
先日のTC1000で学んだ姿勢コントロールの話,
ロール編よりも
ノーズダイブ編の方が反応が大きく,これを見ている皆さんのレベルの高さ(マニアックさ?)に改めて驚かされました(笑).
私にとって,クルマの動きは横よりも縦の方が感じ取りにくいので,ノーズダイブの方は,起きている事を正確に認識して,操作へフィードバックするにはまだまだ時間が掛かると思いますが,引続き走り込んで掴み取りたいと思います.
さて,そのノーズダイブの話の中で「ボディのねじり剛性」の話が出てきたのですが,これを聞いて久方振りにボディの補強アイテムが気になり始め,そんな話をとある方にしたら,
こんなの(↓)を紹介されました.
ボディ補強の手段として「スポット増し」が有名ですが,そのスポット溶接の代わりをクリップで挟んでやってしまおうというモノです.「スポット増し」によってボディが補強される理屈は,ボディのパネル(板)の密着度を上げる事なので,密着度を上げるのならば溶接でなくても,クリップで上から挟んでも出来るよね?という発想です.
「まぁ,そりゃそうかもしれないね・・・」と思いつつ,CR-Xのドアを開けた時にこんな(↓)クリップだらけの開口部を見たらゲンナリするので,
「これはナシだなぁ~」と思っていたら,「クリップの上にウェザーストリップを被せるので,見た目はそんなに悪くならないよ」と説明されました.「ふむ.だとすると,ちょっと効果が気になるな・・・」と調べ始めてみると,自動車メーカーでもスポット溶接位置の当たりつけに使っているなんて記事も見つけました(↓).

(岡崎五朗のクルマでいきたい:
vol.69 手軽なボディ剛性アップ術より)
クリップというと文房具のアレが思い浮かぶと思いますが,このレイブロスの「カチカチ君」という製品は,こんな違い(↓)があるそうで,
文房具のクリップに比べて,板厚があり,バネ成分のある素材を用いているため,挟み込みの力は大分強化されているようです.その分,作業性は悪く,マイナスドライバーで口を広げて,端の方でボディを挟み込んだら上からハンマーで叩き込む,なんてのを見かけました.クリップの数が多い事もあって,作業としてはなかなか大変そうですが,モノ自体はこれだけ考えて作られているとそれなりに効果は得られそうだなぁ~とも思いました.
そんな感じで仕組みやメリットは理解出来たのですが,じゃあデメリットは?と調べ始めてみると,「電蝕で錆びる」と書かれていました.そこで「電蝕って何だっけ・・・?」と調べてみると,
異種金属が接触した状態で,金属に水等の通電性の液体が触れると電気が流れる.
その電気が貴金属から卑金属に対して流れる事で,卑金属がイオン化して腐食することを「電蝕」と呼ぶ.
「あ~,イオン化なんて久しぶりに聞いたな」と思いつつ要約すると,
・異なる金属同士を接触させたところに,水がかかると,水を媒介にして電気が流れる.
・電気が流れた結果,電気を流された側の金属(卑金属)は酸化される.
・金属は酸化すると,腐食する(錆びる).
今回の場合,クルマのボディ(スチール)と「カチカチ君(ステンレス)」が接触するので,確かに異なる金属同士ですね.スチール vs ステンレスだと,電位はステンレスの方が低いので「カチカチ君が錆びる」という理屈になるようです.ただ,「カチカチ君」の素材であるステンレスは,それ自体が錆びにくい素材ですので一応の対策はされているみたいですね(これを見越してのステンレス製なんでしょう).
ただ,ステンレスであっても100%錆びない訳ではないので,若干不安だなぁ~と思って更に調べてみたら,クリップを挟み込む部分に予め
防食テープを巻いておくという対策手法があるようです.
ただでさえクリップの数が多いのに,その下地にテープも貼らないといけないとなると労力は倍になりますが,補強系のパーツとしてモノ自体は安いですし(ガチャ玉でやるなら驚異的な安さ),「お試しでやってみるのもアリなのかなぁ~?」と思いましたが,「コレをやるなら,
瞬間接着剤の方が効果ある」という話も見かけたので,実際の効果の程はどうなんでしょうね?
そもそも,開口部(ドアやハッチ等)の補強って,効果がないとまでは言わないけれど,効果的か?というとちょっと疑問を感じる部分もあり,自動車メーカーも開口部の補強って実際やっているのかな?と,試しにEKシビックを調べてみました(EKシビックをTYPE-R化する際に補強されたポイントはどこか?).
調べてみると,上図の通り補強の大半は横方向で,開口部はあまり気にしていないようです.また,EK9の場合は特にリアを集中的に補強しており,ダンパーの取付部周辺が重点的に行われている事も分かりました.
やはり,サーキットでボディに求められるのは「ねじれ剛性」なので(↓),
タイヤ→サスペンション→ボディと来て,最初に力の加わるダンパー取付部とか,その取付部からの『ねじられる力』に対して抗う,ボディの横方向とか,こちらの方がより効果的なんだなぁ~と改めて思いました.
ちなみに話が逸れますが,このEKシビックがTYPE-R化される際,ボディの補強と並行して足回りも固められている訳なのですが,その数値もなかなか興味深かったです.
あくまでノーマル状態での話ですが,前後のスプリングレートの差がなくなっているとか,フロントの減衰は1.7倍なのにリアは1.3倍止まりだとか,リアのスタビを太くしてトレッドを広げているとか,
TC2000でDC2の1秒落ちを実現するための策が読み取れて面白かったです.
話を戻して,以上の点を踏まえると,仮にクリップ補強をやるのだとすれば,開口部の全周をやるのではなく,ボディの前後方向とか,横方向とか,サスペンションを通じて伝わった力に抗う部分(↓)に行うとより効果的なのかなぁ~?なんて思いました.
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セッティング(車体) | 日記
Posted at
2021/09/12 02:38:09