
12月に入ってから節操なく色んなネタを投下していますが,そろそろネタも尽きたので「さて,次の走行に備えてテストメニューを考えないと~」と思っていたら,また調べたくなるネタが目に入ってしまいました.
2018年頃に雑誌で取り上げられて,知っている人は知っているそうなのですが,私は昨日初めて知ったのが「
Ceramics AIR GOO」.
タイヤの充填空気にセラミックを混ぜる商品だそうです.
レースの世界では,タイヤ内部の温度変化を抑制するために空気の代わりに窒素ガスを入れるというの有名な話ですが,セラミックを空気と一緒にタイヤに充填する事で,セラミックが内側から徐々にゴムに浸透し,タイヤに変化を生むのだそうです.
主な効果としては,
①路面からのショックを吸収し,乗り心地が向上 ⇒ 縁石の走破性が上がる
②転がり抵抗が大幅に低減し,燃費が向上 ⇒ ストレートスピードが伸びる
③直進での安定性・コーナーでの追従性が向上 ⇒ ハンドリングが良くなる
④濡れた路面で路面に吸い付く ⇒ ウェットグリップが良くなる
⑤高速道路でのレーンチェンジがスムース ⇒ タイヤの剛性が上がる
だそうです.右側の矢印は私の脳内翻訳の結果ですが(笑),「コレってサーキット走行でも効果があるんじゃね?」と思い調べてみると,筑波のローカルレースで使って「タイムが縮まった!」という人がいたり,ジムカーナで試して「グリップが上がった!」という人がいたりと,やはり同じ事を考える人がいたようです.
「これはTOPA(Tsukuba Occult Promotion Agency)勢が動き始める前に,先んじてこっそり調べておくか・・・」と思い,どういうメカニズムなのか?と調べてみると,「原理解明のために東レに成分分析を依頼した」という何だか凄そうなブログを見つけたので,早速中身を読んでみると・・・,
「分かりませんでした!」 ( ̄^ ̄)エッヘン!
・・・・・・・・・マジか.コレ,間違いなくTOPA案件じゃないか!?(苦笑)
普通,販売元自ら「理屈は分からない」とか言うか? オカルト理論でも良いから何かしらそれっぽい事言うもんじゃないのか??とか思いつつ,更に調べてみると,識者意見として「シリカの粒子を混ぜているのでは?」との情報を見つけました.
「シリカが遠心力によってタイヤ内面に均一に散布され,タイヤの組織に入り込んで構造を補完している」
「シリカは帯電しにくい物質であるため,セラミックスエアーによってタイヤ内面の静電気を抑制しているのでは?」
「その結果,タイヤが良いフィーリングとなって,ドライバーに感覚として伝わっているのではないか?」
との事.また静電気か・・・.
そもそも「セラミック」とは「焼結体(焼き固めたモノ)」の事で,我々に馴染み深いところで言うと「カーボンセラミック」辺りでしょうか(↓).

(ホンダ:NSX Type S カーボンセラミック製ディスクブレーキより)
「セラミック」と聞くと何となくこういった「固体」のイメージが強いのですが,これを空気(気体)に混ぜるというのがちょっとイメージしにくいですよね.恐らく人の目に見えない,顕微鏡で見るようなサイズの「固体(というか微粒子)」という事なんだと思うのですが・・・.
一方,「シリカ」というのは「ケイ素」の一種で,最近のタイヤでよく使われています(↓).
「タイヤの素材として使われているモノ」と聞くと,何だか馴染んで良い事が起こりそうな気がしちゃいますが,「なんで最近のタイヤは『シリカ』を配合しているの?」と調べてみると,「シリカ」はゴム同士を結び付ける添加剤として使われているそうで,今まで使われていた「カーボンブラック」と比べると,
・変形からの回復スピードが早い
・転がり抵抗が少ない
・発熱しにくい
・濡れた路面での摩擦力が高い
という特長があるのだそうです.

(Car Watch:
横浜ゴム、「アドバン スポーツ V105には多く配合」などタイヤのシリカ配合について説明より)
なるほど,セラミックエアーの謳い文句に通じる部分がありますね.
ちなみに,「シリカ」には以下のような特徴もあるそうで,
・高温での弾性低下が少ない(=高温でも安定して反発力を生む)
・低温でも固くならない (=低温でも安定して反発力を生む)
高温でタレにくく性能が安定していて,低温でも柔らかくウォームアップ性が良いというのは,A052の特長そのものですね(この特長はシリカの配合によるものだったんですね).
「では,そんなシリカに欠点はないの?」というと,最大の欠点は「導通性がない事」なんだそうです.
つまり,タイヤで発生した静電気を外(地面)に逃がせない.

(Car Watch:
横浜ゴム、「アドバン スポーツ V105には多く配合」などタイヤのシリカ配合について説明より)
このため,シリカを多く使うタイヤには「導通スリット」というアースの役目を果たすモノが仕込まれているそうです(↓).

(Car Watch:
横浜ゴム、「アドバン スポーツ V105には多く配合」などタイヤのシリカ配合について説明より)
あんまり意識して見た事がなかったので,今度A052にも「導通スリット」があるのか,じっくり見てみようと思います.
・・・という感じで,「セラミックエアー」≒「タイヤ内部へのシリカ浸透」の効果はA052の特性を補強するようなイメージで良さげに感じてきたのですが,ゴムに浸透させるだけあって,効果を得るのにそれなりに時間が掛かるようです.販売元の記載によると以下との事.
「3~4日間くらいでタイヤが固くなるためゴツゴツ感が出ますが,これがセラミックが浸透している証拠です」
「セラミックはタイヤゴム・ホイール等に時間をかけて浸透していきます.完全に浸透するまでに約1ヵ月掛かります」
途中,普通の空気を足すのは問題ないそうですが,熟成に1ヵ月掛かるとなるとサーキットユーザーにとっては長いですね・・・.
そんな1ヵ月待って得られるタイヤの静電気除去の効果って・・・?と調べてみると,こんな感じ(↓)なんだとか.

(PEA JAPAN:
PEAの原理より)
このタイヤ形状の真円化によって「トーの値が変わる」とまで書かれているのですが,マジですか・・・.
以上,空気に魔法をかける(?)「セラミックエアー」のお話でした.
ちなみに工賃は店によってバラバラで,1台分(タイヤ4本)で2000円というところもあれば,6600円なんてところもありました.さて,これで効果が得られるかどうかは「信じるも信じないのもあなた次第」といったところなんでしょうか?(笑)