先日,taka@黒インテ(元)さんのGK5の走行データを見せてもらった際,高速コーナー(日光の8~9コーナー)で全く失速しないのが衝撃的でした.
225/50R15という,車格に対して太いタイヤを履いているのは間違いないですが,それにしてもここまで速度を落とさずコーナリング出来るものなのか?と気になって仕方がなかったので調べる事にしました.
速度が落ちない要因には色々あると思いますが,今回はエンジントルクに着目してみる事にします.GK5が搭載するL15Bは,VTECが開発される以前にCR-X等に搭載された「ZC型」の再来と言われるほど評価が高く,S耐等でも「1.5Lクラスの中では頭抜けて速いエンジン」として知られています.
最高出力:132PS,最大トルク:15.8kgf・mとNAの1.5Lエンジンとしては高性能です.ロングストローク(73.0×89.4mm)のエンジンなので,回してパワーを出すエンジンではなく,低~中回転域のトルクを活すエンジンです.回してナンボ!のB型エンジンとは,やはり考え方が異なりますね.
という事で,両者のトルク特性を比較.
黒線がB16B,オレンジの線がL15Bです(灰色の線はM16Aで参考).今回はカタログスペックで比較したいので,私のエンジンがB16Bのカムを使っている事からB16Bのデータを持ってきました.
その名が示す通り,B16Bは1600cc,L15Bは1500ccと,L15Bの方が100cc排気量が少ないのですが,3500rpmまでの日常で使う領域ではトルクはほぼ一緒である事が分かります.そこから6000rpmくらいまでの全開加速に使う領域はL15Bの方がトルクが大きく,6000rpmまで行ったところでようやくB16Bが逆転.以降は上が回るエンジンらしく高回転域ではB16Bの方がトルクが大きいようです.最終的に最大トルクはB16Bの方が上回りますが,それも6800rpmオーバーの領域まで回さないと得られませんので,4600rpmで最大トルクが得られるL15Bは,やはり低~中回転域に強いエンジンと言えそうです.
では,サーキットで使う回転領域はどの辺りなのか?を見るために,2速でレブリミット付近まで回した後,3速にシフトアップした際にどの辺りまで回転がドロップするのか?を試算してみました.
試算の前提条件は以下の通り.
【B16B】
タイヤサイズ ・・・ 205/50R15(外径:587mm)
3速ギヤ比 ・・・ 1.458
ファイナル ・・・ 4.400
【L15B】
タイヤサイズ ・・・ 225/50R15(外径:607mm)
3速ギヤ比 ・・・ 1.303
ファイナル ・・・ 4.625
2速→3速にシフトした際のドロップ回転数は,B16Bが5500rpmでこれからトルクが盛り上がってくるようなところ.対してL15Bが4800rpm付近でほぼピークトルクのところでした.数値的には両者の差は1キロもありませんが,回転数が落ちた時の下支え的な意味合いではL15Bの方が有利そうです.
最後に,着目していた日光の高速コーナーで使っている領域.
両者共に95~110km/hで使う領域を示しているのですが,絶対値的にはそれほど大きな差はなさそうです.ただ,負荷が増えて回転数が落ちてきた時にトルクが減る一方のB16Bに対し,L15Bは逆にトルクが増えていく図式になるので,L15Bの方が回転数が落ちにくい≒速度が落ちにくいという可能性はありそう.やはりあの速度が全く落ちないコーナリングの一因として,L15Bがそういうトルク特性がそうだから~というのは言えそうです.
(勿論,そういった特性を活かせるドライバーの腕があってこそのコーナリングなのですが)
以上,L15Bのトルク特性でした.
設計年度に30年近い隔たりがありますし,片やポート噴射,片や直接噴射と燃焼形態も違いますから特性が大きく異なって当たり前なのですが,やっぱり違うんだ!と再認識しました.ミニサーキットではピークパワーよりも,ストップ&ゴーで使う加速力の方が大事ですし,私のB16Aも高回転域のパワーを失わず,低・中回転域のトルクを増やせればなぁ・・・と思いました.
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Posted at
2022/01/18 12:01:03