でしたが、山の空気はやっぱり美味しい。

お買い物で地元の生協に寄りましたが、自動精算機がすべて英語だったのがインバウンドの影響を感じさせます。



白馬八方温泉の高アルカリ性のトロトロとした温泉に身を沈めれば、ここまでの約350kmの本日の長旅の疲労がじわじわと解けていきます。
心のこもった宿の手料理を味わい、美味しい地酒を傾けていたら、夜8時過ぎには猛烈な眠気が……。吸い込まれるように布団へ潜り込みました。

8月23日(日)魔の充電器と、試練の帰路600km
夜中にエアコンで少し冷えた体を温めるため温泉へ。早朝にももう一度お湯に浸かり、最高の目覚め……のはずでした。
事件は朝食直前に起きます。

スマホの充電器をコンセントに挿そうとしたその瞬間、指先に走るバチッ!という衝撃。
「……感電した!?」

人間もスマホも無事だったものの、連日のシート疲れで悲鳴を上げていた腰に最後の一撃が入ってしまい、無念のギックリ腰を発症。歩く姿は一瞬にしてカクカクとした老人のようになってしまいました(笑)。

それでも予定は変えず、朝食後に一路仙台を目指して出発です。

【最終日の走破ルート】

白馬村 ➔ 小川村 ➔ 鬼無里 ➔ 戸隠 ➔ 信濃町IC(上信越道)➔ 上田IC ➔ 関越道 ➔ 東関東道 ➔ 東北道 ➔ 仙台南部道路 ➔ 三陸道 ➔ 自宅

小川村から鬼無里、そして戸隠へと抜けるルートはかなりの険道・狭路。
腰を痛めた私に代わり、家族にハンドルを託します。
「大丈夫、昔ここをポルシェ911で激走した時よりは全然マシだから!」
(まったく慰めになっていない)励ましを助手席から送り続け、なんとか難所をクリアしてもらいました。



そして戸隠で蕎麦を食べ



そして旅の締めくくりは、先日に引き続き上田市の岡崎酒造さんへ。



無事に「信州亀齢」を手に入れることができ、大満足?で帰路に就きました。
途中では高速のトンネル内での工事渋滞も

最終日の走行距離は約600km。

3日間の総走行距離は1,100kmにおよぶ、賑やかで少し痛い(腰が)メモリアルなドライブとなりました。
車が変われば見える景色も、走りのドラマも変わるものですね。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました!
Posted at 2026/09/26 07:28:24 | コメント(4) | トラックバック(0) | 旅行等 | 旅行/地域

プロフィール

「風を踏み、ダートを刻む。ジムニーノマドで巡る秋色の記憶 http://cvw.jp/b/1590682/49390222/」
何シテル?   10/31 01:34
車やバイクで、常にフラフラ旅しております。 皆様のお住まいの街を駆け抜けることがありますが暖かい目で見てやってください(^^ゞ
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樽口峠ツーリング 
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愛車一覧

ホンダ S660 ホンダ S660
 ふとしたことから所有してしまいました。 直6BMWから直3のS660に変更しました、気 ...
ドゥカティ ハイパーストラーダ ドゥカティ ハイパーストラーダ
ツーリングメインで使用しております。 程よい車重とパワーは最高です。
スズキ ジムニーノマド スズキ ジムニーノマド
ラダーフレームのパートタイム4WDに乗ってみたかった(^^)
トヨタ GRカローラ モリゾウさん (トヨタ GRカローラ)
モリゾウエディションを半年乗ってから登録しました。

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