
次回の走行に向けて
先日のTC1000を走って付いたタイヤカスを除去していたのですが,走行回数的にはまだ2回なのに随分とタイヤが摩耗している事に気づきました.
やっぱり今のセットだとフロントタイヤの負荷が大き過ぎるんだなぁ~と思いつつ,新品にしたボールジョイントによってコーナリング中のキャンバー角が減り,それがタイヤに影響しているのかも・・・?とも思いました.
念のために走行履歴を確認してみたのですが(↓),
やっぱりまだ90kmくらいで,過去実績ベースで比較すると摩耗率は30%前後のはずなのですが,タイヤのショルダー部を見ると多分あと60kmくらいで溝がなくなりそうです.オートサロンも終わって今年は新作タイヤが出ない事を確認したので,「もう1セット新品タイヤを手配しておくべきかなー?」とちょっと悩んでいます.
新品タイヤを投入するとなると,やっぱりニューの最初の1発を効果的に使いたいので,投入時期とそれまでに見直すべきセッティングのポイントがこれまた頭を悩ませる事になるのですが,最近この「最初の1発」の効果って,新品タイヤの表面の平滑さ(キレイさ)のおかげもあるんだろうなぁ~と何となく思っています.
なので,例えユーズドであったとしても,所謂ところの「DKC(Dendo Kanna Club)」をやって平滑にしてやれば,似たような効果は得られるんじゃないか?と思いつつ,現状のカス取りだけでも十分面倒なので,やるとしても「TKC(Te de Kanna Club)」止まりになるんでしょうねぇ・・・.
そんな「TKC」のツールとして有名なのがTAJIMAの「アラカン(粗削り用カンナの略?)」ですが,
某SNSを見ていたら,神東工業の
特殊鋸シリーズ(↓)をオススメされている方もいらっしゃいました.
「アラカン」よりも目が粗く,目詰まりしにく形状となっているそうで(↓),
買うならコッチの方が良さそうかなぁ~?なんて思いながら見てました.
えっと,何の話をしていたんだっけ・・・? ああ,そうそうタイヤの摩耗が早いという話でした.
タイヤに負荷掛けてるんだから摩耗が早いのはしょうがないと思っていたら,こんな情報(↓)を見つけました.
・某タイヤメーカーの路面温度とコンパウンドの考え方
・路面温度が高いとアスファルト1粒1粒の尖りが丸くなるため,μ(摩擦係数)が下がる
・このため,硬いゴムだと喰わせられず,路面温度が高いのに柔らかいゴムを使う場合がある
・反対に路面温度が低いとアスファルトの尖りがより一層鋭くなるため,μが上がる
・このため,柔らかいゴムだと,その尖りにゴムがむしり取られて表面が荒れ,摩耗も早くなる
・ただ,柔いゴムの方がタイムを出し易いのは間違いない
・摩耗の観点から考えると「夏は硬い」「冬は柔い」がセオリーに思えるが,実はそうとも限らない
・アスファルトの尖りを活かすために,あえて硬いタイヤを使う場合もある
へぇ~.私としては路面温度をタイヤの溶け具合に紐づけてしまうので,こういうイメージだったのですが(↓),
路面温度が上がると,タイヤ側が変形するだけでなく,路面側も先端の形が変わったりするんですね.知りませんでした.
ちょっと興味が湧いたので,「アスファルトの尖り」とやらの情報が何かないかな?と調べてみたところ,まずは基本中の基本で「アスファルトにも色々種類があるよ」という話.

(日本アスファルト協会:
アスファルト基礎知識より)
一般道と高速道路でも路面が違うんですから,サーキットともなればまた別物なんでしょうね.サーキットの路面がどんな素材なのか情報ないかなぁ~?とまた調べてみたところ,土木学会誌 Vol.88 No.9に,ツインリンクもてぎ(現モビリティリゾートもてぎ)の路面に関するインタビュー記事がありました.
Q:一般道とサーキットでは,舗装にどのような違いがあるのか?
A:サーキットの舗装は基本的に一般道と構造上の違いはない.ただ,一般道ではないため,設計基準がなく(※2003年当時),強いGに耐え,グリップ力の高い舗装となるよう開発された材料を使用している.また,使っているアスファルト混合物にしても骨材(砕石等)は,入手出来る範囲で硬いものを使用している.アスファルトに入れる添加剤も特殊な物を使用し,耐久性が向上するようにしている.
