駆動系を一新してから最も速いタイムを刻んだ先日のTC1000ですが,フィーリング的には「ベターではあるが,ベストではない」という感じで今一つ.
次に何をすべきなのかはっきりと見定められず,モヤモヤしていたところ,
「ドライバー側で対処すべき部分と,クルマ側で対処すべき部分を切り分けてみては?」とアドバイスを頂きました.
足回りの仕様を変えてから初回の走行だったので,確かにドライバー側が合わせ切れていない部分もあり,
プロとの同乗走行の中で感じた事もいくつかあったので,ドライバー側で対処すべき点に関して整理をしてみたいと思います.
まず,セオリーとして「ドライバー側で対処すべき事」と「クルマ側で対処すべき事」を大まかに切り分ける場合,前者は低速区間,後者は高速区間になると思います.高速区間はクルマの限界,すなわち性能(加速・減速・旋回)の絶対値がモノを言うので,ドライバー側でやれる事はあまりありません(厳密にはドライバーのメンタル的な部分が影響しますけど,今回はTC1000なので割愛).一方で低速区間はドライバー側が占める割合が多く,アクセル・ブレーキ・クラッチ(シフト)・ステアリングの各操作の違いで差が生まれます.ドライバーの腕の見せ所とも言えますね.
今回はプロのお手本があるので,低速区間にフォーカスしてみたいと思います.
TC1000における低速区間と言えば・・・,
「ヘアピン(1ヘア)」と「インフィールド(2ヘア)」ですね(黄色い部分).
そして,この2ヵ所はプロとの同乗走行で「私の時と動きが違う!」と感じた部分でもあります.
現状手こずっているのは「ヘアピン」の方なので,こちらに焦点を当てて細かく見ていきます.
まずはライン取り(赤:私 青:プロ).
ザッと見た感じ,ブレーキングの開始ポイントは同じ,ヘアピンへの進入のラインも同じですが,立ち上がりのライン(緑丸の部分)が違いますね・・・.私(赤)の方がコース幅を使えていない感じです.コース幅を使えていないという事は,コーナーからの脱出速度が低いという事で,
以前,LSDが原因では?と疑ったのですが,プロが走らせた時にはそんな事はないのですから,原因は他にあるようです.
続けて,車速のグラフも見てみると(緑:私 青:プロ),
私(緑)の方がボトムが4.5km/hも低く,波形もU字になっていました.
この時に何が起きていたのか,車載で確認してみます.
【私】
【プロ】
1回目が等速,2回目が1/2スロー,3回目が1/4スローですが,これを見て気づく点は2つ.
1つ目は,ボトム時の位置.
【私】
【プロ】
ホームストレートのタイムボードの位置(赤丸)で比較すると,プロ(下)の方が左側に位置しており,尚且つ 舵も大きい事が分かります.これが何を意味しているか?というと,「クリッピングポイントで,プロの方がクルマの向きが変わっている」という事で,クルマの向きがちゃんと変わっているからこそ,プロはここから間髪入れずアクセルを開けていっても,タイヤの限界を超える事なくクルマが前に進んでいるという事ですね.
2つ目は,ステアリングの切り足し.
自分では「この舵角で曲がるだろう」と思ってヘアピンへ進入しているのに,クリップまで来ても曲がらず(向きが変わらず),仕方がないので切り足しているようですね.そして,クリップを過ぎて切り足しているので,抵抗が増えて失速し,失速+舵が大きい事で小回りになってしまっているというメカニズムのようです.
この2点から,私の頭の中で,この図(↓)が浮かびました.
ようは,今の私はヘアピンに対して早めにインに寄り過ぎって事ですね.
(クリップに対して外側から回り込んでいない)
ではなぜ,イン側に寄っているか?というと,理由は単純で「仕様変更前はこちらのラインの方が速かった」からです.立ち上がり重視で外から回り込んで遠回りするより,距離重視でタイトにインに入って,クリップでクルッと向きを変えて,立ち上がる方がタイムが良かったからです.
ところが,今の仕様では,その「クリップでクルッと向きを変える」が出来ない・・・.向きが変わらないので,旋回中の待ち時間が増え,舵角も一発で決まらず,立ち上がりもワンテンポ遅い.そんなチグハグな操作をしているくらいだったら,プロのように立ち上がり重視で,外から回り込んで,一発で決めた方が速いという事なのでしょう.
あ~,ちなみに,私の性格上,「なんでクルッと向きが変わらないの?」とクルマ側の原因を突き止めたくなるので,変化点であるLSDに着目して,こんな図(↓)を見たり,
(田中ミノル式 FF 機械式 LSD 完全解説:
曲げるための LSD 有効活用法③より)
こんなコメント(↓)を読んだりしますが,
(TM-SQUARE:
FFにマッチングするLSDは?より)
今回は「ドライバー側で対処する」という話なので触れないようにします(笑).
話を戻して,狙ったポイントで向きが変わらないなら,ドライバー側でやれる事は,「変わるように操作する」 or 「変わらないと思って操作する」のどちらかですかね.
「変わるように操作する」の方は,フロント荷重をもっと増やしてやるか,リアの荷重を抜くか.具体的には「制動力を上げる」という事でしょうか? じゃあ,これ以上,制動力って上げられるの?という事で,前後G・左右Gを見てみます(緑:私 青:プロ),
前後G(上)のグラフからすると,プロ(青)と私(緑)は同等なので,これ以上制動力を上げる事は無理のようですね.そうすると合わせ技でリアの荷重を抜くしかないかな? 左右G(下)を見ると,プロ(青)の方が横Gの発生時間が長いので,ここにヒントがありそうです.
もう一方の「変わらないと思って操作する」は,単純に「舵角を減らす」という事ですかね? 旋回半径を大きくとって,少ない舵角でも曲がれる状況を作り出す.ただ,単純に旋回半径を大きくすると距離のロスが大きいので,その分,旋回速度を上げる努力が必要になりますが,こちらはタイヤの限界と相談なのでやってみなければ分かりませんね.
以上,「ドライバー側で対処する」でした.
今回調べてみて,どこが自分でしっくりいってないのか?が少し見えてきた気がします.やっぱり自分vs自分で分析していると思い込みの領域から抜け出せないので気づきませんね.こういう時にお手本(プロの車載・データ)があるとホント助かります.走って頂いて,本当に感謝です!
さて,次回のTC1000では「外から回り込む」を意識しながらトライ&エラーをやってみたいと思うのですが,走行会から3日空けて再びEF8に乗ってみたら,街乗りレベルでリアの足がポンポン跳ねて酷い状況になりました(走行会の帰りはこんなに酷くなかった・・・).サーキット走行の負荷でバネが馴染んで動き方が変わったのか? それともダンパーが完全に死んだのか? 理由は分かりませんが,ショップの工場長からも跳ねを指摘されたので,これは走るより直すの方が先かもしれないですね・・・.
ブログ一覧 |
ドライビング研究 | 日記
Posted at
2021/06/21 19:43:59