
一通り
ガーニーフラップに関して学んだところで,ローパワーを補うためには「やっぱりドラッグ(空気抵抗)低減も重要だな!」と思っていたところ,そう言えば,EF8と似たボディ形状で徹底的にドラッグ低減を追求したクルマが存在する事を思い出し,そちらの調査へ.
ドラッグの指標として一般的に言われるのがCd値(Coefficient of drag:空気抵抗係数)ですが,EF8でも0.30とかなり優秀なのですが(ノーマルのNSXと同等レベル),このクルマは,なんと0.25という値を叩き出しています!
それが,初代インサイト ZE1.
当時のガソリン車最高燃費(35km/L)を叩き出すためだけに作られた,市販車最高峰のロードラッグマシンです.
タイトル画像にある通り,このボディは空力優先でデザインされており,とてつもなく拘った形状をしています.
(01) フロントフロアグリル形状の最適化
(02) 気流を下に向けるフロントストレーキ
(03) 上方とサイドへの気流を分割するフロントフェンダー稜山部の最適化
(04) フロントフェンダー後方形状の最適化
(05) フロントからサイドへの気流をスムースにするピラー形状
(06) 空力に最適な角度を描いたルーフ傾斜
(07) 三次元ガラスゲート
(08) リアエンドの絞込み形状
(09) リアホイールスカート
(10) リアエンド部の切り上げ
(11) エンジンルーム下のアンダーカバー
(12) アンダーフロアと面一になったサイレンサー
(13) 空力性能に優れたディッシュタイプのホイール
今回はこの中から,EF8に取り込めそうな要素を調べてみる事にします.
(01) フロントフロアグリル形状の最適化
必要最小限の開口部は当然ですが,バンパーの中央部分が空気を取り込むかのように窪んでいるのが興味深いですね・・・.
(02) 気流を下に向けるフロントストレーキ
S2000のものとは違って,タイヤをフェアリングするかのような形状をしていますね.
横から見ると,こんな感じ.コレ真似出来ないかなぁ~.
勿論,リアも同じ形状.
(04) フロントフェンダー後方形状の最適化
ボディ上端部より僅かにくり抜かれたような形状ですね.後にGTマシンでは主流になった形状です.
更にボディ下端で僅かに窪んでいます.これは実物を見て初めて気付きました.
(06) 空力に最適な角度を描いたルーフ傾斜
EF8より僅かに傾斜が緩やかですね.これはさすがに真似しようもないですけど.
(08) リアエンドの絞込み形状
ボディ形状を抵抗の少ない水滴型に近づけるため,リアを絞り込んでいるのですが,そのためにリアのトレッドはフロントよりも110mm縮めています(フロント:1335mm リア:1235mm).これをEF8で再現させるなら,リアを絞り込むよりフロントのトレッドを広げる方向になるんでしょうね.
(09) リアホイールスカート
これが初代インサイトのアイコンですね.さすがにタイヤ交換が不便なので,コレは真似したくない(笑).
(10) リアエンド部の切り上げ
レーシーなディフューザーに見慣れていると,この程度を「切り上げ」とは言わない気がしますが,確かに切り上げ形状にはなっています.空力以外の要因があるのかもしれませんが,段付きになっているのが特徴的ですね.
(12) アンダーフロアと面一になったサイレンサー
ヒョコっと飛び出している気もしますが,角度には気を遣っている様子が窺えます.
その他,気になった点をいくつか.
後のCLARITYなんかだと,ルーフ部分をサイド側の下に織り込んでモールをなくして段差を減らすような事までやってますが,この時代はそこまでやってませんね.
同様に,ルーフにボルテックスジェネレーターもなし.
最近のクルマで見かけるテールライトにフィンが付いているような形状もなし.
テールは,ほんのちょっとだけ延長されていますが,無限のPROキット程ではないですね.
そして,一番見たかったホイールハウス内にアレがある事を確認・・・.ここはまだ勉強中なので,また別の機会に.
以上,ZE1の調査結果でした.
ドラッグを減らすために,どういった要素を盛り込むか? メーカーが全力で作り上げた形状は非常に参考になります.特に私のEF8はサーキットオンリーという訳ではないので,市販前提で突き詰められたものの方が,より現実解に近いように思えます.
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Posted at
2019/07/01 23:18:09