
先日,「
ノイズリデューシングホイール」という存在を初めて知ったのですが,アレってホイールのバランス取りが難しかったりするんですかね? TPMSが付いていると,タイヤを外す時に気を遣うので工賃が高かったりもするのですが,どうなんだろう?と疑問に思ったOXです.
さて,トラブルシューティングのために,ここのところ色々調べ物をしているのですが,今回は「イグニッションコイル」に関して纏めておこうと思います.また長くなりそうなので今回は基礎編.
「イグニッションコイル」は,エンジンの点火系の部品の1つで(タイトル画像参照),「スパークプラグ」の上流にあり,数万Vの高電圧を発生させる装置でもあります.下図のような構造となっており,

(DENSO:
Ignition Coilより)
「イグナイタ(スイッチ)」を介してバッテリーに繋がっている「1次コイル」と,鉄心である「センターコア」を介して「1次コイル」と繋がっている「2次コイル」で構成されています.
エンジンは「スパークプラグ」で点火して(火を飛ばして),空気と燃料の混合気を燃焼させて出力を得ている訳ですが,「スパークプラグ」の電極間に火を飛ばすためには,空中に放電出来るくらいの高電圧が必要となります.

(DENSO:
プラグの飛火と着火より)
しかし,クルマで発電している電圧は所詮数十Vですので,これを数万Vまで昇圧させる機構が必要となり,それを担っているのが「イグニッションコイル」となります.
たかだか数十V程度である電圧を,どうやって数万Vにまで昇圧させているか?というと,「コイル」の天邪鬼な特性を利用するのだそうです.

(加美電子工業:
【今さら聞けない】インダクタンスって何?より)
「コイル」は,電流を流そうとするとその流れを食い止めよう(ブロックしよう)とするのですが,その状態から電流を流すのを止めようとすると,今度は逆に電流を流し続けようとする天邪鬼な性格をしているのだそうです.この特性を利用して,電流を流す→急に止めるという操作を行うと,瞬間的に電圧を増幅する事が出来るのだそうです(↓).

(加美電子工業:
【今さら聞けない】インダクタンスって何?より)
これによって,先述の「1次コイル」は300~500V程度まで昇圧出来るのだそうですが,これでも数百V程度で火花を飛ばすにはまだまだ足りません.更にもっと昇圧する必要があり,それを担っているのが「2次コイル」です.

(MONOist:
エンジン点火に必要な電圧は数万V! イグニッションコイルの役割より)
「1次コイル」と「2次コイル」は直接接触していませんが,鉄心(コア)を介して,「1次コイル」で発生する磁界(磁気が働く空間)は「2次コイル」も巻き込んで発生し,これによって「2次コイル」にも起電力が生じるのだそうです.この際,「1次コイル」と「2次コイル」の銅線の巻き数を変える事によって,2次側の電圧を調整する事ができ,以下のような関係になるのだそうです.
[2次コイルの電圧] = [1次コイルの電圧] × [2次コイルの巻き数] / [1次コイルの巻き数]
「1次コイル」は比較的太い銅線を100~200回程度,「2次コイル」は細い銅線を15000~20000回程度層状に巻いているそうですから,これで両者の比率は百倍となり,百倍の電圧,すなわち25000~35000Vという高電圧を「スパークプラグ」に伝える事が出来るのだそうです.ちなみにこの数万Vを発生させられる時間は僅か0.5~2.5msという極々短時間との事です.
ホンダのK20A/F20Cで使われている「イグニッションコイル」はDENSO製ですが,DENSOのサイトにそのカットモデルの絵が載っていました(↓).

(DENSO:
Ignition Coilより)
これは所謂「スティック型」と呼ばれているタイプで,中央の鉄心(コア)が目立ちますが,その上部には「イグナイタ」が搭載されています.
「イグナイタ」は,先程の電流を流す→急に止める,という動きを担っている部品で,「1次コイル」の昇圧(数十V→数百V)に耐えられる設計になっています.先述の関係式(↓)から,
[2次コイルの電圧] = [1次コイルの電圧] × [2次コイルの巻き数] / [1次コイルの巻き数]
「1次コイル」の電圧をより高くする事が出来れば,「2次コイル」でより高い電圧を得られる(=火花を強く出来る)ので,いつぞや調べた
「ドエルタイム」の話がここで繋がってきますね.
以上,基礎編でした.今回は前振りなので次回が本題です.
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Posted at
2023/03/15 12:50:28