• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+
イイね!
2021年03月31日

新骨格の穿った見方

新骨格の穿った見方 去年の春は緊急事態宣言でサーキットが閉鎖して走る事が出来ませんでしたが,今年の春は別な事情で走る事が出来ず,久方振りに1ヵ月以上サーキット未走行が続いています.

カートでも乗りに行こうかと思いましたが,このご時世なので今一つ気乗りせず,結局,家に籠って色々調べ物をする日々です.そんな中で,今シーズンのF1が開幕し,最終年となったホンダの新骨格エンジンの情報が色々と出てました.

シーズン開幕前に行われた記者説明会では,先んじてホンダの方から「カムシャフトのレイアウトを変更して重心を下げた」「ボアピッチを縮めてコンパクト化した」といった情報を流していましたが,当時は開幕前(ホモロゲーション確定前)という事もあり,画像が公開されていなかったので,「ふ~ん・・・」くらいに思ってました.

その後,とある番組で画像が公開され,シリンダーヘッドの写真がネット上に流れていました.



「あ~,コレが〇〇〇さんが言っていたヘッドかぁ~」と思って何とはなしに眺めていると,「ん? なんだコレ??」と思う部分がありました.

それは,ヘッドカバーを跨ぐように付いている補強バーの位置(↓).



F1のようなフォーミュラカーの場合は,エンジンブロック自体がシャシーの一部となっていて,人が乗るモノコックと車体後部のギヤボックスを繋ぐ部材の役目も担っているのですが,V6になった辺りで全長が短過ぎて剛性不足となったのか,エンジンの前後を橋渡しするようなバーがヘッド上に付くようになりました.



前後を橋渡しするようなものなので,ヘッドに対して平行に配置されるのは当たり前だと思うのですが,この新骨格エンジンでは左右で角度がついたレイアウトになっています(↓).



そうすると,この下がっている側(画像左側)はバンクの上部なのか,下部なのか気になったので調べてみたところ,出っ張りがある方がバンクの下部のようです(↓).


(この写真↑は,2018年のRA618Hのものです)

とすると,下がっている方(画像左側)がエンジン下部にあたり,エンジンの下側がえぐれていて,エンジンの上側が張り出しているようなイメージのようです.


「ほうほう,ならば,この推測は合っているかな?」と思い,このエンジンが搭載されているレッドブルの写真を見てみると(↓),


(autosports Web:【2021年F1新車技術解説】レッドブルRB16Bより)

旧骨格搭載車のRB16に対して新骨格のRB16Bは,確かに下部がえぐれて,上部がせり出しているので,推測は合っていそうです.

車体下部をえぐるのは,ディフューザー上面を流れる空気の通過量を増やしたいため(リアのダウンフォースを稼ぐため)でしょうから,特に疑問は生じないのですが,上部をせり出す理由が分かりません.写真を見る限り,エンジン上部側のバーの位置を横にスライドさせれば良いだけですから,技術的に出来ないようにも思えません.

・・・とすると,ここに何か秘密があるのか?と思い,新骨格エンジンの分析記事を読んでみたのですが,ホンダが説明した部分に対して素直に見ているようで,バルブの挟み角やボアピッチの方に着目しており,ここに触れているものは見当たりませんでした.


エンジン上部をせり出すという事は,普通に考えると「V型のバンク角を広げる(=重心を下げる)」といった事が考えられるのですが,F1の場合,レギュレーションで「バンク角は90°」と定められているので,これは有り得ない.

バンク角を広げず,上部をせり出す(=バンクの間を広げる)メリットは何か?と更に考えてみると,「そこに置かれるモノのレイアウトが変わった」という可能性が思いつきました.

じゃあ,ここに置かれているモノって何なんだろう?と思い,調べてみると(↓),


(ホンダの記者説明会資料より)

どうやら,「MGU-H(Motor Generator Unit - Heat)」のようです.


「MGU-H」というのは,F1独自の技術で,ターボチャージャーのシャフトに連結されたモーターの事です.


