
以前,プロから「(直線でのフルブレーキング時に)
リアのブレーキロックが酷い」と指摘を受けていました.
当時は摩耗しているタイヤだったので,単純なグリップ不足だと思っていたのですが,タイヤ交換後もブレーキング時に白煙が上がる状況だったので,リアのダウンフォースを増やして抑えつける対策を行ないました.しかし,EF8の先輩から「
変わらず白煙は上がっているよ」と指摘され,対策が不足している(=もっとリアのダウンフォースを増やそう)と思っていました.
ところが,
富士の結果からリアのダウンフォースを削る必要性が出てきてしまい,別な方法で対策する必要が出てきました.
一方,時を同じくして,
フロントのブレーキパッドにトラブルを抱え,交換が必須となったのですが,これまで使っていたパッドが在庫切れで入手出来ず,メーカー変更を強いられてしまいました.どのメーカーを使おうか?と色々調べてみる過程で,こんな情報が目に止まりました.

(参考:
駆動方式別パッドの選び方)
これを読み進めるうちに,
「もしかしたら,FF専用ブレーキパッドが対策になるかも!」
と思い,探してみたところ,DIXCELとProjectμに「FF専用リアブレーキパッド」の設定があり,これと組み合わせるフロントのパッドを調べた結果,私が設定した条件にマッチするのはProjectμの方である事が分かりました.
次に,Projectμの中でフロントのパッドを選ぶ中でSTREET SPORTS系とRACING系の選択肢がある事が分かったのですが,サーキットユーザーは使い込むとSTREET SPORTS系→RACING系へ移行するケースが多かった事から,RACING系に絞込み.ついで,RACING系の中で,777と999は温度域が300℃以上だったので落選(冬場だとここまで温度が上がらず,計測1周目からアタック出来ない).残ったN1とN+のどちらかにする事になりました.
両者を比較してみたところ,ローターへの攻撃性以外はN+の方が満遍なく性能が良さそうなので,こちらをチョイス.結果,EF8の新たなブレーキパッドは以下の組合せとなりました.
フロント ・・・
RACING-N+
リア ・・・
RACING-N1 FFR
早速,これを付けてサーキットへ!といきたいところだったのですが,パッドの選定に悩んだ事もあり,納期がギリギリとなってしまった事から,サーキット走行の当日に朝一でショップへ駆け込み・・・.

(右奥に隠れている1台を含めて,なんとEFが4台.ここはいつからサイバー専門店になったんだ・・・笑)
無事交換が終了した後,そのまま環八→外環→常磐道と繋ぐも,3連休のせいか,どこもかしこもヒドイ渋滞(泣).焦る気持ちを抑えつつ,何とか筑波サーキットに辿り着くと,
TC2000にいるFD2に手早くGPSロガーをセットし,すぐさまTC1000のピットへ.ピット到着時点で既に午後の走行は始まっており,そこから大急ぎで準備して何とかO枠に間に合いました.
コースインしてまずは入念にパッドに熱入れした後,アタックしてみると,1ヘアで・・・,
「うわぁ~,止まらないー(汗)」
一瞬,「リアのブレーキが効かないって,こんなに止まらないのか?」「失敗したか!?」と思いましたが,どうやらフロントの熱入れがまだ不十分だったらしく,何周かアタックを続けると,ようやく狙い通りに止まるようになり,最後は42.458と,まずまずのタイムが出せました.
続けて2本目・・・に行く前に,ここでウイングの角度を調整.
以前,
フロントディフューザーを装着してハードブレーキングを行なうとリアが吹っ飛んだ事があり,その対策としてウイングを1段階立てていたのですが,FF専用ブレーキの真価を確認するためには,吹っ飛んだ時と同じ状況を再現すべきだろうと,ウイングの角度を1段階寝かせました.
この状態で早速アタック開始.リアの抑えつけがなくなった分,フロントに荷重が乗っかり過ぎて,1本目よりはロックしやすくなりました.
動画の中で「キャキャッ,キャキャッ」という音がしているのが聞こえるでしょうか? それがロックしている時です.
ただ,以前のパッドに比べると同じロックでも少し違う感触で,以前のパッドはロックする時は一気にフルロックしてフラットスポットが出来るんじゃないか?と思うくらい焦げ臭くなりましたが,今回のパッドは「ロックはするが,僅かに転がっている」ような感触で,踏力を一定に保つと,この「ロックはするが,僅かに転がっている」状態を維持出来ます.これがRACING-N+が謳う「踏力に応じたリニアな効きと安定したコントロール性」というヤツなのか?と思っていたら,
スパーンと一気にロックして滑っていっちゃいました(苦笑).
「う~ん・・・ちょっとフロントの初期制動が強過ぎ?」
「こりゃ, RACING-N1の方が良かったかぁ~?」
なんて思いつつ周回を重ねていくと,いよいよFF専用リアブレーキパッドが真価を発揮し始めました.
当初は,リアのダウンフォースを削ったので,また吹っ飛んでいくんじゃないかと危惧していたのですが,フロントがロックして前に滑っていっちゃうので,リアが破綻するような気配は一切なく,むしろリアにしっかりと制動がかかった状態で,フロントに更に荷重がかかっている(更に沈み込んでいる)ような印象.
イメージ的には,こんな感じでしょうか.
【FF専用パッド使用前】
【FF専用パッド使用後】
「フロントを軸に,浮いたリアを振り回す」のではなく,「リアを軸に,フロントが更に切り込む」ような感触.まだ周回数が少ないので,何とも表現が難しいのですが,かなり独特のフィーリングです.
最初は,この独特のフィーリングに慣れず,「オーバーステア傾向で乗り辛いなぁ・・・」と思っていましたが,慣れてくると,
「よく曲がる~♪」
と楽しくなり,41秒台を連発!
とにかくコーナーでいとも簡単に向きが変わるので,アクセルが早く踏める! そのくせ,フロントにもしっかりと荷重が掛かっているので,アンダーも出ず,グイグイコーナーで曲がる!
「これは,イケるかも!」と思い,集中力を高めて1周を纏めてみると,
9月のタイムを0.021秒短縮し,
自己ベスト更新!(41.740)
9月のタイムと比較してみると(青:前回 緑:今回)
気温差もあり,1ヘア進入・洗濯板進入時の速度が上がっていますが,それよりも1ヘア・インフィールドのボトムスピードが上がっている点に注目です.この結果が「よく曲がり,早くアクセル踏める!」というフィーリングを裏付けていると思われます.
惜しむらくは,まだ私がこのフィーリングに慣れていないというところでしょうか.インフィールドの切り込みでオーバーステアにビビって,早くアクセルを戻してしまい,トップスピードが4km/hも落ちているのが勿体無いですね.
以上,FF専用ブレーキパッドの感触でした.
何とも形容しがたい,独特のフィーリングではありますが,慣れればタイムにも繫がっていますし,総論としては成功ではないでしょうか.現状ではまだ,この新たなEF8を私は乗りこなせていない気がしているので,フロントのロックのし易さを再確認するためにも,再びTC1000を走りたいところです.