
スプリングをHYPERCO→HAL springsに変更して,TC1000~日光~TC2000と走り,HALの特性が大分掴めてきました.
HYPERCOと比べて良い点・悪い点が当然ある訳なのですが,現状一番気がかりとなっているのがロールの動き.乗っている時に感じている事を言語化するのがなかなか難しいのですが,問題点を整理しないとクルマを良い方向に持っていけないので,またアレやコレやと調べ物をしています.
今回,その中で「ダイアゴナルロール」という単語を目にしました.
「ダイアゴナル(diagonal)」とは「対角線」という意味で,「ダイアゴナルロール」とは「対角線上のロールの動き」という意味合いになります.何となく言いたい事は単語から察する事が出来ますし,最近出てきた言葉でもないので,ちょっと調べれば分かるかなぁ~と思ったのですが,意外とちゃんとした解説がありませんでした・・・.唯一見つけられたのが,「
山口マツダマガジン」のVol.7に出ていた記事(↓).

(山口マツダマガジン Vol.7:ダイアゴナルロールより)
「ダイアゴナルロール」を一言表すなら,「ターンインで外側の前輪が沈み込み,車体が斜めにロールすること」だそうで,この「ダイアゴナルロール」に対するメーカーの解釈も様々で,積極的起こそうとするメーカーもあれば,反対に起こさないようにセッティングするメーカーもあるそうです.
「ダイアゴナルロール」を起こすメリットは,性能云々というよりもドライバーが感じるフィーリングの領域にあるようで,「減速G」「横G」「加速G」の3つのGの繋がりがスムースであると述べられています(↓).

(山口マツダマガジン Vol.7:ダイアゴナルロールより)
Gの繋がりがスムースだと,ドライバーはクルマの動きを予測し易く,コントロールも容易になるので,必然的にタイヤの使い方も上手くなると思うのですが,「ダイアゴナルロール」にも当然デメリットはあります.
例えば,低速域でこの「ダイアゴナルロール」を積極的に起こるようにすると,「ヒラヒラ感」が増すのでロードスターみたいなクルマには良いのですが,その足回りのセッティングのまま高速域・高G領域に突入すると,これが「フワフワ感」に変わるそうです.この相反する特性を両立するために,NDロードスターでは「KPC(KINEMATIC POSTURE CONTROL)」という電子制御技術を導入したりもしています(↓).
「KPC」に関しては,一度調べてどこかで纏めたような記憶があるのですが(過去のブログ見返したけど見つからなかった),足回りのセッティングを低速域に合わせておいて,高速域で「フワフワ感が起きる!」というシチュエーションに遭遇したら,クルマ側がリアの内輪に軽くブレーキをかけてインリフトを抑制する,という代物のようです.
制御方法は,リアの左右の車輪速をセンシングし,両者の速度差が大きさ=ブレーキの介入量という形で決めているそうです.ただ,「ブレーキの介入」と言っても,減速Gを感じるような大きさの介入ではなく,通常の減速に使う制動力を"1"としたら,その"1/100"くらいの僅かな力だそうで,マツダが「KPC」を市販する際,ブレーキサプライヤーから「そんな僅かな力の検知・制御は保証出来ない!」と抗われ,それに対してマツダが「大丈夫,大丈夫,今の製品のままで十分性能出てるから~」と説得した,なんてエピソードを文章で纏めた気がするのですが,アレ? やっぱりこれどこで書いたんだ??(苦笑)
話を戻して・・・.ちょうど先日のTC2000を走った時のHALの印象がまさにこれでした.
TC1000の速度域だと,アクセルOFF時でフロントノーズがよく入り,「ヒラヒラ感」があって良いのですが,TC2000の速度域だと「フワフワ感」の方が強くなり,慣れるまでかなり怖かったです.
これを両立出来るなら「EF8にもKPCが欲しい!」と思いたくなっちゃいましたが,ABSすら付いてない時代のクルマで欲してもしょうがないですね(苦笑).
「フワフワ感」の対策は当然足回りの仕様変更で対策していくのですが,対策のヒントになる情報が何かあるかなぁ~?と「ダイアゴナルロール」に関して更に調べてみるも,あんまり物理的・機構的な解説が見つからなかったのですが,唯一「ダイアゴナルロールに拘るのは良いが,前輪の内側が浮き上がるのだけはダメ!」というコメントを見つけました.
曰く「良いセッティングとは,ハンドルを左右に切り続けると前輪が沈み込んでいく方向になるものだ」との事.
そして,「究極の動かす足」としてWRCのクルマを挙げていました.
「ほうほう・・・」と思い,だったらWRカーがパイロンスラロームしているような映像を見ると,何かヒントが得られるのかな?と映像を探してみたところ,こんなのがありました(↓).
先日行われたラリージャパンの開催前イベントの1つとして,豊田市内でヤリスWRCがデモ走行した模様のようです.これのタイヤを温めるために(?)クルマを左右に振る様子のがちょうど良い角度で撮影されていました.
おおっ,ホントだ.素早く左右に切返すとフロントの車高がどんどん下がっていく・・・.
以上,今回は「へぇ~,面白いなぁ~」で終わりのお勉強でした.
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セッティング検討(アライメント) | 日記
Posted at
2022/12/03 01:26:02