
GRヤリスには「GR UPGRADE SELECTIONS サービス」というものがあって,ECUを書き換える事によってメーカー公認で最大トルクを370Nm→390Nmに上げてくれるサービスがあるそうです.
言わばメーカー公認のECUチューンな訳ですが,国内スピード競技(ジムカーナ等)のPN車両において,このチューニングを行っても良いのか?という問いに対し,JAFは「NG」という見解を示したそうです.
「NG」の根拠は,国内競技車両規則 第3編 第3章 スピードPN車両規定 第2条だそうで(↓),
そりゃそうなんだろうとは思うのですが,実際の車検で果たしてどうやってこれを識別するつもりなのかなぁ~?と読んでて思いました.
ECUのチューニングって外から見ても分からないソフトウェアの世界の話ですし,この「ソフトはOK,このソフトはNG」って,ツールを使ってIDを呼び出して照合するくらいしか方法がない気がするのですが,メーカーは同一の型式の車両であっても,(性能に関わらない部分で)しょっちゅうソフトウェアをアップデートしていますし,今後は無線による遠隔操作でそれが出来るようにもなります.販売開始時のIDを控えて,それと照らし合わせる~みたいなやり方では全く通用しないと思うのですが・・・.
まさか競技なのに「性善説に基づく自己申告で判断する」とか言わないと思いますが,「取締りがちゃんと出来ないんだったら,いっそ許可する」という方が公平な考え方なのに,あとで揉めないのかなぁ~?とちょっと思いました.
さて,この話の過程で「GR UPGRADE SELECTIONS サービス」と合わせて,もう1つ「パーソナライズ」というサービスも存在する事を今回初めて知りました.
クルマ社会の未来を表す言葉として,BOSCHは「PACE(Personalize,Automated,Connected,Electrified)」という概念を提唱しているのですが,その先頭で出てくる「Personalize(パーソナライズ)」の事なのかな?と思い,読み進めると,こんなのが出てきました(↓).
「ECO」だの「SPORT」だの,走行モードを切り替える機能は最近のクルマではよく見かけますが,アレはメーカー決めたセッティングの中から1つ選ぶみたいなものであるのに対し,これは走行性能ではなく,自分の好み(ドライビングスタイル)に合わせてクルマをチューニングする内容に思えました.
少し興味が湧いたので,更に調べてみたところ,こんな紹介動画がありました(↓).
これを見て,「コレって,まんまレーシングチームが現場でやってる事と一緒じゃん・・・」と思いました.「うわぁ,トヨタはこんな事までビジネスにしちゃうんだ・・・」と思いつつ,映像を見ていてトヨタがレースを通じて人材育成をしているという話を思い出しました.
自社のエンジニアをレースに参加させる事によって,
・ドライバーがまさにお客様.期待に応えるためにその場で全力を尽くす
・現場で現状把握~原因特定~対策実施.小さなPDCAを素早く回す
・エンジン屋も車体屋もお互いの領域を知り,クルマ全体が分かるようになる
・・・といった意識を植え付ける事が出来るのだそうです.
また,トヨタは「様々なレース活動を通して『アジャイル開発』を学んだ」とも言っていて,レース活動というのは,レギュレーションを守りながら,コンディションの変化・タイヤ等の性能変化・ドライバーからフィードバックといった情報を短期間で処理し,ラップタイムとクルマの耐久性を引き上げていくと思うのですが,これがまさに「短期間で変更を行って結果を出す」という『アジャイル開発』そのものなんだそうです.
この「パーソナライズ」のサービスも,こういう人材や開発手法を身につけた会社だからこそ実現出来る代物なんだろうなぁ~と思いました.
以上,アップグレードとパーソナライズのお話でした.
えっ? なんでこんな話を今頃取り上げたのかって? いや,最近パーツを交換してクルマを仕上げていくより,メーカー純正のチューニングカーを買って消耗品の交換だけしてた方がサーキット走行をより楽しめるんじゃないか?と思うようになったもので・・・.こういうサービスを少し羨ましく思いました.
(最近走る度にエンジンの失火に振り回されるので,少し嫌気がさしている事もあります・・・苦笑)
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Posted at
2022/12/04 03:23:14