
では
続きです.
「フリクションサークルを使ってドライビングの改善点を分析する」という話を,日光サーキットを題材にやってみましたというのが前回のお話.
まずは加速領域から分析を始めてみたところ,若干ストレートはGK5の方が速そう,旋回しながら加速する領域では,ドライバーはアクセルを踏んでステアリングを切ってるだけなので,タイヤの差が明確に出ていそうという感じでした.
・・・という事で,減速領域編です.
ここまではtakaさん(オレンジ)の方が私(黒)よりも上回っているケースが多かったのですが,最大減速Gにおいては逆に私(黒)の方が大きい結果となりました.減速Gは大きけりゃいいのか?というとそんな事はなく,ヘアピンのように短時間で止めるコーナーであれば良いですが,緩やかに旋回しながら止めるようなコーナーであれば,逆に「止め過ぎ!」の懸念が出てきます.という事でこのポイントがどこなのか車載で確認してみると,
10コーナーの進入でした.10コーナーは日光で最高速が出るバックストレートの終わりにあり,最高速から飛び込むコーナーなので,どうしても強めのブレーキングになってしまいます.
以前はもっと鋭角なコーナーだったので,全開加速→フルブレーキングで問題なかったのですが,改修されてから上の写真の通り緩やかなコーナーになったので,こんなに強く止める必要はないのかもしれません.ただ,この10コーナーはすり鉢状になっているのでリアが出やすく,10コーナーの先はコース幅もそんなに広くなく,10コーナーとその先の11コーナー(S字の1個目)を繋げて考えるか? 分けて考えるか?で走らせ方も変わりそうです.
車載を見返して見ると,どうやら私は10コーナーと11コーナーを分けて考えているようで,10コーナーで一旦止めて,3速→2速へのシフトダウンを済ませた後,再加速してリアを安定させつつ,11コーナーの進入でブレーキングして再びフロント荷重を作る事で11コーナーで向きを変えるのを容易にしているようです.
一方のtakaさんの方は,10コーナーと11コーナーを繋げて考えているようで,10コーナー進入で強めのブレーキングはしつつも,10~11コーナー間で再加速をするような事はせず,速度を落としつつ11コーナーまで届かせるようなブレーキングをされているようです.10~11コーナー間で再加速せずに11コーナーまでクルマを届かせるには,進入で速度を殺し過ぎない事が重要で,それ故に私(黒)よりも0.3Gも小さくなっているのでしょう.この0.3G少ない減速によって10コーナー全体のボトムが上がり,私は0.2秒の差をつけられています.
ならば,同じように私も緩いブレーキングで10コーナーに進入すれば良いのか?と頭の中でシミュレーションしてみると,11コーナーで苦しくなる結末が思い浮かびました.
上の画像で示している白線の部分(コーナーエントリーの部分)は,10コーナーがすり鉢状になっている点と,元々ブレーキング時にリアが不安定になるEF8の特性から,積極的にリアを出して向きを変えられると思うのですが,辛いのはそこから先,大舵で曲げる赤線の部分です.私の感覚(経験則)からすると,この速度・この姿勢だと,私のEF8はここから向きが変わらず,"待ち"の姿勢になってしまうと思われます.
しかし,takaさんのロガーデータを見ると,私が"待ち"の状態である時には既にアクセルを踏んで加速を始めているようです.どうしたら,そんな事が出来るんだ?と思い,takaさんの車載を見返してみると,
takaさんのGK5はこの赤線の領域の向きの変わり方が異様に速い! このロールが限界に達するとポン!とリアが吹っ飛ぶかのような動きが車軸式(トーションビーム)サスペンションの特徴なんですかね? クルマがこういう動きをするなら確かに10コーナーの攻略の仕方は変わるんだろうなぁ~と思いました.EF8でこの動きを作るにはどうしたらいいんでしょうね? バンプラバーでも使ってサスペンションの動きを規制すればいいのでしょうか・・・??
続けて,左旋回で減速している領域.
ここがどこか?というと,
まさしく上で述べた11コーナーのエイペックス付近.やはりこのポイントでGK5の方が向きがよく変わっているのは間違いないようです.Gの絶対値を見ると,加速領域の9コーナー立ち上がりよりも高いGを発生しており,タイトコーナーでリアを振り出すようにフロントタイヤのグリップを最大限に使って引っ張っているように思えます.
最後に,右旋回で減速している領域.
ここは私(黒)が発生させているGが明らかに小さいですね.タイヤの性能を限界まで引き出せていない(余らせている)ようです.このポイントがどこか?と確認してみると,
1~2コーナーの間でした.ここも10コーナーと同じ状況で,私(黒)は1コーナーの進入で一度止めて,その後2コーナーまでの間,加速も減速もしないような「バランススロットル」状態にしているのでGが小さいのだと思います.
対してtakaさん(オレンジ)は,1コーナーの進入速度を限界まで高めて(私より12km/hも高い・・・),1回のブレーキングで2コーナーまで到達させているような走らせ方です.進入速度が高い分,短い距離で止めないといけないので減速Gは大きくなりますし,それでいて旋回半径は変わらない訳ですから,旋回Gも増える訳ですよね.タイヤの性能を最大限使い切るという意味では,takaさん(オレンジ)の走らせ方が正しいので,ここは次回直さないとダメだな・・・と思いました.
以上,フリクションサークルの使い方でした.
なお,先述のSNSを読むとこういった使い方以外に,もう1つドライビングスタイルの分析方法があるようです.
それは最大の横Gをどこで発生させているか?という話で,
例えば,私(黒)の場合は,右コーナーだろうが左コーナーだろうが横Gが最大になるポイント(青丸)では前後Gがほぼゼロです.つまり,タイヤのグリップを全て横に使っているので,加速も減速もしていない感じです.一方,takaさん(オレンジ)の場合は,横Gが最大となるポイント(緑丸)が減速領域に存在しており,減速の過程で横のグリップのピークがくるような感じです.
このどちらが良いのか?というと,先述のSNSの方の見解ではtakaさんの走らせ方なのだそうです.減速させる際,ブレーキだけでなくステアリングによる操舵抵抗も使っている事になるから,より短くクルマを止められている事になると.そして,短い時間で止められるのであれば,その分コーナーに高い速度で突っ込む事ができ,同じボトムでより速いコーナリングが出来るようになると.
ここで言っている効果は,レ点コーナリング(↓)の効果と同じ事なんじゃないかと思っています.

(REVSPEED 2020年1月号:直線で稼ぐための的確な曲げ方より)
減速の過程でタイヤを斜めに使って短い時間で止め,加速の過程では舵角を減らす事でクルマをより前に進ませる走らせ方みたいなもんじゃないかと.車載を見る限り,takaさんがレ点コーナリングをしている訳ではないと思いますが,アクセルを入れるタイミングはこれに近しい考え方なんじゃないかと思われます.この辺りのタイヤを斜めに使う技術がtakaさんに比べて私は拙く,その差がこのタイム差に表れているんじゃないかと思いました.
次,日光を走るのがいつになるのか分かりませんが,今回の分析で発覚した1~2コーナー,10~11コーナーの改善点は取り込んで活かしたいと思います.
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日光サーキット | 日記
Posted at
2022/01/21 00:58:32