今日初めてCR-Sのタイヤカス除去作業を行ったのですが,A052に比べて驚くほどカスが固くてびっくりしたOXです(やっぱりCR-Sは低温だとゴムが動かないんだな・・・).
さて,
先日の走行で,ようやく失火の原因が特定出来ました.これで安定してマトモなタイムを刻めるようになり,最終枠で更にパワーを上げようと設定を変更したら再び失火し出したので,まだパワーを制限した状態でないと走れなそうです.
なので,現状はまだ暫定対策の状態.真因を究明して恒久対策を施すまでは,枷を背負った状態で走る事になりますが,一先ずドライビングには集中出来る状況になったので,その点は良かったと思っています.
・・・という事で,ドライビングに集中出来た結果,ようやく気づいた仕様変更の影響ですが,既報の通りフロントスプリングの中反発→高反発への変更は失敗に終わったようです.同じレートの反発力違いで何がどう変わったのか? 今回はロガーデータを眺めつつ纏めておきたいと思います.なお,今回の仕様変更ではスプリングの変更に合わせてフロントタイヤも同時に変更してしまっているため,その影響も含みます.よって,分析結果としては(仮)って感じです.
まずは,今回の変更点のおさらいです.
【フロント】
HAL springs 7インチ 12キロ (中反発) → HAL springs 7インチ 12キロ(高反発)
A052 205/50R15 → CR-S 225/45R15
【リア】
HYPERCO 6インチ 11.6キロ + ヘルパースプリング 0.2キロ → HAL Springs 7インチ 12キロ(中反発)
A052 195/55R15 → A052 195/55R15
フロントは同じレングス・レートのまま,反発力を中→高に上げました.これは中反発だとS字での切返しでレスポンスが悪く,クルマの姿勢が不安定になるのでそれを改善するのが狙いでした.このレスポンスの悪さが顕著に出ていたのが,TC2000のダンロップ→80Rの切返しで,クルマが左に傾いたまま80Rに突っ込んでいくので,かなりおっかなかったです・・・.
リアは単純に銘柄を合わせたいと思っただけですが,HYPERCOよりもHALの方が反発力が低いので,それを使ってリアのインリフト量を増やす狙いもありました.EF8の場合,インリフトさせ過ぎるとコントロール不能に陥るのですが,
以前の経験から7インチであればコントロール出来る範囲内だと判断し,トライしてみました.
ではロガーを見つつ,各コーナーの感触を振り返ってみます.
1コーナー
ここは正直特に違いを感じませんでした.若干「ブレーキがロックし易いかなぁ~?」とも思ったのですが,中反発の頃でもロックはしていたので「気のせいかも?」と思って流してました.タイヤの幅が205→225に広がっていますし,「止まらないはずはないよなぁ~」と信じてフルブレーキングしたらこうなりました(↓).
こうなった直接の原因は,フロントタイヤがまだ温まっていなかった事なのですが,今振り返ってみると,実はフロントのスプリングが少し突っ張り気味になっている(ノーズダイブが減った)事も原因の一つに思えました.その理由の1つとして,スプリングを変更してから,やけにフロントタイヤの表面温度が高くなり,この時期の路面でも60℃オーバーとなっていました.当初はCR-Sの特性なのかな?と思っていたのですが,コレ,多分フロントタイヤを潰せていないせいな気がします(表面のゴムのグリップだけで走ってるので,タイヤの負担が大きくなり,表面温度が上がってしまっている・・・).
ロガーデータ上は,オーバーランした後でビビリミッターが発動しているため,今回(赤)の方が前回(青)よりも早く切り込んでいるのですが(↓),
車速で見ると,実は今回(赤)の方が4km/hも進入速度が低いので,単純に速度を抑えたから早く切り込めただけな気がします.
ヘアピン
2コーナーはとある事情から飛ばさせてもらって,お次はヘアピン.
ここも特に違いは感じませんでした.実際ロガーデータ上も違いがありません(↓).
1コーナーと違い,ココは若干ブレーキがよく効くようになったような気もしますが,ロガーデータを見ると減速度に違いはないので,多分気のせいでしょうね.
インフィールド
ここが一番違いが出るポイントでした.
インフィールドの進入で今回(赤)の方が前回(青)よりも切り込むタイミングが遅い(外側に来ている)のが分かると思います.コレ,ステアリングの切り始めが遅いのではなくて,純粋に曲がんないんです.乗っていた時はココのブレーキングで踏んでも曲がらず,ひたすら外側に膨らんでいって戻って来れないので,「アレッ? 突っ込み過ぎたか??」とか思いながら走ってました.
ロガーデータを見てみると(↓),
ブレーキングポイントは同じなので,ドライバーの操作の問題ではなく,単純にクルマが曲がらないようです.