(FORMULA1-DATA:MGU-Hとは?より)

エネルギーを貯めたい時は,ターボチャージャー→モーターを駆動して発電し,逆にエネルギーを使いたい時は,モーター→ターボチャージャーを駆動してアシストする機構です.これにより,低回転時に起きるターボラグを解消する事が狙いです(詳しくはコチラ↓).




従って,このエンジン上部をせり出している理由は,このMGU-Hのサイズアップなのではないか?と思いました.そう言えば,昨年,ホンダがメルセデスより劣っている部分の1つに「デプロイメント(※)の時間が短い」という事が指摘されていたので,MGU-Hのサイズアップにより,それを解消してきた可能性がありそうです.

※:「デプロイメント」とは,モーターを使ってチャージしたエネルギーを使う事で,「デプロイメントの時間が短い」とは「モーターでアシストする時間が短い」という意味になります.


この推測の裏取りが出来ないかなぁ~?と思って,先述の記者発表会の記事を見返してみたところ,質疑応答にそれを匂わす部分がありました(↓).


(Car Watch:ホンダ、F1最終シーズンに臨む意気込みを開発を率いる浅木泰昭氏が語るより)

これを見て・・・,

「おっ! 合ってそうだな」 ( ̄ー ̄)ニヤリ


以上,写真1枚でご飯が3杯いける,暇人のお話でした(笑).
ブログ一覧 | その他 | 日記
Posted at 2021/04/02 07:11:52

イイね!0件



今、あなたにおすすめ

ブログ人気記事

このボリューム凄くないですか!
のうえさんさん

ドラレコ補助バッテリーを更新・・・
マル運さん

105【8番らーめん】グルメレポー ...
とも ucf31さん

自撮りして喜ぶ甥っ子❣️iPhon ...
青いトレーラーNo.IIIさん

盆休み直前のディーラーへ!
V-テッ君♂さん

早速、ちょっと直したりいじったり
SNJ_Uさん

この記事へのコメント

2021年4月2日 7:45
凄いよくそこまで調べましたね😁流石です!
コメントへの返答
2021年4月2日 11:48
有難う御座います.
走らないと暇なもので(笑).
2021年4月2日 10:45
素晴らしい考察です
カバー上側の出っ張りはヘッドが薄くなったことの補正かも?
コメントへの返答
2021年4月2日 11:49
有難う御座います.
カウルが付いてない状態を早く見てみたいところです.
2021年4月2日 23:15
カムのスパン短いからほとんどバルブ挟み角無い?ディーゼルみたいな燃焼室なんですかね高圧縮の
コメントへの返答
2021年4月3日 1:30
最新のレーシングエンジンですので,恐らくプレチャンバー(副室燃焼)方式でしょうから,ディーゼルに近いかもしれませんね.

プロフィール

GPSロガーを使ってクルマとドライビングを改善しながら,B18C搭載のCR-XにB16AのCR-Xで挑んでいます. TC2000 1'07.4/TC1000 ...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/8 >>

     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      

リンク・クリップ

[ホンダ シビックタイプR]SPOON ツインブロックキャリパー 
カテゴリ:参考
2025/04/28 00:41:13
練習会のお供に 
カテゴリ:参考
2023/08/05 17:04:28
運動不足? 
カテゴリ:参考
2022/03/08 22:53:47

愛車一覧

ホンダ CR-X ホンダ CR-X
中古で入手し,コツコツ直し続けて20年. 一通りのメンテナンスが終了し,2014年よりサ ...
プジョー 208 プジョー 208
実家でお買い物カーとして活躍していた208が廃車となってしまったため,代替えとして新しく ...
プジョー 208 プジョー 208
20年走ってくれたティグラに代わって実家にやってきた新車(なんと21世紀を迎えてから初め ...
オペル ティグラ オペル ティグラ
アンドロストロフィーのティグラの活躍に一目惚れし,母が乗り換えを検討した際に猛プッシュし ...

過去のブログ

2025年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2024年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2023年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2022年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2021年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2020年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2019年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2018年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2017年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2016年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2015年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2014年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2013年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2012年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2011年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2010年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2009年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2008年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2007年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2006年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2005年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2004年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2003年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2002年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2001年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
ヘルプ利用規約サイトマップ

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車、今いくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)
© LY Corporation