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2021年06月11日

レクチ(整流器)のお話 SL125S

レクチ(整流器)のお話 SL125S 今回は、大昔のバイクに使われていた整流器のお話です。

今時の四輪二輪は、バッテリー充電の過不足が発生しないように、そして、燃費の向上が図れるようにコンピュータ化したレギュレーターにより充電圧の高低で充電量を制御してくれています。

それは、電圧計を取り付けていれば、変化する数値によって容易に理解できます。
逆にいうと、この電子制御装置の故障の有無やバッテリーの劣化※は、電圧計で監視(管理)することができるということであります。
※バッテリーが劣化すると、コンピュータによる低充電圧調整はされなくなり、絶えず14V前後で充電されることになります。

さて、1970年以前の時代にあったSL125Sは、レギュレーター(電圧制御装置)の無い単層交流発電車両ですので、充電制御機能は非常に脆弱であります。

具体的には、オルタネーター(ジェネレーター)によって発電された交流電気は、画像のセレニウムレクチファイア(略してセレン)により直流電気に整流され、オルタネーターの発電性能に任せてバッテリーに供給されて充電されます。
6V車なら、高回転時の8.5V前後の充電圧をを限度として、レギュレーター無しでこの設定性能を頼りに機能させているのです。
ですから、アイドリング時では6Vほどの充電圧しか発生しません。

話を戻します …
当時はシリコンダイオードがまだ無かった時代であり、セレニウムという物質が整流材として使われていましたが、これは耐高電圧性が低く、発熱が多量であったために、効率が非常に悪いものでした。
ですから、当時の車両はバッテリーの性能が低かったことも相まって、十分な充電量を得ることができなかったことに悩まされていたことが少なくありませんでした。



SL125Sのレストアシーズン1においては、セレンに取って替えて「シリコンダイオード」を使用し、効率が格段に向上している画像の「レクチファイア(略してレクチ)」を使用しています。
もちろん社外品であります。

レストアシーズン2においては、別に保管していた程度の良さそうなオルタネータに取り替えたのですが、これはどうにもこうにもなぜだか必要以上の充電力を持っていて、そのために絶えず8〜9Vに電圧が上がってしまい、バッテリー液は沸騰するくらいに熱を持ってしまっていました。

この高電圧の影響で、6V用のLEDヘッドランプのハンダが溶けてしまうというアクシデントが2連続で発生したことから、LEDヘッドランプは、6〜12 V用のものに交換してこれに対応していました。
しかし、このLEDヘッドランプは12V以上の電圧でないと暗くてとても使いものにならない代物です。

停車時にバッテリーに繋ぐパイプを見ると、先からバッテリー液(希硫酸)がポタリと落ちるくらいに内圧が上がっているのです。
この液が車体に付着すると塗料を溶かし、金属を腐食させて錆させます。
そのために、降車後はその都度、バッテリーを外すようにしていました。

ところが、数日前についうっかりとバッテリーを繋がないままエンジンをかけてしまったのです。
そうすると、バッテリーという緩衝物がないので、レクチにまともに負担がかかって支障が生じ、LEDヘッドランプとデジタル電圧計がパンクしてしまいました。

どうしてだかわかりませんが、ニュートラルランプやメーター照明ランプ、それにテールランプには全く悪影響が出なかったので、とても助かりました。

パンクしたLEDヘッドランプは、そのあまりの暗さから外して元のハロゲンランプに戻そうと考えていましたので、ちょうど良い機会となりました(笑)

バッテリーを繋いでエンジンをかけ直すと、レクチも故障していて、ライトオフ時ではどの回転数でも6V少ししか充電圧が上がりませんし、ライトオン時では5V台のままとなり、最適な充電機能は完全に失われていました。



即刻、当時のものと同じレクチと、新たなデジタル電圧計を注文しておいたら、本日、両方とも届きましたので、すぐに交換をしました。

文字が青くて大きくなった新たなデジタル電圧計を見ると、ライトオフ時におけるアイドリングでは6.3〜6.8Vと正常値を示してくれています。



ライトオフ時の4,000rpm(5速トップギアでは60km/h弱)では、7.3〜7.8Vとこれも正常値を示してくれています。



ライトオン時の4,000rpm (5速トップギアでは60km/h弱)では、6.8〜7.3Vとこれまた正常値を示してくれています。


今回のレクチ交換によって、充電量に過不足の無い本来の正常値を取り戻すことができ、これで慢性的な悩みが一つ解決しました。
もしかすると、温存している予備の6V用LEDヘッドランプはハンダが溶けずに正常に作動するかもしれませんので、機会をみて取り付けてみようと考えています。

このようなことで、充電圧が高すぎるオルタネータに対して適切な充電圧に制御してくれる新しいレクチを与えることができました。
これを「災い転じて福となす」と言うのでしょうか?(笑)



<<後日談>>

これを「ぬか喜び」と言うのでしょうか?(笑)
後日、エンジンを始動すると、以前のような高い充電圧が再び表示されてしまいました。
「こりゃー、やっぱ、あかんわ!!」ということで、画像の諸悪の根源「ステーターコンプリート」を、まともな性能の予備品に交換しました。

1時間ほど走行して結果を確認したところ、レストア シーズン1の時のように
アイドリング時   〜 6.5V前後
昼間(ライトオフ)時 〜 7.5V未満
夜間(ライトオン)時 〜 6.8V未満
という数値を得ました。

これが正常値だと思います。
これでようやく悩ましい過充電症状から解放され、バッテリー液が高熱で吐き出されることは無くなるだろうと思います。

ただ、基本充電性能として、ライトオン時のアイドリングでは「6V未満」となってしまいますので、赤信号停車時などはライトオフにして、6V以上の充電圧を確保しておく方が賢明だと思います。
… それにしても脆弱な電装です(汗)

しかし、こうした状況を掌握し、必要な対策ができるのも「電圧計」によって示される具体的な数値があるからです。

皆さん! 計器の機能を侮ることなかれ!


<今後の課題>
レギュレーター機能を追加したいけど、6Vバッテリー点火のバイクでも叶うのか?
※↓関係URL

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Posted at 2021/06/11 14:57:36

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