私はインフィールドの進入で弱いブレーキを掛けてフロント下がりの姿勢を作り,姿勢が出来た後にブレーキを強めて一気にタイヤに荷重を掛けて曲げるのですが,この最初の弱いブレーキ(=低荷重域)でフロントが突っ張ってしまい,姿勢が作れないんです.察するにフロントスプリングの反発力が上がっているので,低荷重域ではスプリングが突っ張って潰れず,それによってクルマの姿勢が変化しないため,アンダーステア状態に陥っているのだと思われます.HYPERCOの14.3キロを使っていた時もフロントが突っ張って曲げるのに苦労しましたが,ここまでではなかったですね.その時よりレートは2キロも低いにも関わらず,「高反発にするとこうも姿勢が変わらないのか!」と驚かされました.
一方,インフィールドの出口の方は,先程とは反対で今回(赤)の方が向きが変わっています(前回=青より内側にいる↓).
これはフロントではなく,リアのスプリング変更の影響で,大舵の時にインリフトするようになりました.先述の通り進入で曲がらないので自然と後半で舵が大きくなるのですが,その際,クイッ!とクルマの向きが変わるのを感じ取れました.「ああ,インリフトしたな・・・」って感じです.立ち上がりで向きが変わるので楽と言えば楽なのですが,正直インリフトするタイミングよりも手前で向きが変わってくれないとアクセルを早く踏めないですし,リアがケンケンしたりもするのでトラクションも掛からず.あんまりタイムには寄与しない部分かなぁ~?と思います.
左高速コーナー
「インリフトして向きが変わるのにタイムに寄与しない」と思った理由が,この部分です(↓).
インフィールド出口で向きが変わったのはインリフトのおかげですが,逆に言うとリアが接地して以降はアンダーステア方向にしかいかないため,その後が曲がりません・・・.右に掛かったGをなかなかニュートラルに戻せず,結果,左高速コーナーへの姿勢作りがワンテンポ遅れています(今回=赤の方が前回=青より外側にいる).これがタイムには繋がらないかなぁ~?と思った理由です.
最終複合コーナー
左高速コーナー~洗濯板にかけてがTC1000唯一のS字セクションで,ここは対策の効果が出ました.
左→右と切り返してもレスポンスが良いので,それほど外に膨らみません.外に膨らまないという事はそれだけアクセルを開けられるので,今回(赤)の方が前回(青)よりもタイトなラインで進入しているのに,ボトムスピードは同等です(↓).
つまり,中荷重領域での旋回速度が上がっているという事なので,ここが今回の変更で唯一のメリットですね.ただ,先程と同様に高反発は低荷重域で曲がらないので,アウトクリップに達した後の向きの変わりは今回(赤)の方が悪いです(↓).
ここは複合コーナーなのでほぼ定常円旋回ですし,大舵を入れて強引にインリフトさせる技が使えないため,苦しいですね.ちなみに前回の2本目で,おっとっと!な挙動を出してしまったのは(↓),
後ろのクルマのアタックを邪魔しないように早くこのセクションを抜けようと,そこそこの速度で洗濯板を避けて,グイッとステアリングを切ってしまった(大舵気味になった)ため,リフトしてイン側のタイヤの荷重が抜けたんだと思われます.
タイム的な観点で見ると,進入でどんなに曲がってもそれほどタイムには寄与せず,逆に立ち上がりで曲がんないとアクセルを戻さざるを得ないので(↓),
この動きだとタイムは削れないですね.
以上,中反発と高反発の比較(仮)でした.
繰返しになりますが,前回と今回でタイヤも違うので,私が乗って感じた事はスプリングのせいではないかもしれません.それでも感じた事とデータを突き合わせて考えてみると,フロントスプリングを高反発化したのは,やっぱり失敗かな?と思いました.
これは「高反発が悪い!」という意味ではなく,私はTC1000において低荷重の領域を積極的に活用するので,そこで姿勢が変わらない高反発とは相性が悪いという意味合いです.当然ですが,コースが変われば(高荷重域を多用するコースであれば),また印象も変わってくると思います.私のEF8のセッティングは,もはや重箱の隅を突っつくような領域に入っているので,正直ドライバーの好みの話でタイム云々ではない気もします.ただ,積極的に姿勢が変わる方を好むドライバーもいれば,姿勢が変わる事を嫌うドライバーもいる訳ですし(↓),
(PLAYDRIVE:2019年8月号より)
ワンメイクレースじゃない以上,自分の好みに近づけた方が速く走れるのも当然な訳で,そういう意味で今回のフロント高反発化は失敗だったかな?と思いました(少なくともTC1000では).