フロントのトー角をゼロ→アウトに振った結果,良い感触が得られたTC1000でしたが,当然良い事ばかりではなくデメリットもありました.こちらに関しても触れておきたいと思います.
・・・とその話の前に,この日のサーキットアドバイザーは蘇武喜和さんだったのですが,午後のミーティングの終わりに誰かが「サイン書いて!」と言ったら,スラスラとサインをボードに書いてくれ,それを見た参加者が皆スマホを取り出し,急に写真撮影会が始まりました.
こういうサービスをパッとされるのも,さすがはプロですね(笑).
(ちなみにサインに添えられている「#75」は
S耐のカーナンバーですかね・・・?)
さて,本題のトーアウトにした際のデメリットの話.
一般的には「初期のステアリングレスポンスが落ちる」と言われているようですが,これはメリット編でも述べた通り,走行中は特に感じませんでした.じゃあ,何がデメリットだったの?というと,そのレスポンスが落ちている事を感じ取れなかった結果,やってしまっている無意識の操作です.
これを指摘してくれたのが,蘇武さんでした.
私 :大舵の時に曲がらない感触だったので,今回トーアウトを試してみたんです.
蘇武さん :コーナーの立ち上がりで曲がるようになったでしょ?
私 :(おお,やっぱりそうなんだと思いつつ)はい.よく曲がるようになりました.
蘇武さん :いくつアウトにされたんですか?
私 :OUT 20’です.
蘇武さん :適正範囲内ですね.
蘇武さん :OUT 20'を試したのなら,OUT 30'とか,もっと開いてみた場合も試してみると良いです.
蘇武さん :トーは開き過ぎてもアンダーになる.
蘇武さん :どこまでやったらアンダーになるのか?を知っておくのも良いです.
私 :なるほど・・・.
私 :ところで,このトーの変更と関係があるのか分からないのですが・・・,
私 :今回,左高速コーナー~洗濯板の間の切返し(↓)で,リアが振れて姿勢が乱れるんです.
私 :無意識のうちにブレーキを強く踏んじゃっているのかなぁ~?とも思うのが,なんでしょう?
蘇武さん :あ~,それはですね・・・(とコーナーのイメージを手振りで示す).
蘇武さん :左高速コーナー~洗濯板間は,こんな感じ(↑)で⓪→①→②→③と通ると思います.
蘇武さん :このうち,(洗濯板に向かう姿勢を考えたら)①→②→③の箇所は変えたくない訳ですよね?
私 :はい.
蘇武さん :とすると,①以降が変わらないように,⓪→①の間を変えるしかない.
私 :そうですね.
蘇武さん :・・・なんですけど,トーアウトになったので途中のステアリングレスポンスが変わっているんです.
蘇武さん :⓪と①の間を「0.5」としましょう.
蘇武さん :トーアウトにすると初期のレスポンスが悪いので,この⓪~0.5までの間が曲がらない.
蘇武さん :しかし,「0.5」に到達すると,トーアウトなので今度はよく曲がる(赤矢印の流れ).
蘇武さん :結果,ステアリングレスポンスが良い時(灰矢印の流れ)に比べると,①の地点の角度がキツくなる.
蘇武さん :そして,次の①→②では,またステアリングレスポンスが悪いので曲がらない.
蘇武さん :この,曲がらない(0.5)→曲がる(①)→曲がらない(②)の動きの結果,リアが振れるんです.
私 :おおっ! なるほど!!
私 :(そうか.初期のレスポンス低下に気づかず,同じように曲がると思っているから,修正が遅れるんだ)
私 :(その修正の遅れで,無意識のうちにリアを振るような操作をしてしまっていたのか)
私 :全然気づかなかった・・・.
私 :とすると,修正方法は?
蘇武さん :⓪の地点を,いつもよりも奥に取って,そこから①に向かう感じです.
私 :(レスポンスの悪い領域を飛ばして,一気に大舵の領域に入れるのか!)
蘇武さん :試してみて下さい~.
というような感じで,本人が認識していなかった無意識の操作をアドバイザーに指摘して頂きました.
蘇武さん,毎回,貴重なアドバイス有難う御座います!
さて,学んだ事は即トライという事で,早速試してみると,
先述の⓪→①の間で大舵の領域を作るのが,かなり怖い・・・.右にヨーが残った状態でブレーキングするような感触で,これで万が一リアが流れたら,左にイン巻きしてスポンジバリアにドスン!というイメージが頭に浮かびます.
数回試して「これは(メンタル的に)私には無理だな・・・」と判断し,作戦を変更.左高速コーナーを無視して,なるべく洗濯板に対して直線的なアプローチを取る事にしました.
その結果,リアの振れは起きなくなりましたが,万が一リアが振れた場合に備えて,身体全体がやや力み過ぎの状況となり,シフトミスしたり,ヒール&トゥの回転数合わせをしくじったりとメタメタなドライビングになってしまいました(↓).
私のスキルだと,こういう緊張を強いられるようなドライビングは,やっぱりダメですね・・・.
TC1000はともかく,例えば日光とかでこんなドライビングをしていたら危険がアブない気がします(笑).
・・・という事で,ドライバーがダメならクルマに助けてもらおう!と対策方法を思案.
「リアが振れている」と感じるのは,フロントのロール量よりリアのロール量が大きいせいでしょうから,リアのロール剛性を上げれば解消します.手っ取り早いのは「リアの減衰を上げる事」ですが,減衰を上げるとリバウンドスピードも遅くなるので,ターンイン時のインリフト量が増えて1コーナーが辛くなる・・・.
そもそもロール剛性に対して減衰調整で対処するのは正しくないので,最近勉強した「
なんで2キロ差なの?」を思い出しつつ再びショップへ入庫.足回りのセッティングを更に変更する事にしました.
さて,これが吉と出るか? 凶と出るか? 次回の走行が楽しみです.