
先日の走行会では,お馴染みのBB6のAT使いも参加されていました.
年に1回の国際コースチャレンジが近くなってきたので,
昨年味わわされた件の雪辱を果たすべく,色々と下準備で話を聞いていたら,どうやら今回,新品のRE-71RSを投入したとの事です.
A052と互角のタイヤとして私も興味があるのですが,BSお馴染みのピックアップ(タイヤカスをやたらと拾う)に悩まされそうな点,A052と比べて明らかに価格が高い点等から見送っているのが現状です.
それでも,外側に向かって傾斜のついている(自然とキャンバーが付く)独特の形状はやはり気になりますし,A052との差も気になるところです.
・・・なので,BB6が走行する度にフィーリングを聞いていたのですが,どうやら感触は今一つなご様子.曰く「半年振りの走行だし,1本目→2本目→・・・と慣れてタイムアップしていくはずなのに,思ったほどタイムが伸びない」「何だかコーナーの立ち上がりがしっくりこない」「71Rと同じような走らせ方だとダメなのかなぁ~?」との事.
大分お悩みのご様子だったので,「じゃあ,ロガーでデータでも取ってみますか?」と提案したところ,OKがもらえたので,後日,車載の映像のデータももらって分析する事になりました.
さて,ここで問題なのは比較するデータ.残念ながらBB6の走行データはそんなにとってないので,TC1000のデータとなると2017年12月まで遡る事になってしまいます.この時のタイヤは215/45R17だそうで(現状は215/40R17),気温もタイヤサイズも異なるのでかなり正確性に欠けてしまいますが,他にやりようがないので,これでやってみる事にします.
【RE-71R時】
【RE-71RS時】
では,LAP+での比較結果です(緑:71R 青:71RS).
ホームストレートエンド(1つ目の赤丸)
片や冬のデータ(緑),片や夏のデータ(青)なので,終端速度が3.7km/hも開くのは仕方ないですね.これで71RS(青)の方が0.1秒遅れますが,今回は無視です.
1コーナー(2つ目の赤丸)
ブレーキングポイントはほぼ同じ.減速度は71RS(青)の方が大きいようです.減速度が大きいという事は,ドライバーとしては「クルマがよく止まる」と感じているという事であり,71RS(青)の方は85km/h付近でブレーキをリリースしています.71R(緑)の方は76km/h台まで同じ踏力でブレーキを踏んでいる事から,71RS(青)の方がよく止まり・よく曲がるという事なのでしょうね.
実際ライン取りの方も見てみると,71RS(青)の方が71R(赤)よりも早くインに寄せる事が出来ていますし,ブレーキをリリースした時点から外側に膨らんでいく事もなく,クルマはしっかりと曲がっているようです.ボトムスピードも5km/hも高いですし,これだけで先程の0.1秒の遅れを取り戻しています.やっぱり「71RS(青)のグリップは凄い!」という感じですね.
1ヘア
進入(3つ目の赤丸)では71RS(青)の方が1.5km/h遅れ.まぁ,夏なので仕方ないですね.でも,ボトムスピード(4つ目の赤丸)の方は71RS(青)の方が3km/hも高いです.そして,注目すべきポイントは立ち上がり.
エイペックス(クリップ)から先は,71R(赤)よりも71RS(青)の方が小回り出来ています.ボトムスピードが3km/h高いのに,立ち上がりが小回り出来ているんですから,ここでも「71RS(青)の方がグリップがある!」ですね.なお,オーナーが不満に思っていた「立ち上がりでの腰砕け感」もこのデータからすると見受けられません.これで0.17秒,71RS(青)の方がリードします.
インフィールド(2ヘア)
1ヘアを立ち上がった後,70km/hくらいの地点で71RS(青)の方が少し加速が鈍ってますが,これは前走者を避けたためのようですね.ほとんどロスしていないので無視して大丈夫でしょう.
進入速度は71R(緑)の方が0.8km/h速いですが,これも気温のせいだとして,注目はここでもボトムスピード(5つ目の赤丸)ですね.実に6.1km/hも71RS(青)の方が高い.前走者を避けた都合上,やや進入がタイトだったせいで,イン-イン-インのラインになり,車速の波形的にはV字が描けていませんが,立ち上がりでも膨らんでいませんし,これで曲がれるならOKでしょう.なお,このセクションだけで0.13秒稼ぎ,71RS(青)の方がトータル0.3秒のリードです.
洗濯板~最終の複合
バックストレッチの終端速度はほぼ互角.違いが出てくるのは洗濯板へのブレーキングから(最後の赤丸).85km/hを過ぎた辺りから71RS(青)の方は減速度が変わりませんね.そこから「車速を落とし過ぎた」と思ったのか,ドライバーはアクセルをガバッと開けて再加速しています.この減速量の大きさが71RS(青)の縦のグリップを物語っているのかどうかはちょっと読み取れませんが,それよりもそこからアクセルを踏んだ時の加速量の方に注目すべきなのかもしれません.ブレーキングで縦のグリップをかなり使っているのに,そこからすぐにアクセルを開けてもタイヤが反応して曲がっていく・・・.つまり,縦と横をオーバーラップさせた「斜めのグリップがちゃんとある」という事なんでしょうね.
その証拠に・・・,
【71R時】
【71RS時】
アクセル踏んで再加速させ,アンダーステアを起こし易い状況にも関わらず,71RS(下)の方はステアリングを戻す余裕すらあります.このセクションだけで0.3秒稼いでトータル0.5秒差ですから,やっぱり71RSのグリップは凄いですね(最終的にはストレート区間で0.1秒失って,両者のタイム差は0.4秒でした).
以上,比較結果でした.
このデータだけ見ると「71RSの方がグリップは圧倒しているし,特に欠点らしい部分も見当たらない」という感じですね.しかし,オーナー曰く「思った程,タイムが出ない.気温差を考慮してもベスト(43.5秒)に届くと思ったのに,なぜ出ない? 立ち上がりのグリップが今一つ物足りない」との事で,何か悪影響を及ぼしている要因があるのでしょうね.
思いつくのは,A052の時にもあったタイヤの剛性不足によるグニャグニャ感.もしかしたら,A052と同様に71RSも多少引っ張り気味にしないとフィーリングが悪いのかもしれません.現在のBB6は71R時と同じホイールを使っているので,少し引っ張り量が足りないのかもしれず,それを伝えたら「ホイール買い直すの? 嫌だなぁ~」なんて仰っていましたが,さてどうなる事やら・・・.
最後にデータを見ていて,個人的に気になった点が1つ.
全開加速→フルブレーキングのシーンで,以前と車速の波形が違うんですよねぇ・・・.
左から1コーナー,インフィールド,洗濯板の順番なのですが,71RS(青)の方がブレーキングを開始する直前に平坦な部分が出来ているんですよねぇ.これなんなんだろ? 全開加速中なのに速度が伸びないような波形.もしかして左足ブレーキを使っているのかな??
ブログ一覧 |
AT使いのBB6 | 日記
Posted at
2020/09/21 12:11:17