もてぎともなれば,500PSオーバーのクルマがスリックタイヤでガシガシ路面を蹴り続ける訳なので,そりゃ頑丈な路面にしないとダメなんでしょうね.
Q:サーキットでの施工方法は,一般道路と同様の工法で行われるのか?
A:基本的には同じだが,特に平坦性を良くする必要があるため,様々な部分に注力しながら施工を進める事になる.路面は水が溜まらないように,ストレートであれ,コーナーであれ,バンクがついているので,その中で平坦性を高める施工方法が必要となる.ただ,サーキットは一般道と異なり障害物が少ないため,効率良く施工出来る.一定速度で路面を施工する事が出来れば,平坦性をより向上させる事が出来る.
Q:サーキットの舗装を行う上で,最も気を使う部分はどこか?
A:やはり平坦性.舗装は「加熱混合物(熱を加えて作るもの)」という特殊な材料を扱う事になるので,その品質保持には細心の注意を払い,耐久性の高い舗装となるよう心掛けている.
そういえば,親戚の伯父が道路屋さんだったのですが,昔「サーキットの路面を施工した事があるんだけど,どれだけ平坦にしても『まだ足りない!』って文句言われるんだよ.どんだけ拘るんだ?って困った事がある」と愚痴っていた事を思い出しました.やっぱり一般道と比べたら異常なレベルで平坦性に拘るんですね.
さて,記事の中では当時のツインリンクもてぎの「ロードコース」と「オーバルコース」の路面の違いに関しても触れられていました.
舗装は,一般道路とほとんど同じ配合で行われている.ロードコースは雨天時でも使用されることから,表面は一般道と同じようにある程度の隙間をもたせてある.
オーバルコースでのレースは,最高速度が380km/hにも達するため,タイヤと路面の設置面積を増やし,グリップ力をもたせる必要がある.そのため,ロードコースに比べて粗骨材の粒径は小さいものが使用されている.また,このオーバルコースでのレースは雨天時においては中止になることから,ロードコースに比べて隙間が少ない.
ほぉ~,ロードコースとオーバルコースで舗装が違ったのですか.言われてみれば納得なのですが,こういった特殊な舗装である点もオーバルコースを直さない理由だったりするんですかねぇ・・・?
記事を読んで,何となくサーキット路面の特徴は掴めましたが,一番知りたかった「アスファルトの尖り」の部分は分かりませんでした.なんか情報ないかなぁ~?と更に調べてみたところ,上の方で出てきた日本アスファルト協会の機関誌「アスファルト」第214号にこんなデータ(↓)が載っていました.

(アスファルト 第214号:路面のすべりより)
コンクリート舗装のデータなので,アスファルト舗装と特性が異なる可能性もありますが,参考までに読んでみたところ,乾燥路面(ドライ)の場合,路面温度が1℃増加する毎に摩擦係数は0.01下がるのだそうです.この傾向は温度の上昇と共に小さくなり,40℃付近ではほとんど影響しなくなるのだとか.そして,この傾向は湿潤路面(ウェット)でも変わらないとの事.加えて,ドライ・ウェットを問わず,速度が増加しても絶対値こそ違えど特性は変わらないそうです.
つまり,纏めるとこうでしょうか(↓).
・路面温度が上がると,路面側のμも下がるのは事実
・路面温度が10℃上がると,μは0.1下がる(≒グリップが10%低下)
・但し,路面温度が40℃近くになると,μの変化はほぼなくなる(≒暑過ぎるとμは変わらない)
・この特性はウェット路面でも一緒(変化がなくなるポイントが高温側にズレるだけ)
・車速に関しても一緒(μの絶対値が高くなるだけ)
以上,路面のお勉強でした.
走っている時にグリップがない原因が,タイヤのせいなのか? 路面のせいなのか?は正直判別が難しいとは思いますが,暑い時になんでもかんでもタイヤのせいにして良い訳ではない,という点は勉強になりました(暑いと,タイヤだけでなく路面もタレる,って事ですね).
興味深いのは「冬場は硬いゴムの方が喰う場合がある」という点で,これを活かすにはきっと表面温度を素早く上げる技術(ウォーマーでガンガンに温める等)が必要になるとは思いますが,使いこなせると武器になりそうな気もするので,今後は意識していこうと思います.
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セッティング検討(タイヤ) | 日記
Posted at
2024/01/26 21:34:28