先日のTC1000,2本目はA7枠(11:00~)を走ったのですが,走行枠の中盤くらいの時間帯に最終コーナーのOUT側にインナーフェンダーが落ちてました(タイトル画像参照).
かなり大きなサイズだったので誤って踏むような事はなかったのですが,ちょうどアタックラインを使って最終コーナーにアプローチしようとする部分に落ちていて結構困りました.
どかしてくれないかなー?と思いながら暫く避けて走っていたのですが,スタッフが動く気配がなかったので,「あ~,コレ,枠終了までこのままかぁ~」と諦めて,ギリギリ避けられるラインを探っていたところ,赤旗が出て撤去してくれました.有難う御座います.<(_ _)>
なんでこんな話をしたのか?というと,実はこの枠は途中でピットインしてセットを変更し,同一条件下での比較テストを行っていたので,落下物によりアタックラインが使えない事で正確な比較データが取れないなーと思っていました.実際,赤旗解除後にセット変更後のベストタイムを出ているので,走行が無駄にならずホント良かったなぁ~という感じです.
・・・という事で,今回はその比較テストのお話です.
まず,
前回分析した通り,現状の足回りのセットとしてはこんな状態になっています(↓).
①高速コーナーの減速側 ・・・ △
②高速コーナーの加速側 ・・・ ◎
③低速コーナーの減速側 ・・・ ×
④低速コーナーの加速側 ・・・ △
合計4パターンあるコーナリングのうち,②以外はダメって事なのですが,特に速度域を問わず減速側(≒ターンイン)で曲がらないのが一番ダメだと思っています.これは昨年
10月に走ったナリモでも特に顕著に表れていて,
思った通りに曲がらないので,狙い通りのラインにのせられず,オーバーランを連発してました.このため,即席の対策としてフロントの減衰をガッツリ下げて,フロントのロール量を増やし,ノーズを入り易くする事を行ったのですが,荷重の絶対値が低いナリモではこれが上手くハマり,分切りに繋がりました.なので,今後のセッティングの方向性を探る意味で,TC1000でも同じ事をやってみて結果が出るか? をテストしてみました.
まず,変更後の印象としては,
ステアリングを切り込んだ時のレスポンスが明らかに良くなりました.これは低速コーナーだけでなく,1コーナーのような高速コーナーでも体感でき,
ロガーで見てみても,従来(赤)よりもフロントの減衰を下げた方(青)が小回りしているのが分かります.「なら,こっちの方が良いじゃない?」と思いたくなりますが,やっぱり,アチラを立てればコチラが立たず~で,減衰を下げた方(青)は2コーナー(=高速コーナーの加速側)で乗ってて分かるくらいのレベルでクルマが前に進まなくなりました・・・.
こちらもロガーデータを見てみると,上の緑丸の部分で減衰下げ(青)の方が明らかに車速の伸びが鈍っているのが分かります.減衰を下げた事により左右方向の荷重移動が早くなって,ロール量(厳密にはロールスピード)が増えてIN側のタイヤが仕事せずにその分だけトラクションが掛からなくなったためと思われます.
つまり,高速コーナーにおいては減衰を下げる事は,
加速域 ・・・ △→○
減速域 ・・・ ◎→○
という感じでバランスを微調整出来たのですが,これがトータルで速いのか?というと,プラス・マイナスの収支はヘアピン進入時点で+0.1秒と,むしろ遅くなってしまったのでダメですね・・・.
では次に,低速コーナーの方を見てみます.
ヘアピンはドライビングミスがあるので飛ばして,インフィールドを見てみると,
減衰下げの方(青)が,ほんの少しだけターンインで小回りになってます.それでいてターンアウトでも大きく外側に広がるような事がないので,両方とも改善していそうですね.続けて洗濯板を見てみます.
こちらもやはりターンインでのレスポンスが向上しているようで,INに寄るのが早くなっています.
最後に最終コーナーも見てみましょう.
こちらはターンインでは違いがありませんが,ターンアウトでフロントの減衰を下げた方(青)のラインが外側に膨らんでいます.減衰を下げた場合の特性としては妥当な気もするのですが,その手前の車速データをよく見てみると(↓),
アクセルOFFで旋回中にフロントの減衰が低い事でノーズダイブの量が増え,クルマの向きをワンテンポ早めに変える事が出来たようです.これによりアクセルも早めに開ける事も出来て,最終コーナーにアプローチする際の車速が高くなっているのですが,その弊害としてターンアウトでアンダーステアを出してしまったようです.
という事で,低速コーナーにおいてフロントの減衰を下げると,
減速側 ・・・ ×→△
加速側 ・・・ △→△
というような感じでしょうか.こちらもバランスを微調整出来たように思えますが,トータルでのタイム収支を見てみると,洗濯板手前までは-0.05秒なのが,最終の複合~ゴールラインまでの間で+0.15秒となり,やっぱり遅くなってしまっているようです.
ヘアピン~洗濯板までの低速区間でタイムが削れている事から,やはり低速コーナーに対しては減衰を下げた方が速いんだと思いますが,最終コーナーみたくアクセルを踏みながら抜けていく,低速(というよりは中速)のコーナーが入ってくると,元の減衰のままの方が速いみたいですね・・・.
以上,進入で曲がらないので,バランス調整してみた結果でした.
う~ん・・・.もはやこの程度の調整ではマイナス方向にしか行かないので,やっぱりセットが煮詰まり過ぎちゃってる印象です.高速コーナーの立ち上がりでガシッ!と踏ん張りつつも,低速コーナーではスッと素早くIN側に寄れるようにするには,一体どうしたら良いんですかね・・・?
プロからは「リアではなく,フロントで対処すべき」と言われましたし,スプリングレートを上げても・下げてもこれらは両立出来ない気もしますし,キャンバー角は限界,トー角やキャスター角も両立解が見い出せないとなると,今以上の答えはなかなか見つからないなぁ・・・.ああ,困った.orz
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セッティング(アライメント) | 日記
Posted at
2024/01/18 21:06:13