何とか40秒台に入れた今年最後の走行を終え,家に着いてPCを開くと,またも怪しげなメッセージが届いていました.
書かれているコメントを読むと「最終.ただただ最終・・・」と書かれています.「これは
アレか? またアレなのか??」と思いつつ,ファイルを開くとどうやらTC2000の走行データのようです.
「さて,どうしようか・・・」としばし考えた後,前々から気になっていた「DC5はFD2より速いのか?」という疑問を解消すべく,FD2のデータを引っ張り出して比較してみる事にしました.
サンプルにしたDC5のデータはコチラ(↓).
FD2の方は公開自粛(笑).
タイヤはA052の265/35R18(のはず・・・),コンディションの差はありますが,いずれも冬のデータでGPSロガー計測によるタイムは以下の通りです.
DC5 ・・・ 1'03.351
FD2 ・・・ 1'04.293 (+0.942)
まずは,LAP+による解析(緑:DC5 青:FD2).
ブレーキング
いきなりですが,DC5(緑)は1コーナー進入時の突っ込みが凄いですな.FD2(青)に対して11mも奥の地点からブレーキングを開始しています.ただ,この突っ込みも闇雲にブレーキングを遅らせているのではなく,「この地点からでも止まれる」「この地点からでも曲げられる」という確信に基づいたブレーキングですね.その証拠に立ち上がりで一切はらむ事なく,FD2(青)よりも早くアクセルを開けています.ライン取りを見るとFD2(青)のドライバーが完璧に合わせ込めている訳ではないとも思えますが,いずれにせよ,DC5(緑)の方が「よく曲がる」ので「より奥まで突っ込める」と言えそうです.ちなみに,この「よく曲がる」ですが,「より奥まで突っ込める」から「よく曲がる」という可能性があります(ドライバーがフロントタイヤのグリップを最高レベルで引き出している).
さて,「DC5(緑)のブレーキの突っ込みが凄い!」という意識で,その後のポイントを見ていくと,1ヘア・2ヘア共にその特長が読み取れるのですが,最終コーナーが「アレッ?」という感じ.FD2(青)の方が28mも奥でブレーキングを行っています.
「ああ,これが『最終.ただただ最終・・・』の意味ですか」
本人的にも「最終コーナーだけ突っ込めていない」という自覚があるんでしょうね.だとすると,「これほどの腕前の持ち主が,なんで最終だけ突っ込めないんだ?」と思って動画をじっくり見てみると,
ああ,コレだ.
FD2(青)は4速固定で最終コーナーを旋回しているのに,DC5(緑)は5→4速にシフトダウンしている.このステアリングとブレーキに集中出来ない状況が,この28mの差を生んでいる気がしますね・・・.
(ん? 5速??と思いましたが,それに関しては後述)
加速
1コーナー~1ヘア,1ヘア~ダンロップ,2ヘア~最終コーナーの3箇所の加速を見ると,DC5(緑)の方が2速域では引っ張れているようですね.つまり,FD2(青)よりDC5(緑)の方がハイギヤードって事だと思いますが,「ハイギヤードなのに加速が良い」ってどういうメカニズムだ?と思って,FD2(青)の1ヘア・2ヘアの立ち上がりを詳しく見てみると,
「あ~,FD2はタイヤが滑ってる・・・」
なるほど.K20Aのパワーだと純正の2速はローギヤード過ぎるって事ですか.立ち上がりで1発でアクセルを全開に出来るように,DC5(緑)はハイギヤード化(2.042を使用)してるって事なんですね.なるほど,なるほど.
続けて見ていくと,3速域では互角(まぁ,ギヤ比が一緒なんだから当然ですね).4速域はDC5(緑)の方が上(=ローギヤード).5速域は~って,FD2(青)はそもそも5速に入らないか.ややこしいので,このDC5(緑)とFD2(青)のギヤ比を整理してみました.
【DC5】
【FD2】
このギヤ比だと,TC2000では4速がほんの僅かに合ってないんでしょね・・・.
コーナリング
1ヘア・2ヘアのボトムを見ると,そんなに大きな違いはなく,最終コーナーもほぼ互角に見えるので,低速・高速問わず,コーナリング性能はほぼ同等という感じでしょうか.唯一違うのはダンロップですが,ここはドライバーの技量の差かなぁ~.DC5(緑)の方が早めに減速して態勢を整え,次の80Rを重視したコーナリングをしているのが読み取れます.以前
ダンロップの分析を行いましたが,そこでの最適解をDC5(緑)は行っているようですね.
ちなみに,DC5とFD2とでは,カタログスペック上,こんな違い(↓)があるのですが,
DC5 FD2
ホイールベース ・・・ 2570mm 2700mm (+130mm)
車重 ・・・ 1190kg 1260kg (+70kg)
足回りをきちんとセッティングしたクルマ同士であれば,旋回性能に大きな違いはないんですかね・・・?
(ノーマルだと,アレコレ違いがありそうですが↓)
最後に,「・・・で,結局,DC5とFD2の間に1秒の差はあるのか?」という話ですが,参考までに両車のワンメイクレースのリザルトを引っ張り出してみました.鈴鹿ともてぎがあったのですが,TC2000に近い特性という事でツインリンクもてぎの方をチョイス.
DC5 ・・・ 2'07.678
FD2 ・・・ 2'10.446
これを毎度お馴染みの
換算サイトで変換して・・・,
DC5 ・・・ 1'01.279
FD2 ・・・ 1'02.607 (+1.328)
うん.やっぱり1秒くらいはDC5の方が速そうですね.
以上,DC5 vs FD2でした.
分析してみる前は,ホイールベースだ~,車重だ~の違いで「小さくて軽いDC5の方が速い」という結論になるのかと思ってましたが,ギヤ比の妙によってDC5が上回っているのは意外でした.ただ,ロガーデータには表れないターンイン時の反応とか(これがブレーキングで突っ込める量にも繋がっている)にホイールベースと車重の影響が出ているのかもしれませんけれど,こればっかりは,そのクルマに乗ってみないと分かりませんね.
本人的には最終コーナーが不満のようですが,ほぼほぼDC5の性能を出し切っていると言っていいんじゃないでしょうか.ワンメイクレースの結果から推測出来る両車の差を考慮すると詰め代は0.3秒程度.現状の仕様では,1LAPパーフェクトに決めてギリギリ2秒台に届くかどうか?という世界な気がしますね.
まぁ,でも,TC1000で一人だけ1コーナーで独自のライン(↓)を編み出していますし,

(orangeEPさんの
ブログ参照)
同様に,TC2000でも独自のラインを編み出せれば,あっさり2秒台に入ったりするのかもしれませんけどね(笑).
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Posted at
2020/12/29 17:13:41