EF8の先輩の分析が終ったので,それを踏まえて今度は自分の分析です.先輩の分析結果から読み取れたのは以下の3つ.
・今回の方がコンディションは悪いが,最高速への影響は少ない
・路面コンディションが悪く,立ち上がりの加速が鈍い
・加速が鈍い原因は,主にフロントタイヤのグリップ不足
これを頭に入れつつ見ていきたいと思います.
・・・とその前に.比較に使えるデータが今年4月にCR-Sで走った時のものしかないため,
その時の感想を確認してみると,
S1:クルマが前に進まねぇ~.
S2:フロントが入らねぇ~.
S3:リアが出ねぇ~.
・・・でした(笑).コンディション的には,今回の方が気温で+14℃,気圧で-20hPaとかなり悪いので,恐らくS1は印象が変わらない気がしますが,さてどうでしょう?
まずはサンプル.
【前回(41.331)】
S1: 9.653
S2:18.202
S3:13.476
【今回(41.451)】
S1: 9.607
S2:18.189
S3:13.655
セクタータイムだけ見ると,コンディションが悪かった割にはS1・S2は今回の方が速かったんですね.さすがはA052!といったところでしょうか.その一方で,S3が致命的に遅いのが気になります・・・.
続けて,ロガーデータ(赤:前回 青:今回).
全体的に見て気になったのが,ほぼ全てのコーナーでA052(青)の方がブレーキのリリースポイントが早いですね.これは恐らくフロントの反応が良くなっているためだと思いますが(フロントが入って行こうとするので,ブレーキを弱めても良いとドライバーが判断している),前述の通り,今回の路面コンディションが良くなかった点を踏まえると,これはCR-S⇔A052の特性の違いであるか,もしくは
TC1000でテストした減衰調整の効果でしょうね.
それでは細かく見ていきたいと思います.S1は今回それほど見るべき点がないので,S2から始めます.
S2最初の問題は,6コーナー.
今回(青)の方がブレーキリリースが早く,ボトムを稼ぎつつ向きを変えようとしている様子が窺えますが,見事に失敗してますね(苦笑).車載で確認してみると,
上が前回,下が今回ですが,舵角もクルマの向きもほぼ同等なものの,車速だけが5km/hも低いですね.ただ,面白い事にロガーデータを見ると,7コーナー以降の加速は同等で,ここから先で差が変わっていないんです.つまり,6コーナー出口までにクルマの向きはちゃんと変わっていて,トラクションもしっかり掛かっている(タイヤを横に使い過ぎている訳ではない)という事なんだと思います.
だとすると,単純な「突っ込み過ぎ」で片づける訳にもいかず,6コーナーで0.05秒失った要因はなんなんだろうなぁ~?と乗っていた時の感触を思い返してみると,
この辺り(↑)で,クルマが左右に揺れていた事を思い出しました.この揺れ(バウンシング)は前回もあったのですが,今回は減衰をかなり上げている事もあって揺れの大きさ自体は小さかったです.ただ,それによって気づいたのが,右リアのインリフト量が少ないなぁ~という点.6コーナーは微妙な下り坂なので,横Gが発生した状態でブレーキングすると,右リアがリフトしてイン側に巻き込む挙動を示すのですが,このリフトが発生した後,すぐに着地しちゃうんですよね・・・.
インリフトが6コーナーのエイペックス付近まで続いてくれると向きを変え易く,高い速度で進入しても曲げるのが楽なのですが,今回はエイペックスのはるか手前で着地してしまうので,そこから速度コントロールしないと曲がれませんでした.どうやらこれが今回ボトムが5km/hも低かった原因みたいです.
次に8コーナー.
ここも6コーナーと似た感じで,ボトムを上げようとして失敗している構図ですが,ここはブレーキを踏まず,アクセルコントロールだけで抜けるコーナーなので,アクセルを戻す量が少ないという事なんでしょうね.
乗っていた時の感触を思い返すと,確かにステアを切り込んだ際にフロントのレスポンスが良く,「これだけ曲がるなら全部戻さなくても行けるでしょ!」と感じたのですが,その一方で,8コーナーのイン側の縁石付近(↓)で思ったほど曲がらなかった事も思い出しました.
この原因として,進入速度が高い(オーバースピードである)可能性もあるのですが,ステアを切り足した先でスキール音が大きくなり,抵抗も増えて失速している感があったので,トーがまだ合っていないのかな?とも思いました.ただ,久方振りの日光ですし,ドライビングのバラつきも大きいので,ここら辺はやはりホームコースであるTC1000で確認しないと正確な判断は出来ないかな?と思いました.
最後にS3.ここの問題は明らかで,11コーナーですね.
10コーナーで,今回(青)の方がやはりブレーキリリースが早いのですが,ボトムの位置は前回(赤)とそう違いはありません.違いがあるとすれば,やはり11コーナーでのクルマの向きでしょうね.
車載を細かく比較してみると,11コーナーでステアを切り始めた時には,前回(上)の方が舵角が少なく(↓),
この後,最終的に11コーナーのイン側の縁石に乗り上げる地点では舵角は同じになっていました(↓).
この違いが何を示しているか?というのを推測するのは難しいのですが,乗っていたの時の感触としては,今回の方が進入で向きの変わりは良いが,出口で向きが変わらず苦しい・・・という感じでした.ここから察するに,今回の方がフロントのレスポンスが良く,舵を途中で止める事なく一気に切る事が出来るのだが,切った先で思ったほど曲がらず,結果,ボトムが高い事もあってアンダーを出してしまっているという事なんだと思われます.
この「切った先で思ったほど曲がらない」要因としては,やはりインリフトが絡んでいて,乗っている時も一度リアがリフトした事は体感出来るのですが,その後,すぐに着地してしまうので向きを変え切れない・・・と思っていました.
以上,今回の分析結果でした.
纏めると課題は「インリフトの時間」ですね.TC1000より日光の方が旋回ブレーキを多用するので,インリフトし易い傾向なはずなのですが,それでもこれしかリフトしないとなると,もう少し根本的な変更が必要かなぁ~?と思いました.今回,試しにリアよりフロントの減衰を弱めてみたり,リアタイヤの内圧を上げてみたりもしたのですが,途中で雨が降ってきた事もあって全てテストし切れませんでした.フィーリング的には良い方向に行っている感触はあったのですが,あくまで「相対的に良い」というレベルで,絶対値的には全然足りてない気がしますね.
さて,これをどうやって対策するか・・・? クルマが暫く戻って来ないので,時間はたっぷりありますから,その間に色々作戦を練ろうと思います.
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日光サーキット | 日記
Posted at
2022/07/22 12:46:56